19話「ゼロから始めるその国」 |
皇帝ラインホルトの無事を確認したガイ達5人は『ハデス・ゲート』のある謁見の間を目指す。当然ながら悪魔はゲートから現れるため謁見の間が近くなる程敵の数も多くなっていった。
「ねぇ待って」
後方を歩くレイナが声をかけると男子4人は彼女を振り返る。
「まだその『ハデス・ゲート』から悪魔が出続けているのなら当然ゲート破壊を阻止してくるんじゃないの?」
「確かに…そうなりますよね」
ケインも同じ事を考えていたようで、この不利な状況に俯く。
「ねぇクルティス、ゲートについてもっと詳しく教えてくれないかしら?私達はゲートについて全くの無知、貴方の持つ情報が唯一の手がかりと言っても過言じゃないの」
「…そうだな。確かにさわりしか説明していなかった。場所を変えよう」
5人は瘴気にさらされる事の比較的少ない3階バルコニーまで移動した。扉は外からしっかり塞いで。
「ここならば少しは落ち着いて話ができる。で、ゲートについて…だったな」
クルティスが他の4人に交互に目を向けると4人は同時に頷いた。
「悪魔の世界というものがある。ハデス・ゲートとはこの世界と悪魔の世界を結ぶ手段だ」
「そ、そんなものが…何のために…」
ジェリーダがこの場所から見える毒々しい紫色の空を不安げに眺める。
「狭いゲートの中の世界から解き放たれよ」
「どういう意味…ですか?」
頭に疑問符を浮かべながらケインが問う。
「ゲートを完全に開いた時にクローチェがそう言っていた。この国を奴らの拠点にするつもりらしい」
「えぇ?拠点って事は…ゆくゆくは世界中をあんな気持ち悪ぃ化物でいっぱいにしようって事かぁ?」
遠くの空を飛び交う黒い影を親指で差しながらうんざり気味の顔をするガイ。
「貴様にしては勘がいいな」
クルティスが吐き捨てるうに言葉を返すと、またこの兄弟がいがみ合いそうな雰囲気を醸し出していたためレイナがその間に入った。
「成程ね。それで…ゲートは何とかできそうなの?」
「どうだかな。だが…この瘴気は奴らにとって空気と同じだ」
「空気?奴らにとって瘴気ってそんなに存在感がねぇもんなのか?」
何かを勘違いしているジェリーダへの他の4人の視線が冷たい(ケインのみ苦笑)。
「その空気じゃねーよ!!!」
「いって!!何もチョップかます事ねーだろ!?」
やいのやいの言い合うガイとジェリーダを尻目にクルティスは無理矢理話の軌道を戻した。
「奴らは瘴気がない所では生きていけないんだ。いつもは呼び出した後、クローチェの指示によりゲートの中に戻るのだが…中にはその指示が行き届かずはぐれてしまう者もいる。そういう奴は数日程度で死滅してしまうんだ。個体差はあるがな」
「って事は…俺が前にリーラ山洞で見たのは…!!」
かつてのリーラ山洞で自分に襲いかかってきた黒い魔物―悪魔の事を思い出すガイ。
「はぐれ悪魔…という事かしら?」
レイナも話だけは聞いていたが、この話であの魔物の真相を確信し、クルティスに目で『そうなの?』と尋ねる。
「見た事があるのか?…ならばそうなんだろうな。まぁわざわざ倒さなくても勝手に消滅していたと思うが」
クルティスが身も蓋もないオチをつけるとガイはあの時無駄に怪我をしてしまった自分に腹を立てがっくりと項垂れた。
「そっか!じゃあさ、あの瘴気を何とかできれば連中は弱っていくんだな!?」
勝算を見出したジェリーダが表情を明るくする。
「謁見の間に窓などない。瘴気を分散させるには壁に大穴でも開けない限りは不可能だがそんな事は不可能だろう。連中を一瞬で消滅させるには…やはりゲートを破壊する他ない……」
「マジかよ…」
万事休す―かのように思えたがレイナだけはまだ納得がいっていないようだった。
「本当に手段はないの?直接的な方法じゃなくても何か…」
