チョロインワルキューレ第1話
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 私立ワルキューレ学園校門前。

 桜舞う校門の前に立つと一ノ瀬豪真は感嘆とした声を上げた。

「本当に入学しちまうとはなぁ……」

 私立ワルキューレ学園。

 あるスポーツに対して積極的に力を入れている全寮制の高校。

 本来、豪真はこの学園に入る気のなかった。

「どうした?」

「……」

 隣に立つ少女を認め、豪真はため息を突いた。

「いや、なんでもない」

「おはようございます、豪真さん!」

 後ろから声をかけられ豪真は慌てて振り返った。

「お、おう、おはようレイナ……」

 走り寄ってくる美少女に豪真は慌てて挨拶をした。

「おはようございます!」

 美少女・レイナもニッコリ笑った。

「今日もお加減がよろしいようでワタクシ、嬉しく思いますわ!」

「そ、そうか……」

 顔を赤らめる豪真に横に立っていた少女・シカクは顔を怖くした。

「豪、朝からデレデレするな!」

 レイナの顔がいやらしく強張った。

「あぁら……」

 手で口を隠しクスクスと笑った。

「シカクさん、いましたの?」

「最初っからいたわ!」

「影が薄くって気付きませんでしたわ♪」

「なんだとぉ!?」

 二人の視線がぶつかり合いバチバチと火花を撒き散らした。

「この乳だけ女が!」

「男女!」

「ぶりっ子!」

「おたんこなす!」

「ピーマンのぬか漬け!」

「梅干し食べた顔女!」

 ドンドン低レベルになっていく二人のケンカに豪真は頭が痛くなった。

「二人共、ケンカするな!」

「えっ……!?」

「キャッ……!?」

 豪真の手が二人のふくよかな胸に当たりグイッと引き剥がした。

「うん……?」

 手に包んだ二人の胸がムニムニと感じ、豪真は顔を真っ赤にした。

(こ、これはまさか……?)

 未だに手に包まれた二人の胸の感触に豪真は息を呑んだ。

(まさか……)

 二葉シカク……バスト85のEカップ。

 三井レイナ……バスト89のGカップ。

 男なら誰でも夢見る希望と愛が詰まった肉の双球に豪真は慌てて離れた。

「ご、ごめん、わざとじゃ……」

「……」

「……」

「二人共?」

「あぁぁ……」

「うぁぁ……」

 シカクとレイナの身体がふらつきだした。

「ど、どうした……ふたりと」

「あぅ……」

「うぅ……」

 二人の身体がバタンッと倒れた。

「ッ!?」

 豪真の顔がギョッとした。

「だ、大丈夫か、二人共!?」

 倒れた二人に豪真は慌てて額に手を当てた。

「熱はない……けど」

「はぁ……はぁ……♪」

「ふぅ……ふぅ……♪」

 どこか艶っぽい声を出し息を喘がせるシカクとレイナに豪真は喉をゴクリと鳴らした。

「って、そうじゃない!」

 二人を肩に担いだ。

「あ、軽い……」

 また首を振った。

「そうじゃなく、二人を保健室へ!」

 豪真は慌てて二人を抱え、学校の中へと入っていった。

 

 

 保健室。

 保健室に駆け込むと一人の美少女が楽しそうにクスクスと笑っていた。

「過労ねぇ……♪」

 楽しそうに笑う美少女に豪真は目をパチパチさせた。

「わ、若い保険医ですね?」

「あらぁん♪」

 少女はニッコリ笑った。

「私は保険医じゃないわよ……」

 ウィンクした。

「似たことはしてるけどぉ♪」

「は、はぁ……」

 少女の視線が豪真を見上げるように上を向いた。

「ちょっと欲情した?」

 服の上からもわかる程の大きな胸がタプンと揺れ、豪真は顔を真っ赤にした。

(ふ、二人よりデカイ……)

