17話「音を立てて崩れ去る」 |
哨戒に出ていたドゥルの黒い軍艦が帝都の港に帰りつく。兵達が港に整列している。金属を纏った足音と共に船から下りてきたのは黒い甲冑に身を包んだ皇子クルティスだった。用意されていた馬車に無言のまま乗り込むとやがて馬車は港を出発した。
「ねぇ見てママ!あの馬車!!」
大都市を通る馬車を見ながら1人の少女がはしゃぎ出す。
「飛び出さないの。危ないわよ」
少女の若い母親が娘の肩を優しくつかみ下がるよう促す。
「うん、わたしね、知ってるんだよ!あの馬車にはね、クルティスさまが乗ってるの!」
馬車には窓はついていなかったが少女には見慣れた馬車だった。
「そうね、クルティス様は偉いわね。病床に伏せっておられるラインホルト陛下の代わりに本当によく働いて下さる…私達がこうして平和にいられるのもあの方のお陰だものね」
「うん!わたしも大きくなったらお城でお仕事したいな!クルティスさまのためにがんばるの!」
微笑ましい会話の親子の前を馬車がゆっくりと過ぎ去っていく。帝都は平和そのものだった。野菜や魚の叩き売り、リュートで美しい音色を奏でる吟遊詩人、楽しそうに世間話をする主婦達。町の賑わいは留まる事を知らなかった。
クルティスを乗せた馬車はドゥル城にたどり着いた。ここでもやはり兵達が整列し我が君主を敬礼で迎えた。
馬車を下り、クルティスは城内に入りそのまま謁見の間へと向かう。そこで見たものは巨大な黒い扉だった。
「クローチェ…これは一体どういう事だ?」
その横に立つクローチェがにやりと笑う。
「ご存知でしょう。マルクとルピア、クローナが同盟を結んでこの帝都に攻めて来るという情報は…」
「ああ。だが何故『ここ』にゲートを呼び出すのかと聞いているのだ」
「クルティス様、奴らを迎撃するのはこのゲートを完全に開いてより強い軍隊を作らなくてはなりません」
「それをここでする必要があるのかという話をしているんだ!!!」
真意を露にしないクローチェにクルティスは苛立ちを覚える。
「確かに完全に開けばより強力な奴らを呼び出せる…だが同時にゲートを閉じる事は不可能となりこんな所でそんな真似をすれば城の者達や民にも被害が及ぶ!!!!!」
「クッ…クククク……」
クローチェが静かに笑い出す。
「クルティス様…今までありがとうございました。私の狙い通りに動いて下さった事…本当に感謝しております」
「何…!?」
完全に想定外の事態にただ呆然と立ち尽くすしかないクルティスをあざ笑うかのようにクローチェは続けた。
「もう『様』などつけて呼ぶのはやめましょう。お前は私をいいように利用していると思っていただろう?だが実際はその逆、お前は私の掌で踊らされていただけだったのだよ…この国を我々『悪魔』の拠点にするためにな!!」
「あく…ま……」
「ああ、せっかくだから教えてやろう。お前が病だと思っているものはただの『代償』だ。悪魔の力を使うのだから当然その代償として命は削られていく…お前が皇帝の前で血を吐いた時、頃合だと思った。この国をいただく頃合だとな!!」
「待て…俺はお前が現れる前から…」
吐血にまでは至らなかったものの、クルティスはクローチェが現れた12年前より以前に身体が弱く咳も頻繁に出ていていつも戦闘特訓や帝王学の座学などで無理をしては発熱したり倒れたりしていた。
「お前はただ身体が弱いだけで原因不明の病など一切患ってはいなかった。私が悪魔の力を与えその代償を病だと思い込んでいただけだったのだよ!!…そんな事はどうでもいいか。もうお前は用済みなので『それ』は返してもらおうか」
クローチェが右手を振り上げるた途端、クルティスの全身からどす黒い煙のようなものがその身体から吸い出されるように現れクローチェの右手に集まり吸収されるように消えていった。
「…!!!」
突如、クルティスは手足に鉛をつけられたように身体が重くなりその場に四つん這いの姿勢で崩れた。
「さぁ…悪魔達よ、宴を始めようではないか!!!!この愚かな皇子とドゥルの民の絶叫のオーケストラと共に!!!」
クローチェの横にそびえる扉がゆっくりと開きだし、中から黒い魔物達『悪魔』が次々と飛び出す。
「やめ…ろ……今すぐ………ゲートを……!!!」
扉から出て来るのは悪魔だけではなかった。暗い紫色の邪悪な…ガス状の気体が同時に漂う。その気体を吸い込んだでいか、クルティスは息さえも苦しくなっていた。
「もう遅い…さぁ、狭いゲートの中の世界から解き放たれよ!!!!!」
扉―『ハデス・ゲート』は完全に開き、飛び出す悪魔は留まる事を知らない。
俺ガ破滅ヘ追イヤッタ…国ヲ守リタイ…ソノ一心ガ全テヲ……。
クルティスは目の前の地獄のような光景をぼんやり見ているばかりだった。今まで積み上げてきたものが音を立てて崩れるのを…崩れる?いや、まだ完全に崩れてはいない!!!!