「言った筈だ。ゲートを破壊する以外に方法など……」
突如、クルティスがはっと何かに気付いたかのように目を見開く。
「…あるのね?」
その様子を察したレイナの目つきが鋭くなった。
「…レイナと言ったな。貴様…ルピアで俺と戦った時の事を覚えているか?」
「ああ、そういう事。ふふ、皆まで言わなくてもわかったわ」
クルティスの質問の意味を一瞬で察するレイナ。
「察しのいい女で助かる…だがクローチェの精神を切り崩すのは決して簡単ではないぞ」
「ああ、アレね」
ようやくガイもその言葉の意味を理解し、同時にクルティスがかつて自分達を氷漬けにしようとした時レイナの挑発でその集中力を乱され効力が弱まった事を思い出した。
「え?何?何の話してんの?」
「あの…すみません。わかるように説明して頂ければと思うのですが…」
ジェリーダとケイン。まだその話を理解できていない者が約2名いた。
「あのな…まぁあの場にいなかったケインは仕方ないとして…何であの戦いに参加してたお前がわかってねぇんだ!!!」
流石に呆れたガイがジェリーダの頭をくしゃくしゃとかき回し始める。
「いってーよ!!レイナとクルティスの言い方が遠まわしすぎてワケわかんねーんだよ!!!」
ガイとジェリーダが騒いでいるうちにケインはレイナから作戦の意図を説明していた。
「成程、術者の注意を逸らしてしまえばゲートが脆くなるんですね?」
「あ、そういう事か」
ケインが説明風に確認する事でジェリーダにもようやく理解できた。5人全員が次なる作戦を把握した所で再度城内に入り謁見の間を目指すが、その直前の階段からは次々と多種多様な悪魔が出てきて道を塞いでいた。
「オイオイ…こりゃキリねぇぞ!!」
迫り来る悪魔達を切り捨てながらガイが上階に向かって叫ぶ。
「クローチェ!!!!そこにいるんだろう!?雑魚などけしかけても無駄だ!!さっさと出て来い!!!」
続けてクルティスが叫ぶと悪魔達は道を開けた。そこからこつこつと降りて来る足音。
「ククク…生きていたか。死にぞこないが…」
どす黒い笑みを浮かべたクローチェが5人の前に姿を現した。
「あれが…クローチェ……」
緊張した面持ちで現れたクローチェに目を向けるケイン。この5人の中で唯一初見だったのだ。
「ガイラルディアはこの世で一番憎い存在ではなかったのか?いや、彼だけではない…貴様を散々挑発した小娘、そして貴様が散々無能と蔑んでいたジェリーダ王子達と手を組むとは…とうとうその無駄に高かったプライドを捨てて土下座でもして頼み込んだのか?」
「黙れ!!!!貴様だけは絶対に許さん!!!!」
「待って!挑発よ、乗ってはダメ!!」
怒りに平静を失うクルティスを宥めようとするレイナだったがクローチェは口を止めなかった。
「許さん……?おかしな事を言うんだな?」
心外とばかりに首を傾げるクローチェ。
「何…?」
「この国を滅亡に追いやったのは私か!?違うだろう!?弟への醜い嫉妬からこの力に手を出した事で自ら滅亡に追いやったのだろう!?」
「…!!」
クローチェの言葉が刃となりクルティスの心を穿つ。
「逆恨みされても困るな!!!そうだ、この国は貴様が自ら私に売ったのだ!!!!ククク…フハハハハハ!!!実に滑稽な責任転嫁じゃないか!!!!」
「くっ…!!」
クルティスは槍を握った手を震わせながら歯を食いしばり目を伏せ項垂れた。全てはクローチェの言った通り、例え自分にそんなつもりがなかったとしても結果は同じ事だと自分を責める事しかできなかった。
「あーあー、胸糞悪ぃな悪魔ってのはよ…」
ガイが剣を前に突き出しながらクローチェを冷たく睨みつける。
「確かにクルティスはムカつくけどオメーはもっとムカつく!!!」
ジェリーダもまた、クローチェを指差しながらキッと睨みつけた。
「許せない…!!」
