6話「ごめんなさい」 |
「何だテメエ!!!!」
占い師を名乗るスピネルという男の甘い言葉に乗ってまんまと誘拐されたジェリーダ。しかしそこにいち早く駆けつけたのは、ガイだった。その傍らには新聞記者の女性―チェリカがいる。
「同業者かい?」
ぷちん。スピネルの発言にガイは堪忍袋の緒が切れた。
「誰が同業者だ!!本物の悪人に悪人呼ばわりされたくねぇわあ!!!」
「う〜ん、中々上手いわねあの男」
「チェリカさん!!!」
「だぁってぇww王子がどうこうとか話してるの聞いてなかったら近寄らなかったわよぉ!だって君、こいつらに劣らない悪人面だもの〜♪」
完全に脱線する話に誘拐犯達も目が点になる。
「悪かったな!気にしてるのに…」
「ゴメンゴメン♪でも、実際のところは正義の味方だったり?」
「ま、そういうこった。てなワケでモノホンの悪人さん達、そのクソガキ返してもらえます?」
余裕の表情で男達と対峙するガイ。チェリカはそんな彼の横顔を冷静に眺めていた。確かに只者じゃなさそうね、この人数相手に自分の勝利を微塵も疑っていないように見えるわ。そんな事を考えながら。
「このガキに勇気と無謀の違いを教えてやれ!!!」
スピネルが指示すると男達は短剣を手に取り一気にガイ目掛けて駆け出す。
「おーおー、わんさか来たねぇ」
ガイは剣を頭上に掲げ、目を閉じた。すると刀身が光りだし電撃を纏う。剣を振るだけで小さな電撃が飛び、男達の持つ短剣を伝って彼らを痺れさせた。
「ぎゃあああっ!!」
「へへっ、一時的に麻痺させただけだ。さぁあとはアンタだけだぜ。大人しくガキんちょ返してくれりゃあこれ以上危害は加えないでおいてやるよ。俺も人間と戦うのはちょっとな…」
人間との戦いに抵抗はあるものの、ガイは全くぶれる様子を見せなかった。おそらくまともに戦っても結果は明白だろう。しかしスピネルが正々堂々戦う筈などなかった。短剣を取り出しジェリーダの首に突きつける。
「動けばコイツの命はねぇぞ」
自分の首の前で寸止めになっている刃にジェリーダは青ざめる。
「くっ…この距離じゃ…!!」
魔術剣を放ったとしても飛距離は高が知れている。先程の男達は自ら近づいてきてくれたから電撃の餌食となったがここで魔術剣を放ったところで飛距離は正規の魔法に比べれば遥かに劣るのだ。
だからといってこのままではこの男達の麻痺も回復して更に不利になる事もガイにはわかっていた。
「動く必要なんかないわ」
刹那、ガイ達の後から氷の刃が飛びスピネルの腕に刺さる。その手から短剣を落とした隙をガイは逃さずその眼前まで駆け寄りスピネルの顔を蹴飛ばした。
「いやぁ…やっぱ頼りになりますねぇ。ずっとつけてたんだろ?」
苦笑しながら振り返るガイの視界にはずっと別行動をとっていた筈のレイナの姿が入っていた。
「ふふふ、敵に手数を読ませるわけにはいかないでしょ?」
「なるほど、町で気になった視線の正体は君の仲間だったって事ね」
やれやれ、といわんばかりにチェリカは肩をすくめた。
どうやらここはマルク港の倉庫だったようだ。人攫いに誘拐されたジェリーダを無事救出でき、ガイ達は町に戻った。
「じゃ、あたしこっちだから!中々楽しかったわよ。記事にできないのが残念だけどね」
チェリカが3人に向かってウィンクする。
「守秘義務って事でお願いしますわ」
レイナもチェリカにウィンクを返した。
「何で俺って強い女とばかり知り合いになるんかね…」
女性2人のやり取りを尻目にガイは深いため息をついた。
「また何か面白そうな事件があったら教えてね〜♪」
チェリカは3人に手を振りスキップ混じりにその場を走り去った。
「さぁ、今日はもう遅いわ。お城に行くのは明日にして宿をとりましょう」
「だな」
一件落着なムードで話を進めるガイとレイナだが
「何で……何で俺ばっかこんな目に……」
