宝城双斗のIS学園生活 第7話親友と専用機 |
side双斗
IS学園に入学して2週間が経った。
僕もここでの生活にだいぶ慣れてきた。最初の1週間はなかなかクラスメイトとも話せなかったけど、今ではクラスメイトともだいぶ打ち解けてきている。まあ、4組のみんなが割と控えめな性格の人が多かったため僕や簪が話しやすかったというのもあるけど。
ちなみに現在1年生の間で1つ揉め事があった。それは初日のことだった。
1組では4組と同じようにクラスの代表生徒を決めるために多数決を行っていたらしく、その結果もう一人の男性IS操縦者である織斑一夏に全て票が行き、それを許せなかったイギリスの代表候補生であるセシリア・オルコットさんが大激怒し、2人が口論となり、最終的には1組の担任である千冬さんが2人で模擬戦を行い、勝った方が代表になるということで一応決着はついたらしい。
このことに対して、生徒の反応は様々だった。
どちらが勝つのかを話し合う者、男は女に劣るという間違った常識を信じてその当事者である織斑一夏を笑う者、イギリスの代表候補生の国の代表候補生とは思えぬ対応に呆れる者、実に様々だった。
時間が過ぎて放課後、結城先生から今日の放課後に僕の専用機が届くと伝えられた僕と簪はアリーナ近くの格納庫に来ていた。ちなみに今の僕たちは制服からISスーツに着替えている。
「確か、ここで受け渡しをするんだっけ?」
「うん、もうすぐで来ると思う・・・」
「それにしても、僕の専用機か。どんな感じになってるんだろう・・・」
「私も、気になる・・・」
この場には僕と簪に加えて、担任の結城先生もいる。ちなみにだけど4組には今日現在、副担任はいない。理由としては結城先生の指導力が高いというところにある。
結城先生は元フランス国家代表であり、現役を引退後はIS学園で教師を務め続けており、教師としての指導力は学園でも1、2を争うほどらしい。そのため結城先生が担任のクラスは基本的に副担任はいないのだ。
そんなことを考えていると、格納庫のハッチが開き、そこから1台のトラックが入ってくる。そして、トラックは止まり、助手席から出てきた人物に僕は驚く。
「龍也!?」
「久しぶりだな。双斗」
格納庫から出てきたのは僕の親友である朝霧龍也だった。ちなみに龍也と出会ったのは今から約1年前なので簪と龍也は面識がない。
「どうしてここに?」
「それはお前の専用機を作ったのが俺だからだ」
「えっ、龍也が僕の専用機を作ったの!?」
「ああ、束さんに頼まれてな」
どうやら束さんが言ってたことはこういうことだったらしい。
「ねえ双斗、知り合いなの?」
簪が僕と龍也が話してるのを見てそう聞く。
「そういえばまだ自己紹介してなかったな。初めまして俺は朝霧龍也だ」
そう言って龍也は自己紹介をする。すると簪は名前を聞いて驚く。
「えっ、朝霧龍也って、もしかして『第2の篠ノ之束』って言われてる・・・!?」
実は龍也はIS業界ではかなりの有名人だ。
龍也は13歳にして、当時束さんしか作ることのできなかったISのコアを1人で作ったほどの天才で、今では『篠ノ之束に次ぐ天才』とまで呼ばれるほどになった。しかし、それから間もなく日本政府は龍也の身柄を拘束することを決めた。それを知った龍也は、自分で作ったISのコア5個と共に束さんのもとで僕たちと共に生活をしていた。そのため、龍也の行方は僕や束さん以外に知られることはほとんどなかった。
「君が更識簪さんか」
「えっ、簪のこと知ってるの?」
僕は龍也が簪のことを知ってるのに驚く。
「束さんからいろいろ聞いたからな。もちろん2人の関係もな」
「そうなんだ」
「さて、話はこれくらいにしてお前の専用機について説明するぞ」