ケインも今までにない険悪な表情をクローチェに向ける。
「ふふふっ……」
しかしそんな中、レイナだけは嫌悪を示す事はなくただ可笑しそうに笑っていた。
「何だ?」
クローチェが僅かながらの不快感と共にレイナを一瞥する。
「ごめんなさいね、貴方の言語力がとても素敵だったものだから…『売買』と『強奪』の区別がつかないなんて恥ずかしいわよ?」
このクローチェと互角に渡り合っているレイナを驚きの表情で見つめる男子4人。しかし互角以上だと4人はすぐに思い知る事になる。
「クルティスが貴方にこの国を売った?違うでしょ?貴方は彼の弱みに漬け込んで国を奪っただけ。だったら責任転嫁という言い方も可笑しいわね」
「黙れ小娘が…!」
「まぁ悪役ならやってる事を恥じる必要はないけれど、あまりおバカを丸出しにしたくなかったらもう少し言葉をお勉強なさい?」
綺麗な程爽やかな笑顔を見せるレイナ。
「やっぱコイツ怒らせちゃダメだな…」
今のジェリーダには敵であるクローチェよりも味方であるレイナの方が数倍怖く感じた。
「ぎゃっはっは!!ムキになってやんの!!」
すかさずガイが怒りに拳を震わせるクローチェに向かって稚拙に笑い飛ばす。
「悪魔だか何だか知らねぇが揚げ足でレイナに勝てる奴なんかいねーんだよ!」
「おのれガキ共…!!纏めて悪魔の餌にしてくれるわ!!!」
次々と飛んで来る挑発に怒りが頂点に達したクローチェは自らの周囲にどす黒い煙のようなオーラを纏った。
「おうコラクルティスボケッとしてんじゃねーぞ!?」
「!?」
ガイがほうけているクルティスの方に顔だけ向けて喝を入れる。
「こんなクソ野郎にちょっとバカにされたくらいでテメエの守りたいものは変わるのか!?」
「……!!」
クルティスはここへ舞い戻って来た本来の目的を思い出しまっすぐにクローチェを見据えた。
「馬鹿の分際で偉そうに言うな!!そんな事はわかっている!!!」
「ケ!可愛くねーの!!」
「それは助かる。貴様にそんな風に思われると反吐が出るからな」
「こちらこそどーも。ゲボ吐き散らされちゃ皆に迷惑だもんねー」
「貴様…後で殺すから覚えていろ…!」
「それ、聞き飽きたって言ってんでしょー?」
この非常時にまた始まった…レイナは心の中でため息をついた。その刹那、クローチェはその場から姿を消し、喧嘩を続けるガイとクルティスの間に現れた。
「まずは邪魔なドゥルの血筋から根絶やしにしてやろうか…」
「チィッ!!」
「く…!!」
後へ飛んでクローチェから離れようとするガイとクルティスだが、上階から湧き出てくる悪魔に囲まれてしまう。
「ガイさん!!クルティスさん!!!」
悪魔の包囲の外からケインが呼びかける。
「うっぜえんだよ!!!!」
「消え失せろ化物が!!!」
ガイは剣に炎を宿し薙払う事で、クルティスは床から氷の刃を発生させ悪魔を全て片付けたが、クローチェだけはそれらを飛んで避けていた。
「逃がさない!!!」
宙に浮いているクローチェにケインが飛びかかり両手の爪で十字に斬撃を加えるが、またもここでクローチェは消えて完全に回避した。ケインの着地と同時にクローチェが現れた場所は5人の前だった。
「骨をも灰と化す地獄の業火よ…!!」
レイナの詠唱と共にクローチェの周囲に炎の円陣が現れる。
「逃げ場はないわよ!!!!」
やがて円陣の炎は柱となりクローチェを完全に包み込んだ。
「やったか!?」
火柱の中心の黒い影を凝視するジェリーダ。しかし次の瞬間、黒い煙を帯びた吹雪が現れ火柱を吹き消した。中にいたクローチェは無傷のままだった。
「どいつもこいつもその程度か…ならば次はこちらから行くぞ!!!」
高笑いと共にクローチェは両腕を広げ黒いかまいたちを呼び出す。
「ああああああッ!!!!」
