星の涙 |
星の涙
世間一般的には、祝日でもない日曜日は大きな意味を持たない。
この前までの私はそっち側で、ここまで浮かれているの事は無かっただろう。でも、今は違う。
フェイトちゃんという恋人のいる今、1日中いちゃいちゃ出来る最高の日となる。
さらに今日は私、高町なのはとフェイト・テスタロッサ・ハラオウンにとっての初デート。
アリサちゃん達には悪いけど、こんな素敵な日には恋する乙女として過ごさせてね。
◇
あの日、本局から戻った私はすぐにフェイトちゃんに連絡を取ろうとした。用件は、勿論告白をする為の呼び出し。
でも、携帯を手に持ったとき丁度着信が入った。まさかとは思ったけど、名前を見てびっくりした。ちょっとドキドキしながら出てみると、今すぐに臨海公園まで来て欲しいって・・・。
私も大事な用事があるし、2つ返事で公園へと向かった。
どんな風に告白するかなんて全然考えてない。でも恐怖は無かった。私はただこの胸の内を話すだけで良い。
・・・ふられたら悲しいけどきっと笑えるから。
◇
「フェイトちゃ〜ん」
いけない。姿を見つけた途端、嬉しさのあまり叫んじゃった。
「なのはっ」
あぁ、フェイトちゃんが私の名前を呼んでくれてる。嬉しいなぁ。これだけで着て良かったと思えちゃう。
緊張した面持ちで立つフェイトちゃん、溢れる思いを言葉に出来ない私。ちょっとした静寂が訪れた。
よ、よし・・・
「フェイトちゃんっ・・・」
「なのは、私っ・・・・」
・・・にゃはは、かぶちゃった。
「な、なのはが先にどうぞ」
「フェイトちゃんこそ、先にどうぞ」
あらら、またかぶっちゃった。こんな小さな事でも嬉しいな。
でも、このまま黙ってても伝わらない。私から言わなきゃ、私から伝えなきゃ・・・。
「私から先に言わせて貰うね、フェイトちゃん」
「ど、どうぞ・・・」
辛い思いをいっぱい我慢してきたんだ。これぐらいの我侭は許して欲しい。
「私、高町なのはは、フェイトちゃんの事が大好きです!付き合ってください!」
また叫んじゃった。でも言えた・・・やっと言えたよ。まっすぐに目を見つめて、下を向くこともなく言えたよ。
フェイトちゃんがどう答えてくれるかは分からない、でも最後まで顔を見つめているよ。
「なのは・・・ありがとう」
そういって微笑むフェイトちゃん。え〜と、それはどういう意味なのかな・・・?
「先に言われちゃったね・・・・」
もしかしてフェイトちゃんも・・・。
「私、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは高町なのはが大好きです。付き合ってくれますか?」
「フェイトちゃん」
嬉しかった、この胸の思いを受け止めてくれた。
もう、我慢しなくても良いよね?私がんばったもん、だから今は良いよね。
「フェイトちゃん・・・ぐすん。フェイトちゃん・・・」
暖かい、フェイトちゃんは暖かい。抱きしめている彼女はとても暖かかった。
「なのはっ・・・なのはぁ」
フェイトちゃんも私に抱きついて震えている。大丈夫、私はここにいるよ。大好きなあなたのそばに。
それから暫くの間、二人で抱き合って泣いていた。流れるのは歓喜の涙―――
◇
思い出したら胸がじ〜んと暖かくなってくる。
フェイトちゃん、今日も一緒に幸せになろうね。絶対離してあげないから。
「なのは、ちょっとなのはってば・・・」
「え?何かな、お母さん」
幸せに浸っていた私。それを引き戻したのは慌てた感じのお母さんだった。もう、後ちょっとでフェイトちゃんとキスできたのに・・・。
「お弁当、どれだけ作るつもりなの?」
え?お弁当・・・あ、そういえばサンドウィッチを作ってたんだ。フェイトちゃん、喜んでくれるかなぁ。
「え〜と、私とフェイトちゃんの2人分だよ」
はぁ、とため息をつくお母さん。私、何か悪いことしちゃったのかな・・・。
「なのは、それ全部2人で食べるつもりなの?お腹壊すわよ」
そう話すお母さんの先にはサンドウィッチの山があった。
にゃはは・・・作りすぎちゃった。
◇
あの後サンドウィッチをお父さんやお兄ちゃんの朝食にして、私は待ち合わせ場所へ急いだ。
今日のデートは海鳴臨海公園、待ち合わせ場所は入り口のベンチ。告白した場所で初デート・・・何だかロマンチックで素敵。
時間は午前9時。待ち合わせまでは後1時間もあるけど気持ちを落ち着ける為にも早くきちゃった。恋人を待つのも素敵だなと思ったのに・・・。
それなのに、待ち人―――フェイトちゃんは既にいた。
「にゃはは・・・お、お待たせフェイトちゃん」
「い、今来たところだから気にしないで・・・あはは」
何でフェイトちゃんもういるの・・・びっくりしちゃった。
「なのはとのデートが楽しみで、ちょっと早く着すぎちゃったんだ」
そう言って微笑むファイトちゃんが可愛らしくて、抱きしめてしまった。だめ、こんな可愛いフェイトちゃんを他の人には見せてあげないもん。
「もぅ、フェイトちゃん。最近少し肌寒くなったし、風邪でもひいたら大変でしょ?」
「ご、ごめんね。でも、なのはとのデート楽しみで早く来ちゃったの・・・。」
ふぅ、しょうがないなフェイトちゃんは。でも、可愛いから許しちゃう。
「行こっか」
「うん、なのは」
手をつないで歩き出す私達。
何があっても、手は離さないよ―――
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魔法少女リリカルなのはシリーズ 【なのフェイ】百合CPです 八神相談所の続編になります。 デート編です♪ |
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