 少女はニパァと笑った。

「二人は私が見てるからアナタはしばらく席を外してくれないかしらぁ……♪」

 ニッコリ笑った。

「服とか脱がないといけない場合もあるから♪」

「……」

 豪真は慌てて背を向けた。

「じゃ、じゃ、すこし席を外します!」

「二人の様子が快方に向かったら知らせるから♪」

「あ、あぁ……」

 豪真は慌てて部屋を出ていった。

 

 

 廊下。

 廊下に出ると豪真は保健室のドアお前で腕を組んだ。

「勢いで外に出たがどうするかなぁ?」

 時計を見るとよく見るともう午後を過ぎていた。

「時間の流れ早いなぁ……」

 頭の後ろを掻いた。

「入学式は終わってるし、二人が目覚めるまでしばらく学校をぶらぶらするか?」

 あてもなく豪真は廊下を歩いていった。

 

 

 屋上。

 屋上の扉をゆっくり開けた。

「太陽の日差しまぶし……!」

 最近の学校には珍しい開放された屋上に来ると豪真は光り輝く太陽の空を見上げた。

「いい空だなぁ……」

「あ……?」

 屋上の扉が開いた。

「うん?」

 屋上の扉らから入ってきた少女に豪真は首を傾げた。

「君は……?」

 扉をくぐった少女はあっけらかんと答えた。

「先客がいたのか?」

 豪真に近き、少女はニッと笑った。

「お前、新入生か?」

 少女は子供のようにクルリと回転し、豪真の目を見た。

「屋上ってなにかワクワクするな!」

「そ、そうか……」

「そうだ!」

 スッと手を差し伸べられた。

「私の名前は五十嵐遊だ!」

「あ、ああ……一ノ瀬豪真だ!」

 ギュッと手を握った。

「……」

「うん、どうした?」

 握った手を見て、豪真はふふっと笑った。

「いや、小さくって可愛い手だなと思ってな!」

「か、可愛い!?」

 ボッと顔を赤くする遊に豪真はニコッと笑った。

「うん! 小さくって温かくって女の子の手って本当に可愛いよね!」

「こ、ここここここ……」

「ニワトリ?」

「このセクハラ魔!」

「おわぁ!?」

 腕を掴まれ視界が反転した。

「おわぁぁぁぁぁ……!?」

 豪魔の身体が背中から床に叩きつけられた。

「いってぇぇ……」

「このバカ、セクハラ!」

 逃げるように遊は屋上の扉を開けた。

「ほら、礼金代わりだ!」

 絆創膏を投げ渡した。

「……」

 投げ渡された絆創膏を見て、豪真はとりあえず膝小僧に張った。

 

 

 教室。

 一年一組の教室に入ると豪真は首を左右に振った。

「ここが俺のこれから通う教室か……?」

 どこの学校も教室は同じだなと豪魔はうんうんと頷いた。

「なにをしてるんだ、お前は?」

「え……?」

 後ろから声をかけられた。

「え、誰、君?」

 少し長身の少女が得意げに笑いながら腕を組んだ。

「人に名前を聞くときは自分からだろう?」

「あ、ご、ごめん……」

 慌てて姿勢を正した。

「お、俺の名前は一ノ瀬豪真……親しい友人からは豪と呼ばれている」

「豪か……いい名前だ!」

 少女も満足げに頷いた。

「私の名前は零王白夜。ビャクでも白夜でも好きに呼んでくれ!」

「じゃあ、白夜で……君もこのクラスなの?」

「君もこのクラス……」

 白夜はおかしそうに笑った。

「私は二年生だ! 今になって、教室に入るやつを見かけてな。興味半分で声をかけただけだ!」

「え、先輩なの!?」

 さらに慌てて背筋を伸ばした。

「た、タメ口で、す、すみません!」

 白夜の顔が綻んだ。

「気にするな!」

 豪快に笑った。

「そういう謙虚な部分は好感が持てるぞ!」

「謙虚ですかねぇ……?」

「ああ、私はそう思うぞ!」

「そういう先輩は可愛いですね!」

「ッ……」

 白夜の顔が真っ赤になった。

「な、なにをいきなり言ってるんだ!?」

「いや、素直な感想を述べたつもりです。顔は可愛いし……」

「か、かおは……」

 ガクンッと頭が下がった。

「この男ビッチが……」

「え……?」

 背を向け去っていく白夜を見送り、豪真は首を傾げた。

「……?」

 

