恋姫英雄譚 鎮魂の修羅22
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拠点・麗羽

 

 

 

 

 

昨日の武闘大会から一夜明け、一刀は早速麗羽達との同盟締結の為の交渉に勤しんでいた

 

華雄と梨晏は、武闘大会での勝敗がうやむやになってしまったので、麗羽の一時的な客将として冀州の城に招かれ、一刀と冀州の交渉を見学していた

 

一刀「それじゃあ、米の関税はこんなものでいいか?」

 

真直「はい、これくらいならお互いに損する事はありません」

 

斗詩「でも、よくこれだけのお米の収穫に達していますね」

 

梨晏「うん、これなら民が飢える心配は無さそうだね」

 

華雄「ああ、端々にまで行き届いて素晴らしいものだ」

 

そう、一刀が持って来た幽州の米の収穫高の表を見てこの場に居る一同は驚愕していた

 

一刀「ああ、有効活用できる土地を開墾して早い段階で収穫にまでこぎつけることが出来たからな」

 

真直「そうみたいですね・・・・・これなら幽州の食糧事情は文句なしと言えます」

 

一刀「ああ、専用の倉庫を増築して、そこに余った米を備蓄しているからな」

 

斗詩「・・・・・それって、乱世に備えてですか?」

 

この疑問は尤もであろう、これから確実に時代は群雄割拠に移行すると考えている二人からすれば

 

一刀「冗談じゃないな」

 

しかし、それを一刀はバッサリ切って捨てた

 

一刀「この米の備蓄は、これから先、飢饉などが起こって皆が飢え死にするのを防ぐ為にやっているんだ、兵站や軍備なんて野蛮なものに悪用されるなんて、たまったものじゃない」

 

「・・・・・・・・・・」

 

一刀「俺は、乱世そのものを防ぐ為に行動しているんだ、その為に俺はここに同盟の申し込みをしに来ているんだ」

 

梨晏「まぁ、この同盟の内容を見ても、一刀が乱世を望んでいないというのは分かるけどね」

 

そう、同盟の中身は貿易に関する事や、不可侵に関する事ばかりで軍事的なやり取りなどは何一つとして掲載されていなかった

 

華雄「北郷よ、お主は英雄になりたいと思わないのか?」

 

斗詩「はい、これだけの内政を敷けば、乱世でかなりの名声を馳せることが出来ますよ、きっと」

 

一刀「英雄なんてこの世にはいない、そんなものは皆が見誤っている幻想でしかない、その正体はただの気の狂った大量殺戮者だ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

一刀「俺はそんなもの理解できないし、する気も無い・・・・・だから俺は乱世を止めるんだ、そんな他人の迷惑を一切顧みない犯罪者を根絶するために」

 

そう、一刀にとって歴史の偉人とは、人々が求めてやまない太平を乱した戦争犯罪者、テロリストでしかないのである

 

それは現代でいう所のIS、ナチスドイツのファシズム、旧日本軍がやった事と何の違いも無い

 

自国民を洗脳し戦場に駆り立て、殺し合いをさせる、それはいつの時代だろうと変わらないのである

 

一刀「戦争なんて百害あって一利無しだ、出来上がるのは屍の山、残るのは焦土と化した荒野、皆が汗水流して納めた血税を無駄に浪費する、おまけに始めるのは簡単だけど終わらせるのが圧倒的に難しいときている・・・・・この上ない悪害だ」

 

斗詩「・・・・・まぁ、そうかもしれませんけど」

 

真直「確かに、孫子も戦は極力してはならないと戒めていますけどね・・・・・」

 

梨晏「う〜〜〜ん、そう言われちゃうとなぁ・・・・・」

 

華雄「・・・・・・・・・・」

 

一刀の言っている事も決して間違っている訳ではないので、4人は深く考え込む、その時

 

麗羽「皆さん、ごきげんよう♪」

 

暗い空気を掻き消す様な明るい笑顔で金髪鬣ドリルが入って来た

 

麗羽「斗詩さん、真直さん、同盟の進行状況は如何かしら?」

 

斗詩「あ、はい、ただ今条件を精査している最中です」

 

真直「八割くらい終わりましたから、あと少しで終わります」

 

麗羽「そうですの・・・・・では、それは後に回していただけます?」

 

梨晏「え?この状況で同盟締結以上の優先事項が他にあるの?」

 

麗羽「もちろんですわ♪」

 

華雄「一体、何をするのだ?」

 

麗羽「宝探しですわ♪」

 

「「「「「・・・・・は?」」」」」

 

一同は、麗羽の言動に耳を疑った

 

麗羽「ですから、宝探しに出かけるのですわ、皆さん用意なさい♪」

 

斗詩「ちょっと待って下さい、麗羽様!!」

 

真直「また訳の分からない気まぐれを起こさないで下さい!」

 

梨晏「宝探し!!?そんな・・・・・」

 

華雄「そうだ、そんな事よりも重要な事があるであろう!!」

 

一刀「そうだぞ、今後の幽州と冀州の命運が掛かっているんだ、冗談も休み休み言え」

 

麗羽「冗談ではありませんわ、私は至って真面目ですのよ!!」

 

今は、大事な同盟締結の真っ最中であるのに、空気を一切読まない麗羽に呆れ返る一同だった

 

しかし、そんな中で

 

梨晏「そんな面白そうな事言うなよ〜、楽しくなるじゃないか〜♪」

 

「「「「「・・・・・え?」」」」」

 

何故か梨晏だけがノリノリだった

 

麗羽「あ〜〜ら、話が分かるではありませんか、太史慈さん♪」

 

梨晏「そりゃ分るよ〜、宝探しなんて浪漫があって心躍るよ〜♪」

 

浪漫という言葉がこの時代にあっただろうか、あれは確か夏目漱石・・・・・

 

麗羽「さ〜〜皆さん、参りますわよ♪」

 

梨晏「よ〜し、私張り切っちゃうんだからね♪」

 

「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその後、なし崩し的にその場の空気に流され、一同は山の中へと宝探しに訪れていた

 

斗詩「ううう〜〜、ごめんなさい一刀様ぁ〜〜〜・・・・・」

 

