真・恋姫†無双 外史 〜天の御遣い伝説(side呂布軍)〜 第七十六回 第五章A:御遣処刑編D・悪いのは、全部ねねなのです |
―――暗くて、何も見えない・・・
―――静かで、何も聞こえない・・・
―――怖くて、震えが止まらない・・・
北郷の頭の中では、そのような感覚的なことがとりとめもなく次々と湧き起っていた。
<曹操、君に話すことは何もない。オレは呂布の天の御遣い。ただ、それだけだ>
ある程度感覚的な思考が出きったところで、北郷の頭をよぎったのは、
曹操軍の幹部らに囲まれる中、曹操の問いかけに対して言い放った一言。
間違いなく今の自身が置かれている状況になる引き金となった一言。
―――けど、後悔はない・・・曹操なんかに天の力は渡さない・・・!
たとえその身が危険に晒されようとも、北郷は曹操の誘いを蹴り、天の知識が曹操軍に渡ることを拒んだのである。
―――オレは、ここで死ぬのだろうか・・・
しかしそれは同時に、共に乱世を終わらせると誓った呂布たちへの裏切りをも意味していた。
後悔はない、とは思ったものの、実質、北郷にとってそれが唯一の後悔であった。
―――恋、ねね、霞、なな、桔梗、焔耶、雛里、華佗、法正、張任、張虎、幼季、張衛・・・みんな、ごめん・・・
後に残ったのは、仲間たちに対する謝意だけであった。
【豫州、潁川郡、許県・side陳宮】
刑の執行が完了し、罪人の首が胴から斬り離され地に転がり落ちると同時に、広場全体を、ひときわ大きな歓声が包み込んだが、
しかし、陳宮にはそれらの音は一切耳に入ってこなかった。
陳宮「ぁ・・・・・・・・・・・・」
胴だけになった罪人が鮮血の池の中に崩れ落ちてもなお、陳宮の聴覚機能は回復しない。
陳宮「ぁぁ・・・ぁぁぁ・・・・・・」
ただ首を失った罪人の血の気の引いた色白い裸体が目に入り、陳宮の頭の中には北郷との様々なイメージが目まぐるしく錯綜していた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・
<あれ?見慣れない景色、っていうか女の子?>
――――――これは初めて一刀殿と出会ったときに、光と共に空から飛来し、
ねねに対して上から覆いかぶさるような体勢をとりながら一刀殿が発した第一声なのです。
この時一刀殿が飛来していなかったら、ねねは間違いなく宋憲の毒牙にかかっていたのです・・・。
<大丈夫かい?>
――――――これは一刀殿が初めてねねに話しかけてきた、魏続からねねを守った際に発せられた問いかけなのです。
認めたくないですが、この時の優しい微笑みが忘れられないのは、ねね自身自覚のあるところなのです・・・。
<オレの名前は北郷一刀。聖フランチェスカ学園の2年生だ。どうぞよろしく、呂布さん、陳宮さん>
――――――これは初めて一刀殿が名乗り出た時の言葉なのです。
天の国の名前が “精腐乱” などという卑猥な名前だと知ったのはこの時なのです。
<これ以上戦いを続けていたら、もっと悪化するんじゃないですか?・・・頭痛が>
――――――これは一刀殿が下?で曹操に謁見した際に言い放った一言。
この一言のおかげでねねたちは命を見逃されたと言っても過言ではない、ねねたちの運命を変えたひと言なのです。
また、同時に曹操から守ると言う名目があったとはいえ、ねねが初めて一刀殿に抱きしめられたのもこの時なのです・・・。
<え?ねねねねね・・・ね?>
――――――これはねねが一刀殿に真名を預けた際、どこでどう切ったらいいのか分からない一刀殿が口走った言葉なのです。
確かに真名がねねねでねねと呼べと口で言われたところで、
文字で見ないことには分かりづらいとは思うのですが、それにしてもあんまりなのです・・・。
<目指すならここからかなり遠いけど、益州あたりがいいんじゃないかな?>
――――――これは一刀殿がねねたちの再興の足掛かりを示してくれた時の言葉なのです。
後に聞かされる入蜀という天の知識に基づいた一刀殿の提案があったからこそ、今のねねたちの安定した力があると言えるのです・・・。
<へー、ねねにはそんな必殺技が・・・て、そうじゃなくて!そんなかわいらしく胸なんか張っちゃってもう!>
――――――これはねねと一刀殿が蜂蜜採取に行った際、
ねねが早まって蜂の巣がある木にちんきゅーキックをかました時の一刀殿のツッコミなのです。
この時初めて一刀殿に “かわいい” に類する言葉をかけてもらったことは、
ねねにとって生涯忘れられないことなのですが、当然そのことは誰にも、恋殿にさえ内緒の事なのです・・・。
