仮面ライダー剣×ゴッドイーター ?掴み取る運命? 第11話 |
十真
「っ!」
ハッと目を開けると、自室のベッドに寝そべっていた。
呼吸が荒く、額に汗も滲んでいる。まるで任務中の気分だ。
コウタ
「大丈夫か?」
傍らのソファーにコウタが座っていた。心配そうな顔で十真に近づいてくる。
ふと視線を動かすと、左手首に点滴の管が通っており、ベッドの横にはスタンドも立てられていた。
十真
「あぁ、大丈夫だ。えっと…俺は何をしてたんだ?」
コウタ
「訓練中に倒れたんだよ。過労だってさ。医務室で様子みるべきなんだろうけど…今、アリサの状態が不安定だから、自室で養生してくれって」
あの日以来、アリサは精神状態が不安定なため、医務室に籠りきりだ。
見舞いに行っても、鎮静剤の効果で眠ったままだったり、逆に鎮静剤が切れて泣き叫ぶなど、まともに話もできない。
十真
「そうか……迷惑、かけたな」
コウタ
「じゃ、今度ジュースでも奢ってくれよ」
十真
「初恋ジュースでいいか?」
コウタ
「あ、あれだけは勘弁してくれ…」
いつものように他愛もない話を交わすが、お互いに笑い方がぎこちない。
リンドウの一件は、それだけ十真達に重くのしかかっている。
コウタ
「…俺、ちょっとは成長してるつもりだったけど……リンドウさんに頼ってばっかだったんだよな」
十真
「そうだな…」
のらりくらりとしていたリンドウだったが、リーダーとしての素質は十分に兼ね備えていた。
適切な指示、新人へのフォロー、そして実力。
第一部隊だけでない。雨宮リンドウという男は、極東支部のゴッドイーター全員のリーダーだった。
どれだけ彼を頼りにしていたか。いなくなって、ようやく気付いた。
十真
「悪い…1人にさせてくれないか?」
コウタ
「…大丈夫なんだよな?」
十真
「あぁ。点滴が終わったら、自分で医務室に行くよ」
コウタ
「わかった。なんかあったら呼んでくれよな」
無理に笑顔を見せようとする十真に気付きながらも、コウタはそれ以上突き詰めようとはしなかった。
コウタ
「じゃ、また明日」
十真
「あぁ」
コウタが出ていくと、シンとした部屋には自分の鼓動の音しか聞こえなくなった。
ベッドから起き上がり、写真立てに視線を向ける。
焼け焦げた、ボロボロの写真だ。
十真
「力があっても、結局…」
十真は写真から目をそらし、ギリギリと音を鳴らして拳を握った。
十真
「あの時のまんまじゃねぇかよ…!」
どこにもぶつけられない悔しさは、両の拳をより一層硬くするだけだった。
『おーい十真、何してんだ?』
白髪の老人が、実に柔らかな笑みで自分に話しかけてくる。
蝶々を追いかけてるんだよ!
自分も楽しそうな口調で答えた。
『十真、そんなに走り回ると危ねぇぞ』
別の老人が、これまた笑顔で十真に呼びかける。
はーい!
『十真ちゃん。クッキー作ったから、後でいらっしゃい』
古びた家の玄関から、老婆が十真を招く。
ありがとう、おばさん!
笑顔と笑顔が行き交う。それが当たり前だと思っていた。
だがそれは、文字通り音を立てて崩れた。
大地が震え、村は焼け落ち、全てが紅に染まり、視界を潰していく。
流れる涙は雨に流され、何事もなかったかのように全てを鎮めた。
力が欲しい。強く願った。願い続けた。
全てを守れる力が。どんな脅威にも屈しない力が。
その日から、『彼ら』の運命は動き出していた。
ツバキ
「全員集まったな」
リンドウがMIA(戦闘中行方不明)となってから一ヶ月ほどが過ぎたある日。
その日は、療養中であるアリサを除く第一部隊のメンバーに召集がかかった。
しばらく第一部隊のメンバーは個々で任務に当たっていたため、揃って顔を会わせるのも一ヶ月ぶりだ。
場の空気はひどく重かった。特にサクヤの少々やつれた顔は、まさにメンバーの精神状態を顕著に表している。
ツバキ
「昨日まで捜索が行われていた、雨宮リンドウ、及びラウザーシステムについてだが」
皆がゴクリと唾を飲んだ。
生きていてほしい。
それが贅沢な望みならば、小さな希望だけでも。
だが、ツバキの口からは想像もしなかった言葉が告げられた。
ツバキ
「これ以上捜索活動を行っても進展は無いと見て、本日をもって終了となった」
サクヤ
「そんな…??まだラウザーも、バックルも何も見つかっていないのに。それが見つかるまで捜索を続けるのが通常じゃないですか??」
ツバキ
「すでに生存反応は消えている。これ以上、生きているか死んでいるかもわからない人間をわざわざ探すことなどできん」