真直「麗羽様には、後できつく言っておきますから」

 

一刀「まぁ、残りは僅かだし、帰ったらすぐに片付けてしまおう」

 

梨晏「う〜〜〜ん、どんなお宝だろう、ワクワクするな〜〜♪」

 

麗羽「金銀ザックザク、財宝に決まってますわ、お〜〜〜〜っほっほっほっほ♪」

 

華雄「ところで、その宝の情報は何処から持って来たのだ?」

 

麗羽「ふむ、これですわ♪」

 

懐から紙切れを取出し、一同に見せてくる麗羽、それは地図だった

 

麗羽「袁家秘蔵の埋蔵金がこの山中に眠っているらしいですわ、それを探し出して見せますわよ♪」

 

斗詩「麗羽様、この地図は何処にあったんですか?」

 

麗羽「私の書斎ですわ♪」

 

真直「一応聞いておきますが、この地図が宝の地図だという根拠は?」

 

麗羽「そんなもの、私が宝の地図と言ったら宝の地図なのですわ、お〜〜〜っほっほっほっほっほ♪」

 

「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」

 

権力者の力を持ってすれば間違いも真実となるとはよく言ったものだが、これは流石に無理があるだろう

 

梨晏「おっ宝っ♪おっ宝っ♪」

 

麗羽「さ〜〜〜皆さん、参りますわよ、お〜〜〜っほっほっほっほ♪」

 

そして、先頭を先導して歩いていくこの二人

 

もはやノリノリのこの二人を誰も止める事は出来なかった

 

そんなこんなで、一同は山中の洞窟に辿り着いた

 

麗羽「ここですわ♪」

 

梨晏「う〜〜〜ん、雰囲気ばっちりだね〜♪」

 

まるで子供の様に目を輝かせる二人、気分はさながら少年探検隊である

 

斗詩「それで、これからどうするんですか?麗羽様」

 

麗羽「もちろん、入るに決まってますわ♪」

 

そして、いきなり洞窟に入ろうとする麗羽だったが

 

カチン

 

一刀「っ!!??」

 

この、何かと何かが填まり込んだ様な音を一刀は聞き洩らさなかった

 

一刀「伏せろ!!!」

 

麗羽「え?きゃあっ!!!」

 

覆い被さる様な形で、一刀が麗羽を後ろから地面に押し付ける

 

シュバババッ!!

 

すると、半瞬遅れて一刀と麗羽の頭の上を矢が通過した

 

斗詩「麗羽様、一刀様!!!」

 

真直「大丈夫ですか!!!??」

 

華雄「くっ、罠か・・・・・」

 

梨晏「うわぁ〜〜〜、こわぁ〜〜〜〜♪」

 

全然怖がっているようには見えない梨晏だった

 

斗詩「麗羽様、これ絶対危ないですって、引き返しましょう!!!」

 

真直「そうです、こんなもの命がいくつあったって・・・・・」

 

麗羽「まったく、よくもこの袁本初を謀ってくれましたわね!!!意地でも財宝に辿り着いて見せますわよ!!!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

梨晏「やっほ〜〜〜い、矢でも罠でも持って来〜〜〜い♪」

 

てなわけで、梨晏のノリの良さも相俟って、洞窟へと足を踏み入れる一同

 

斗詩「うわぁ〜〜〜、やっぱり暗いですね〜〜」

 

華雄「ああ、これは松明が必要だな・・・・・」

 

一刀「いや、必要ない・・・・・っ」

 

ブオオオオオオオ

 

全身から氣を発し青白い光を発する一刀

 

洞窟内を淡い光が立ち込め、松明などの明かりが無くても十分に周りを見渡せるようになった

 

梨晏「うわぁ〜〜お、流石一刀だね♪」

 

斗詩「やっぱり氣って便利ですね〜」

 

一刀「いつまでもはもたないぞ、早く済ませてしまおう」

 

麗羽「さぁ〜〜、行きますわよぉ〜〜〜♪」

 

そして、麗羽を先頭に洞窟を進む一同であったが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴロゴロゴロゴロ!!!!

 

一刀「走れ走れーーーーーー!!! 」

 

斗詩「きゃーーーーーーーーー!!!」

 

真直「いやーーーーーーーーー!!!」

 

麗羽「誰か何とかしなさーーーーい!!!」

 

華雄「無駄口叩いてないで走れーーーーー!!!」

 

梨晏「やっほ〜〜〜♪」

 

迷宮と言えばお約束、大玉ゴロゴロ

 

 

 

 

 

 

 

熊「グオアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

 

一刀「逃げろ逃げろーーーーー!!!」

 

斗詩「なんで起こしちゃったんですか、麗羽様ーーーー!!!」

 

華雄「そうだぞ、気付かれない様に脇を素通りすると初めに言っておいたではないか!!!」

 

麗羽「まどろっこしい事は嫌いですわ、起こして退いてもらった方が手っ取り早いではないですか!!!」

 

真直「余計な事しないで下さいーーーー!!!」

 

梨晏「に〜〜〜げろ〜〜〜〜♪」

 

あるいは、パパ熊に追いかけられる

 

 

 

 

 

 

 

一刀「・・・・・いいな、絶対に動くなよ」

 

麗羽「は、はい、分かってますわ・・・・・」

 

真直「うううう、恐いですぅ〜〜〜・・・・・」

 

30メートル綱渡り、しかも下は蛇の巣窟

 

何千匹、下手をしたら何万匹もの蛇が犇き合い蜷局を巻き、床全体を埋め尽くしていた

 

斗詩「一刀様、よくこんなの渡れますね・・・・・」

 

華雄「流石の私も、こればかりは腰が引けそうだ・・・・・」

 

梨晏「しかもあの二人を抱えてだなんて、神業だね♪」

 

そう、一刀は右腕に麗羽、左腕に真直を抱き抱えた状態で蛇地獄の上を綱一本で渡っていた

 

一歩一歩、慎重に確実に歩を進めていくが

 

シュロロロロロ

 

麗羽「ひいいっ!!」

 

真直「きゃあっ!!」

 

ギュウウウウウウウウウ

 

一刀「(おいいいいいいい、そんな抱き付いてくるな〜〜〜〜!!!)/////////」

 