かまいたちは5人の身体を引き裂き全身に深い切り傷を与えるとクローチェの手に戻り消えた。5人は散り散りに吹き飛ばされ倒れている。
「もう立てないか…そうだろう…これはただのかまいたちではない、悪魔の瘴気を帯びたものなのだからな!!」
高笑い混じりにこつこつという足音と共に歩き出すクローチェ。クルティスの前に止まり、その束ねられている髪を引っ張り顔を上げさせた。
「世話になったな。これは私からの礼だ、受け取ってくれ」
クローチェは邪笑を浮かべると手から黒い稲妻を走らせた。
「ぐああああああああッ!!!!!!」
稲妻はクローチェの手を伝いクルティスの全身に迸る。それも金属製の鎧を纏った身体に。
「貴様のような小僧に散々顎で使われた挙句ナメた口を利かれ続けて12年……屈辱だったよ。だがそれも全てはこの時のため!!」
クローチェはクルティスの髪から手を放して立ち上がり、今度はその頭を踏みつけた。
「ぐッ…うぅ……!!」
「くそッ…このままじゃ…!!」
うつ伏せに倒れたままのガイが剣を握りながら立ち上がろうとするが、力が入らない。
「くっくっく…ただの切り傷とは思わない事だ。悪魔の瘴気を帯びたかまいたちに斬られたのだ。この世界風に言えば猛毒入りの刃物で斬りつけられたようなものだからな」
クローチェは無理矢理でも立ち上がろうとするガイを冷たく一瞥した。
「ううぅ…ッ…大いなる慈悲を与えしリーラの神よ……」
仰向けに倒れているジェリーダが力を振り絞り右手に十字架を取り天にかざす。
「かの者を死地から掬い上げん!!!!!」
十字架は淡い黄色の光を発しこの場を明るく照らし出した。そして天から5人に星のように輝く光が降り注ぐと彼らの傷はたちまち癒えていった。
「何だと…!?」
ガイ、レイナ、クルティス、ケインの4人が同時に立ち上がる。ジェリーダも続いて立ち上がろうとしたが魔力を使い切ったのか目眩に襲われ床に膝をつく。
「大丈夫ですか!?」
すかさずケインが駆け寄りジェリーダに肩を貸す。
「悪ぃ…俺…もう魔力カラだわ…だって…回復だけじゃねーもん…」
「え…?」
まだジェリーダの十字架は光を湛え続けているばかりか、悪魔の瘴気が充満していたこの場所はすっかり照らされ5人を襲う息苦しさも中和されていた。
「へっへ、お前はやる奴だと信じてたぜ」
ガイがジェリーダの方を振り返り親指を立てて見せる。
「遅ぇよ…もっと早く信じろ…ばぁか……」
同じくガイに親指を立てて返すジェリーダだが、その場に気を失いその体中の重みが全てケインにのしかかった。
「あ…」
どうしていいか対処に困るケインの前にレイナが寄って来る。
「ここは私に任せて。貴方達はあの男を…」
「はい!」
ケインはぐったりしているジェリーダをレイナに預けガイ、クルティスと共に三方向からクローチェを包囲した。
「何だこの光は…出でよ悪魔共!!!こいつらを八つ裂きにするのだ!!!!」
クローチェが叫ぶも悪魔がこの眩い空間に入る事はない。
「そろそろ年貢の納め時だって勝利の女神が言ってんだろーよ」
ガイが勝利を確信した笑みでクローチェに剣を向ける。
「よーし行くぞケイン!クルティス!!」
「はい!!」
「貴様が仕切るな!!」
ガイの合図により3人で同時にクローチェに向かって斬りかかる。
「無駄だ!!貴様らの攻撃など当たらないと先程証明……何!?」
姿を消して回避しようと試みるクローチェだったが上手く消える事ができずにいるようだ。
「ホント、すげぇ奴だよジェリーダは!!」
「さらばだクローチェ…」
「覚悟!!!」
3人の攻撃が同時にクローチェに直撃した瞬間だった。ガイの剣が右前方から胸部に、クルティスの槍が背後から背中を貫通、ケインの爪が左前方から脇腹にそれぞれ刺さっている。
「か…はッ……!!」