 

 靴箱前。

 靴箱の前で豪真は腕時計を見た。

「帰るには二人の回復を待つしかないか……」

 見たい番組があるなぁ考えていると……

「あれあれぇ……♪」

 背中からおどけた声が届いた。

「こんな時間まで学校にいる悪い子ちゃんは誰かにゃあ?」

「え……?」

 振り返ると小柄のツインテールの少女が顔をニヤニヤさせていた。

「あれあれぇ……結構な美少年なことでぇ♪」

 ニパァと笑う少女に豪真は戸惑った。

「き、君は……?」

「誰だ君はってか……?」

 ケラケラ笑った。

「あ〜〜……おかしい♪」

 ツボにハマッたように笑う少女に豪真は冷や汗をかいた。

(な、なんだ、この娘は……?)

「私は君と同じクラスになった四神白虎だよ!」

「びゃ、びゃっこ……い、勇ましい名前だな?」

「結構気に入ってるんだ!」

 ニコッと笑った。

「聞いたよ聞いたよぉ……」

 踊るように近づいた。

「入学式前に女の子二人を保健室送りにしたっていう話ぃ♪」

「含みのある言い方早めてくれ……」

「可愛い女の子を二人も倒すなんて……よ、この女殺し!」

「お、女殺しって……」

 アハハと乾いた笑いを浮かべた。

「まぁ、冗談は置いといて……」

 白虎は手を差し伸べた。

「一応、君とは隣の席だからこれからよろしくね!」

「あ、ああ……」

 差し伸べられた手をギュッと握った。

「一年間、よろしくな。俺の名前は一ノ瀬豪真。君と変わらない厳つい名前だろう!」

「そうだね! お互い厳つい物同士、仲良くやろう!」

 ふふっと笑いあった。

「でも、白虎って名前が綺麗なだけあって顔も可愛いよな!」

「え……?」

 ボッと赤くなった。

「名は体を表すというけどこの場合、白虎の美しさが体になったって感じだな!」

「ッ……!?」

「どうした、顔が赤いけど……?」

「そ、そんなこと言われたの始めただにゃぁ……」

 蕩けたように白虎の顔が緩んだ。

 豪真は意外な顔をした。

「みんな普通に思うと思うぞ!」

「ふふふふふつう!?」

 さらに顔を赤くする白虎に豪真はふふっと笑った。

「テレた顔も可愛いな!」

「こ、この垂らし!」

 頭上にチョップされた。

「……?」

「このバァカ!」

 白虎は逃げるようにあっかんべーした。

「……?」

 訳がわからず豪真は小首を傾げた。

 

 

 靴箱前。

 携帯電話のアラームが鳴った。

「うん?」

 携帯電話の着信をオンにした。

「もしもし?」

『ご機嫌よぉ〜〜……♪』

 気の抜けた色っぽい声が流れた。

「二人が目を覚ましたから私達の愛の巣に戻ってきてもいいわよぉん♪』

「愛の巣?」

 首を傾げた。

「愛なんていう鳥いましたっけ?」

『保健室に来てちょうだい!』

 一方的に切られた。

「愛の巣って保健室のことだったのか」

 携帯電話をポケットに入れ直した。

「医学用語かな?」

 

 