余りに悍ましい蛇の群れに、麗羽と真直は恐怖の余り必死に一刀の頭にしがみ付き一刀の顔に胸を押し付けてくる

 

周りが見たら10人中10人が豊満と見るであろう麗羽の胸が形を変えて一刀の顔を包み込む

 

そして意外な事に、真直もかなりある

 

麗羽と比べれば見劣りするが、これはかなりの美乳である

 

麗羽「早く渡って下さい、一刀さん〜〜〜・・・・・」

 

真直「ゆっくり、確実にですよ!」

 

一刀「(そう思うんなら押し付けないでくれ〜〜〜!!!)/////////」

 

これは拷問以外の何ものでもない

 

二人分の双乳が押し付けられる上に視界を塞がれた一刀は平常心を保とうと四苦八苦していた

 

 

 

 

 

 

 

一刀「うををををぉ〜〜〜・・・・・ようやく渡ったぞぉ〜〜〜〜・・・・・」

 

人二人を抱き抱えた状態で30メートル蛇地獄を何とか渡りきった一刀は心身ともに疲れ切っていた

 

真直「ありがとうございます北郷殿、北郷殿が居なければこんなもの絶対渡りませんでした・・・・・」

 

麗羽「私からもお礼を申し上げます、一刀さん・・・・・」

 

蛇の巣窟の上を渡るなどという暴挙この上ない恐怖の前では、麗羽の普段の壮大な態度も形を潜めていた

 

しかし、当然これだけでは終わらない

 

斗詩「一刀様ぁ〜〜、私もお願いしますぅ〜〜〜・・・・・」

 

華雄「わ、私も頼む、こればかりは無理だ・・・・・」

 

梨晏「私は、肩車をしてもらおっかな♪」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

そして、今来た綱を引き返し、今度は三人を抱えて、再び一刀は蛇地獄を踏破したのだった

 

 

 

 

 

 

 

真直「北郷殿、本当に大丈夫ですか!?」

 

一刀「まぁ、なんとかな・・・・・」

 

薄暗い洞窟の中を進み続ける一同であったが、一刀の足取りだけが異様に重かった

 

斗詩「皆さん休みましょう!一刀様をここで休ませてあげましょう!」

 

華雄「ああ、北郷には世話になりっ放しだ、ここで小休止としよう」

 

梨晏「そうだね、あとどれくらい続いているか、何があるか分からないんだし、ここで体力を回復させといた方が良いかも」

 

麗羽「まったく、皆さんだらしないですわよ、この程度で根を上げるなんて」

 

真直「麗羽様は周りの事をもっと考えて下さい、家臣の体調や状態に気を配るのも太守としての務めですよ!」

 

麗羽「分かりましたわよ、休めばいいんでしょ、休めば」

 

そして、地面に座ろうと床に手を付く麗羽

 

ガコンッ

 

麗羽「え?」

 

その床が沈み込んだと思いきや

 

バカンッ!

 

一刀「なっ!!!??」

 

麗羽「きゃああああああ!!!」

 

斗詩「え!!?麗羽様!!?」

 

真直「北郷殿!!?」

 

いきなり麗羽と一刀の座っている床が抜け、二人は穴の中に落ちていった

 

華雄「くっ、落とし穴か!!?」

 

梨晏「大丈夫、一刀!!?」

 

4人が急いで穴の中を覗き込むと、そこには

 

麗羽「ちょ、ちょっと、どこに顔を埋めているんですの、一刀さん!!??//////////」

 

一刀「うむぅ!・・・・・んな事言われたって!////////」

 

凄い体勢の二人がそこに居た

 

壁の側面に両手足を固定し踏ん張る一刀の上に、覆い被さるように乗る麗羽

 

しかし、麗羽の下半身が一刀の上半身に覆い被さり、股間を顔に押し付ける形となっていた

 

一刀「おい、早く登ってくれ、下は針の山だ、落ちたら死ぬ!!」

 

下を見てみると、そこにはいかにも鋭そうな剣山が待ち構えていた

 

いくら一刀でもあの中に落ちれば死は免れない

 

早く登る様にと麗羽を促すが

 

麗羽「あふん?ちょっと、喋らないで下さいまし!///////////」

 

一刀「っ!!・・・・・分かった////////」

 

丁度、一刀の口元に麗羽の股間が填まっている為、一刀の視界は麗羽のゴージャスな下着に埋め尽くされていた

 

ちなみに赤紫である

 

一刀「すぅ〜〜はぁ〜〜っすぅはぁ〜〜〜!!///////////」

 

麗羽「はうん??息もしてはいけま、ひゃあん??//////////」

 

一刀が何か少しでもアクションを起こすと股間から快感が迸り、麗羽の声に甘ったるい艶が混じってくる

 

「「「「・・・・・//////////」」」」

 

その様子を上から恥ずかしそうに見下ろす4人

 

華雄「・・・・・はっ!!?おい、見てないで助けるぞ!!/////////」

 

斗詩「あ、はい!!//////////」

 

梨晏「え〜〜〜、もうちょっと見ていたいのに〜〜♪///////」

 

真直「馬鹿な事言ってないで手を貸して下さい!!」

 

 

 

 

 

 

 

そして、二人は救出されるが、何とも言えないその場の空気に耐え切れず、先を急ぐ事にした

 

麗羽「私、あんな、あんな事・・・・・//////////」

 

斗詩「だだ、大丈夫です、麗羽様!あれは事故だったんです!////////」

 

麗羽「そ、そうですわよね、事故・・・・・ですわよね///////」

 

斗詩「その通りです!あんな事があったからって、麗羽様が一刀様のお嫁さんにならないといけないとか、そういう話ではありません!////////」

 

麗羽「〜〜〜〜〜〜〜っ!!////////////////」

 

それを世間では煽ると言う

 

真直「ジィ〜〜〜〜〜〜〜」

 

華雄「ジトォ〜〜〜〜〜〜」

 

そして一刀は、この二人に白眼視されていた

 

梨晏「あは、災難だね、一刀♪」

 

一刀「何も言うな、忘れさせてくれ・・・・・」

 

そして、薄暗い通路を歩いていく一同であったが

 

ガコン

 

真直「え?」

 

今度は、真直が何かを踏ん付けてしまったようだ

 

華雄「今度は一体なんだ!!?」

 

次の罠は何かと辺りを警戒する一同だったが、次の瞬間

 

シュキン!!

