REINCARNATION
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此岸と彼岸の境に立つ河原の子。生まれ変わっても尚、業が絡み付く・・・

 

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「・・・何故、加州清光はあの様な姿になったんだろう?」

「『川の下の子だから川の神様達に魅入られた』と言ってなかったか?」

「それだけでそうなるものかなぁ?他に何かありそうな・・・」

 

・・・

 

「・・・もしかすると『執着』や『情念』と言った周りに渦巻いていた様々な想いではないか?」

「想い?」

 

『もっと沖田総司と共に居たかった。』

『沖田総司の願いを叶えたかった』

『もっと大和守安定と共に居たかった。』

『もっと刀として使われたかった。』

『もっと新撰組の皆と共に居たかった。』

『もっと長く生きたかった。』

『どうにかして加州清光を直したかった。』

 

「・・・ざっと、これくらいか」

 

 

 

「ひょっとして、川の神様は出来る限り加州清光と沖田くんの願い叶えようとしたのかな?」

 

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見渡す限りの白い世界。

そこには花に覆われた天へと続く梯子と、痩せこけた男と、人とも蛇とも付かぬモノがいた。

 

「そこに居るのは・・・誰だ・・・?」

「ただの『手向けの~』さ・・・何か言いたいことはある?俺が聞いてやるからさ・・・」

「・・・まだまだ生きたかった。」

「・・・この病は『病払いの~』でも治すのが難しい病気だったからねぇ・・・仕方ない」

「・・・」

「これからどうする?あの梯子を登るか、俺と一緒に暗い水の底へ逝くか。もう時間がないんだからさ・・・」

 

「では、この梯子を登ろうとしよう・・・」

「そう・・・」

 

そう言って「あの人」は梯子に手を掛けた

 

じゃあね。俺を愛してくれた「あの人」

暗い水の牢獄よりも、明るい梯子の先の世界の方がずっといいもんね

 

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あれから・・・時は流れ・・・

 

「珍しいねぇ。こんな打ち捨てられた祠に御参りする人が居るなんて・・・」

俺は久々に地上の方へ顔を出していた。物珍しく俺(達)を祀ってた祠に小さな子供が居たからだ。

 

この子供、初めて会ったのにそんな気がしない・・・

 

「ひょっとして・・・ここの神さまですか?どこかで・・・会ったような・・・」

「一応は、ね。ここは俺だけでなく、他の神様も祀ってたからねぇ・・・多分、気のせいだよ。

あんた、俺を怖がらないのか?」

「こわくないですよ!うわぁ・・・!神さまって本当にいたんだ・・・!」

子供は目を輝かせている・・・表情や言質に嘘はないようだ・・・

 

「どうしてここに来たの?いや、ちょっと、気になったからね・・・」

「おじいちゃんがね、【ここにはかつて神さまをまつるほこらがあった。

今はだれもまいらないせいですっかりあれてしまった。】って言ってたから、神さまさびしがっているのかな?って」

「・・・さ、寂しくなんか」

「どうして頭のへびさんはさびしそうなかおしているの?」

「き、気のせい気ーのーせーい!」

「あははっ!・・・神さまに出会えたおかげでこの町の思い出が出来ました!」

 

「・・・この町の?」

子供の表情が暗くなった

「・・・こんど、とおくの町にひっこすんです。」

「・・・ここに戻ってくる予定は・・・?」

「ごめんなさい・・・わからないです・・・

あるいて行けれないくらいとおいところとおかあさんからききました・・・」

「そう・・・」

 

「ちょっと待ってて・・・」

「?」

 

俺は少し力を込め掌大の大きさの赤い結晶を作り出した

 

「出来た。はい、これ、あんたにやるよ」

「これは・・・?」

「神様の力が篭った特注の御守り。出会った記念だ、大切にしなよ。」

「あ、ありがとうございます!ずっと・・・大事にします!」

「・・・もう暗くなってきたぞ。早く帰らないと親御さん心配するぞ。」

「さようなら!またいつか会えるといいな・・・」

 

そう言って、子供は去っていった。

 

 

 

「・・・次は、長生きしてよね」

 

 

 

「あの人」の生まれ変わり。

どうか、幸せに生きて・・・

 

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見渡す限りの白い世界。

そこには花に覆われた天へと続く梯子と、年老いた男と、人とも蛇とも付かぬモノがいた。

 