そう言うとトラックの荷台が開き、一機のISが姿を現した。
「これが双斗の専用機、第3世代型IS『青風』だ」
「青風・・・」
名前の通り機体は全体が青色に統一されていた。
「全距離対応型で、近接、中距離、遠距離それぞれに対応できるようになっている。」
「いわゆる『バランス型』というやつね」
龍也の説明に結城先生がそう言って納得する。
「とりあえず後の説明はファーストシフトしてから説明するから、双斗は青風に乗ってくれ」
そう言われた僕は青風に乗り込む。
すると青風が体にフィットし、それと同時に僕の頭に青風のデータが入り込んでくる。
「それじゃあアリーナに出てくれ」
そう言われ、僕はアリーナに出る準備をする。
「簪、僕がファーストシフトするまで相手をしてくれないかな?」
「うん、分かったよ」
僕は実戦にも慣れたいこともあり、簪に相手をしてほしいとお願いしたところ、快く引き受けてくれた。
「それじゃあ、僕は先に行ってるね」
そう言うと僕はアリーナに飛び出した。
「準備はいい、双斗・・・?」
「うん」
打鉄・弐式を身に纏った簪が僕にそう尋ねると、僕は近接武器である『双翼剣』という名前の双剣を両手に1本ずつ持ちながら返事を返した。
「行くよ簪」
「うん!」
僕は双翼剣で簪に斬りかかり、簪は打鉄・弐式の近接武器である夢現で僕の斬撃を受け止めた。
sideナレーション
「始まったわね」
「ええ、そうですね」
同じ頃、結城アイリスと朝霧龍也は2人の試合を管制室のモニターから静かに見守っていた。
そんな中、結城アイリスは双斗が学園に入学するのが決まった時のことを思い出していた。
今年の1年生の中で最も注目されていた存在はもちろん『織斑一夏』である。彼の姉である織斑千冬はモンドグロッソ優勝者であり、もはやこの世界に知らない人はいない。彼はそんな人の弟なのだ、話題には事欠かない。
それに対して双斗はマスコミにもあまり取り上げられることもなかった。せいぜい、第2の男性IS操縦者と取り上げられるぐらいだった。
しかし、アイリスは一夏よりも双斗に目がいっていた。
確かにアイリスも一夏には多少は興味があった。しかし双斗の入学式前日に行われた実技試験を見て、アイリスは双斗に驚かせられた。なぜなら現役時代、手も足も出なかった千冬を双斗はギリギリまで追い込んでいたのだからだ。
それからアイリスは学園の理事長に自分を双斗の担任をさせてほしい。と直談判した。しかし、それは無意味なことだった。なぜなら理事長はもとから双斗をアイリスのクラスに入れるつもりだったからだ。ついでに言うと理事長は双斗と簪の2人の実技試験を見てアイリスのクラスに入れるつもりだった。それを聞いたアイリスは管制室のデータに残っていた双斗と同じく、千冬をギリギリまで追い込んだという簪の実技試験のビデオを見た。それを見てまたしてもアイリスは驚いた。
そして入学式の日。アイリスが4組の教壇に立った。そしてそこで双斗と簪の姿を見つけた時、アイリスはこれからの生活が楽しみでしかたなかった。何せ、自分のクラスに織斑千冬を超える逸材が2人もいるのだから。
「(あの2人ならきっと私が超えられなかった壁を越えてくれるわ。・・・いやそれだけじゃない。あの2人ならきっと今の世界を変えてくれるに違いないわ)」
アイリスは女尊男卑の今の世界が嫌いだった。そのため2人に今の世界を変えてほしかった。そして、アイリスはそんな2人の戦闘を静かに見守っていた。
side双斗
「(そろそろ・・・かな?)」
時間を確認しているとそろそろ青風のファーストシフトが近いことに気づく。
間もなくしてファーストシフトが完了して青風の形態が変化する。
『双斗、聞こえるか?』
「うん、聞こえるよ」
『これから武装の稼働データを取るから、武装の確認を頼む』
