超次元の外れ者・リメイク
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「拒血癖の吸血鬼」

 

「……あれ?」

 

気が付いたら、僕はソファの上で寝ていた。何があったのか全然思いだせな……あ、今思いだした。

確かヴラドの間に入った途端姉さんが体調崩したから無理しておぶって、ソファに寝かせようと思ったら……

 

「…………めん……慢……来ない……」

 

って必死に抑えてるような声で耳元に囁かれていきなり首を噛まれたんだ。

それから何が起きたか最初分からなくて、段々状況飲み込み始めて来たと思ったら意識が遠くなって……って言うか姉さんはどうしたんだろう

 

「……ッ」

 

起き上がった瞬間、急にめまいがした。今日は朝から体調が良かったはずなのに……

 

「そのまま安静にして……いつもより多く吸っちゃったから」

「姉さん……?いつもより多くって……」

「……ごめんなさい、あと少しであなたを……殺すところだった」

「……え?」

 

一体何の事なのかという僕を見て、姉さんは「その為に連れて来たから」と言った後、語り出した。

 

「私が吸血種……つまり吸血鬼と人間の間の子って事は知ってるんでしょ?」

「クラッキン先生から聞いた」

「種族上、血を定期的に摂らないといけないんだけど、私は長らく血を吸ってない分、衝動に駆られやすくて……」

「何で血を吸ってこなかったの?」

「半分人間だからか拒絶反応で吐いちゃうのよ……だから衝動抑えられなくていっつも困ってたわ……輸血って手もあるけど面倒な上に毎度毎度針刺さなくちゃいけないし……」

 

そういえば僕も肉が食べれなくて困ってたな……主に源さんが肉料理ばっかり出すから。

その事を考えると、何だか親近感が湧いて来た。

そう思って聞いていたけど、よく考えれば姉さんのはそれどころではなかった。

何せ衝動に呑まれた時は何をするか分からない。

味方すら傷つけかねないそれが何時発症するのか分からない恐怖、自分が自分でなくなる恐怖、そして何をやってしまったか覚えていない恐怖……

姉さんはそれらと隣り合わせで生きて来た、心身ともにどれほど疲れたのかわからない。

そんな時、一つの変化が起きた。

自分の血を分けた僕の血を飲めるようになったという……自分の物が混じっているからだろうか。

いずれにせよ、それで衝動が抑えられるなら願ったりなのだが……

さっき姉さんが漏らした言葉、『あなたを殺すところだった』、この言葉から察するに、吸い尽くしてしまう可能性もあるという事だ。

 

「血も吸えないでそのせいで暴れる吸血鬼なんて情けないでしょ……だから誰にも言えないし、同種じゃそんなの有りえないから、相談できる人もいなくて……その……」

「……別に良いよ」

「え、いや、でも……」

「暴れられて困るのは皆そうだし、それに場所を提供されてる身としては家賃感覚で良いんじゃないかな?」

「いやいやいやいや!家賃ってものじゃないから!摂られすぎたら死ぬから!お金とは違うのよ!?自給自足でやればなんとかなるものじゃないのよ!?」

「僕はちょっとやそっとじゃ死なないよ?だって姉さんの弟だしそれに……もしその通りなら、さっき血を吸われた時に僕は生きてないから」

「……!」

「死なないように衝動おさえて、吸う量もちゃんと調整してるのわかってるから、僕は姉さんを信じる」

「……そうね、弟にな〜に情けない態度取ってるるんだかね、私は……それじゃあ私が血を飲めるようになるその日まで、貴方の血を借りるわね」

「うん」

 

姉さんは吹っ切れた様子で地味に出ていた涙をぬぐった……その裏で、おっとりそうな女性がにこやかに僕に手を振っていたが……あの人……何だか姉さんに似ているな。

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