 保健室。

 保健室に戻ると教室であった少女が待ち受けていた。

「よく来たな!」

「え……?」

 豪真は目をキョトンッとさせた。

「白夜先輩……なんで、こんなところに?」

「私が呼んだのよん♪」

 自分を呼び戻した少女に豪真は言葉を詰まらせた。

「あ、えっと……?」

 少女も気付いたように笑った。

「零王零魔よ……こっちの白夜とは双子なのぉん♪」

「ど、どうも……」

 白夜に頭を下げ、豪真はベッドで寝ている二人を見た。

「二人共、元気そうだな……」

 ベッドで寝ていたシカクとレイナの顔が慌てて背けられた。

「あ、ああ……」

「え、ええ……」

 顔を赤くする二人に豪真は首を傾げた。

「どうしたんだ、お前達?」

 零魔の顔がいやらしく緩んだ。

「二人ともテレてるのよぉ……♪」

 ムフフと笑った。

「すごく大事な存在になれたからぁ♪」

「大事な存在?」

 さらに首を傾げる豪真に白夜が話しかけた。

「お前は「ワルキューレエナジー」という言葉を知っているか?」

「え、ま、まぁ……名前程度は」

 ワルキューレエナジー。

 思春期の少女に起こる神秘的な力、神にも等しい力を持つと言われる奇跡の力。

 人はそれを「ワルキューレ」と呼ぶ。

 白夜の顔がニヒルに緩んだ。

「彼女たちはワルキューレとして覚醒したんだ!」

「へ、へぇ、それはすごいな!」

 純粋に感心したように豪真は顔を赤くしている二人を見た。

「ってことは二人共、ワルキューレカップに参加するのか?」

 「ワルキューレカップ」。

 ワルキューレエナジーに覚醒した少女達が戦う戦闘甲子園。

 数多くの「ワルキューレスキル」を持つ少女達の力を借りた少年が肉薄としたバトルを行い、今、もっとも人気を集めるスポーツであった。

「……」

「……」

 ベッドでテレているシカクとレイナに白夜は豪真を指差した。

「なにを他人事みたいに! 貴様もワルキューレカップに出るんだよ!」

「え……?」

 キョトンッとする豪真に零魔はクスクスと笑った。

「知ってると思うけど、ワルキューレエナジーはワルキューレエナジーを吸収できるワルキューレスキルマスターがいないと発動できないの」

「え、ええ、存じてます!」

 差し詰め女の子は弾丸の弾、男の子は弾丸を撃つ拳銃。

 そう例えられることも多いのワルキューレの特徴であった。

 零魔はクスクスと笑いながら豪真を見た。

「そのスキルマスターにアナタが選ばれたのよぉん♪」

「お、おれがぁ!?」

 ワルキューレエナジーを唯一受け取り、使える能力者をワルキューレスキルマスターと呼ばれる。

「不思議なことはない!」

 白夜が腰に手を当てた。

「ワルキューレエナジーは思春期の淡い想いが覚醒の切り札になる!」

「淡い想い……?」

 ベッドの二人を見た。

「淡い想いってな……に?」

「そ、それはもちろん……」

 レイナが恥ずかしそうに赤くなった。

「も、もちろん……」

 シカクも顔を赤らめ、指をモジモジさせた。

「なにか恥ずかしいことなのか……?」

