孫権伝―15
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 孫権伝第15話

 

 『鏡より((来|きた))るは心清き悪水』

 

 

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 柴桑の街にも冬来る。それでも雪が降る事は滅多に無い。それでも本日の天気は雪である。そんな柴桑に今となっては珍しくも無い旅人来る。

 

 ??「ふぅ、さすがにこっちは暖かいなぁ。でも・・・雪が降ってる。こっちでも降るんだ。」

 

 少女は少し厚めの外套に身を包み、周囲を見渡す。すると後ろから声がかる。

 

 ??「お待たせしました。」

 

 ??「ひゃぁぁ!?!?!?みみみ、((瑞樹|みずき))さん!さっきまで正面で受付してましたよねぇ!?!?」

 

 瑞樹「あらあら、注意力が散漫ですよ。“流琉ちゃん”」

 

 流琉「あぅ・・・」

 

 瑞樹と呼ばれた女性は藍色の髪を両脇で束ね肩から前に流していた。

 

 瑞樹「さあ、行きましょう。」

 

 流琉「は、はい。でも・・・大丈夫なんでしょうか?私なんかが行っても・・・」

 

 瑞樹「ええ、きっと大丈夫です。貴方のような方ならきっと北郷さんも気に入ってくれると思いますわ。」

 

 そして歩き出す二人。だが、その二人を呼びとめる声があった。

 

 

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 Side change 一刀

 

 

 ふう、今日もまた冷えるな。しかし仕事が速攻片付く俺はこうして早朝から街で屋台をやっている。何故かって?そんなもん・・・趣味だ。

 

 一刀「はい、熱燗お待ち。」

 

 おっちゃん「ありがとう、大将。」

 

 一刀「朝っぱらからどうしたんだい?」

 

 おっちゃん「・・・ついに・・・妻が出て行った。」

 

 一刀「・・・まったく。大根と卵、おまけだよ。」

 

 おっちゃん「すまねぇなぁ・・・大将・・・ありがとうよぉぉぉ・・・」

 

 ちなみに屋台はおでんです。暖簾にはしっかり『お・で・ん』と書いてあるのだ。読めないだろうって?柴桑の住人はある程度ひらがなを刷り込んでいるから大丈夫だよ♪

 

 一刀「ん?あれは・・・」

 

 ふと、通りの方に視線を移すとそこには懐かしい顔が二つ。司馬徽さんに・・・流琉だった。何故流琉が此処に?という考えもさすがに浮かばなかった。所詮は別世界。別外史。全ての人が同じ行動をするわけではないのだから。

 

 一刀「司馬徽さん!お早い到着ですね!」

 

 屋台を少し離れ、俺は司馬徽さんの元に駆け寄った。すぐ近くの流琉はあえて見ないようにする。涙が・・・零れ落ちてしまいそうになる。

 

 瑞樹「思いのほか早く生徒を親元に帰すことが出来ましたから。それと・・・こちらは典韋ちゃん。旅の途中に出会った子なんだけれど、とても強いのよ。お城で雇ってもらえないかしら?」

 

 一刀「ん?ああ。問題無いと思うけど・・・そうだな・・・その前に腹ごしらえとしないか?」

 

 瑞樹「え?そう言えば・・・お城勤めなんですよね?」

 

 一刀「ああ。お城勤めだ。」

 

 流琉「・・・屋台・・・ですね。とても美味しそうですが・・・なんて書いてあるんでしょう?」

 

 一刀「おでんだよ。ちょっと待ってな。ん〜〜〜これとこれと・・・これ。」

 

 そう言って俺は練りものを中心に皿に盛り付け、二人に差しだした。

 

 おっちゃん「お、珍しいなぁ。大将が練りものを“さーびす”するなんざ。海の魚を使ってるから貴重なんだぜ?御二人さん。」

 

 瑞樹「そうなんですか?では失礼して・・・あら・・・おいしい。」

 

 流琉「食べた事の無い味・・・なんて言うんでしょう?味がすごい・・・厚みがあると言うか。」

 

 一刀「味に深みを出すために出汁には細心の注意を図っているからね。なんだったら・・・いろんな料理を教えてあげようか?」

 

 流琉「本当ですか!?」

 

 料理の話になり流琉は目を輝かせながら俺を見上げていた。懐かしい日常と風景が重なり、そしてそれは書き消えていく。その言葉に俺は戻りながら『あ、ああ』としか答えられなかった。

 

 一刀「さて、まだ店を閉めるにはまだ商品が残ってる。ここは・・・居るんだろう?藍里。」

 

 藍里「はい、隊長。」

 

 一刀「今日は何人だい?」

 

 藍里「本日の夜勤明け、30名お連れしました。」

 

 一刀「ん。典韋ちゃん。」

 

 流琉「は、はい!」

 

 一刀「さあ、客をさばくぞ。君の料理の腕も見せてもらう。」

 