 

一刀「なにっ!!?」

 

真直「きゃあああ!!!」

 

梨晏「うそっ!!?」

 

いきなり両側面の壁から無数の槍が突き出て来た

 

華雄「北郷!!!」

 

斗詩「一刀様!!!」

 

麗羽「きゃああああ!!!」

 

後ろに居た麗羽と斗詩と華雄は巻き込まれなかったが、一刀と真直と梨晏は槍の罠をもろに受けてしまった

 

後ろの三人には、前の三人が串刺しになったように見えたが

 

梨晏「うううう・・・・・死ぬかと思った・・・・・」

 

一刀「俺も一瞬死んだと思った・・・・・」

 

真直「もぉ〜〜〜、勘弁して下さい〜〜〜・・・・・」

 

なんと、三人は槍と槍の間を縫うように、器用に躱していた

 

一刀は、すかさず真直を抱え上げ槍の隙間を通す事に成功していた

 

体に槍が引っかかりとても言葉では言い表せない体勢になる三人だったが、一番拙い体勢にあるのは一刀だった

 

ムギュムギュムギュ

 

一刀「(おいいいいい!!押し付けるなぁ〜〜〜!!)/////////」

 

自分を挟む様に、梨晏の豊満な胸が背中に押し当てられ、真直が一刀の顔面を胸元に埋める体勢になっている

 

フニュフニュフニュ

 

真直「きゃあっ!!?ちょっと北郷殿、動かないで下さい!!////////」

 

梨晏「ああん?もぉ〜〜、一刀ったらやっぱり私とそういう事したいんだぁ〜〜?////////」

 

一刀「違うっての!!こっちは脱出したいだけだ!!////////」

 

お互い槍によって身動きが取れない状況では、いくら一刀といえどもどうしようもない

 

何とか脱出しようともがくも

 

ムニュムニュムニュ

 

真直「ふあああん?動かないでったらぁ〜〜〜?///////」

 

梨晏「あふぅん?なんだか気持ちよくなってきたかも?////////」

 

一刀がもがく度に、真直と梨晏の敏感な部分が擦れ、二人から艶めいた声が滲み出てくる

 

「「「・・・・・//////////」」」

 

後ろに居る三人は呆気にとられていた

 

どうやったらこんなエロハプニングが連続して起こるのか、逆に聞きたい

 

華雄「まったく・・・・・助けてやるから、動くんじゃないぞ////////」

 

呆れながら罠を手で破壊していく華雄

 

一刀「ふぅ〜〜、助かったぁ・・・・・」

 

梨晏「す、少し恥ずかしかったかも////////」

 

真直「もぉ〜〜、なんでこんな事になるんですかぁ〜〜〜////////」

 

今にも泣き出しそうな真直がいた

 

斗詩「麗羽様ぁ、もう引き返しましょう、この先どんな恐ろしい罠があるか分かりませんよぉ〜〜!」

 

麗羽「そ、そうですわね、これ以上は・・・・・」

 

梨晏「え?今まで通って来た罠だらけ道を帰るの?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、暫く話し合った結果、これまでの罠を再び掻い潜って帰るなど考えただけでも恐ろしいということで、一か八かで進む事に決めた

 

最初は、罠を警戒し慎重に進んでいた一同だったが

 

一刀「・・・・・う〜〜〜ん、全然罠らしいものは無いな」

 

華雄「そうだな、もう無いのかもしれないな」

 

梨晏「え〜〜〜、つまんないな〜〜〜」

 

真直「つまらなくてけっこうです!!もうあんなのは御免被りです!!」

 

斗詩「そうですよぉ〜〜!!油断しないで下さい〜〜〜!!」

 

麗羽「そうですわよ!!慎重に進んでくださいませ!!」

 

そうは言うが、本当にあの槍の罠以降、罠らしいものは何一つとしてなかった

 

何も起きない事がかえって不気味で、周りをよく観察しながら油断なく進んでいくと

 

華雄「・・・・・行き止まりだな」

 

梨晏「行き止まりだね・・・・・」

 

なんと、洞窟の奥はもぬけの殻で財宝のざの字さえなかった

 

麗羽「な〜〜〜んですって〜〜〜!!!?何の為にあんな恐ろしい罠を潜り抜けてここまで来たんですの〜〜〜!!!?」

 

斗詩「だから最初に聞いたんですよぉ〜、この地図が何の地図なのかぁ〜」

 

真直「まったく、何の根拠も無く宝の地図だと決め込むからこんな事になるんですよ・・・・・もう気が済んだでしょう?今度こそ帰りますよ」

 

麗羽「嫌ですわよ!!!ここまで来てなんの報酬も無いなんて割に合いませんわ!!!もしかしたら、途中で別の道を見落としたかもしれませんわ、探しますわよ!!!」

 

斗詩「そんなものありませんでしたよ〜〜〜!!完全な一本道だったじゃありませんか〜〜〜!!」

 

真直「これ以上皆さんに迷惑を掛けないで下さい!!」

 

一刀「もう盗掘された後なのかもな・・・・・ん?なんだこりゃ?」

 

行き止まりだと思われた通路の側面に、奇妙なものを発見した

 

一刀「・・・・・なぁ、これって石碑じゃないのか?」

 

文字が小さくて分かり難いが、そこには紛れもない文字が刻まれていた

 

麗羽「よくやってくれましたわ、一刀さん♪きっと財宝の隠し場所が書いてあるに違いありませんわ♪」

 

斗詩「待って下さい!!また何かの罠かもしれません、麗羽様は下がって下さい!!」

 

麗羽「うっ!!?・・・・・分かりましたわ・・・・・」

 

これまでの罠で懲り懲りなので麗羽は恭しく引き下がった

 

真直「・・・・・所々欠けていますけど、何とか読めそうです」

 

華雄「なんだ、何と書いてあるのだ?」

 

梨晏「そうだよ〜〜、早く読んでよ〜〜♪」

 