龍也にそう言われ、僕は武装を確認する。
「(双翼剣とレーザーライフル2丁は変わらずで、・・・ドラグーン?)」
ファーストシフトして、新たにドラグーンという武器が追加されていた。
「(龍也、この『ドラグーン』って何?)」
『簡単に言うとビットみたいなものだ。とりあえず今は双翼剣のテストをするから双翼剣を展開してくれ』
「うん、分かった。あと簪、これから武器の稼働テストをやるから僕の後ろに移動してて」
「分かった」
僕がそう言うと簪が頷き、僕の後方に移動する。
それを確認すると僕は双翼剣を展開する。
すると目の前に1つのターゲットドローンが出現する。
「宝城流双剣術第2の型『烈火』!」
僕は2本の剣を振り抜く。すると双翼剣は赤色に輝き、ターゲットドローンを真っ二つに斬り裂いた。
『どうだ、凄いだろ? その双翼剣は双斗の剣技に応じて輝く色が変わって、しかも攻撃力も変化するようになってるんだ。ただし、攻撃力が高い剣技ほどシールドエネルギーを大量に消費するがな』
「相変わらず、龍也は凄いね。こんなことまでできるなんてね」
僕は双翼剣をしまい、代わりに2丁のレーザーライフルを出す。
『よし、次は射撃テストだな』
龍也は10個の射撃用のターゲットを出した。
僕はそれぞれターゲットの真ん中を狙って、レーザーライフルを交互に発射する。1つのターゲットにつき5発ずつ放ち、計100発の弾を撃った。ちなみにこの射撃用ターゲットは真ん中が10点でそれから遠ざかるごとに点が下がる。
「凄い・・・」
「1000点中991点か。まあまあってところかな」
簪は僕の点数を見て凄いと言ってくれたけど、僕としてはいつも通りの成績だ。
『相変わらず双斗は射撃も上手いな』
「束さんに徹底的に教え込まれたからね」
これだけの射撃ができるようになったのは束さんが僕に教え込んでくれたおかげだ。
「さてと、じゃあ最後はお待ちかねのドラグーンだ」
僕はドラグーンを12機展開する。
「そういえば双斗って、BT適正っていくつなの?」
簪は僕がドラグーンを展開してるのを見てそう聞く。
「確か、『SS』だったと思うよ」
「えっ、そんなに高いの・・・!?」
簪は僕のBT適性の高さに驚く。まあ無理もないか、僕だって最初は驚いていたからね。
『双斗、それじゃあこれからテストを始めるぞ』
「うん」
龍也からの通信が切れると、僕の目の前に120機のターゲットドローンが出現した。
「(多いな・・・。でもこのドラグーンなら・・・!)」
僕はドラグーンを前方のターゲットドローンに向け、ロックオンする。
「一斉射撃(フルバースト)!!」
僕は12機のドラグーンで一斉射撃を行い、次々とターゲットドローンを破壊していき、すぐにすべてを破壊した。
「2人共お疲れ様」
結城先生がピットに戻ってきた僕と簪に労いの言葉を掛けた。
「それでどうだった双斗? 何か問題はなかったか?」
「特に問題はなかったよ」
「そうか。じゃあ俺はそろそろ帰るな」
「うん、今日はありがとうね龍也」
「気にするな。これくらいしか今の俺にはできないからな」
そう言うと龍也はトラックに乗り込んでいき、トラックはIS学園から出発した。
「それじゃあ、私も職員室に戻るわね」
そう言って結城先生は職員室に戻っていった。
「さてと、これからどうしようか?」
「時間も遅いから、部屋に戻らない・・・?」
「それもそうだね。それじゃあ行こうか」
「うん」
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オリキャラと双斗君の専用機の登場です。 | ||
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