<あれ、ねねは服脱がないの?オレ全然気にしないし遠慮しなくてもいいよ?>
――――――これは蜂から逃れるために川に飛び込んだ一刀殿とねねが、服を乾かすため脱ぐ必要性が生じた際の一刀殿の言葉なのです。
当時は非常に腹正しいことこの上なかったですが、
今思えばこの時はまだ一刀殿に一人の女性として全く見てもらえていなかったのだなと、懐かしく思えるのです・・・。
<でも、ねねたちの未来は分からないけど、オレがねねたちの元に現れたことは何か意味があると思うんだ。だから力及ばずながら、
ねねたちと一緒に、この乱世を終わらせるために頑張るよ>
――――――これはねねが一刀殿にねねたちの未来について尋ねた際、分からないと告げた後の一刀殿の言葉なのです。
この時、一刀殿に初めて頭を撫でられ、ねねは自分の心に芽生えた感情を自覚することになるのです・・・。
<大丈夫だよ、ねね。オレが守ってやるからな>
――――――これは、一刀殿とねねが熊に襲われた際に、一刀殿が言った言葉なのです。
この時一刀殿は、体を張ってねねを守り、そして見事熊を追い返してみせたのです。
曹操の時もですが、このような時たま見せる一刀殿の男らしく頼もしい姿にもまた、ねねは惹かれたのかもしれないのです・・・。
<もう大丈夫だから。怖い思いをしたね>
――――――これは、熊に対する恐怖から泣き止めずにいたねねに対して一刀殿が優しく抱きしめながら告げた言葉なのです。
この時初めて、ねねは一刀殿に意図的に抱きしめられ、
心臓が爆発しそうなほどの幸せな余韻を、一刀殿の胸に顔をうずめながら堪能したものなのです・・・。
<いや、絶対言ったって。『か・・・一刀殿ぉ〜』ってぐはぁ!!>
――――――これは一刀殿とねねが二人きりで野宿した際、恐らく気恥ずかしい空気を払拭すべく一刀殿が告げた言葉なのです。
今となっては特段珍しくもないこのようなからかいの言葉も、実はこの時が初めてだったりするのです。
そして、この後ちんきゅーキックによって堕ちた一刀殿に対して、
ねねは初めて自ら抱き付き、その温もりを堪能するのですが、当然秘密なのです・・・。
<それじゃあ、まず目の前の人を助けないとな>
――――――これは、ねねたちが成都に初めてやって来た時、一刀殿が飢えで苦しむ子供に食べ物をあげた時の言葉なのです。
このような優しさを自然とやってのけるからこそ、人々から慕われるのでしょうな・・・。
<―――けど、恐れることはない!!我が軍には天の御遣いがついているぞ!!―――>
――――――これは、ねねたちが華佗に協力して張魯に反乱を起こす際の一刀殿の檄の一節なのです。
初めて総大将として一軍を任された一刀殿でしたが、たどたどしい言葉ながらも、
しっかりとその役割を果たす逞しくも頼もしい姿には、思わず見とれてしまったものなのです・・・。
<―――力は及びませんけど、成都の領主、やらせてもらいます>
――――――これは一刀殿が成都の領主になる決断をした時の言葉なのです。
この時、一刀殿の成都領主就任を一番喜んでいたのはねねだということは誰にも譲れないのです・・・。
<オレの眼中にねねがいないだって?とんでもない!!ねねはどう思ってるかはさておき、少なくとも、オレはねねのことはとても
可愛い女の子だと思ってるよ>
<オレは女性らしい体つきのねねや物静かなねねじゃなくて、今オレの目の前にいる、小柄で、元気で、意地っ張りなねねのことが、
大好きなんだから>
<ああ、オレも、大好きだよ、ねね・・・>
――――――これは、ねねがその場の流れで一刀殿に告白してしまった際の一刀殿の返事なのです。
この時初めてねねは一刀殿の口から一刀殿の思いを聞き、両思いであると知ったのです。
間違いなく一刀殿との一番の思い出と言える場面なのです・・・。
<じゃあ、もしよかったら、これから買い物に付き合ってくれないかな?ちょっと政務関係の勉強ができる本を探したいんだけど、
やっぱりねねみたいな専門の人がいた方がいいだろ?あと、最近出来た麻婆伯伯の姉妹店とかにも行ってみたいんだけど、ダメかな?>
――――――これは、ねねが初めて一刀殿からでえとの誘いを受けた際の言葉なのです。
この時のでえとは本当に幸せな一日だったのです。
この時買ってもらった服は一番のお気に入りなのです・・・。
<ねね・・・オレ・・・惚れ薬飲んじゃったみたいで・・・我慢できそうにない・・・!>
――――――これは一刀殿が天の国の風習、えいぷりるふーるなるものに従い、ねねをだました際の言葉なのです。