真直「ええ、読みますよ・・・・・」

 

そして、真直は壁に書かれた文面を朗読しだす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この岩窟の術計を悉く掻い潜りここに辿り着きし者へ、そなたは真の知恵と胆力、そして時の運をお持ちのようです

 

私は、この文の主、この試の窟を設けた袁安邵公と申す者、汝南袁氏の始祖であります

 

この文を披見する者が我が血を受け継ぐ者である事を切に願い、ここにこれを残しましょう

 

まずは、私がこの岩窟を設けた理由を書き記します

 

それは、文字通り試の窟と書いて、我が血を受け継ぎし者が真の知恵者であるかどうか、真の芯の強さを持った物かどうか、そして我が一族が持って生まれた強運があるかどうかを試す為

 

その者に我が言を伝えし為にこのような窟を設けました

 

私の時代、新が滅亡し光武帝、劉秀様が国を復興して久しい時代

 

私のおばあ様、袁良孫安は、私に口癖のように言っていました、自身の祖母、袁―――様の事を

 

新の国が行った政、おばあ様のおばあ様、袁―――様は、これを良しとせず、建国主である王莽に数えきれないほど謁見し是正するよう強く申し出たと

 

お粗末な政を正し、近隣の人々に迷惑をかけてはならないと

 

しかし、その言は聞き入れられず、挙句の果てに袁―――様は、王莽の勅命で兵達を率い征戦を繰り返すことになってしまったと

 

戦から帰って来る度に、袁―――様は悲しそうに、また多くの人々を殺してしまったと漏らしていたと

 

本当は、袁―――様もそんな事をしたくは無かったのです、多くの人々を不幸に貶める戦という名の愚行を

 

そして、袁―――様は悲痛の思い募らせ続け病でこの世を去り、おばあ様はその死を嘆き悲しんでいました

 

後世の人々は、袁―――様のことを、多くの人々を死に至らしめた悪鬼羅刹の権化と詰るかもしれません

 

私にはそれが我慢なりません、私のご先祖様がそのような不名誉を被るなど

 

私のご先祖様、袁―――の名誉を守る為に、我が血を受け継ぎし者に同じ過ちを犯させまいという一心で、私はこの窟を設けました

 

我が血を受け継ぎし者よ、その知恵、胆力、そして強運を戦という愚かな行為に使う事を戒めなさい

 

贅沢を止め、人々の幸せの為に役立てると誓うのです、さすればきっとそなたにはそれ相応のものが返って来ることでしょう

 

そのような悲惨な出来事が、後の世に金輪際起こらない事を、おばあ様と同じ思いをする人が永遠に出ない事を切に願います

 

汝南袁氏始祖、袁安邵公

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

暫くの間一同は、言葉が出なかった

 

麗羽「ああ、なんということでしょう・・・・・まさかこの洞窟が、我が祖先、袁安邵公様がお築きになられたものだったなんて・・・・・」

 

斗詩「うう、涙が溢れてしょうがないよう・・・・・」

 

真直「安心してください、袁安様・・・・・私が袁家をそのような道に迷わせはしません」

 

華雄「前世の言、痛み入る・・・・・」

 

梨晏「う〜〜〜ん、考えさせられるなぁ〜〜〜・・・・・」

 

袁良の祖母の名前の所だけが欠けて読めなかったが、一同は感慨深い気持ちになった

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

そんな中、一刀は記憶のタンスを引っ張り出していた

 

袁安の祖父、袁良は、孟子の易を学んだ儒者で、前漢末期の平帝の時に太子舎人となり、光武帝が後漢を興すと成武県の令にまで昇ったといい、もともと地方名士の家系であった

 

確かな名前の伝わっていない袁安の父は、おそらく官途についていなかったと考えられ、袁安は若い頃はとくに目立った家ではなかったらしく、はじめ県の功曹をしていたが、西暦60年に孝廉にあげられて官界に入った

 

孝廉にあげられたときの逸話として、以下のような話が伝わっている

 

袁安が官途につかず勉学していたときに大雪があって飢饉になったことがあったが、彼はひとり家に篭って寝ていた

 

たまたま市中を巡回していた県令が大雪をどけていない家があったので餓死者がいるかもしれないと思って中に入ると、そこが袁安の家であった

 

なぜ外に出て食料を求めないのかと県令が問うと、袁安は大雪で人はみな困っているのに、自分が外に出て行ったらますます迷惑をかけてしまうと答えた

 

県令は、その悠然とした賢人の態度に感心して孝廉に推薦したのだという

 

官界に入った袁安は、いくつかの県の令を歴任して厳明かつ公正な政治をよく行って高い評価を受けた

 

71年に前年反逆事件を起こした光武帝の子で明帝の異母兄の楚王劉英が除封された直後の楚郡に太守として派遣され、ここで劉英の連座によって郡史に捕らえられた王平・顔中ら多くの者の裁判を担当したが、反逆荷担に明らかな根拠のみられない者数百名の無罪を上奏し、多くの無実の者を出獄させた

 

この公正な裁きに感心した明帝によってまもなく中央に召還され、首都洛陽を中心とする地域の行政を司る河南尹に抜擢される

 

袁安は厳正な統治を行う一方、むやみに人を裁かずに徳治に務めたので10年あまりに渡ったその在職中に首都の気風は整然となり、その名は朝廷に重んぜられるようになった

 

83年に九卿のひとつ太僕に転じて中央官界に転じ、次いで中央政府の最高官である三公の司空、ついで司徒に就任した

 

88年に章帝が崩じて幼い和帝が即位すると、和帝の外戚(帝の母の生家)として政府の実権を握った竇氏と対立、竇氏を弾劾する上奏を行ったが、朝廷を支える清流派官僚の指導者である袁安が罷免されることはなかった

 

袁安は竇氏の専権を気に病みつつ、現職の司徒のまま亡くなるが、その後竇氏の政権が打倒されると、袁安の再評価が行われ、その遺児が朗中に取り立てられた

 

そのうちの一人が三公の司空にのぼった袁敞であり、また別の子袁京の子からは三公の司徒、太尉を歴任した袁湯が出た

 