「・・・幸せだった?」

「ああ・・・あの時の『神様』。すまない・・・

再び帰ってきた時は祠が取り壊されてたから生きとる内に会えんのうて」

「別にいいよ。祠がなくても俺達は司る場所にずっといるもんだしさ」

「・・・後、死に際に思い出した・・・『前世』の記憶・・・

『神様』は、わしの傍にいた双つの刀のひとつ・・・加州・・・清光」

「その『名前』もう捨てた。今はただの『賽の~』!」

「周りの蛇は大層喜んでいるようじゃが?」

「うるさい!・・・で、何か言いたいことはある?また俺が聞いてやるからさ・・・」

「・・・まだまだ生きたかった。」

「あんだけ生きたのにぃ?!」

「まだまだ続けたかったこと、後悔していることがいっぱいあるからのぉ・・・」

「でも、それって体動かなかったら意味ないじゃん。生まれ変わっても今世みたいに前の記憶殆どなくなった状態だよ?!」

「それでも構わない」

 

「・・・で、これからどうする?あの梯子を再び登る?俺と一緒に暗い水の底へ逝く?」

 

「暗いのはあり好きではない・・・では、この梯子を再び登ろうとしよう・・・」

「そう・・・踏み外して水の底へ落ちても知らないよ?!」

 

そう言って「あの人」は再び梯子に手を掛けた

 

 

 

ただ俺は黙って見送るしかなかった。

 

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・・・ゴポゴポ

・・・ゴポゴポ

 

・・・今日はやけに眩しいなぁ

 

 

(・・・うーん・・・これらから決めなきゃいけないのー?)

 

・・・声?・・・なんか懐かしい

 

 

・・・ゴポゴポ

・・・ゴポゴポ

 

 

(・・・これもいいし、あれもいいし迷うなぁ・・・全部!は駄目かぁ・・・?)

 

刀・・・選んでいるのかな?

にしても何故・・・

 

 

・・・ゴポゴポ

・・・ゴポゴポ

 

(んっ?!この刀・・・なんか・・・不思議な感覚がする・・・決めた!僕この綺麗な赤い刀にするよ!!)

 

赤い・・・刀としての俺はもういないのに・・・

何度刀に戻りたいと思っても出来なかったのに・・・

大体俺は鱗塗れで醜いのに・・・無視しよう

 

・・・ゴポゴポ

・・・ゴポゴポ

 

(・・・あれ?出て来ない?)

・・・

 

・・・ゴポゴポ

・・・ゴポゴポ

 

(出て来て!加州清光!!僕の初めての相棒!!)

 

・・・やっぱ無視出来ない。

『あの人』とは違うけど何処か懐かしい声。

あの光の向こうに・・・

 

でもこの醜い姿で顕現しても拒まれるから・・・

 

 

そうだ

 

 

・・・ゴポゴポ

・・・ゴポゴポ

 

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「・・・なぁ、清光。」

「ん?」

「あの時池田屋に行ったのがお前ではなく僕だったら、僕が今のお前みたいな姿になってたのかな?」

「そんな訳ないじゃん。俺は川の下の子だからそうなっただけで・・・

お前だったらあの人に対する想いが行き過ぎて、平将門様レベルの怨霊になるって絶対!」

「お前・・・僕のことそう思ってたの?あとさっきからさ、何で僕に巻きついているの?いつものことだけどさ」

安定が俺の尻尾を抓る

 

「ま、巻き心地がいいでででででで!!」

「巻き心地、ねぇ・・・この尻尾斬って食べたらサルミアッキみたいな食感と味がするのかな?黒いし・・・」

「俺の尻尾を犬のエサ以下扱いしーなーいーでー!」

 

「またやってんな・・・」

「こらっ、二人共喧嘩しなーい!」

「「・・・はーい、主」」

 

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「・・・でね、今、歴史修正主義者の精鋭達が池田屋事件の起きる少し前の時間に集まっててね。

・・・あんまり聞きに行きたくなかったけど、長曽祢さんと和泉の兼さんと堀国に話したところ「それでも行く」と答えてくれた。

二人共、辛いかも知れないけど・・・池田屋に行く?」

「「・・・」」

「無理しなくていいんだぜ?オレが代わりに行ってやっからよ!」

 

「・・・行く。辛いだろうから清光は留守番で。」

「・・・行く。愛染、お前の出る幕じゃない。」

 

「清光!」

「・・・安定。俺は大丈夫。だって、主や皆がいるから・・・それに」

「それに?」

「全国数え切れないくらいの川の神様だっているし。」

 

「「「?!!」」」

 

「あははっ、冗談!冗談!」

 

「・・・もう、清光ったら・・・わかったよ。僕も君達の成功を祈っているよ。そうだ、ちょっと待ってて」

 

審神者がポケットから袋を取り出す。

袋を開けると何処かで見たことのある掌大の大きさの結晶が赤く煌いてた。

これは・・・まさか・・・

 

「はいっ、清光。御守り!」

「あ、主、御守りなら前に貰った奴があるけど・・・?!てかその石何処で・・・?」

「いいから持ってて!これは、僕の家に代々伝わる『ご先祖様が神様から貰った御守り』だからすっごくご利益あるよ!!」

 

えっ?ご先祖様??