実際押し倒されながら耳元でこのような言葉を囁かれたねねは大人の階段を上る決心をその場でしたのです。
実際実現しなかったことについては触れないでほしいことなのです・・・。
<みんな、臥竜鳳雛って聞いたことないか?>
――――――これは、軍師不足だったねねたちに、一刀殿が光明をもたらした一言なのです。
この後続く、所在不明の諸葛亮と雛里の居場所を言ってみせるあたり、改めて天の知識の凄さを実感したものなのです・・・。
<―――で、ある時その子犬が畑を掘りながら『ここ掘れワンワン』って鳴くんだ。急に飼い犬がしゃべりだして驚いたお爺さんは、
とりあえず言われた通りそこを鋤で掘ってみると、そこから大量の大判小判、つまりお金なんだけど、それがたくさん見つかるんだ>
――――――これは、一刀殿が天の国について話している時のお話なのです。
一刀殿の話はどれも夢のような話で、つい聞き入ってしまったものなのです・・・。
<・・・せ、石油王だぁあああああああああああああああ!!!!!!>
――――――これは恋殿が温泉を掘り当てたと分かった際の一刀殿の叫びなのです。
どうやら、天の国では温泉は相当の価値があるものらしいのです・・・。
<本当にごめん・・・オレがその場の空気に流されちゃって・・・ねねの魅力にあらがえなくて・・・けど、責任はちゃんととる
から・・・結婚しよう>
――――――これは別の年のえいぷりるふーるでの一刀殿の言葉なのです。
2年連続だったにもかかわらずすっかり忘れていたねねは、この一刀殿の爆弾発言に狼狽えながらも、
あっさり承諾してしまったので、一刀殿は真相を語りながらねねのご機嫌取りに必死だったのです。
そして、ねねはこの日を境に夜な夜な妄想が加速するのですが、それはねねのみぞ知ることなのです・・・。
<くっくっく、オレの世界では、それぞれの一族に家紋っていう紋があってだな、オレの場合は、この丸に十の紋なのだよ。これを世に
いう北郷十字というっ!>
――――――これは、一刀殿が初めて自身の旗印を披露した際の言葉なのです。
この時の一刀殿の面倒くささは相当のものだったのですが、何だかすごく生き生きしていて、
殺伐とした乱世の中ではよい清涼剤となり、安心できたものなのです・・・。
<それにしても、風向きが変わってからの判断も早かったし、さすがというかなんといか、まさに軍師らしい判断だな。うん、さすが
は、我らが軍師様は頼りになるよ>
――――――これは、ねねが潼関で火計を仕掛けた際の一刀殿の感想なのです。
やはり軍師たるもの、その能力を褒められるのが一番うれしいものなのです・・・。
<――――――ッみんな逃げ―――ッ!!>
――――――そして、これがねねが聞いた一刀殿の最後の声なのです・・・。
――――――一刀殿と出会ってからそれなりに長い時を共有してきたのです。
――――――長い時に比例して思い出の数もたくさんあるです・・・。
――――――当然、今思い浮かべたようなものに留まるような量ではないのです・・・。
――――――そして、それらのどの思い出を思い起こしてみても、たとえそれがどんなに些細な日常の一場面だったとしても、
ねねにとって一刀殿と共に過ごした日々というのは、かけがえのない大切な大切な思い出なのです・・・。
――――――ですが、もう二度とこのような幸せな思い出を積み重ねることは出来なくなってしまったのです・・・。
<ははは、心配してくれてありがとう、ねね。でも大丈夫、オレだっていつまでも馬鹿じゃないさ。自分の立場くらい分かってる。無茶
は絶対しないよ>
<まして、オレが動けなくなったらねねを守れないしな。意地でも極力危険は避けるさ>
――――――これは馬騰殿の援軍要請を受け、潼関へ到着した時の一刀殿の言葉なのです。
戦場にもかかわらず平時と同じ調子で穏やかな笑みと共に頭を撫でてくるのは反則だと思うのです。
そして確かに、今回一刀殿は陽平関などの時のような危険な行動をとることはなかったのです・・・。
――――――では、なぜ一刀殿は今回さらわれたのですか・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
陳宮(どうして・・・)
気づけば陳宮の瞳からはとめどなく涙があふれ出ていた。
陳宮(どうして・・・このようなことに・・・)
そして、再び陳宮は回想の海へと思考を潜らせていた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