袁湯の子からは袁逢・袁隗の2人の三公が輩出し、現在の麗羽と美羽が袁湯の孫である

 

一刀「(そうか、大変だったんですね、おばあ様のおばあ様も・・・・・)」

 

そして、更に記憶のタンスを引っ張り出す

 

新王朝とは、前漢の外戚であった王莽が前漢最後の皇太子の孺子嬰より禅譲を受けて立てた王朝である

 

しかし、実際は禅譲とは程遠く、当時の帝である哀帝を殺害し、哀帝から皇帝の璽綬を託されていた大司馬董賢から璽綬を強奪し、中山王劉?を擁立して大司馬に返り咲いたクーデターの主犯者である

 

王莽は、新都侯に封じられたことにより国号を新とし、周の時代を理想とした政策を行なったが、その理想主義・復古主義的な政策は、国内を混乱させるだけに終わる

 

また、匈奴や高句麗に対して高圧的な態度を取ったためにこれらの離反を招くなど、その統治は失敗に終わり、国内には不満を持つ者が多くなった

 

具体的な政策としては、古代の名称にあわせた地名や役職名の頻繁な改名、小作農民の為の農地の国有化、奴隷売買の禁止、高利貸しに対し、国家による安い金利での融資など

 

また新貨幣を鋳造したが、これは制度が複雑で経済が混乱したあげく、私銭鋳造を認めざるおえなくなるまでになった

 

塩や鉄を国が専売制とするなどの政策があったが、経済政策では地主や高利貸し等から、貨幣鋳造や塩鉄の統制では民衆から、大きく不満と反対が起きた

 

遠征も繰り返しており、匈奴には30万人、西南の句町国には20万人の兵を派遣し、後者では6〜7割が餓死・疫病で死んだとされる

 

おそらく袁良孫安の祖母も、その遠征の中に居たのだろう

 

やがて赤眉・緑林の乱が起こり、更始帝の軍により長安を落とされ王莽は殺され、1代限りで滅んだ

 

一刀「(安心してください、袁安様・・・・・自分がそんな思いをこれ以上誰にもさせません、ですから心安らかに眠って下さい)」

 

石碑の前で手を合わせ、一刀はこの洞窟を作った主の冥福を祈るのだった

 

それと同時に、歴史の偉人も決して殺したくて人を殺していた人ばかりではないという事実を胸に刻むのだった

 

麗羽「でもやっぱりここまで来て何の報酬も無いなんで、納得いきませんわーーーー!!!!」

 

斗詩「も〜〜〜、何言ってるんですか〜〜〜!!!??せっかく始祖様からありがたいお言葉を貰ったのに〜〜〜!!!」

 

真直「どうしてそこで全てを台無しにするんですかーーー!!??」

 

一刀「(・・・・・大丈夫です、袁安様、この馬鹿は自分がきっちり再教育しますんで)」

 

後ろでぎゃーぎゃー喚き出す麗羽の態度に苛つきながらも、一刀は漢王朝を是正する事に再び意欲を燃やすのだった

 

華雄「さて、前世のありがたい言葉を承った所で、帰るとするか」

 

梨晏「そうだね、そろそろ帰らないと日が暮れちゃうよ」

 

斗詩「はい、文ちゃんと悠さんが心配しています」

 

そして、気分よく帰途の話をし出す三人だったが

 

真直「帰るのは良いけど、どうやって帰るのよ?」

 

斗詩「・・・・・あ」

 

華雄「それは・・・・・」

 

梨晏「え〜〜〜と・・・・・・・・・・てへ♪」

 

麗羽「てへ♪じゃありませんわ!!またあの恐ろしい罠を掻い潜って帰るなんて御免ですわよ!!」

 

しかし、ここに来るまでほとんど一本道だったので帰るには来た道を戻る以外にないのは明白である

 

駄々をこねる麗羽とその他の者達との論争が勃発する中で、一刀はある違和感に気付いた

 

一刀「(?・・・・・風を感じるな)」

 

肌を撫でる空気の流れを辿っていき、反対側の壁を調べてみる

 

一刀「・・・・・ここだな・・・・・ふっ!!!」

 

そして、渾身の力を込めて壁を押す

 

すると壁は徐々に開かれ眩しい光が洞窟内を照らした

 

斗詩「あ、そんな所に出口が!」

 

真直「良かったぁ〜〜・・・・・そうですよね、これだけのものを作って脱出口が無い方がおかしいです」

 

華雄「ふぅ〜〜〜、外の空気がこれ程美味いと思った事は無い」

 

梨晏「はぁ〜〜〜〜、楽しかったぁ〜〜〜♪」

 

麗羽「よくやりましたわ、一刀さん♪さあ皆さん、帰りますわよ♪」

 

斗詩「待って下さい、麗羽様ぁ〜〜〜!!」

 

真直「どうしてこういう時だけ足が速いんですか〜〜〜!!!??」

 

麗羽を先頭に帰途に付く一同だったが、一刀はあるものに気付いていた

 

それは、別の壁に書かれたもう一つの文章だった

 

 

 

 

 

とはいえ、ここまで赴いて何の手土産も無いというのは納得できないでしょう

 

ここにそなたの知恵、胆力、時の運に見合う報酬を用意します、これをぜひ世の為人の為に役立てて下さい

 

 

 

 

 

 

壁の隙間を覗き込むと、そこには金銀財宝の山があった

 

あらゆる宝石、金を基調とした装飾や衣服などが唸る様に積み上がっていた

 

おそらく、袁家の財宝の一部であろう

 

一刀「・・・・・ふっ!!!」

 

しかし、一刀はそれらの財宝を無視し、自ら開いた扉を外側から閉めた

 

一刀「(袁安様、お気遣いは嬉しいですが、それはいりません・・・・・今の麗羽に渡しても、ドブに捨てるようなものです)」

 

そう、今の麗羽がこの財宝を手にしたところで、私欲に使い潰すのが関の山であろう

 

何も見なかったと自分に言い聞かせ、一刀も何事も無かったかのように帰途に付いたのだった

 

そして、帰ってきた一同を待っていたのは猪々子と悠の不平不満だった

 

猪々子「一体何処に行ってたんだよ!!?危うく袁紹軍総出で探しに行く所だったんだぜ!!」

 