ジェリーダはそうではなかった。続けざまに怖い目に遭ったせいかその精神力はもう限界に達してきている。
「やっぱ俺、帰る……!」
「帰るって、どこにだよ…」
「リーラに決まってんだろ!!!!もう嫌だ…魔物に襲われるのもドゥルに命狙われるのも悪い奴らに騙されるのも…もう嫌なんだよっ!!!もうほっといてくれ!!!」
叫び泣き喚くジェリーダ。次の瞬間、その頬にレイナの鋭い平手打ちが舞った。時間が止まった。少なくとも第三者的な立場で2人を見ているガイはそう感じた。
「いい加減にしてちょうだい…貴方が自分勝手にいなくなったりしなかったら今日お城に行けたのよ…?散々迷惑かけておいて…自分だけが可哀想なんて思わないで!!!」
ずっとジェリーダに敬語で話していたレイナが始めてタメ口を叩いている、「レイナがキレた…」そんな光景に対しガイはただただ戸惑うばかりである。
「う…うるさい!!!うるさいうるさいうるさいっ!!!!!お前なんかに俺の気持ちなんてわかるもんか!!!!」
「あ〜!!!ストップストップ!!!」
流石にまずいと判断したガイは無理矢理平静を取り戻し口論を続けるレイナとジェリーダの間に入った。
「ほら、2人共疲れてんだよ…今日は宿屋でゆっくり休もうぜ、な?」
ガイの仲裁によりレイナもジェリーダもこれ以上何も言わなかったがムードは険悪なまま宿屋に向かった。
夜。この町の宿屋は出入り口は別々だが酒場と建物が一緒になっている。その酒場のカウンター席にレイナは1人座ってため息をついていた。
「マスター!ビールくれい!」
ガイがその隣に現れ席にどかっと座る。
「ガイ…王子は?」
「もう寝たよ。よっぽど疲れたのかねぇ、ぐっすり眠ってやがる」
「そう……」
再度ため息をつくレイナ。
「まぁ、気にするなよ。お前は正しいし、だからって王子が悪いわけじゃねぇ。全部あの黒い甲冑野郎が悪いんだよ、あ、ども♪」
マスターから差し出されたビールを受け取り、ガイはそれに口をつける。
「そうかもしれないけれど、貴方のそういうのって『どっちつかず』って言うんじゃない?」
「まぁな。でもそういう立場の人間も必要だろ?特に3人パーティーの場合はさ♪」
毒づかれても尚明るく振舞うガイにレイナはとうとう完敗したのか、ふっと笑う。
「そうね。…ガイ、ありがとう」
「どーいたしまして♪」
そして更けていく夜。2人共酒は一杯で止めて明日に備えて宿の各々の部屋に戻った。
翌日、宿屋の前に3人は集まる。レイナはジェリーダの前に立ち深く頭を下げた。
「王子、昨日は大変申し訳…」
「今まで…ごめん」
レイナが言い切る前にジェリーダの方から口を開く。その意外な言葉にレイナは目を丸くして驚いた。
「俺、自分の事しか考えてなかった…。レイナだって親父さんの事が心配なんだよな…」
「王子……」
「それと…俺の事は『王子』じゃなくて『ジェリーダ』でいいぞ?あと敬語も要らない」
更なる意外な言葉に今度はガイとレイナは丸くした目で顔を見合わせる。
「実は俺、父上や母上に怒られる事はしょっちゅうだったけど、殴られた事ってなかったんだ。昨日レイナに叩かれてその事に気づいた」
「申し訳ありません…あれは…」
珍しくレイナが同様している。流石にやり過ぎたと反省していたのだ。
「だから敬語は要らないって!…そういう事じゃなくて、あれでお前らとは本音をぶつけ合える…つまり対等な立場で居たいって思ったから…」
あの我儘で自己中で自分勝手なジェリーダがそこまで考えていたとはガイもレイナも夢にも思っていなかった。そしてそう思ってしまった事を少し反省した。
「虫のいい事言ってるのはわかってる。でも…今からでも…許してくれねぇかな…」
ジェリーダは俯きながら2人の前に手を差し出した。握手を求めている。ガイは人懐こく笑って見せると、その手を握り返した。