「うッ…ゴホッ、ゲホッ…」
こんな所で放けている暇はない。1人でも多くの部下を、1人でも多くの民を救わなければ。クルティスは血と共に出る咳を押さえながら紫色の気体が充満する謁見の間を飛び出した。
帝都の町は既に惨劇だった。悪魔達は人間を容赦なく襲う。老若男女関係なく。
「うっ…うわああああああ!!!!」
「何だこいつら!!!!」
「助けて!!!!」
次々と悪魔に殺さていく人々。
「民を守れ!!!!!!!1人でも多く帝都の外へ逃がすんだ!!!!!!!」
クルティスは黒い自分の愛馬にまたがり兵達に指示を与え、自らは民を襲う悪魔相手に槍を振るい続けた。
ガイ達を乗せたクルセイドの船はやがてドゥル帝都の遥か西側の海岸に横付けされた。
「ねぇ…東の空が暗いと思わない?」
レイナがこの場所から遥か東、ドゥルのある空を指差す。雲が黒いのかまだ昼間だというのにその空だけが暗かった。
「雷雲でしょうか…?」
同じく東の空を見上げながら眉間に皺を寄せるのはケインだった。
「何だろ…すっげぇ嫌な感じだ……」
ジェリーダが俯きながら呟く。必要以上の不安が胸を過ぎってしまう。
「どういう事だろーねぇ…」
呑気そうな口調のガイだったが異様な暗さの空を警戒気味に凝視していた。
「ここを進めばドゥル帝都の前にシェケルって廃墟の村があるんだ。まずはそこに陣営を張ってだな…」
デューマが説明している間にガイ達4人は東に向かって歩き出した。
「おい、どこ行くんだよ!!!」
「どこって…そのシェケルって村だよ」
ガイが普通に言葉を返す。
「すみません…でもドゥルで何かが起きているなら…」
と言ってケインが視線を向ける相手は不安に身体を震えさせるジェリーダだった。
「ユーリスが危ないかもしれねーじゃん!!!!」
「…デューマ、許しましょう。私達の出発には時間がかかります。先にガイさん達に先行していただきましょう」
リズの説得にデューマは渋々ながら首を縦に振った。
「わかったわかった。本来リーダーを敵地に先行させるのは得策じゃねぇんだが…止めても無駄だろうしな」
ため息をつくデューマをものともせず、4人はただひたすら東へ走った。
通称『滅びの村』シェケル。何年も前に魔物の襲撃を受けて住む人間は1人もいない…筈だった。実際建物は壁しか残っていないものや既に瓦礫でしかないもの、原型を止めているものですら壁や屋根にいくつもの穴が空いてしまっている。
しかし人はいた。それも1人や2人ではない。多くの傷ついた者ばかりだった。老若男女関係なく、傷の形も様々。中には既に息を引き取っていてその傍で泣いている者も。
「こりゃあ一体……」
唖然と周囲を見回すガイ達。
「もう終わりだ……」
「皆死ぬんだ…」
「助けて神様…神様…!!」
周囲の人々からは絶望の言葉しか出てこなかったが、原型を留めている建物から少女の叫び声が。
「しっかりして下さい!!大丈夫、大丈夫ですから!!」
「この声…!!!」
声に強い反応を示したジェリーダはその建物まで駆け寄り中へと入って行った。
「聞き覚えがあるぜ」
「私もよ」
そしてガイ、レイナとそこへ続き、1人取り残さされたケインも慌てて彼らを追った。
中もまた荒らされた状態だった。家具は壊れベッドもあるが布団は埃がかぶっていてズタズタに引き裂かれている。怪我人が何人も横たわり、その中でジェリーダは必死に魔法で治療を続ける少女を見つけた。
「傷はわたくしが治しますわ!!」
「ユー……リス……」
振り返る銀髪をツインテールにまとめエメラルドグリーンのワンピースを纏った少女―ユーリス。彼女もまたジェリーダに気付くとまるで信じられないものを見るような驚きの表情を見せた。しかし我に返るに連れて2人はその大きな瞳に涙をためる。
「ユーリス…お前無事で……!!」