悠「お前らだけでどんな楽しい事をしてたんだ!!?洗いざらい吐いてもらうぞ!!」

 

と、この二人を宥めるのに一刻程掛かるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「ふぅ〜〜〜、結構な湯加減だな♪」

 

そして、猪々子と悠を宥めた後、一刀は一番風呂に入っていた

 

しかし、そこは只の風呂ではない、壁にはあらゆる装飾が散りばめられ、柱は大理石を基調とした立派なものだった

 

温泉が出てくる蛇口は龍の彫刻の口である

 

そう、ここは麗羽の麗羽による麗羽だけの大浴場だった

 

一刀「ったく、湯加減は良いけど全く落着けないなぁ、ここでも盛大な税金の無駄使いを感じるぜ・・・・・」

 

これだけの大浴場を造り維持するのにも膨大な金が必要であろう

 

風呂を沸かすだけでもこの時代では相当な金がかかるというのに、これだけの広さではそれも馬鹿にならない

 

大人数で入るならまだしも、入るのが麗羽だけでは、水を沸かす薪が余りに無駄この上ない

 

環境破壊もいいところである

 

しかし、何故その風呂に一刀が入っているのかというと

 

真直「今回、北郷殿には大変ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした、麗羽様には言っておきますから、入って構いません」

 

と、真直がこちらを気遣って、わざわざ麗羽専用の浴場を貸し切りにしてくれたのである

 

数人の侍女も同行させようとしたが、流石にそれは断った

 

一刀も思春期の男である、それ以上に今は大事な時期なのだ

 

こんな所でつまらない面倒事を起こしていては、全てが水の泡になってしまう

 

この浴場も、いつかは経費削減で閉鎖しなければならないだろう

 

冀州の財政と民達の生活を同時に改善させる為にも無駄使いなど言語道断である

 

後で真直と斗詩に相談しようと思っていると

 

麗羽「かか一刀さん!!ゆゆゆ湯加減は如何ですか!!?」

 

突然、脱衣所から麗羽の声が聞こえてきた

 

一刀「ああ、良い湯だ、生き返る」

 

麗羽「そそ、それは良かったですわ!!」

 

一刀「?・・・・・どうしたんだ?何かあったのか?」

 

そう、脱衣所から聞こえてくる麗羽の声はいつもの壮大な態度は感じられなく、かなり慌てた、歯切れの悪いものだった

 

麗羽「いいえ、にゃんでもありえませんわ!!」

 

所々噛んでいる為、これは絶対何かあると思った

 

一刀「本当にどうしたんだ?それにそんな所で何をしているんだ?」

 

麗羽「ななな、何でもありません!!ししし、失礼します!!」

 

そして、一刀が振り返ると同時に、麗羽が勢いよく扉を開け浴場に入って来た

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

麗羽「・・・・・・・・・・」

 

目線が合い固まる二人

 

浴場に入って来た麗羽は、バスタオルを体に巻き恥ずかしそうに身悶えしていた

 

一刀「え、あ!!?何で入って来るんだ!!?////////」

 

麗羽「ちちち違いますわよ!!ここここれは真直さんに言われて仕方なく!!////////」

 

一刀「別にそんな事をしなくてもいいって!!」

 

麗羽「このまま何もせずおめおめと帰っては、真直さんに何を言われるか分かりませんわ!!////////」

 

そう、真直は麗羽に

 

真直「いいですね、今回麗羽様は北郷殿に命を救われた所が最低でも五回はあったんです、麗羽様は北郷殿に奉仕をする義務があるんです、信賞必罰、与えられた恩義には報いねばなりません、これも太守としての責務、私が良いというまで浴場から出る事は許しませんよ」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

と、言及していた

 

麗羽「こここ、光栄に思う事ですわね!!この私の奉仕を受けることが出来るその身を!!//////////」

 

一刀「あ、ああ、分かったよ//////////」

 

何とも言えぬ麗羽の迫力に負け、一刀は大人しく身を引いたのだった

 

麗羽「そそ、そうですわよ、素直に従って下されば、こちらは何も言いませんわ・・・・・では、背中を流して差し上げますから、湯船から出てくださまし/////////」

 

一刀「ああ////////」

 

相変わらず歯切れが悪いが、恥ずかしそうにバスタオルの裾を握り締め、自らの大事な所を隠そうとするが、裾を引っ張った分だけその豊満な双乳が零れ落ちそうになる

 

一刀「(落ちつけ俺、色即是空、空即是色、明鏡止水!)」

 

何とか心を落ち着け、反応しそうになる我が息子を精神の力で抑え込む

 

そして、一刀は風呂椅子に座り、麗羽はその後ろで体を洗う為の油香を掻き混ぜるが

 

麗羽「っ!!?・・・・・(な、なんて逞しいのでしょう)///////」

 

湯煙で良く見えなかったが、一刀の体は麗羽から見ても相当に鍛えられた鋼の肉体だった

 

油香でその背中を流していると、何とも変な気分になってくる

 

麗羽「(いいいい、いけませんわ、早く終わらせないと!)/////////」

 

洞窟でのことも相俟って、麗羽は一刀の事を一人の男性として見始めていた

 

しかし、麗羽自身にそのような自覚は無いので、早く洗ってこの場を切り抜ける事に全力を注ぐのだった

 

一刀「・・・・・ところで麗羽」

 

麗羽「あはい、何でしょうか?////////」

 

一刀「麗羽は、あの袁安様の碑文を見てどう思った?」

 

麗羽「はい・・・・・始祖様の言、とても心に響きましたわ////////」

 

一刀「それだけか?」

 

麗羽「それだけ、と申しますと?////////」

 

一刀「袁安様が、具体的に麗羽に何をして欲しいか、何を目指して欲しいか、それが分かるかと聞いているんだ?」

 

麗羽「それは・・・・・・・・・・」

 

暫く考え、麗羽は言葉を紡ぎだす

 

麗羽「・・・・・始祖様は、きっと袁良様が、おばあ様に一刻も早く戦を終わらせて欲しかった事を伝えたかったんだと思います、これ以上の犠牲を抑え、おばあ様がこれ以上悲しまないようにと、だから・・・・・」