<よし、オレも潼関に行くぞ!>
馬騰殿が帰ってすぐに軍議を開いたとたんに一刀殿はこの調子だったのです。
<待つです!どうして一刀殿は毎度毎度自ら危地に向かおうとするのですか!?>
<ホンマやで!毎回毎回調子乗って出しゃばってたらアカンで!>
当然ねね含め周りからは非難の嵐なのです。
<えぇ!?でも合肥の時とかオレずっと城の中で大人しくしてたじゃん!今回結構久しぶりだと思うんだけど!?>
確かに、一刀殿の言う通り合肥では大人しくしていたらしいですな・・・。
<お館様よ、久しぶりなどという次元の話ではないのですぞ?江東の小覇王のような規格外の輩ならともかく、お館様程度の実力では、
身を危険に晒すだけですぞ?>
<それに、お館のことだ。あの時はどうせ雛里を一人曹操軍の中に残すわけにはいかないとか考えていたから動かなかっただけだろう>
なんですと!?た、確かに焔耶の主張は妙に説得力があるですか、いくらなんでも―――
<いや・・・それは・・・ぐぬぬ・・・>
か、一刀殿その反応は図星ですと!?まだ知り合って間もない時からすでに雛里に目を・・・むむむ〜
<あわわ、で、ですから、ご主人様はここで大人しくしていてくだひゃい・・・あわわ>
<・・・コホン、一刀様が出陣なさる必要はありません。潼関への援軍は私たちだけでも十分ですから>
<うー・・・恋ぇん、恋はオレの味方だよな?>
な・・・一刀殿め、恋殿の優しさに付け込もうとするとはなんと卑劣な・・・!
<・・・・・・(フルフル)・・・一刀はお留守番>
<れ、恋、お前もか!>
ざまー見ろなのです!
<ねねぇ〜こうなったらねねだけが頼りだ!ねねの灰色の頭脳を以て皆を納得させてくれよぉ〜>
ガバチョ
ぎゃーーーーーーーーー!!??
<ちょ!?な、だ、抱き付くなです!!ねねの脳が灰色!?何を訳の分からないことを!それに泣いたって駄目なものは駄目―――>
<頼むよねねぇ〜この通りだ!>
うぅ〜そのような目で・・・顔近・・・
<ねねぇ〜〜〜>
<・・・・・・わ、わかったです・・・一刀殿がそこまでおっしゃるのなら、行っても良いのです>
――――――待つです・・・
<ほ、本当か!?>
<ねね、何急に意見変えてんねん!>
<そうだぞ!ここは縛ってでもお館を成都から出さないべきだ!>
<それはそうなのですが、頭ごなしに一刀殿の意志を否定するのもどうかと思うのも確かなのです>
――――――待つです音々音・・・
<だがねねよ、ここは心を鬼にしてお館様の身の安全を考えるべきところではないのか?>
<もちろん一刀殿の身の安全は最優先なのです。なので、一刀殿は最前線には絶対出陣しない。必ず傍に複数の親衛隊、そして幹部の将
をつける。これが絶対条件なのです>
――――――それ以上は駄目なのです・・・
<ですが、一刀様の意志を汲むにしても、ここで危険を冒してまで一刀様が出陣することにどのような意味があると言うのですか?>
<天の御遣い自らが出陣する、そのことに意味があるんだよね?>
<その通りなのです雛里。天の御遣いの出陣、それは味方の士気を上げ、敵の士気を下げる。その効果は普通の援軍到来の比ではないの
です。天の御遣いというのは、その存在がすでに戦力として十分すぎるくらいのものなのですよ>
――――――それ以上言っては取り返しがつかないことになるのです・・・
<けどねねちゃん、それでも私はあまり賛成できないかな。自国の防衛戦みたいに土地勘の分かる場所ならまだしも、潼関みたいに未踏
の地に出陣となると、普段以上に不測の事態が起こりやすいだろうし、道中の行軍自体も普段以上に気を張らないとダメだよ?>
――――――もうこれ以上口を開いたら・・・
<それはわかっているのです。ですが、これはあくまで予感なのですが、一刀殿なら何とかなるのではないかと思えてしまうのですよ。
軍師らしからぬ無責任極まりないことですが>
――――――ぁぁ・・・
<む、確かにそれは・・・>
<一理ありますね・・・>
<例の天の力っちゅーやつやな・・・>
<謎の力だな>
<ですね・・・>
<みんな・・・>
<・・・・・・ねねがそう言うなら、恋もいいと思う>
――――――ぁぁ・・・ぁぁぁぁ・・・
<というわけで、よかったですな、一刀殿。一緒に援軍に向かいますぞ!>
――――――ぁぁぁ・・・ぁぁぁぁぁぁ・・・
<ありがとうねね!!ホント大好きだ!!>
ガバチョぎゅ〜〜〜
ふみゅぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!??