「うっ…うううっ…ジェリーダさまああああっ!!!!」
ユーリスは目にためていた涙を流し号泣しながら駆け寄りジェリーダに抱きついた。
「よかった…!お前…無事だったんだな…!!」
「ぞれはわだくじの台詞でずぅ〜!!!」
お互いの無事を喜び合いながら抱きしめ合う2人。その様子を追いついたガイ、レイナ、ケインの3人が安堵の表情で見守っていた。
そんな感動もつかの間、ガイ達はこの状況をまだ把握しておらず、それをユーリスに確認するしかなかった。
「わたくしにもよくわかりませんわ…突然あの黒い魔物が現れて皇子クルティスが幽閉していたわたくしをお城から連れ出してただ『逃げろ』とだけ…」
ユーリスの視点から話せる事はこのくらいだった。実際城内で行われていた事を知る者はこの中にはいなかった。
「それで、クルティス皇子は?」
レイナが尋ねるとユーリスは一瞬だけ彼女を睨みつけるがすぐに表情を戻し首を横に振った。
「わかりません…でも右手に槍を持っていました。多分魔物と戦っているんじゃないかと…」
「ぜったいそうだよ!!!」
向かい合う5人に向けてかけられる声。振り返るとその先にいたのは幼い少女だった。その傍らには彼女の若い母親の姿もある。
「あの魔物が何者なのかは私達もわかりません…お城から突然大量に飛び出して来て…」
母親が代わりに答えるとガイ達はお互いに顔を見合わせた。
「クルティス様は私達を逃がすためにあの魔物と戦って下さっています。恐らくお1人で…」
「1人…ですか?兵達もいると思いますが…」
ケインが首を傾げると母親は悲しげに首を横に振った。
「兵士の方々は私達力を持たない民をここへ誘導するために動いて下さいました。聞けばそれがクルティス様のご指示だったと…」
「おねがいおにいちゃん達!クルティスさまを助けて!!」
「た…助ける?」
間の抜けた声で聞き返すガイ。
「本当ならこの子に『無茶を言うな』と叱るべきなのでしょう…ですが私からもお願いします!!!クルティス様はドゥルにはなくてはならないお方…いくら強いからと言ってもお1人であんな数の魔物を相手になどできる筈はありません…どうかあのお方をお救い下さい…!!」
「おねがい!!クルティスさまがしんじゃったらいやだよ…!!」
ついには土下座までしていまう親子。少女に至ってはついに泣き出してしまう始末だ。
「自国の民には優しい皇子…という噂は本当だったようね」
この状況下、レイナだけは嫌に落ち着き払っていた。
「あーもう…こちとら想定外の事態に混乱してんのに輪ぁかけやがって…」
ガイはめんどくさそうに後頭部を掻きながら建物の外へ出ようとするが、その腕をレイナが掴んで引き止めた。
「ちょっと、本当に行くつもりなの!?ここはデューマ達と合流してから手筈を整えて…」
「そんなの待ってたらあのクソ皇子、地獄行きだぜ?俺としちゃあそれでも構わねぇが子供に泣かれたんじゃ面通りの悪人にされちまう」
「…ガイが行くなら俺も行く!!」
ジェリーダが右手の拳を胸に当てながらガイの顔を見上げる。
「ちょっと…ジェリーダ貴方まで……!!」
「俺も行きます!!クルティス皇子が本当に悪い人間じゃないのなら放っておけません!!」
「ケインも!?」
男子3人の決意は堅い、レイナはそう判断し観念したようだ。
「まったく…これじゃ私1人が悪者みたいじゃない。わかったわ、行きましょう」
「あの…わたくしも……」
ユーリスが言いかけるとジェリーダは彼女の前に腕を伸ばして制止した。
「お前はダメだ」
「そんなっ…どうして…!!」
「お前まで出て行ったら誰がここで怪我してる奴治すんだよ?まだまだたくさんいるんだろ?」
「でも……」
心配そうにしているユーリスの頭をジェリーダは優しく撫でた。
