色づいた日々
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 色付いた日々

 

つ、ついにこの日が来てしまった。

私の人生の中で、5本の指に入ってしまうであろうビッグイベント。それの事を考えていると、とてもじゃないけど寝る事なんて出来ない。

「ど、どうしよう・・・あ、明日になっちゃうよ」

シグナムと対峙した時も、こんなに緊張したことは無い。

闇の書の防衛プログラムを撃破した時も、こんなに恐怖は感じなかった。

ミスは一つとして許されず、私に恐怖を与え続ける。しかし、それと同時に眠れないほどの緊張感と期待を抱かせるビッグイベント―――そう、明日は私の愛する恋人『高町なのは』との初デートだ。

アリサやすずか、他の友達にも沢山のアドバイスを貰った。

はやてにいたっては、当日の朝見るようにと『初デートの心得3カ条』を記したメモまでくれた。

ここまで応援してもらったのだから、大円満でデートを終わらせないとね。

 

 

      ◇

 

 

なのはに告白すると決意したあの日、私ははやてに説教を受けていた。

「えぇか、フェイトちゃん。なのはちゃんが好きなんはよぉ分かったけどな、流石にまずいで」

「で、でも早くしないとなのはが・・・」

「落ち着いてや。さっきのは言葉のあやでな、今すぐにどうにかなるゆう訳やない。自分から動かんと、相手には伝わらんて言いたかっただけや」

なのはは可愛いから、誰かに取られてしまうかもしれない。私が考えてもいなかった爆弾発言をしたはやてなのに、何で止められないといけないの?

「とにかく、バルディッシュを起動して、更にザンバーフォームなんかで本局へ突撃。そんな危険な事をしたら、嘱託といえども捕まるで?下手したら、そのままなのはちゃんに暫く会えなくなるで?」

う・・・、それは嫌だなぁ。

折角自分の気持ちに気付けたのに、なのはと離れさられるなんて・・・。

「離れとうないやろ?それやったら少しだけ我慢し。今夜には帰って来るんやから、それからでも遅くは無いと思うで」

夜まで・・・か。後3時間もあるなぁ。

でも、どうやって告白すればいいか分からないから・・・どんなに時間があっても同じかもしれない。どうしよう、何も思いつかないよ。

「それに、バルディッシュ。アンタも止めなアカンやろ?大切なマスターなんや。間違いは正したってな」

「・・・sorry」

ごめんね、バルシッシュ。私のせいで怒られちゃったね。謝罪の意をこめて、待機状態に戻ったバルディッシュを胸に抱え、そっと撫でる。

「えぇかフェイトちゃん?こういったことは雰囲気とタイミングが重要なんや。思わず素敵、と思える場所でやるのがコツやで」

「う、うん。分かったよ」

結局、そのまま勢いを失った私は、告白の決意が揺らがないよう、はやてに支えてもらいながらなのはを待つことにした。

 

 

      ◇

 

 

しまった・・・全然眠れなかったよ・・・。

時刻は午前5時。海鳴市は静かな朝を迎えていた。

屋上で日課の素振りを行い、お風呂で念入りに体を洗う。

朝食をいつも通りの量食べて歯磨き、髪をセット。そして、クローゼットから取って置きの服を取り出す。黒を基調としたワンピース。いつも着ている服よりも、ちょっと可愛いやつだ。

ハンカチもティッシュも持った。

下着だって持っている中で一番のお気に入り・・・って下着の準備まで必要なのかな?

私となのははまだ子供だし、その、ちょっとだけ早い気がするんだけど・・・。べ、別になのはとそうゆう関係になるのが嫌とかじゃないけど・・・でも、はやてに貰ったメモにそう書いてあるしな。

 

デートの心得その1

身支度は出発1時間前には終わらせておくべし

服装は外見は勿論、小物や下着にも気を使う事。

 

今のところ順調に進んでるよ。この調子で頑張るぞ。

お弁当は、なのはが持ってきてくれるからいらないっと。ふふ・・・なのはの手料理かぁ。今から楽しみで仕方がないよ。

 

 

デートの心得その2

場所の下見は前日までに行うこと。

当日はアクシデントに備え、デート前にコースの下見を行う事。

 

時刻は午前8時前、家を出発した私は海鳴臨海公園を一人で歩いていた。

連日晴れていたおかげで水溜りも無い。前日まで入念に掃除していた為、ピクニックの予定場所も非常に綺麗だ。ばっちりだね。

 

 

デートの心得その3

待ち合わせ時間より早く行き、恋人を待たせてはいけない。

相手を待たせるなど言語道断、この先の関係にも響く。

 

一番肝心なのはコレだ。

優しいなのはは、約束の時間より早く来るタイプ。だから待たせない為には、かなり早めに到着しないといけない。

そして、約束した時間よりも2時間程早く到着したソコには、なのはの姿は無い。

 

やったぁ。これではやてから貰った『デートの心得3カ条』全てを守ることが出来た。

後はなのはが到着するのを待つだけ・・・なんだけど2時間もあるよ?

