英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 戦争回避成功ルート |
〜ジュライロッジ〜
「な―――――」
「か、身体が透明に……!」
「一体何が起ころうとしているのよ……!?」
二人の姿を見たユーシスは絶句し、エリスとサラ教官は驚き
「―――”成仏”です。未練が無くなった事でようやく新たなる生を受ける為に今から”冥き途”に向かうようですね……」
「フィー様とお二人の本当のお別れの時という事ですわね……」
「……まさか彷徨いし魂が成仏するところをこの目にする時が来るとはね……」
「フィー…………」
「フィーちゃん……」
リアンヌの説明を聞いたシャロンは重々しい様子を纏って呟き、セリーヌは静かな表情で呟き、ラウラとエーデルは心配そうな表情でフィーを見つめた。
「……今度こそお別れなんだね……ゼノ……レオ…………」
「ああ。―――本来ならユミルで果てたあの時に俺達とフィーは”永遠の別れ”だったのだ。なのにこうして再びお前と会えた所か、成長したお前の力を知る事ができたのだから俺達は満足だ……もはやこの世にやり残した事はない。」
「先に逝った団長達へのええ土産話になったで。それと坊とそこの黒髪の嬢ちゃん。」
辛そうな表情で自分達を見つめているフィーにレオニダスと共に答えたゼノはリィンとエリスに視線を向け
「え………」
「……俺達に何か?」
視線を向けられたエリスは呆けた表情をし、リィンは不思議そうな表情で尋ねた。
「……大事な娘を誘拐した上更に故郷を襲撃して大事な息子までも誘拐した連中の仲間だった俺達の墓をわざわざ作って俺達の死体を弔った事に俺達が感謝してたって、坊達の親御さん達に伝えといてくれ。」
「―――本来なら俺達の死体はメンフィル軍によって処理されるはずだった。だが男爵夫妻の申し出のお蔭で俺達の死体はフィー達の手によって丁重に弔われ、更には墓まで立ててもらった。郷や男爵夫妻にとって忌まわしき存在であった俺達にそこまでする義理は無かったにも関わらずにだ。男爵夫妻の寛大な心遣い……俺達は心―――いや魂の奥底から感謝し、いつか必ずこの恩を返すつもりだと男爵夫妻に伝えてくれ。」
「あ…………―――わかった。」
「お二人の伝言、必ず父様と母様に伝えておきます。」
ゼノとレオニダスの話を聞いたリィンとエリスはそれぞれ静かな表情で頷いた。
「……”殲滅天使”。それと”魔弓将”。いつか再びやり合う日が来れば、今まで受けた借りを纏めて返させてもらうぞ。」
「”大陸最強”で恐れられていた”西風”の”連隊長”だった俺達の力、いつか必ず思い知らせたるで……!」
「うふふ、リターンマッチはいつでも受けてあげるわよ♪」
「ま、その時になればエヴリーヌ達はもっと強くなっているんだから、今度戦う時はもっと遊べるくらい強くなってね、キャハッ♪」
「き、君達なあ……」
「こんな時くらい、気の利いた事は言えないのか……」
ゼノとレオニダスの言葉に対してそれぞれ不敵な笑みを浮かべて答えたレンとエヴリーヌの答えを聞いたマキアスとユーシスは呆れ
「フフッ、気を利かせたからこそ、あのような言葉を口にしているのだと思うぞ。」
「確かにあいつらの関係を考えるとああいう別れの言葉のほうが似合っているかもしれないわね……」
ラウラは苦笑しながらマキアスとユーシスに指摘し、ラウラの指摘にサラ教官も苦笑しながら同意した。
「……貴方達が死ぬ原因を作ったのはメンフィルの事を軽んじて軽はずみな事をした私よ。謝っても許されない事だと理解しているけど、それでも謝らせて。――――本当にごめんなさい。」
するとその時クロチルダが前に出て二人を見つめて頭を深く下げた。
「クク、別に謝ってもらう必要はないで。俺達は”猟兵”やで?」
「”猟兵の最後”のほとんどは”戦場”だ。だが俺達はフィーに看取ってもらえた上、墓まで立ててもらった。俺達としては最高の形で死を迎える事ができた。だが……謝罪はありがたく受け取っておこう。”蒼の騎士”を救える事、俺達も祈っているぞ……」
「……ありがとう。貴方達の期待に絶対に応えて見せるわ。」
ゼノの後に答えたレオニダスの言葉にクロチルダは決意の表情で頷いた。
「ほなな、フィー……達者に生きるんやで…………」
「さらばだ…………」
そしてどんどん身体が透けていたゼノとレオニダスは光と共に消えた。
「さよなら……ゼノ…………レオ……………………」
辛そうな表情で二人が消えた場所をフィーは見つめた後やがて表情を戻してリィン達に振り向いた。
「―――行こう。全てを終わらせて”かけがえのない毎日”を手に入れる為に。」
「フィー………」
「本当に大丈夫なの?フィーちゃん……」
決意の表情になったフィーをラウラは辛そうな表情で見つめ、エーデルは心配そうな表情で声をかけた。
「ん……本当ならユミルで永遠のお別れをしたはずだった二人とまたこうして会えて言葉を交わせた……それだけで満足だよ。」