 

「そ、そんな大事なもの受け取れないって!」

「黙って懐に入れる!」

「わ、わかったからそんな怖い顔しないで!ね?!」

 

 

 

主・・・俺を選んだ理由って「偶然」って言ってなかった・・・?

少なくとも・・・

 

 

 

「い、行ってくるねー・・・」

「いってらっしゃーい!危なくなったら帰ってくるんだぞー!」

 

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後語り

没にしようとした理由は前回以上にワンパターン。そして安易な御涙頂戴展開の為。

(考えてるときも打ち出し中も涙目になってた←コレ実話)

 

今回も解説コーナーファファファファイアー!!

 

 

【天に続く梯子】元ネタはサウスパークのサブタイ「A Ladder to Heaven」から。語感が妙に気に入ってます。サウスパークは初期の頃が一番好き。

【手向けの~】前回ネタ(それしか言いようが)

【病払いの~】医療の進歩とともに進化する神。と個人的解釈

【暗い水の牢獄】水中。光が殆ど射さない位下のほう

【打ち捨てられた祠】忘れ去られた神々を祀ってた祠。長い間を経る内に誰も参らなくなったってとこ、各所にあるとおもうのです。

【清光の蛇】本人より感情表現が素直ですw

【赤い結晶】川の神様の加護が詰まった不思議なもの

【生まれ変わり】次は長生きできたようです。あと審神者は生まれ変わりとかではないです。

【祠の取り壊し】最悪祟られかねない

【もし池田屋に行ったのが・・・】絶対この手のif書いてる人いるよね

【平将門様レベルの怨霊】安定「沖田君沖田君沖田君沖田君沖田君沖田君沖田君沖田君沖田君沖田君(ry」

【蛇になった清光】本丸の皆にバレた。が、愛染と審神者と安定の尽力で皆受け入れてくれたとさ。

【巻きつき被害】清光による主な巻きつき被害者→安定、審神者、長曽祢

【サルミアッキ】ヴィレ○ァンとかで売ってるアレ。罰ゲーム用。安定は平気なようだ。

【川の神と化した清光の衣装】女装っぽくなってしまった件。大元のイメージは橋姫。

着物の刺繍に使った花は曼珠沙華(悲しい思い出)・水仙(もう一度愛してほしい)・蓮(救ってください)。髪飾りは黒百合(呪い)。

肩にある3色の紐は人の命を(赤→生、黒→死、白→両方。赤より黒のほうが長いのは「死してからの時間のほうが長い」と言う意味)

タイトル入れるためにカットした箇所には勾玉とか太陽・雷・雨を模した蛇の刺繍もあったり

【タイトル】これのテーマが(沖田の魂と清光の魂の)輪廻転生。

あと自分がIIDXやる切欠となった曲のひとつ。

以前、IIDXで作成した清光オリコにも組み込んでました。(SPはラスト以外当人が歌っても違和感無いもの。DPは冒頭の詩になるように構成)

 

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説明
「廻リ回ッテ巡リ回ッテ往クウチニ絡ミ繋ガル合縁奇縁宿縁」

本当は脳内だけに留めて没にしようとしてたけど、先日のアプデでなんか心揺さぶられて文字として書き起こすことに
(見た目が)まともな清光はいません!!(重要)

話的には前回のコレ(http://www.tinami.com/view/792257)と繋がってます。
故に審神者+沖田さん描写・オカルト・転生・電波・超展開・開幕から異形化(爬虫類)表現有りなので
前回未読の人は先に前回を、前回の段階で拒否反応起きてる人はブラウザを閉じるかお手元のPCスマホを爆破してください。

後語りもありますが本編と99%関係ないことしか喋ってません

10/13 ちょいと思うことがあって加筆しました。
加筆分は前作との繋がりが強いので解説は無しとします
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タグ
加州清光 刀剣乱舞 異形化 

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