 不思議そうに首を傾げる豪魔に零魔がおかしそうに笑った。

「青春っていいわねぇん♪」

 白夜の拳が零魔の頭上に落ちた。

「お前はもうちょっと緊張を持て!」

 白夜は呆れた顔をして、豪真を見た。

「スキルマスターの覚醒時は適合するワルキューレと接触しただけで急激にエネルギーを吸って女の子を気絶させてしまうんだ」

「エネルギーを吸うって……?」

 手を見て思い出したように豪魔はシカクとレイナの柔らかくも大きな胸の感触に手をワキワキさせた。

「豪のエッチ!」

「豪真さんのハレンチ!」

「ご、ごめん!」

 慌てて拳を握りしめた。

 白夜は楽しそうにクスクスと笑った。

「ようするに彼女達のワルキューレスキルを発動させられる唯一の少年となったんだ、お前は!」

「お、おれが……?」

 実感の篭ってない顔をする豪真にレイナの声がかかった。

「ま、まぁ、豪真さんと私の相性はバッチリってことでいいじゃないですか! いつか、こういう日が来るのはわかってましたし……♪」

「わかってた……?」

 キョトンとした顔で首を傾げた。

「まぁ、実感のわかないのは仕方ない」

 白夜は話を進めるように豪真を見た。

「それよりもワルキューレの力がどう使えるかチェックしたい!」

 白夜は三人に綺麗に装飾された腕輪を渡した。

「それを装着しろ」

「これって、ワルキューレリング?」

 レイナは不思議そうに首を傾げた。

「それを使えばワルキューレリンクできるわよ」

 「ワルキューレリンク」。

 ワルキューレとスキルマスターが力を使う際、意識と力が同調する現象。

 普段は手や身体の一部に触らなければ熾きない現象だがこのリングを通すことで遠隔的にワルキューレリンクを可能にすることが出来る。

「それをつけて校庭に集合だ!」

「もう準備は済んでるから死ぬ気で取り掛かってね……」

 零魔の顔がおかしそうに笑った。

「死にたくなかったらねぇ……♪」

「ッ……」

 豪魔の背筋がぶるっと寒気を覚えた。

 

 

 校庭。

 校庭で五人が集まると白夜は後ろに立つ豪魔、シカク、レイナにいった。

「まずはリンクしてもらおう。腕輪をはめた状態でお互いの手を握れ!」

「……?」

 豪真は一度、リングを見て、シカクの前に立った。

「じゃあ、最初はシカクから……」

「あ、ああ!」

 シカクは嬉しそうに頬を染めた。

「むぅ〜〜……」

 レイナの顔が面白くなさそうにぶすっとした。

「なんで、ワタクシよりも先にシカクさんと握手を……」

「幼馴染の差だ!」

 シカクの顔が得意げに微笑んだ。

「くぅ〜〜……♪」

 レイナの視線が敵意の篭った目になった。

 豪真の顔が不思議そうに呆けた。

「普通に近かったからシカクを選んだんだが……」

「ああ、そうかよ……!」

 シカクの頬が餅のように膨らんだ。

「じゃあ、握手!」

 シカクと豪真の手がギュッと握られた。

「ッ……!?」

 手を握った瞬間、豪真とシカクの顔が真っ赤になった。

(なんだ、この感覚……!?)