「そうか……フフ、相変わらずそなたは強いな。」
「フィーちゃん……私では力不足かもしれないけど、何か相談したい事があったら相談してね?私はフィーちゃんの先輩なのだから。」
フィーの答えを聞いたラウラは感心し、エーデルは優しげな微笑みを浮かべてフィーに言葉をかけ
「ん……その時が来たら是非頼むね、部長。」
フィーは静かな表情で頷いた。その後待機メンバーを呼び寄せたリィンはメンバーをアリサ、エリオット、ユーシス、マキアス、ガイウス、ミリアム、セレーネ、レーヴェ、エリス、エリゼ、パント、リアンヌに編成し直し探索を再開して先へと進み続けていると大きな広間に出た。
「かなり広い場所に出ましたね……」
「随分と奥まで来たけど、終点まで後どのくらいあるのでしょうね……」
「それに待ち構えている残りの亡霊を考えると気が重いよね……」
「ああ……”怪盗紳士”や”西風の旅団”の猟兵達も出てきたし、アルティナはリィンの使い魔になったから、残っているのはリウイ陛下に討ち取られたあの化物だけだぞ……?」
「後はユーシスのお兄さんもいるかもしれないね〜。」
「……………」
広間に出たエリスやアリサは周囲を見回し、ある事に気付いたエリオットとマキアスは不安そうな表情をし、ミリアムの推測を聞いたユーシスは辛そうな表情で黙り込んでいた。するとその時何かの気配に気付いたリィン達は血相を変えた。
「誰かいます……!」
「この気配は……」
「”死者”の気配……それも二人か。」
「……………………」
「状況を考えると恐らく先程話にでた二人でしょうね。」
気配に気付いたエリゼとガイウスは周囲を警戒し、パントは真剣な表情で推測し、レーヴェは目を細め、リアンヌは静かな表情で呟き
「いるんだろう……?結社”身喰らう蛇”の執行者、No.T――――”劫炎”のマクバーン。そして……貴族連合軍の”総参謀”にして”鉄血の子供達(アイアンブリード)”の筆頭――――”翡翠の城将(ルーク・オブ・ジェイド)”ルーファス・アルバレア。」
リィンは静かな表情で前を見つめて呟いた。
「クク………」
「フッ、やはりメンフィルから私の正体を知らされていたか。」
するとユミルでリウイに討ち取られた執行者―――”劫炎”のマクバーンとメンフィルの帝都ミルスで公開処刑されたユーシスの兄―――ルーファスが柱の陰から姿を現した!
「ユミルの時以来か。お前らの事だから、絶対来ると思っていたぜ。」
「久しいなトールズの諸君。ユーシスも壮健そうで何よりだ。」
「兄上…………やはり兄上もそこにいる男同様、この世に未練を残していたのですね……」
マクバーンと共に自分を見つめるルーファスをユーシスは複雑そうな表情で見つめていた。
「フッ、何を当たり前の事を。愛する祖国がメンフィルとクロスベルによって多くの領地を奪い取られて衰退し、挙句の果てには伝統を誇ってきた”四大名門”たる我が”アルバレア公爵家”まで取り潰されるのだから、未練を残さない方がおかしいだろう?」
「へ〜、全てはギリアスのオジサンの為に動いていたのに、アルバレア公爵家が取り潰される事は嫌なんだ?オジサンはエレボニア帝国から貴族を無くして、みんな平民にするつもりだったんだけどな〜。」
「ええっ!?エレボニア帝国から貴族を無くす!?」
「オズボーン宰相はそんなとんでもない事をしようとしていたの!?」
「父さんはその事について知っていたのだろうか……?」
ルーファスの答えを聞いて意味ありげな笑みを浮かべてルーファスを見つめるミリアムの話を聞いたエリオットとアリサは驚き、マキアスは複雑そうな表情で考え込んでいた。
「……兄上。エリゼから受け取った兄上の遺書で兄上が本当にしたかった事等が書かれてありましたが……今一度聞きます。本当にあのような夢物語を実現できると思っていたのですか?」
「”夢物語”……?」
「……一体どのような事が書かれていたのでしょうか……?」
ルーファスへの問いかけを聞いたガイウスは不思議そうな表情をし、エリスはユーシスを見つめて尋ねた。
「……エレボニアがゼムリア―――いや、異世界を含めた全ての地の覇権を握り、平等な世界を創る事……それが”鉄血宰相”が最終目標としていた事で、エレボニアから貴族制度を廃止する事こそがエレボニアを繁栄させられると思っていた兄上が”鉄血宰相”の最終目標を知り、”鉄血宰相”に忠誠を誓ったとの事だ。」
そしてユーシスは驚愕の事実を口にした!
と言う訳でゼノ達は成仏しましたwそして今回の話で既にお気づきと思いますが次のボス戦はまさかのルーファスとマクバーンです!……まあ、マクバーンはリィン達とは戦わず、リウイの時よりえげつないメンバーと戦う羽目になりますw後ルーファスの目的はこの小説のオリジナルです
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第114話 | ||
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