「安心しな。俺はこいつらのお陰で何度も命拾いした。こいつらを信じてるんだ。だからお前も…信じてやってくれ。それにお前だからここを任せられるって思ってるんだぜ?」
ジェリーダが人懐こい笑顔を見せるとユーリスは使命感に燃え上がり出した。
「はいっ!!!ここはわたくしにお任せくださいっ!!!」
「あいつ…こんなに口上手かったっけ?」
ガイにとって、今のジェリーダが完全に別人に見えていたのだ。これも彼の成長の形なのだが。
「無理を言ってごめんなさい…クルティス様の事をお願いします」
少女の母親が4人に向かって再度頭を下げる。
「勘違いしないで下さいよ。あの皇子のためじゃない、あいつを大切に思ってるここの人間のためですから…アンタ達も含めてな」
ガイが言葉の最後と共に親子に向かって優しく微笑み少女の頭をそっと撫でる。
「よし、そんじゃひとっ走り行ってきますか!!」
4人はシェケルの東口から村を出ようとしたが、外から黒い馬が走って来るのが見えた。
「あれは…シュヴァルツ!!」
東口にいた兵士がその馬を指差す。
「しゅばるつ?」
ジェリーダは聞きなれない言葉に無数の疑問符を浮かべている間に立派な鞍のついた馬がこちらに駆け寄ってきた。全身傷だらけの馬だった。
「この馬、シュヴァルツはクルティス様の愛馬だ。彼だけでここに来たという事は……」
「こりゃ急いだ方がよさそーね」
黒い馬―シュヴァルツはジェリーダの治癒魔法により傷を回復され、このシェケルで保護された。
兵と民、関係なく死体が町の所々に転がっている。その中にはまだ年端もいかない子供のものまである。悪魔は町を徘徊し生存者を見つけてはひたすら襲うがまだ倒れていない者がいた。
「はぁ…はぁ…ゴホッ!!」
もうどれくらい悪魔を倒しただろう。以前のような力は出ず無我夢中で槍を振るってきた。そんなクルティスの体力はもう限界に達し始めていた。しかしその前に大きな、刃先の赤く染まった鎌を持った黒いローブを羽織りフードから赤く光る目を持つ者が現れる。まるで死神…クルティスにはそう見えた。
「死神…か……俺を連れて行こうというのか…まぁいい……」
生を諦めた筈だった。力を失い国を失い、今更生きるために抗った所で何の意味もない。その筈だった。しかしクルティスは槍を握ったまま目の前の悪魔(死神としておこう)と対峙している。
「断罪…断罪…」
鎌を持った死神が低く邪悪な声と共にゆっくりと近づく。
「断罪だと…ふざけるな…俺が貴様を断罪してくれる!!!」
クルティスは槍を前に突き出し死神にかかって行った。
「その鎌で俺の部下を何人殺した!!?逃げ惑う民を…何人殺したァ!!!!!?」
槍の切っ先が死神の腹に刺さろうとする寸前でその姿をふっと消した。
「!!!」
次の瞬間、死神はクルティスの背後に現れ、その鎌を振り上げた。
「ぐッ…!!」
間一髪、振り下ろされた鎌を槍で受け止めたクルティス。自分に力がなくなったのか、死神の力がありすぎるのか完全に押され鍔迫り合いにすらならない。
「断罪……」
死神が更に強く鎌を振り回すとクルティスは吹き飛ばされ、近くの民家の壁に背中から激突し、その場に崩れた。そして死神は容赦なく迫り来る。
「断罪…断罪……」
クルティスは民家の壁にもたれながらギリギリで意識を保っていた。今にも気を失ってしまいそうだがその右手はまだ槍を強く握っている。しかしこの隙の一切感じられない悪魔に反撃する力さえもう残ってはいなかった。
「終わる…のか……」
死神に殺される最期…恐らく自分に一番相応しい死に方なのだろう。クルティスは死を覚悟し、強く握った槍から手を放しゆっくりと目を閉じた。次第に自分に近づいてくる死神。このままゆっくりと眠ってしまおう、永遠に……。
ガキイイイイイィィィン!!!!!