 手をチューブにしたようにシカクの手からまるで温かいお湯でも流されるような気持ちのいい感覚が広がり、豪真はドキドキした。

「す、すごいぃ……」

 シカクもウットリしたように顔がいろっぽく紅潮した。

「き、きもちいいぃ……」

 口の端に涎を垂らし蕩けた顔をするシカクに零魔の顔がニヤけた。

「ワルキューレリンクってお互いの身体が繋がったようなものだから、リンクしてる間って、とっても気持ちがいいのよねぇ♪」

「い、いぐぅ……♪」

 手をギュッと握りしめ、シカクは快感の最高潮に達しそうに目を泳がせた。

「あぁぁぁ……」

 大粒の涙が流れた瞬間、シカクの身体が強く強張った。

「いっぐぅ……」

「もう、繋ぎすぎですわよ!」

「あ……?」

 快感が頂点に達する瞬間、シカクの身体がレイナの手よって突き飛ばされた。

「あ……♪」

 突き飛ばされたシカクはどこか恍惚とした顔で身体をビクンビクンと痙攣させていた。

「だ、だめだぁ……これはひとをだめにするぅ……♪」

 身体を何度も捻り、シカクは欲に溺れた顔で喘いだ。

「……」

 その見るものを堕落させるうような笑みにレインあも羨ましそうに喉を鳴らした。

「つ、次はワタクシですわね!」

 まるで奪うようにレイナは豪真の手を握り、ギュッと力を込めた。

「ッッッッッッ!?」

 その瞬間、レイナの身体から脊髄までまるで心地よい電流が流れたような強い快感がよぎった。

「あぁぁぁぁ♪」

 豪真の手から伝わる快感の素晴らしさにレイナも目を剥き、身体をしならせ大きな胸をぷるんっと揺らした。

「さいこーですわぁ〜〜……♪」

 レイナも恍惚とした欲に溺れた顔で豪真を見た。

「これは癖になりますわぁ……♪」

「そ、そうか……」

「も、もうこれなしではいきられませんことよぉ……♪」

 空いた手で身体を揉むとレイナは大きく口を開け、涎を垂らした。

「いっぐぅ……♪」

 ウットリした顔をするレイナに豪真も堪えられない顔で手を離した。

「あぁ……」

 レイナの顔がお預けを食らった犬のように蕩けたようなものになった。

「手を離しちゃいやですわぁ……」

「ご、ごめん、オレも限界……」

 手を離し、豪真も鼻を押さえた。

「ご、豪真さん?」

 レイナは慌てた。

「は、鼻血?」

「豪!」

 鼻血を流し蹲る豪真を見て、ようやく意識を取り戻したシカクも起き上がった。

 零魔がおかしそうに笑った。

「これもリンクしたばっかりのスキルマスターに起きやすい現象なのよねぇ♪」

 白夜も苦笑いした。

「リンクの同調率が高いと力を受け入れる側って軽く力がオーバーフローしてこういうことになるんだよなぁ」

「私もワルキューレならその感覚を味わえるのに残念だわぁん♪」

 アハハと笑う二人に顔を赤くしたシカクが怒鳴った。

「わかってるなら注意してくれ!」

「注意しなくっても結果は同じだから、問題ないわよぉ♪」

 あっけらかんと零魔は笑った。

「あのねぇ……」

「あ、鼻血止まった……」

 ようやく回復したのか豪真も立ち上がった。

「……?」

「どうした、豪?」

 急に黙りだす豪真にシカクは心配そうに顔を覗き込んば。

「いや……じつは」

 身体の中から溢れる温かいお湯のような優しい力を全身に感じ、豪真は手を開いたり握ったりを繰り返した。

「これがワルキューレエナジーなのか? まるで適温の温泉に浸かってるような気持ちよさだ……」

 白夜は腕を組んだ。

「癖になるだろう」

「え、あ……その」

 言葉に困る豪真に白夜はニヤッと笑った。

「どういった力が入ったかはお前がもう自分で気付いてる。後は実践訓練で行くぞ!」

「え……?」

 振り返った瞬間、豪真の身体に硬い無機質の物体がぶつかり吹き飛ばされた。

「豪!?」

「豪真さん!?」

 豪真の身体が校庭の硬い大地にぶつかると、シカクとレイナの顔が強張った。

 零魔の顔が愉快そうに微笑まれた。

「どぉう? 訓練用に作った自立思考型ロボット、その名も「訓練君」よ!」

「うぐぅ……!?」

 人の形をしたロボットに組み伏せがれ、豪真は慌てて叫んだ。

「いきなりなにをするんだ!」

 白夜の怒声が返った。

「そいつを倒してみせろ。それが出来なければワルキューレカップに参加できるとは思うな!」

 白夜の言葉に豪真は大声で叫んだ。

「無茶苦茶な……!」

「無茶じゃないわよ……」

 零魔が失笑が聞こえた。

「今のアナタは二人分のエネルギーを身体に内包した超人になったんだからそれくらいたいしたことないわよぉ♪」

「こ、このぉ……!」

 身体を押さえつけるロボット・訓練君に豪真は腕を掴んだ。