「許すも許さないもねぇよ。今更だけど…よろしくな、ジェリーダ!」
「ああ!」
握手をする男子2人の手の上にレイナも自分の手を乗せる。
「男の友情を深めるのもいいけど、私も忘れないでちょうだいね、ジェリーダ?」
「あ、悪ぃ…」
仲直りと共に決意を新たに3人の旅は今ここから始まるのだった…と、ここでまとめれば綺麗だったのだが…
ぐきゅるるる〜。
突如鳴り出すのはジェリーダの腹だった。
「あ…昨日から何も食べてなかったから…」
「ぷっ…」
「うふふっ…!」
「こらあ!何露骨に吹いてんだよ!!!人間なんだから腹も減るだろーっ!!」
締まらない展開に吹き出すガイとレイナに赤面しながら喚くジェリーダだが、案外まんざらでもなかったようだった。
朝食はまだとっていなかったため近くのテラス式のレストランで取る事になった。
「しっかし…ジェリーダお前それは流石に食い過ぎだろ〜?」
丸くて白いテーブル一杯に並べられた料理。バゲットやサラダ、ウィンナーなどの朝食の定番メニュー。その半分近くをジェリーダが1人で平らげていた。
「はぁ、パーティーに大食らいが2人もいたんじゃたまったものじゃないわね」
財布の中を覗き込みながらレイナがため息をつく。
「腹が減っては戦はできぬ、って言うじゃんか」
「あのな、戦してんのはお前じゃなくて俺らだろーが!」
ガイの最もなツッコミ。そう、ジェリーダは攻撃手段を持っていないためここまででもガイやレイナの後に隠れるばかりだったのだ。
「うぅ…別に俺は普段からこんなに食ってるわけじゃねーもん。色々吹っ切れたら急に腹が減っただけだもんよ…」
「ハイハイむくれないの。それより、王様に会う方法はルーヴルで説明したからいいとして…問題は王様を説得する方法よ」
レイナの発言により全員現実に引き戻される。これからの動きを考えなければならない。
「因みに私が考えたのはこう。貴方がこの内容で説得する」
1枚の紙を取り出したレイナがそれをジェリーダに手渡す。
「え…これ、大丈夫なのか?あまりにも手短すぎるっていうか…」
「いいのよ。エド王は色々な意味で自然を愛しているお方。下手に言葉を飾るのは逆効果だわ。ありのままを考えた結論がそれよ」
「ガイ〜…」
完全に困った顔をしながらジェリーダはガイに助けを求めた。
「意図はわからんが、レイナの事だ。考えはあると思うぞ」
ますます不安になるだけだったが。
朝食を済ませた3人は町の北にそびえ立つマルク城を目指す。リーラ城の倍はありそうな大きさの城が塀の外からでも窺えた。
城門には門兵が不審者を入れないため固めていた。
「ん?何だ貴様らは?」
門兵の1人が3人を引き止める。
「こちらはリーラのジェリーダ王子でございます。国王エド様にお取次ぎ願いたいのですが…」
レイナが会釈しながら言うも、門兵はまったく信じる様子はなかった。証拠のない話を簡単に信用するくらいならば門兵など務まらないのだが。
「リーラの王子が何故このような場所におられるというのだ、そのような戯言を信じろというのか?」
「信用ならないのであれば私達から武器を取り上げて魔封じの手錠をかけて頂いても構いません。それでもご不安でしたら私達を牢に閉じ込めて頂いてからでも構いませんわ。エド様にお話しなくてはならない事があるのです」
そこまで…?ガイとジェリーダはレイナの言う事に若干戦慄した。
「…ここで待っていろ」
門兵は他の兵にその場を任せその場を去って行った。そして数分後、腑に落ちないような顔で戻って来た。
「エド様がお通ししろとの事だ」
「感謝致します、それではお言葉に甘えて」
微笑みながら礼儀正しく会釈をするレイナ。3人は塀の中へと入った。しかし城の前には巨大な庭園が広がっていて道は花壇に挟まれ、その東側は多種多様の作物の畑が広がっている。その奥に何故か質素な木の小屋まで建っている。
「…何あの小屋?」
