真・恋姫†無双 時空を超えた刺客 破滅の未来と絡繰人間 |
『旧・第二時空転送装置』から奇跡的に12年前の大陸にタイムスリップできた秋蘭だったが、今は絡繰人間に追われてそれどころではなかった
しかも、転送された者達全員
12年前に来ている事は知らない
十節 〜未来の戦士、再び〜
時間は少し遡り、秋蘭が消え去る前の時間
左慈「…………」
一刀「…………」
『次元の狭間』にいる一刀と左慈は腕を組んで皆の鍛錬を見ていた
一刀が現実を告げてから皆の真剣さは倍増して更に打ち込むようになった
愛紗「はあぁぁぁぁぁ……………!!!」
蒲公英「ふうぅぅぅ…………!!!」
小蓮「ふうぅぅぅ………」
誰一人、文句一つ言わず鍛錬に取り組んでいた
左慈「……………おい、北郷」
一刀「ん?何だ?左慈」
左慈は唐突に一刀を呼ぶ
左慈「お前………さっきの話………どう思う?」
一刀「さっきの話?」
一刀は首を傾げる
左慈「お前が言った未来の奴等の事だ、バカっ!!!」
左慈は呆れながら言う
一刀「バカはないだろ、バカは………
………あくまで予測の話、最悪の状況を話しただけだ
全員が全員、絡繰人間になっていない可能性だって十分有り得る………」
一刀は目を閉じて言う
左慈「……………確かにな
だが、仮に全員絡繰人間なっていたとしたら…………お前はどうすんだ?
全員を工業廃棄物にすんのか?」
一刀「…………お前はもっと歯に衣着せない言い回しは出来ないのか?」
一刀はジト目で口を開く
左慈「しゃあねぇだろ、そういった状況に陥ってる可能性のほうが高いんだからな
絡繰人間は『殺す』っつー表現より、『破壊』に近いからな」
左慈は一刀のほうに顔だけ振り向かせる
一刀「……………我が儘を言えば、殺したくない………絶対に
でも…………最悪は……俺の手で………」
一刀は震えながら答える
左慈「…………済まなかったな、意地の悪い質問をしちまって……」
左慈は頭を掻きながら謝る
一刀「いや、そんなことないさ
可能性はゼロじゃない、あるかもしれないからな………」
一刀は頭を横に振りながら頭を下げる左慈に優しく言う
一刀「そんなことより、お前から見て皆はどうだ?」
一刀は『限界突破』の鍛錬をしている皆を見て左慈に問う
左慈「…大分、様になってきたんじゃねぇか?
ひょっとしたら………ひょっとするかもな」
左慈はニヤリと嗤う
一刀「あぁ……いよいよ化けるかもな…………」
一刀も感染したように嗤う
その時
ぴーっ!!!ぴーっ!!!ぴーっ!!!ぴーっ!!!ぴーっ!!!ぴーっ!!!ぴーっ!!!ぴーっ!!!