コウタ
「そんな…」
ツバキ
「これは上層部での決定事項だ。覆ることはない」
ツバキは依然、表情1つ変えずに言い切った。
十真
「何だよそれ…あんまりだろ…」
十真はツバキをキッと睨み、拳を強く握りしめた。
このままでは、リンドウが帰ってこない。
十真
「さんざん戦場でボロボロにしておいて、所詮ゴッドイーターは捨て駒なのかよ!」
ツバキ
「………」
十真
「リンドウさんを殺したのはアラガミなんかじゃねぇ。あんたらだよ!」
コウタ
「十真、落ち着け!」
今にも掴みかからんとする十真をコウタが止めに入り、しばらく沈黙が訪れる。
数秒の間、十真とツバキの睨み合いが続いた。
一度ツバキは視線を外すと、持っていた書類の中から一枚の紙を取り出して十真に突きつけた。
ツバキ
「次期リーダーとしてお前が抜擢された。正式な通達がまた来るだろう。それまでに心の準備をしておけ」
十真は仕方なく受け取るも、その眼はまだツバキを睨み続けていた。
ツバキが去った後も、重い空気が第一部隊のメンバーを包んでいた。
絶望とは、正に今の状況を指しているに違いないと十真は感じた。
今にもこの紙切れを破り捨てたかった。
だがそうしたところで何も変わりはしないと、もう気づいていた。
十真は医務室の前に来ていた。アリサの様子を見に来たのだ。
最近も変わらず、鎮静剤で眠らされ続ける毎日だ。
静かな、幼い子供のような寝顔をしている。そこには以前の鋭さや冷たさは一切無く、ただ1人の少女がそこにいた。
リンドウ
『同じ新型のよしみだ。お前が支えてやってくれ、な?』
ふと、リンドウの言葉が頭を駆けた。
そうだ。自分はリンドウからアリサを任されていたのだった。
アリサには精神に支障をきたす程のトラウマがあるということを、十真はリンドウから聞いている。
十真にも辛い過去がある。まだ誰にも話したことはないが、リンドウは知っていた。
知られたからといって、どうということはなかった。むしろ、自分の辛さを知ってくれる人がいると思うと、少し痛みも和らいだ。
アリサの理解者になれるのは、自分しかいない。
何故かはよくわからないが、使命感とは少し違う不思議な感情が十真をこの部屋に連れてきた。
今は何もできない。ただ、アリサが心を開いてくれるまで、側に居続けるだけだ。
十真は眠るアリサの手を握り、その祈りを込めた。
そして十真の意思は、アリサの中へと吸い込まれていった。
ツバキ
「リンドウを殺したのは私達…か…」
エレベーターの中、1人、ツバキは虚ろな目をしていた。
本当はあんな事実など伝えたくなかった。無理矢理にでも捻じ曲げたかった。
だができない。それを受け止めなければならないのだと、覚悟を決めた。
ツバキ
「リンドウ……」
だが、それこそ無理な話だった。
血を分けた兄弟が、こんな荒んだ世界でたった1人の家族が、1番大事な存在が、こうもあっさりと奪われてしまって受け止められるわけがない。
会いたい。生きていると信じたい。
でも、もうそれは無理なのだと、見えない何かが決め付けている。
ツバキ
「リンドウ…ぅ…っ…」
ただ名を呼ぶしかできない自分の弱さを、涙で嫌という程ツバキは味わった。
作者&十真より…
作者
「やめてねぇからな!!」
十真
「いきなり何だよ??」
作者
「いや、この前知り合いから『最近、更新してないけど小説やめたん?』って言われたから、ここで返事しとこうかと」
十真
「いや直接言えよ…」
作者
「でもまぁ、最近めっきり更新スピードが落ちたのは事実だしな。他の作家さん方がどの程度のペースなのかは知らないけど」
十真
「ペース遅れてもいいからネタ考えてくれ」
作者
「ネタも尽きてきたしなぁ。完結できるかな、これ」
十真
「おいおいおい」
作者
「某週刊マンガ誌にならって『俺たちの戦いはこれからだ!』とか使おうかな…」
十真
「だめだから!それは真似しちゃダメなやつだから!」
作者
「ま、冗談はその辺にしといて。更新スピードが遅くなることはあっても、黙って投稿をやめることはないので。今後ともご愛読よろしくお願いいたします。それではこの辺で…」
説明 | ||
レンゲルを出すタイミングを見失いかけてる… ※更新遅れ気味ですみません。ネタ切れと多忙により、しばらく更新スピードが遅れますのでご了承ください。 ※本文の一部(ツバキのセリフ)を訂正しました。 |
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