ガイが引きつった顔でその小屋を指差す。
「作物でも保管しとく倉庫じゃねえの?」
同じくジェリーダも顔を引きつらせていた。
「そうかしら?遠目だからはっきりはわからないけど生活感があるように見えるわ」
しかしレイナだけは至って冷静だった。
「じゃあ…庭師が使ってる小屋とか?」
「さあね」
ガイの質問(?)にレイナは肩をすくめた。
「丁度いいや、あのオッサンに聞いてみようぜ!」
ジェリーダが畑で農作業をしている農夫と思わしき男性を指差し、その元まで駆け寄った。
「ちょ、待てって!!」
ガイとレイナもすぐさまその後を追う。近くまで寄れば男性は中肉中背の中年男性である事が見て取れた。麦わら帽子をかぶり土で汚れた質素な服装をしている。
「おや、お客様ですか?」
男性は3人を振り返ると額の汗を拭い爽やか笑って見せた。
「あのさぁ、この汚ぇ小屋ってアンタの住処か?」
「こらーっ!!!!汚ぇとか言ってんじゃねーよ!!!」
慌てた口調でジェリーダを叱るガイだが男性は全く気にする様子を見せず、笑顔さえ崩さなかった。
「いやあお恥ずかしい。そう、この汚い小屋は私の…別荘とでも言っておきましょうか」
「城内の敷地に別荘…ですか?」
レイナの脳内に疑問符が浮かぶ。
「ここからの方が朝の畑仕事がしやすいですからなぁ」
「そうかい。そんじゃ、俺達エド王様に謁見しに行きますんで」
と、ガイが男性に手を振って去ろうとした時
「お待ちしておりました。私がこの国の王、エドでございます」
3人の目が点になるのと同時に数秒の沈黙が場を支配する。
「ぎゃははははは!!寝言は寝てから言えっての!」
次の瞬間、ジェリーダは盛大に笑い飛ばした。
「ちょww冗談きついっしょwww」
続いてガイも爆笑を始める。その場をタイミングよく通りがかった兵が怒り狂いながらこちらに駆け寄って来た。
「この無礼者が!!!エド様に対してなんという狼藉を…!!」
再度沈黙が場を支配する。そして冷たい風が通り過ぎた。
結局3人はこの質素な服装の男性―エド王により小屋の中へ案内され、丁寧にお茶まで出された。
「すいません!!ホンットすいませんでした!!!」
「まさか本当に王様だったなんて…!!!」
ガイとジェリーダはひたすらエドに平謝りするしかなかった。
「いやはや、貴方達がそう思うのは無理もない。私は立場とはいえ煌びやかな服で着飾るのが苦手でしてねぇ」
エドは『自然王』と呼ばれる自然愛好家でとにかく自然に囲まれる事を好む人物として有名だった事をレイナは思い出していた。流石にここまでとは思わなかったが。
「門兵から話は聞いております。ジェリーダ王子が何でも私にお話があるとわざわざ来られたとか」
「あ……」
ジェリーダが戸惑いながらレイナの顔を見ると彼女はこくりと頷いた。あの紙に書かれた事を言え、目でそう伝えていた。
「あのっ…!!ドゥル帝国の脅威に立ち向かうためにマルク軍の力が必要なんです!」
レイナのメモに書かれていたのはたったこれだけの事だった。後はアドリブで何とかなるとまで。
「それは…我々に血を流せという事かな?」
突然の協力の申し出にも関わらずエドは一切取り乱す事はない。
「そ…それは…現に奴らはリーラを襲撃したんです!父も母も奴らに殺されました!!」
ここからは完全にジェリーダのアドリブだった。しかし言うべき言葉は手探りだが。
「ジェリーダ王子……それは貴方の言葉ではありませんな?」
「!!!」
見抜かれている…ジェリーダは完全に焦っていた。そしてそれは隣で話を聞いているガイも同じである。
「申し訳ありませんがその頼みは聞く事はできないようです」
エドは全てを悟った表情で首を横に振った。説得は失敗した…どうすれば…ジェリーダは頭をフル回転させ言葉を考えるが、そういう事ではないと気づいたのかエドの顔をキッと睨みつけた。