左慈「っ!!?」
一刀「立て続けかっ!!?」
左慈の警報が鳴り響いた
幸い、警報音は愛紗達の耳には聞こえていなかった模様
左慈「…………前回みてーに他の奴等はいないな………」
一刀「明命や稟達はいないみたいだな」
一刀と左慈は回りを確認する
そこへ、近くにいた卑弥呼が接近してくる
卑弥呼「どうするつもりじゃ?」
左慈「正直……今、あいつらの鍛錬を中断するのはキツイ
かといって、手が空いてるのは………」
左慈の目線は卑弥呼と一刀に向けられる
左慈「俺が出てもいいんだがな………」
左慈の言葉に一刀は
一刀「………いや、左慈と卑弥呼は残ってくれ
また、俺が出るよ」
卑弥呼「じゃが、こう何回も大将であるご主人様が進軍するのはのぅ………」
卑弥呼は腕を組んでやんわりと否定するが
一刀「そんなこと言ってられないだろ?今現在、動けるのは俺だけなんだから
愛紗達には卑弥呼達から言っといてくれ」
一刀は左慈に顔を向ける
左慈「………しゃあねーな
後で脅されんのは確定事項っぽいな」
実は前回の未来の思春達による襲撃により、一刀が進軍したとき一悶着あったのだ
理由は単純明快
一刀が何度も進軍し、自分達は鍛錬しかしていない事に不満があったのだ
だが、左慈はここでこう言い放った
左慈「『限界突破』を修得した北郷だからいけるんだ
第一、2回目の『融合進化型』の時だって危機一髪だったじゃねぇか」
左慈の言葉に呉軍は顰めっ面になる
左慈「呉軍の奴等には絡繰人間の底知れねぇ性能と戦闘能力値が記憶に嫌にでも刻み込まれた筈だ
まぁ、北郷が駆け付けてきたから返り討ちにしたがな」
左慈は一呼吸おいて
左慈「だからこそてめぇ等はまず、『限界突破』修得に向けて鍛錬しなくちゃならねぇ
まずは強くなれ、話はそれからだ」
一刀「後で俺も謝るよ」
左慈「分かったよ………卑弥呼、それでいいな?」
左慈は卑弥呼に確認をいれる
卑弥呼「まぁ、仕方あるまい
じゃがな、ご主人様…………これだけは護って欲しい」
卑弥呼は真剣な表情で一刀に言う
卑弥呼「少しでも危険を感じたら迷わず逃げて欲しい
ご主人様が死なれては元も子もないからの」
一刀は卑弥呼の発言に強く頷く
一刀「勿論だ」
一刀は左慈を見る
左慈「…………じゃあ、とっとと向かうぞ」
ズズズズズズズズズズズズッ!!!
左慈は『闇行』を使って一刀と共に成都へ向かって行った
場所は移って現在の成都
ズズズズズズズズズズズズッ!!!
鍛錬場に左慈が出現させた『闇行』が現れた
左慈「気ーつけろよ、北郷………」
左慈は一刀の背中を押し、『闇行』から出す
その出し方は意外にも優しい出し方
一刀「分かってるさ、危なくなったら直ぐに逃げるから………」
一刀は振り向いて頷く
左慈「そうしてくれ
…………あぁ、それとな」
左慈は思い出したように言う
一刀「ん?何だ?」
左慈「さっき確認したんだが、絡繰人間は合計4体
何故か成都とは逆の方向に移動しているそうだぞ」
一刀「逆………………?」
一刀は顎に手を添えて考える
左慈「北郷?どうした?」
左慈が声をかけると
一刀「…………何だか急がなきゃマズイ気がする………
悪い左慈、もう行くよっ!!!」
ゴォォォォォッ!!!
一刀は地面を軽やかに蹴り上げて『龍走』をして空高く舞い上がって行った
左慈「行っちまった…………
何だよマズイ予感って…………」
左慈はその場に立ち尽くし、頬をポリポリと掻いていた
その頃、遠く離れた大陸の草原
所々に丘や木々が生え渡っている
秋蘭(未来)「はぁはぁ………くっ!!!」
秋蘭は必死に逃げ回っていた
木々に身を隠しつつ逃げ回っていた
絡繰人間4493号「隠れても無駄だぞ、夏侯淵っ!!!」
絡繰人間369号「さっさと地獄に行く準備をして出てこいっ!!!」
逃げ回っている原因は絡繰人間
『旧・第二時空転送装置室』に備わっている【故障して思った時間に行けなく、部屋中にいる全ての者達を転送してしまう『時空転送装置』】により転送されてしまった秋蘭達
だが、あろうことか偶然に奇跡が重なり秋蘭は現在の一刀がいる世界に来てしまった
秋蘭はそんなことなど露知らず
いや、そんな状況ですらなかった
生と死の狭間にいる秋蘭は『今』を生き抜くことに精一杯だった
秋蘭(未来)「このままではまずい…………抹殺されるのも時間の問題だ」
秋蘭は『餓狼爪』に矢を装填するが
ピュンッ!!!
秋蘭(未来)「っ!!?」
秋蘭が隠れている木の幹に絡繰人間が放った光線が貫通していった
貫通した場所が頭のすぐ上だった為、秋蘭は思わず首を竦める
絡繰人間907号「命令・業務違反……無断装置操作……
我々はもう産業廃棄物決定だ………だがなっ!!!」
絡繰人間1580号「貴様を抹殺すれば、多少なりとも刑が軽減される筈だっ!!!