3人が同時にそれぞれの武器を抜くとクローチェは黒い血を吐きながらその場に膝をついた。その瞬間、眩かった空間は元の色を取り戻しその周囲の瘴気も次第に消えていく。クローチェが3人の攻撃を受けた痛みで集中を乱しゲートが消滅しているのだろう。
「ぐッ…私が生きている限り……ゲートは何度でも…呼び出せる……ぞ……」
「そんな真似はさせねぇよ!!!」
再度ガイがクローチェに斬りかかろうとした時、彼は黒い煙と共に姿を消した。
「消えた…!?」
クローチェがいた場所を驚きながらケインが凝視する。
「仕損じたか…しかしこれで奴から国を取り返す事ができた……」
安堵と、そして若干の不安を覚えるクルティス。同時にガイとケインはレイナと、その膝枕で眠っているジェリーダの前まで歩み寄った。
「ガキは羨ましいなオイ…」
「ふふ、魔力を使い切って余程疲れていたんでしょうね」
その光景にガイは呆れ顔になり、ケインは微笑ましく見守っていた。
地下で待機しているラインホルトと合流し、帝都に出るとそこには港から入って来たマルクとクローナの軍勢が、そして帝都の入口から入って来たルピアとグルデ・クルセイドの軍勢が集まっていた。
「何じゃ、そなたらで全て解決してしまったのか…わらわ達ルピア軍があの魔物共を一掃してやろうと思ったのにな」
「まぁまぁ、無事解決したのだからいいではありませんか」
残念そうなイザベラをエドが宥める。
やがてシェケルに避難していたドゥルの民や兵達も帝都に集まって来た。
「………」
集まったドゥルの民達の前に具足の金属音と共に姿を現すのは皇子クルティスだった。その傍らに一歩離れてラインホルトの姿も。
「ドゥルの民よ…このような事態を招いてしまったのは全てこの私の責任だ。家族や大切な者を失った者も多い事だろう…どんな非難も…処罰も受ける覚悟はできている……すまない…本当にすまなかった……!!」
クルティスは兜を脱いでその場に頭が地面にめり込まんばかりに土下座をした。そんな皇子の姿にドゥルの民や兵は戸惑いざわめき出す。
「あの薄気味悪い魔物はクローチェ様が…?」
「あんな奴に様をつけて呼ぶなよ」
「でもそれはクルティス様の命令によるもので…」
困惑渦巻く民衆の中から1人の幼い少女が若い母親と共に前に出てきた。シェケルでガイ達に助けを求めてきた親子だった。
「クルティスさま、ありがとう!」
屈託のない笑顔を見せる少女。
「どうかお顔をお上げ下さい。確かに国は大変な事になり多くの人が死んでしまいました。ですが貴方は再度こうして国を救って下さいました」
少女の母親も優しい笑みを向けると、他の民も次々と続いた。
「そうですじゃ、クルティス様はこの国を愛し、普段からわしらを大切にしてくださっている事は知っておりますぞ!」
「建物ならまた建て直せばいいですからね!」
「うちのお店も立て直しますからまたいらして下さい!」
おおよそ半数以上の民がそんな前向きの声をかけてくれたのだ。
「皆…すまない……」
クルティスは俯きながら立ち上がると、ゆっくり顔を上げ……悲しみ、悔しさ、罪悪を僅かに残したまま今までにない明るい笑顔を見せた。
「ありがとう……!!」
上がる歓声。その後に控えていた4人。まだ寝ているジェリーダをおぶっているガイがため息混じりに笑って見せる。
「あのヤロ…ああいう顔もできるんじゃねーか」
その様子をレイナとケインも微笑ましく見守っていた。
かなりどうでもいいのですが…実は各キャラの台詞を脳内でアテレコする時のCVまで決めているそうな(笑)メイン5人はこんな感じです。
ガイ→平田広明さん
レイナ→根谷美智子さん
クルティス→関俊彦さん
ジェリーダ→くまいもとこさん
ケイン→代永翼さん
はい、失礼しましたー!!
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