<<<<だ、大好ッ!!??>>>>
<はっはっは、ねねめ、中々やりよるわ>
<・・・・・・仲良し>
<なっ!?やりよるなどと、べ、別にやるも何も卑しい目論見など何も―――――――――>
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
陳宮(・・・なんだ・・・)
その刹那、陳宮は一つの答えにたどり着いた。
打算の類は一切なかったなどと、どうして言えようか。
どうして胸を張って北郷の意志をくみ取った結果などといえようか。
結局、北郷に気に入られようなどという愚かで傲慢で利己的な考えの元動いただけに過ぎないのではないか。
北郷の身の安全など一切考えず、ただただ自身のちっぽけな幸福と優越感を優先させたに過ぎないのではないか。
陳宮(・・・悪いのは、全部ねねなのです・・・)
あふれ出る涙でぬれた瞳は、しかし光を失い濁っていた。
陳宮はそのままその場に膝から崩れ落ちてしまった。
その気高くも繊細な心は完全に折れてしまった。
その小さな体には、もはや再び立ち上がれる気力は残されていなかった。
【第七十六回 第五章A:御遣処刑編D・悪いのは、全部ねねなのです 終】
あとがき
第七十六回終了しましたがいかがだったでしょうか?
今回のを書くに当たって当然過去のお話を読み返しているわけですが、ねねにとって美味しいシーンの多いこと多いこと。
できるだけみんな平等にとは思っているのですがどうしても自身の好みで待遇に差が・・・汗
では、次回はななのターンなのですが、待遇云々ではないですが、相対的にねねの量がハンパなかったので
オール回想とはなりませんのでご安心を(こういうターンは書いてる側にとってもあんまり嬉しくないですよね、、、)
それでは、また次回お会いしましょう!
次回ついに赤髪の彼女が満を持して本編登場、、、!?
説明 | ||
みなさんどうもお久しぶりです!初めましてな方はどうも初めまして! 今回はねねの回想中心です。 それでは我が拙稿の極み、とくと御覧あれ・・・ ※第七十二回 第五章A:御遣処刑編@・御遣い殿は真正の大馬鹿者と言えます<http://www.tinami.com/view/799206> |
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コメント | ||
>劉邦柾棟様 少なくとも華琳様なら考えなしにただ処刑では終わらないでしょう(sts) >nao様 このままだと間違いなく立ち上がれず心ここにあらずになってしまうでしょうね(sts) >未奈兎様 自身読み返してみて改めて呂布軍の中でねねが一番一刀君と絆が深いのではと思いました。(sts) >神木ヒカリ様 このまま立ち上がれないか、或は、、、(sts) 罪人を「一刀」に見せかけて殺し、『御遣い』の名を地に堕とした上で「一刀」を自軍の仲間にする気か? 華琳は?(劉邦柾棟) ねねの心が完全に折れてしまったか、無気力になるか復讐にはしるかかな?^^;(nao) やっぱり音々音は色々と絆深いよなぁ、でもほんとに死んじゃったら・・・なんかこの先色々とこの大陸がやばそうなのはわかった(未奈兎) ねね・・・ この後彼女がどうなるんだろう。(神木ヒカリ) |
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