 流琉「え!?・・・わ、分かりました!!」

 

 そんな俺の言葉に流琉は一瞬戸惑うも、元気な返事を返して手伝ってくれたのだった。

 

 一刀「はい、ちくわお待ち。出汁巻き卵お待ち。」

 

 流琉「えと、大根、ちくわ・・・ちくわ?あ、これですね。あぅあぅ(@△@;)」

 

 客「「「「「はふぅ・・・かわいいなぁ・・・」」」」」

 

 流琉「はんぺん?がんも?きんちゃく??あうあぅあぅあぅ(@△@;;)」

 

 流琉がどこぞの駄神みたいな悲鳴を上げながらもその可愛らしさから逆に客が寄ってきて、いつもより早く在庫を捌けさせることが出来たのだった。いや、あれは本当に可愛かったなぁ・・・

 

 瑞樹「北郷さん。それではそろそろお城に・・・」

 

 一刀「おっと・・・失礼しました。そうですね、行きましょう。」

 

 流琉「あう〜〜〜。目が回りますぅぅぅぅ。」

 

 一刀「あ、あはは。悪かったね。それじゃあ行こうか。」

 

 そのまま俺は屋台を引きながら二人を城へと案内したのだった。

 

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 Side change 流琉

 

 

 司馬徽さん―瑞樹さんと一緒に旅をしながら噂の柴桑を見に来てすぐに、瑞樹さんが言っていた北郷さんに出会う事が出来た私は、すぐに違和感に気が付いた。その違和感は確かなものなのに不確かな感情だった。

 

 

――――懐かしい――――嬉しい――――抱きつきたい――――

 

 

 そんな感情が一瞬で押し寄せて来た。でも、そんな感情も瑞樹さんの言葉で我に帰る事が出来た。お城勤めの人が屋台をやってるのはおかしいのではないか?と。

 

 一刀「はい、どうぞ。」

 

 そんな言葉で出されたのは見た事の無いものばかりだった。屋台のお客さん曰く“練り物”らしい。海の魚を使った物だと言うので興味もあった。それを食べた瞬間不思議な感覚に陥った。この場合“また”と付けるのが正しいんだろうか。

 

 

――――似た味を知っている――――この香りはどこか懐かしい――――

 

 

 またも瑞樹さんの言葉で現実に引き戻された。この味は何処となく知っていたのだが、なんて言葉で表現したらいいか分からなかった。厚みがある・・・と表現すると、北郷さんは深みを出すと言っていた。確かに言われてみると“深い”と表現するのが適切だろう。

 

 その後、こんな未知の料理を作れる人が料理を教えてくれると言うのだから驚いた。その後、店を手伝うのと同時に料理の腕も見ると言ってきたのでさらに驚いた。何故私が料理をする事を分かったのだろう?でも・・・此処で違和感が“三度”沸き起こる。

 

 

――――“もっと料理を教えてほしい”――――“もっと一緒に居たい”――――“もっとたくさん”――――

 

 

 もっとたくさん・・・それ以上は何も浮かんでこなかった。何をたくさんなんだろう・・・だけどそれを考える余地は無かった。どうやら警邏隊の人なのだろう。その人達がたくさん来て、たくさん注文して、考える暇なんて無かった。

 

 その後、お店の商品の在庫が無くなったのを確認した北郷さんは店を閉めて目を回す私の頭を撫でてくれました。とても暖かかったです。

 

 

 

 

―――――――兄様――――――

 

 

 

 何か、声がしたと思って周りを見渡すけれどどこもこちらを見てる人は居なかった。それにその声は・・・私の声によく似ていた気がした。

 

 瑞樹「流琉ちゃん?」

 

 流琉「あ、すみません。今行きます。・・・・・・・・・・・・兄・・・様?」

 

 何だろう。とても・・・しっくりきた。

 

 

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 Side change 一刀

 

 

 司馬徽さんと流琉を連れて城に戻り、近くに居た兵に伝令を頼んで蓮華達を玉座に集合を掛ける。その間に俺は屋台を所定の位置に戻しながら二人を玉座の間に案内をした。

 

 一刀「まあ、そんなに緊張しなくても良いですよ。司馬徽さんみたいな有名な方ならむしろお招きするって感じだと思うし。」

 

 瑞樹「そうですか?どんな方かとても気になりますね。」

 

 流琉「あ、あの北郷様。」

 

 一刀「ほ、北郷様?それはちょっと・・・こそばゆいからやめてほしいかな。」

 

 流琉「で、ですが・・・」

 

 うぅむ、流琉に北郷様なんて呼ばれるととても他人行儀で寂しくなってしまうじゃないか・・・

 

 一刀「そうだな・・・親しみをこめて北郷お兄ちゃんでもいいぞ?」

 

 瑞樹「じゃあそれでいきましょう北郷お兄ちゃん。」

 

 予想外の所からとんでもない呼び方が帰ってきました!?