「この国がドゥルにやられてもいいのかよ!!!」
ほう…と関心を寄せるエド。
「リーラだけじゃない!ドゥルは周辺の国々を侵略し続けてるんだぞ!?昨日…町の中央広場で楽しそうに遊んでる子供が何人もいた。数日前まで俺もあんな感じだった!!でもそんなもん一瞬で失くなっちまったんだ!!!このままドゥルにやられたらあの子供達だって俺みたいになっちまう!!もう……あんなモン見たくねぇんだよ…!!」
言葉を終えるとジェリーダは俯き身体を震えさせた。今にも泣き出しそうに。演技などどこにもない、完全なる本心だ。
「エド様、私達はマルク、ルピア、クローナの三国でドゥルに立ち向かうべく同盟を結べないかと考えております。確かにマルクだけで立ち向かうにはドゥルは強大です。しかし三国が力を合わせ一つの勢力としてまとまればドゥルの兵力を大きく上回りますわ、勝算は十分にあります」
レイナが冷静に補足すると、エドは再び優しい笑顔を見せた。
「王子、それが貴方の本心のようですな…」
「えっ…?」
意外そうにエドの顔を見上げるジェリーダ。
「私は演技による飾られた言葉は求めていませんでしたが…今の言葉は貴方のまったく飾りのない心からの声、わかりました。我が軍の力をお貸ししましょう」
「あ…ありがとう!!」
「しかし条件があります」
「条件…?」
エドの言葉に3人が同時に聞き返す。
「貴方達に我々が力を貸す程の資質があるか試させてもらいますよ」
「よくわかんないけど…やってやるよ!」
ジェリーダはエドに決意の眼差しで答えた。…というよりは吹っ切れたと言った方が近いのかもしれないが。
「いい返事です。東の森の地帯にマルケス山という山があるのですが、そこに住むガルーダから卵を取ってきてもらいたいのです」
「ガルーダって…いきなり大物が出てきたモンですね…」
あのクルティスって皇子の時といい勝負の苦戦ができそうだ。ガイはそう考える。
「ええ。ガルーダをどうにかできないようでは到底ドゥルに敵うとは思えませんから」
「どうする?俺はお前の意見を尊重するけど」
ガイがジェリーダの顔色を伺う。腹を括ってはいるだろうがその表情はどこか不安そうでもあった。
「同じく」
落ち着いた態度のまま一言で済ませるレイナ。
「わかった!!やればいいんだな!?」
また魔物と対峙しなくてはならない不安と恐怖がジェリーダにないわけではなかった。しかも今回の相手、ガルーダは戦闘に慣れているガイやレイナだって苦戦を強いられるような魔物、鳥系の魔物の頂点に立つとさえいられている大物なのだから。しかしやらなければならない事はわかっている。
「貴方達次第ですな」
ずず、とお茶を啜るエド。
「そうと決まれば早速!!」
ガイが呼びかけると3人はエドに一礼して小屋を出て行った。
城の塀の外側に出て城から遠ざかった頃、ガイが安堵のため息をついた。
「はぁ…一時はどうなる事かと思ったぜ…」
「あら、どうして?」
レイナにはガイのため息の理由が全くわかっていなかった。
「どうしてって…拒否られそうになったじゃねぇか。…てかお前、その時も嫌に冷静だったな」
「ええ、作戦通りだったもの」
「はい?」
ジェリーダが訝しげに聞き返す。
「どんな台本を用意しても相手は王、絶対見抜かれると思ったわ。案の定エド様は協力を拒む。作戦失敗だと思い込んだジェリーダは追い詰められエド様の欲しがる『本音』を出す。作戦は完璧だったわ」
「え…じゃあ欺かれてたのって俺?」
「そういう事♪」
してやったり、といわんばかりにレイナはほくそ笑む。
「な、策士だろ?」
ガイの耳打ちも今のジェリーダには届かなかった。こいつだけは怒らせないようにしよ、昨日のビンタを思い出した事込みでそう考える事で精一杯だったため。
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