我々の礎となるがいいっ!!!」
絡繰人間達は自己中心的発言を連発する
秋蘭(未来)「知ったことかっ!!!自業自得であろうっ!!!」
秋蘭は声を荒げて絡繰人間達に言い放つ
絡繰人間1580号「っ!!!貴様…………」
絡繰人間369号「貴様はそう簡単には死なさんぞ……………っ!!!」
絡繰人間は逆上して秋蘭に総攻撃を仕掛け始める
ピュンッ!!!
ピュンッ!!!
ピュンッ!!!
ピュンッ!!!
秋蘭(未来)「くっ…………!!!
完全に堪忍袋の緒が切れたようだな」
秋蘭はボロボロとなった木の幹から離れ、全力疾走をして絡繰人間達から遠ざかる
そして、度々前転や飛び込み前転を繰り返し、木の幹を盾にしながら距離をおく
絡繰人間1580号「ちょこまかとしおって…………!!!」
絡繰人間907号「いいっ!!!こうなったらここら一帯を滅ぼしてやるっ!!!」
ギュォォォッ!!!
ゴォォォォォッ!!!
絡繰人間907号は右手から薄紫色の『気力破』を放った
ドォォォォォンッ!!!
秋蘭(未来)「なっ!!?愚か者共めがっ!!!」
秋蘭は大陸の一部を破壊されることに憤りを感じ、眉間に皺を寄せて『餓狼爪』を握り締める
絡繰人間907号を切欠に他の絡繰人間達も次々と『気力破』を放ち、周辺の木々を破壊していく
秋蘭(未来)「いい加減にしろっ!!!」
フォンッ!!!
ガキンッ!!!
絡繰人間907号「ぐぉっ!!?」
遂にキレた秋蘭は体を少しだけ木から乗り出し、矢を放つ
絡繰人間907号の胴体に当たり、絡繰人間907号はよろける
だが、それにより
絡繰人間4493号「はっはぁっ!!!ようやく姿を現したなっ!!!」
ピュンッ!!!
秋蘭(未来)「ぐっ!!?」
秋蘭はかつて、響窃の『死の閃光』で貫かれた場所と同じ肩の部分を貫かれた
秋蘭は思わず動きを止め、その場に踞る
絡繰人間4493号「仕留めたかっ!!?」
絡繰人間907号「当たったようだっ!!!」
絡繰人間達は一斉に駆け寄る
秋蘭(未来)「くっ!!!」
秋蘭は血が流れ出る傷口を抑えて体を無理やり動かす
絡繰人間1580号「見つけたぞっ!!!」
絡繰人間369号「報告はいいっ!!!殺せっ!!!」
絡繰人間達は一斉に構える
秋蘭(未来)「ぐ…………くそ……今度こそ………駄目か……」
秋蘭はゆっくりと目を閉じる
秋蘭(未来)「(ふっ………せめて……
最期にもう一度だけ……華琳様や姉者……流琉…………そして、一刀に会いたかった…………)」
秋蘭が静かに心の中で笑った
その時
バキッ!!!
絡繰人間907号「がほっ!!?」
ドカッ!!!
絡繰人間369号「ぐぉっ!!?」
バキッ!!!
絡繰人間1580号「ぐべらぁっ!!?」
ドカッ!!!
絡繰人間4493号「がっはぁっ!!?」
秋蘭(未来)「っ!!?」
突然の生々しい打撃音に驚き秋蘭が目を開くと、絡繰人間達が四方八方に吹き飛ばされている有り得ない絵面が広がっていた
秋蘭(未来)「な、何が?……………っ!!?」
秋蘭がそこまで言った瞬間、目の前に人影が降りてきた
それは
一刀「…………………よう、絡繰人間」
現在の『天の御遣い』・北郷一刀であった
秋蘭(未来)「か、一刀……………?」
秋蘭は掠れた声をふり絞って出す
だが、その声は一刀に聞こえていないうえ、一刀は背を秋蘭に向けている為、秋蘭の存在に気がついていない
その為
一刀「全く………俺を誘き出す為だけに大陸の人を襲ったのか?
