女神異聞録〜恋姫伝〜 第五十六話 |
女神異聞録〜恋姫伝〜
第五十六話
「失われていく力」
巨大な手がどけられると赤い花が、押し花のように地面に咲いていた。
鉄臭く生臭く、二人が死んだことを知らせる明確な跡を見せ付けられた。
「あああああアアアアアァァァァァッッッッッ……………!!!!!」
一刀は鎖に繋がれた獣が身震いを起こし、引き千切るように疾駆する。
目の前で身を起こす異型を無視する。
弾丸のように駆け寄る一刀に衝撃波と炎の渦と落雷を放ち、そこで叩き潰そうと大技を三
つラサウムが放ってくるが、左手のコテツで衝撃波を断ち切り、木刀で炎の渦を貫き、落雷
を見て避ける。
六つの腕を持ち、それぞれの腕に再び武器を持って踊る様戦う三眼の破壊神。
相手の攻撃できる距離がこちらの攻撃できる距離とは限らないが、こちらの攻撃できる距
離は相手の攻撃できる距離。
しかも押さえつけていたシヴァを押さえ付ける必要がなくなった為か、蛆虫の下半身を蠢
かせ思わぬ速度で回避行動を取る。
動きに対して制限を持たなくなった為か、物理的な攻撃もまた苛烈なものと化していく。
元々感情の起伏が大きい一刀だが、今の一刀はソレが極端になりを潜めている。
激昂しながら冷静に、暴走するような怒りの中にありながら的確に攻撃を加えるための理
性が、身体と言う枷を最大限に利用できるように今のポテンシャルを上限一杯にまで練り
上げていく。
下半身による薙ぎ払いが場所を凍結させながら、視界に見える範囲以上に地面を破壊して
いく。
それをバックステップで避け、逆巻きの氷柱を、二刀を重ね砕き出来た隙間に突撃していく。
下半身を切られながら、小さく跳躍し一刀を押しつぶそうと迫りながら、シヴァに炎の渦を
放ち牽制する。
上から迫ってくる虫の足を切り飛ばしながら全速力で圧殺しようとする天井を潜り抜けた。
振り向けば薙ぎ払うように腕が壁のように高速で向かってくる。
それを一太刀のもとにぶった切り、少なくないと思えるダメージを与えられたと思ったの
だが、切られた腕を顔の前まで持ってきたかと思えば、にやりと哂いべろりと切られた根元
から舐めあげて、丸で何もなかったように腕が再生した。
「ちぃっ!!やっぱり回復ありか!」
「ははは!いいぞ、いいぞ人間よ!たかだか一段強くなったところでこれほどのもの。もっ
とだ、もっともっと可能性を見せてみろ!倒せるほどの可能性を!!」
「ふざけんな!なんでてめぇに可能性を示さなくちゃいけねぇ!!?」
笑いながら目から連続してビームを放ち、それを一刀はバク転、サイドステップを織り交ぜ
ながら距離が開き過ぎないようにしながら避ける。
「そらそら!どうした!?もう強き者は呼ばないのか!?」
強き者とは一体何のことを指しているのか、一刀にはいくつか思い浮かぶものはあれども
今そんな彼らを呼ぶ手段を失っていた。
バロウズは混乱していた。
本来彼女は電子の海に存在している。
その為、限られた次元でしか存在できないゆえに戦闘能力を持たないのだが、その電子の海
に侵入してきた敵がいた。
入れる筈のない場所に、入る事が出来ない筈の存在が目の前に居た。
「マニトゥ………それに他にもう一人?」
しかも今は外では一刀がラサウムという強敵と戦闘している。
そんなタイミングでの介入は狙って行われたとしか思えない。
妨害によってアイテムを出すことも、新たに仲間を外に出すことも出来ない。
「βLows………滅ぼすモノ、世界を壊す導き、滅せよ、滅せよ………!」
じゃり、とこの世界でバロウズの背後から地面を踏む音が聞こえる。
「ほほぅ、貧乏くじを引いたかと思えばこれは僥倖。このような場所での戦心が滾るわ!」
「早く終わらせておにーさん、助けに行くよ」
「微力ながら、私も手助けさせていただきます」
アリス、オンギョウキ、ミント、今外で戦っていない仲間達が戦列に加わる。
「わしも忘れてもらっては困るな」
更にサイクロプスが前に出てくる。
「わかりました。マスターの安否もありますから、手早く行きます!」
マニトゥが何を目的にしてここに現れたのかは先ほどの言葉通りなのだろう。
バロウズを消す為にこのタイミングで奇襲を仕掛けてきた。
歪んだ人型をしたマニトゥそれは何を媒体に生まれでたものかわからないが、それぞれの
身体を分離させて突撃してくる。
「ふん!たかだか大霊の一つに過ぎん!」
「大霊如きが!生ぬるいわ!」
サイクロプスとオンギョウキが前に立ち、大鎌と大槌で飛んでくるマニトゥを打ち払って
いく。
ひとしきり跳ね返したのか、突撃が終わるとまた元の形に戻ろうと組み合わさろうとして
「隙だらけだよ。メギドラオン!」
「凍てつきなさい!ブフダイン!」
純粋な無色の爆発と、絶対零度の魔力がマニトゥに襲いかかる。
「グウゥゥ!?」