「この鉄くずが!」

 豪真の目の色が変わった。

「ウグッ……!?」

 その瞬間、シカクの身体に強い快感に似た痛みが走った。

「こ、これは……?」

 もっと感じていたいほど心地の良い痛みにシカクの顔が恍惚と緩んだ。

「あぁぁぁ……♪」

 シカクの顔が緩むのも気づかず、豪真は手に掴んだ訓練君を持ち上げた。

「このオレをバカにするなぁぁあぁぁぁっ!」

「ッ……!?」

 シカクの身体の脳天から下までやりに貫かれたような激痛にも似た快感が突き抜けた。

「ひぁぁぁぁぁぁ♪」

 シカクの悲鳴と同時に訓練君の身体が空中に投げ飛ばされた。

「ッ!」

 瞬間、豪真の身体が光とともに消え、投げ飛ばされた訓練君の頭上へと現れた。

「はやいな……」

 白夜の顔がニヤッと笑った。

「くたばれぇ!」

 空中で止まった訓練君の身体を地面に向かって殴り飛ばした。

「あぁぁぁぁぁ♪」

 その瞬間、シカクの右拳から痛くも気持ちのいい快感が生まれた。

「ま、またいぐぅ……♪」

 もう自分がなにがなんだかわからないほどシカクは欲望に溺れた牝の顔をした。

「だめになるぅ……♪」

 喘ぎ声を出すシカクを無視し、訓練君の身体が校庭の地面にぶつかり、大きなクレーターを作った。

「はぁぁ……」

 深く息を吐くシカクに空中に飛んだ豪真の手が上がった。

「終わりだ!」

「ッ……!?」

 今度はレイナの顔が真っ赤になった。

「こ、これはぁ……♪」

 レイナの口から喘ぎ声が漏れた。

「一撃必殺……」

 天空で光の球を作った豪真の手が野球ボールでも投げるように振り下ろされた。

「栄光の光道!」

「ひぁぁぁぁぁぁぁぁぁ♪」

 レイナの身体に強すぎるほどの痛みを伴う快感が襲いかかった。

「いっちゃますうううぅぅうぅぅぅ♪」

 クレーターのに光の球が入り込み爆発したような強い光が広がった。

「きゃぁぁあぁぁぁっ♪」

「あぁぁあぁぁぁぁっ♪」

 シカクとレイナの身体に電流が流れるような神経を焦がすような痛みが快感となって襲いかかった。

「……」

 豪真が地面に着地するとホッと息を吐いた。

「うん……?」

 豪真は驚いた顔をした。

「おい、二人共……!?」

 今になって豪真は涎を垂らし身体をビクンビクンと痙攣させて倒れるシカクとレイナを認めた。

「大丈夫か、二人共!?」

 慌てて倒れている二人のもとに駆けつけた。

「なんか……すごく幸せそうな顔だねぇ?」

 目を色っぽく潤ませ息をハァハァ吐く二人に豪真は探す言葉を探した。

「はぁ……はぁ……♪」

「ふぅ……ふぅ……♪」

 喘ぐように眠りに入る二人に豪真は訳がわからず首を傾げた。

「これは、いったい……?」

「実はねぇん♪」

 零魔の顔がいやらしく笑った。

「ワルキューレスキルを使われると強いエクスタシーが激痛のように強く感じられるのよねぇ♪」

「げ、げきつう……?」

 顔を真っ青にする豪真に倒れているシカクが手を伸ばした。

「も、もうすこし、くんれんしないか……?」

 レイナも必死に手を伸ばし欲望で霞んだ目を豪真に向けた。

「わ、わたくしもまた、あのかんかくをあじわいたいですわぁ……♪」

「お、おまえたち……しょうきか?」

 呆れながら豪真は倒れている二人の身体を抱き上げた。

「あぁぁぁ♪」

「ひぁぁぁぁ♪」

 身体を持ち上げられるだけでシカクとレイナは軽く達したように嬉しそうな声を上げた。

「なんか、いやだ……」

 自分が原因だと思うとなんだか泣けてくる豪真だった。

 

 

 ワルキューレ寮。

「いっらしゃ〜〜い、ここが我がワルキューレ学園専属寮・ワルキューレ寮よん♪」

「……」

 シカクとレイナを抱えながら、自分達を迎え入れてくれた零王零魔の姿に豪魔は目を瞬かせた。

「いつの間にオレより先に……」

 零魔はチッチッチッと指を振った。

「今日からここがアナタ達の新居よん♪ 不便があったら私になんでも言ってね、私、ここの寮長だからぁ♪」

「りょ、りょうちょう……?」

 嫌な顔をする豪魔に零魔はふふっと笑った。

「これから公私に渡ってお願いね、豪真くん……♪」

 ウィンクする零魔に豪真はこれからの学園生活が大変だと疲れた顔をした。

説明
オリジナルバトル小説です!
成人小説で培った技術を一部使っているのでスーサンらしい下衆な内容です。
変態が嫌いな方は読むのを注意してください。

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良ければ読んでください!
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