次の瞬間に訪れたのはクルティスの最期ではなかった。その凄まじい音に閉じていた目をぱっと開くとそこには全く予期しなかった光景が広がっていた。
「何だこりゃあ…!?」
死神の振り下ろされた鎌を剣で受け止めるのはこんな所にいる筈はないと思っていたガイだった。彼らが鍔迫り合いを続けている後ろにはレイナ、ジェリーダ、ケインの姿もある。
「貴様ら……何故ここに………」
「だーッ!!こちとらクソ忙しいんだ!!話なら後にしやがれ!!!」
鍔迫り合いもガイが次第に押されている。
「こっちにもいますよ!」
死神の背後からケインが飛びかかると、死神はその鎌をひと振りし2人同時に吹き飛ばした。
「おっと!!」
「こいつ…とんでもない怪力だ…!」
ガイもケインもきれいに地面に着地する。
「だったら!!!」
レイナが空気を叩くように杖を振り下ろすと死神の頭上から雷が落ちてその黒い身体に直撃した。死神は黒い煙を立てながらも倒れる事はなかった。決して効いていないわけではないが致命傷にも至っていないようだ。そしてそのまま標的をレイナに変えて迫り来る。
「行くぞケイン!!」
「はいッ!!」
完全に死神の背後を取ったガイとケインは各々の武器を手に死神にかかって行き、2人で×の字を描くように死神を貫いた。
「やった!!!」
完全に攻撃が決まりそれを見ていただけのジェリーダがガッツポーズを取ると死神は黒い煙となり消滅した。
クルティスはこの4人に命を救われたという今の状況の飲み込みきれずただただ死神だった煙が上がっていくのを見守るばかりだった。しかし次第に我に返りガイの顔を睨みつける。
そうだ、こいつさえいなければ皇位は俺のものだった。こいつさえいなければこんな力に頼る事などなかった。こいつさえいなければ…そう思い直しガイへの憎しみは更に強固なものとなっていく。
「俺と戦えガイラルディア……」
もう残されたものはこれしかない。そんな思いを胸にクルティスは槍を再度手に取りふらふらと立ち上がる。
「何言ってんだよ、今そんな場合じゃ…」
「戦えと言っている!!!!!!!!!!!!!!!」
戸惑うガイの眼前にクルティスは槍を突きつけた。
「ガイ!!」
「危ない!!」
駆け寄ろうとするジェリーダとケインを制止するのはレイナだった。
「待って。今のクルティス皇子は完全に平静を失ってるわ。ガイと決着をつける事しか頭にないのよ」
「わかりましたよ…でもま、コイツは最低一発は殴りてぇしな!!」
ガイも腹を括り剣を前に突き出した。
「言っておくが俺は貴様を殺すつもりだ…」
クルティスの眼光はまるで獲物を狩る肉食獣の如く鋭い。兄弟の雌雄を決する戦いが今始まる。
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全回中一番作者的お気に入り&書きたかった話でクルティス回(笑) | ||
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