 

 一刀「いや、俺は司馬徽さんより年下ですし!?」

 

 瑞樹「あらあら・・・では私は瑞樹お義姉ちゃんでよろしくお願いします。」

 

 一刀「さり気に真名呼ばせようとしてません!?」

 

 瑞樹「良いではありませんか。この街とお客さん達の反応でも貴方がそれ相応の人だと言うのは見て取れました。これから共に仕事をする上で、真名を預けるには十分な理由です。」

 

 流琉「ああああの!私も流琉でいいです!そ、それと・・・兄様・・・と読んでも良いでしょうか?」

 

 一刀「っ!?あ、ああ。それで良いなら。二人にも俺の真名を預けておくよ。一刀。それが俺の真名だ。これからよろしく。流琉・・・み、瑞樹姉ぇ・・・ちゃん。」

 

 瑞樹「あらあら、ふふふ。かわいいわぁ。一刀君かわいいわぁ!もうお姉さんギュってして良いかしら?」

 

 流琉「あう。瑞樹さん。それは・・・ずるいです。」

 

 瑞樹「ふふふ。冗談よ。」

 

 あ、何故だろう。輝理のお師匠さんで納得しちゃった自分が居る。ヤバイ。この人も変態予備軍だ。とにかく此処は話題を反らさねば。

 

 一刀「此処が玉座の間です。さあどうぞ。」

 

 その後は俺自身は事務処理とかがあるから失礼した。玉座の間でどんな話がされていたかは知らない。蓮華には司馬徽さんの事は話してあるし、流琉に関しては俺が直接雇う話をすればいい事だ。これでさらに地盤が固まってきた。人材もどんどんと増えていく。冬の内政はやる事が無いと思われがちだが・・・むしろ冬だからこそできる事があるのだ。冬野菜の開発はこの時期にこそ成果が出るのだから。

 

 一刀「さてと・・・それじゃあ色々仕込みをしますかね。“色々”・・・ね。」

 

 そして俺は筆をとる。机の引き出しから出したのは真っ白な紙と封筒と蝋印。それを二通分。それをどうするかは・・・秘密だ。

 

 

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 帯裏四コマ

 

 一コマ目

 

 

 雛里の巻き物は攻撃力によりその大きさが代わってくる。

 

 その中でも最上の攻撃力を誇るのは天の国語録後篇である。

 

 

 

 二コマ目

 

 

 さらにその小ささで攻撃速度が代わるものがある。

 

 その名はメモ帳。小さく、懐に入れてるので取り出しも簡単なのだ。

 

 

 三コマ目

 

 

 一刀「と言うよりも大きな巻物を収納できる雛里の帽子の方がおかしいと思うんだけど。」

 

 雛里「覗いてみましゅか?」

 

 

 四コマ目

 

 

 一刀「あsdfghjklくぇrちゅいおpzxcvbんm!?!?!?」

 

 雛里「・・・この反応が怖くて自分では覗けましぇん。」

 

 本当に何が見えるんだろう?

 

説明
ついに合流した司馬徽さん。そして一緒にいたのは?

つーか一刀の趣味幅広いな。

人が増えていくとどう物語に絡ませていくか迷うところですな。

それでは本編どうぞ
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コメント
mokiti1976-2010さん<ふむ、と言うことは伏龍の帽子の中にもナニかが・・・?よし覗いてこよう!(ユウヤ)
聖龍さん<そこは妖精さんでいきましょう。ひなりん酔っぱらいじゃないでしゅ!(ユウヤ)
きっと乙女の帽子には色々と秘密が存在するのではないかと。(mokiti1976-2010)
雛りんの帽子の中に、8p〜20pのちっちゃいおじさんが一生懸命に荷物の整理をしてたりして……(聖龍)
未奈兎さん<??「次の罰ゲームはそれで決まりだな!」??「はぅ〜、もだえる姿がかぁいいよぉ!おっ持ちかえwryyyyぃぃぃぃぃ!!!!」??「あはは!!・・・あるぇ?なんか最後違くなかった??」(ユウヤ)
エドガーさん<いずれ秘密道具と華出すんだろうね?俺ものぶ代さん派。(ユウヤ)
劉邦柾棟 さん<ワザとじゃない!と・・・思う!(ユウヤ)
黒鉄刃さん<それだと標識とか出てくるからきっと無い・・・たぶん無い・・・おそらく無い・・・無いといいなぁ。(ユウヤ)
??「失礼です!あんなに取り乱したりしません!」??「なら、唐辛子入りシュークリームも大丈夫よね?」(ニッコリ)??「あぅあぅあー!?」(未奈兎)
ドラちゃんのポケットかな。ちなみに私は大山のぶ代派です。(エドガー)
ワザとじゃない?(劉邦柾棟)
……紫さんのスキマかな?(^_^;)(黒鉄 刃)
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