さすがに早く着き過ぎたかもしれないな。朝からドタバタと慌てて準備をし、疲れた私はベンチに座り込んだ。

はぁ、なのはは今頃何してるかなぁ。

まだ寝ているかな・・・寝顔もきっと可愛いんだろうなぁ。普段あれだけ可愛いなのはの事だ、寝顔なんてもう天使みたいなんだろうな。

それとも料理中かな・・・お弁当は美味しい物を頑張って作るね、としか教えて貰えなかった。

なのはが作るものは全部美味しいから、だからこそ検討もつかない。美味しい食事の後にはもちろんデザート・・・なのはが私を食べてって―――きゃぁぁ、もう私ったら何を考えているのだろう。

わ、私達はまだ小学生なんだからそういった事は早過ぎだよ。で、でもキスぐらいなら良いかな?って駄目駄目それも駄目だってば。

深呼吸を繰り返し、何とか平常心に戻った私。想像の中だけとはいえ、刺激がまだ強すぎる。

まったくなのはが可愛いからいけないんだからね。

 

 

      ◇

 

 

「にゃはは・・・お、お待たせフェイトちゃん」

なのは?

幾度目かの想像へ旅立とうとした私を引き止めたのは、愛しい人の優しい声。

「い、今来たところだから気にしないで・・・あはは」

走って来たんだね。まだ時間よりも早いし、そんなに急がなくても私はいつまでも待ってるよ。

息切れを起こし、声は出せないけれどその顔が問いかける。なぜこんなに早くきていたのかと。

「なのはとのデートが楽しみで、ちょっと早く来ちゃったんだ」

そう、私がこんなにも早く行動した理由は単純だった。例えはやてのメモが無くても、到着時間には大差が無かっただろう。

待てなかった。今日、ココにくれば、ココにいれば、なのはに会えると思ったら、居ても立ってもいられなかった・・・。

「もぅ、フェイトちゃん。最近少し肌寒くなったし、風邪でもひいたら大変でしょ?」

「ご、ごめんね。でも、なのはとのデート楽しみで早く来ちゃったの・・・。」

なのはに心配されちゃった・・・。そして、ポロっと出てしまった本音に2人で赤くなった。

なのはは赤くなって照れている顔も可愛いね。

「行こっか」

「うん、なのは」

なのはの左手に右手を重ね、ゆっくりと歩き出す。

さぁ、嬉しくて恥ずかしい初デートの始まりだ。

 

 

      ◇

 

 

「で、結局あたしのメモは役に立ったんやろか?」

「あはは・・・多分役に立ったんだと思うよ。なのはと2人、ずっと笑っていられたから」

そう、初デートは大成功だった。天気は良かったし、なのはのお弁当物凄く美味しかった。最高のピクニックになった。

何より、なのはと2人で居られた事が私には嬉しかった。きっと2人で居られたならドコでも素敵な場所になるだろう・・・。

「フェイトちゃーん!お願いや、話を聞いてぇなぁ」

「あ・・・ごめんはやて。ぼーっとしてた」

「蚊帳の外ゆうのは、恋路を見守る者としては悲しいわぁ」

はやてが落ち込んじゃった・・・ど、どうしよう。

「え〜と、そのね・・・はやてには感謝してるんだよ?本当だよ?」

「ホンマかフェイトちゃん?・・・うち余計な事したんとちゃうかな?」

「そんな事は無いよ。はやては私に勇気をくれたし、デートが成功するようにメモまでくれた。感謝はしても迷惑だ何てそんな・・・思ってないよ?」

そう、今なのはと私が恋人でいられるのは、はやてが協力してくれたお陰。

「ぷっ・・・くくく・・・」

「はやて?どうしたの、大丈夫?」

「あっはははは・・・いやぁ、ゴメンゴメン。困らせるつもりは無かったんやけどな。ふふ・・・そうかぁ、フェイトちゃんはあたしに感謝までしてくれるんかぁ」

何ではやては笑ってるんだろ?私何かおかしい事言ったかな?

「あたしがなフェイトちゃん達を焚き付けたんは、あたしの都合があるからなんや。別に親切でやった訳やないで〜」

「え?そうだったの?でも、やっぱりはやては恩人だよ」

「ありがとうな、やっぱりフェイトちゃん大好きや。・・・さぁて、幸せは分けて貰ったし、そろそろ寝るわ。ほんならね〜」

一方的に電話を切られてしまった。何だったのだろうか?それに、はやての都合って何だろ?

もし、はやてが誰かに恋をしているなら、私は助けになってあげたい。私が助けてもらったように、応援してあげたいな。

 

夜天の王に祝福を―――

 

説明
魔法少女リリカルなのはシリーズ
【なのフェイ】百合CP

星の涙の続編です
デート前です
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