苦悶の声をマニトゥが上げるがそれで終わることはなく、打ち払った二人が攻撃できる距
離に詰めていた。
「まだまだ!」
大槌が、大鎌が振り抜かれる。
その一撃は粉砕し、断ち切る。
「ガアアアァァァァァ!?」
「ここは私のテリトリー。膨大なソウルも、遠大な力も持たない貴方では及びません」
二人が離れたのを確認してから莫大な雷撃がマニトゥを襲い消し去る。
「一対一でしたら危なかったでしょうが、ここには私の仲間たちがいる」
静かに崩れていくマニトゥを見ながら、もう一人の気配を探すがもうそこには居ない様だ
った。
ただ、プログラムが一つだけ残されていた。
一刀達とラサウムの戦いはまだ続いていた。
どう攻めるかと攻めあぐねいていた。
一撃を入れられたとしても回復される。
かといって、一撃で終わらせられるようなものがある訳でもない。
「(どう攻めればいい?どうすれば………)」
負けないのか………そんな思考に至った時、ふっと笑いがこみ上げてきた。
「あぁ………俺は何を考えているんだ」
戦いの最中に阿呆なことを考えたと反省する。
両手に持つ武器を再度握りなおす。
光線を一度避けた後、一気に距離を詰める。
「ちぇりぁぁぁぁっっ!!」
力を込めた一撃は、さっきよりも深く傷を創り出していく。
ただその一撃はやはり死に至らしめる傷ではなく、ただダメージを与えただけだった。
「ふぅぅっっ………八艘飛び!」
振り下ろされる腕に駆け上る様に、そこかしこに飛び跳ねながら攻撃を加えていく。
小さな傷をいくつか創り出してもまだその域には達しない。
「降らせろ!」
一刀の掛け声の下、幾つもの剛雷が降り注ぐ。
一刀自身その範囲内に居るが、落雷地点を予測してそのまま腕を駆け上っていく。
ラサウムの注意が一刀に傾倒する。
その瞬間、炎の槍がシヴァから放たれる。
「穿てっ!トリーシェラ!!」
腹部を穿ち、揺れる上半身。
肩口から飛び上がり、一刀の身体をラサウムの拳が掠める。
左腕を壊されながら、その力を回転に加えて右腕のみで斬撃を放つ。
「奥儀一閃!真一文字!!」
その一撃は、ラサウムの頭部を確かに捉え、眼球から真っ二つに断ち切るはずだった。
時間を一瞬巻き戻されなければそうなっていた。
「ちぃっ!」
その一撃は首を曲げられ、頭部の一部を斬り飛ばすまでにしか至らなかった。
綺麗な断面から脳漿が溢れ、頭蓋の一部が白く見える。
脳水は穴からあふれ出て、肩から腹部まで青く濡らす。
跳躍したことでラサウムの体への着地に失敗し振り落とされながら、DEを引き抜きラサ
ウムの正中線へと弾丸を吐き出していく。
「はははははは!!」
そこまでダメージを与えながらラサウムは笑っていた。
「確かに見せてもらったぞ!その可能性!だが惜しいかな。我を滅ぼすには至らなかった
な!さぁ!伸ばせ!更に伸ばせ!際限なくなぁ!!」
ラサウムは叫びながら、黒焔を球状に纏いながら空へと浮かび上がる。
「リンゴ!テトラカーン!コウリュウ!マカラカーンを!」
物理障壁と魔法障壁を重ねて、最後の一撃を耐える為に防御に徹する。
「全員集まるのです!早く!」
「全て砕け散れ………スーパーノヴァストライク!」
閃光が辺りを包み、東の門ごと崩壊した。
詠「詠と」
月「月の」
詠&月&へ「「「あとがきコーナー」」」
詠「今回は一応10日に投稿かしら?」
へ「忙しかったんです………」
月「英雄譚3とか英雄譚3とかでしょうか?」
へ「すんませんでしたぁ!!(ジャンピング土下座)」
詠「なんだかフリーの方も増えているわよね?」
月「読んでたSSも数十話のものとかもちらほら………」
へ「(がくがくぶるぶる)」
詠「………」
月「………」
詠「お仕置きは」
月「こちらで考えますね」
へ「ひぃっ!?」
詠「それじゃ連れて行っちゃって、蝶禅、卑弥呼」
蝶「わかったわ〜ん」
卑「うむ!任されよ」
月「それじゃいってらっしゃ〜い」
へ「いやだぁ!?(引き摺られていく)」
詠「それじゃ特に説明するものもないし〆ちゃいましょう」
月「そうですね。英雄列伝が何時始まるかわかりませんけど」
詠「また忙しくなるんでしょうね………」
月「それは仕方がないよ詠ちゃん」
詠「はぁ………」
月「ゲームも程々にしてくれればいいんですけどね」
詠&月「「それではお休みの間、アクマに身体を乗っ取られませんようお気をつけて」」
詠&月「「また次回お会いしましょう」」
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真・女神転生世界に恋姫無双の北郷一刀君を放り込んでみたお話 人の命はとっても安い、そんな世界 グロや微エロは唐突に生えてくるもの 苦手な人は注意されたし |
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