本当、お前らは俺を怒らせるのが好きなんだな…………!!!」
未来の秋蘭を大陸の旅人と間違われていた
絡繰人間4493号「ぐぅ…………!!!
っ!!?き、貴様は北郷一刀っ!!!」ピピピッ!!!
絡繰人間907号「くっ………貴様が現れたのなら、もうアイツには用はない
貴様を抹殺してやろうっ!!!」
一刀は振り向かず秋蘭(気づいていないので旅人)に声をかける
一刀「貴方は木陰で身を潜めていて下さい
ここは俺一人で十分だ」
秋蘭(未来)「な!!?それは…………!!!」
秋蘭は思わず声を上げる
だが、体へのダメージが蓄積していた為、思うように声が出ない
秋蘭は一刀に伝えたかった
絡繰人間4体に勝つには力が無さすぎると
しかし、今の一刀の強さを知っている未来の者達は璃々しか知らない
絡繰人間4493号「北郷一刀を抹殺せよーーーっ!!!」
絡繰人間1580号「死ねっ!!!北郷一刀ーーーーーーっ!!!」
4体の絡繰人間は態勢を立て直し、一刀に飛びかかった
秋蘭(未来)「だ、駄目だっ!!!」
秋蘭が立ち上がろうとした
その一瞬だった
一刀「…………………はぁっ!!!」
フォンッ!!!
ザシュッ!!!
ザシュッ!!!
ザシュッ!!!
一刀は目にも止まらぬ早業で得物である『龍終』を右手で引き抜いたと同時に、まず3体の絡繰人間に横一振りで斬りかかった
そして、その流れで右手に持っていた『龍終』を左手に持ち替え、残りの1体に右手を鍵爪状にして懐に真っ直ぐ突き出し、胴体にめり込ます
あまりにも速すぎて痛みが遅れてやってくる
絡繰人間1580号「っ!!?ぐぎゃあっ!!?」
絡繰人間4493号「っ!!?うぐあぁぁあっ!!?」
絡繰人間369号「っ!!?うぎゃあぁぁあっ!!?」
上記の3体は上半身と下半身が真っ二つとなり、飛びかかった勢いのまま地面に激突する
絡繰人間といえど、真っ二つになってしまっては生きてはいられない
絡繰人間907号「っ!!?がっはぁ……………っ!!?」
一刀「………『体術・獄突(ごくとつ)』………………」
絡繰人間907号は一刀の『獄突』を喰らい、そのまま機能停止となり一刀の右腕に全体重を預け絶命した
秋蘭(未来)「なっ……………!!?」
一刀「……………なんだ?その程度か……?」
一刀はキョトンとした表情で、腕にぶら下がっている絡繰人間を振り落とす
一刀「てっきりもっと強いのかと思ったんだがな…………拍子抜けだな」
一刀は溜め息をつき、頭を掻く
一刀「まぁ、いいか……………」
一刀はここでようやく振り向き、秋蘭に歩み寄る
因みに一刀からの視線では秋蘭は枝葉に隠れてよく見えていない
一刀「大丈夫ですか?」
秋蘭(未来)「………………」
秋蘭は一刀の顔をじっと見る
一刀「怪我はして……………いま……せん………かぁ?」
一刀はようやく、ようやくここで違和感を感じる
秋蘭(未来)「一刀………なのか………?」
秋蘭は声を震わせながら、一刀を見る
一刀「………………もしかして……秋蘭…なのか?」
遂に出会った2人目の未来の戦士
今、物語が加速する……………!!!
……終……
説明 | ||
『龍天城』に隠密として忍び込んだ秋蘭は斬魔の作戦を聞き、『龍天城』からの脱出を試みるも、絡繰人間達に見つかりあろうことか『時空転送装置』により過去に送られてしまう しかもただの『時空転送装置』ではなく故障により絡繰人間を含めた全員が過去に送られてしまったのだった |
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コメント | ||
一刀の「お前はもっと歯に衣着せぬ言い回しは出来ないのか?」の台詞は間違ってませんか?(アストラナガンXD) | ||
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