 

一刀「違う、お前は分かっていない、麗羽」

 

麗羽「え?」

 

一刀「袁安様のおばあさんのおばあさんは、最初から戦なんて望んでいなかったんだよ・・・・・実際あの碑文に書いてあったじゃないか、新の王、王莽にこれ以上の愚行をしないよう何度も掛け合ったって」

 

麗羽「・・・・・・・・・・」

 

一刀「普通に生きて普通に家族と過ごして普通に死ぬ、そんな穏やかな日常を過ごし、争いも無く奪う事も無い、そんな人生を歩みたかったんだ」

 

麗羽「・・・・・・・・・・」

 

一刀「だから袁安様は麗羽に、戦が起こる前にその芽を摘んで欲しいんだ、その為に贅沢を止めて、自分を戒めるようにと、あの碑文に書いたんだ」

 

麗羽「・・・・・では、実際に起こってしまった時はどうするんですか?」

 

一刀「そうさせない為に俺はここに居る、今回の同盟も全ては乱世を未然に防ぎ、無駄な犠牲を出させない為の布石なんだ」

 

麗羽「・・・・・・・・・・」

 

一刀「だから麗羽」

 

麗羽「きゃっ!」

 

いきなり一刀は麗羽に振り返り、両肩を掴み真っ直ぐに麗羽の目を見つめた

 

その反動で、麗羽の裸体を隠していたバスタオルは床に落ちてしまう

 

一刀「俺がきっと今の腐敗した漢王朝を是正して見せる、麗羽もこれまでの自分を改めて、省みて、俺に協力してくれ」

 

麗羽「・・・・・////////////」

 

その真っ直ぐで真摯な一刀の目は、麗羽の心を揺り動かすのに十分な威力を持っていた

 

麗羽「・・・・・分かり、ましたわ、私は一刀さんにご協力いたします///////////」

 

一刀「っ!・・・・・ありがとう麗羽!!」

 

麗羽「きゃあっ!!//////////////」

 

そして、感極まって一刀は麗羽を抱き締めた

 

麗羽「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!//////////////」

 

その力強い包容に麗羽は顔を真っ赤にし、完全に固まってしまった

 

その時

 

真直「ちょっと、今は駄目だってば!!」

 

斗詩「そうですよ〜〜、一刀様と麗羽様が入ってるんですから〜〜!!」

 

梨晏「けち臭い事言わないでよ、こんな広いお風呂だったら皆で入らないと損だよ〜〜〜♪」

 

猪々子「ああ、アニキと姫が入ってるんだったら、こりゃ見るしかないっしょ♪」

 

悠「あたし達を置いてけぼりにして楽しい事をしてたんだ、これくらいの役得があってもいいだろう♪」

 

華雄「私は、別段興味はないが、疲れを癒せる風呂は、ぜひ入りたいぞ」

 

どうやら、一刀も麗羽との話に夢中で気配を察知出来なかったようだ

 

そして、無慈悲に開けられる扉

 

「・・・・・あ」

 

一刀「・・・・・あ」

 

麗羽「・・・・・あ」

 

一同が見たのは、裸で抱き合っている一刀と麗羽の姿だった

 

麗羽がその豊満な生乳を一刀に押し付け、一刀は麗羽を抱き締め返している

 

華雄「な、な、な、な、何をやっているのだ貴様らーーーーー!!!/////////」

 

斗詩「えええええ!!?一刀様と麗羽様って、そこまで進んでいたんですか〜〜〜〜!!?//////////」

 

猪々子「うっひょ〜〜〜、流石アニキだぜ♪そのまま押し倒しちまえ〜〜〜♪」

 

悠「あたしが許す!!一刀と麗羽がくっついてくれりゃあそれはそれで面白いしな♪」

 

梨晏「きゃ〜〜〜、一刀ってば私を貰ってやるとかかっこいい事言っていたくせに、気が多いんだから〜〜〜?//////////」

 

真直「麗羽様、まさか本当に北郷殿と!!?/////////」

 

麗羽「ちちちち、違いますわよ!!!これは不可抗力というかなんというか、とにかく離れて下さい、一刀さん!!!/////////」

 

一刀「あ、ああ・・・・・」

 

猪々子「なんだよ〜〜、別に隠す事ないじゃ〜〜ん♪」

 

斗詩「おめでとうございます、麗羽様♪」

 

梨晏「私もいつか一刀の後宮に入れられちゃうのかなぁ?/////////」

 

悠「あたしも仲間に入れろ〜〜〜♪」

 

真直「結婚式、近い内に準備しないといけませんね!////////」

 

麗羽「ですから違いますってば〜〜〜〜〜!!!!!//////////」

 

こうして暫くの間、浴場に麗羽の木霊が響き渡っていた

説明
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コメント
やりたくてやっている訳ではないという先人の碑文を見て、北郷が何か変わるきっかけになればいいと思いますが… そしてこのラッキースケベである(はこざき(仮))
劉邦さんへ、アニメの方はつまらな過ぎて最初の方しか見ていなかったのですが、そういう話があったとどこかのサイトで見た気がしたのでこういう話を持ってきただけです(Seigou)
今回の話は、アニメ第一期にあった「ネタ」だね。 結局、アニメ本編では「お宝」手に入らなっかたけど〜。(劉邦柾棟)
更新、待ってました。(≧∇≦) 孤高の御遣いの方も期待してます>(聖龍)
歴史の偉人を忌み嫌う一刀なら、きっと「パンがないならお菓子をたべればいいのに」という言葉が有名なマリー・アントワネットの事も忌み嫌っているのでしょうね。……その言葉は彼女を忌み嫌う貴族達によって民間に広められた全くのデマで、むしろ私財を投じて食料を施した慈悲深い王妃であった事も知らずに。(h995)
麗羽の宝探しもたまにはいいことあるんだなw(nao)
おお、麗羽が一刀に協力するようになったってことはかなり漢の中でも優位になるんじゃないだろうか?そして白蓮の苦労が増える…と(スネーク)
キター(≧∇≦)。(yuuki)
お帰りなさい! Seigouさん! 続き、待ってましたよwwww!!!!(劉邦柾棟)
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