神次元の外れ者(57)
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「好きな人の幸せの為」チータ視点

 

……あの暴風ドーム騒動から数日後、俺、チータ・プラーはクリエ・イコーに声をかけられ……今、浜辺で二人っきりです。

こ、これはまさか…まさかの愛の告白ですかああああああああアアアアアアアアアアアア!?!?!?!?

や、ヤバいよ…俺自分から口説きに行った事はあるけど告白はされた事ねぇよ!

いや、そんなフラグは立ってた気がしたんだけどね?暴風騒動の後でデバッカがベールさん叱ってた時、チラチラと俺の事見てたし!

それに最近、何か野郎は避けて俺に寄ってきてるし!「きょ、今日の夕方暇……?」って恥ずかしそうに誘って来たし!

歓迎パーティーの時、コイツを見る度に胸が痛くなったが……そうか、これがTOKIMEKIか!これが初恋か!!!

そしてこのシュチュエーションとなると最早この先は決まっている!後は平常心を保って邪な心を表情に出さなければ完璧だ。

「来てくれてありがとう…ここなら誰もいないから……」

「ああ、俺なら大丈夫だよ……アイツはイストワールさんが見張ってるしな(モンスターの気配が無い…クリアリングも完璧だ)」

もじもじしながら話すクリエを前に、俺はいつもの様にこちらから攻めるのは愚策と判断し、返事、返答、待機を心に刻む。

焦るな、誘うとすればさり気なく、その時が来た時だけだ。それ故にタイミングが重要だ、慎重に…慎重に……

だが後手に回ると怪しまれるからほどほどに俺らしさを現すんだ

「それでさ…俺に何か用なのか」

「う、うん……他の人には言えない事だから……」

「ベールさんにも言えない事情か…よほど重要な事なんだな」

「あ、え、う、その…確かに重要と言うか…何て言うか……兎に角他には言えない事なんだ」

「……遠慮すんな、どんと来い」

「う、うん…ありがとう……」

掴みはバッチリだ…女王モードのアホ姫の責めにすら耐えて来た俺の頼もしさはハンパねぇからな。

……これまで苦行に耐えて来た甲斐があったぜ……長かった…本当にここまで長かった……これで俺にも…俺にも遂に……!!!

「じ、じつはね…私……」

「ん?」と聞きそうになるがここはぐっっっと堪える。前に出るな、結論が決まった以上これ以上は蛇足になる。

だがじれったい……!これが野郎が体感した、全てが遅く感じる状態なのか、答えを急かしたくなるが落ち着け俺!

これまでそれで何度失敗してきた!それで何度撃沈して来た!お前はこれまでのSO-RO-YaRo-じゃない、あの魔王の責めを耐えきったタフGUYだろ!!

「私……」

表情はニュートラルをキープしろ!喜びに跳ね回るのは見知った顔がいない場所でだ!それまでは例え分かれても…分かれても表情意地Da!

「私…君に……」

「……」

「君に……」

「……」

「こ、恋……」

キタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!

「恋人になるコツを教えてほしいんだ!!」

「…………へ?」

いや、待て待て待て待て!落ち着け俺!まだ諦める所じゃない!もしかしたら俺の恋人になるコツなのかもしれないし!!

「だ、だって、アイツの…デバッカとコンビ組んでるし、その分アイツの事知ってるんじゃないかなって…」

「デ、デバ……?」

「それにチータって口説く度に振られまくってるからある意味経験豊富だし」

「グハッ」

「アイツよりも特になんでもない君なら喋りやすいし」

「ガッホ」

「女だと分からないこともあるしね、男の好みは男に聞いた方が良いし、練習相手にもなるし」

「アッブ」

「いやー本っ当に君のような都合のいい人がいて心から良かったよ」

「ッッッッブェアアアアアアアアア」

「それで…良いかな?」

「……あい」

グサグサと刺さる言葉、その度に噴出される大量の血…口説く以前の問題じゃなかった、最早脈なんてものは存在して無かった。

付き合う以前に出来上がっていたんだあの二人!何時からか?あの騒動からか?吊り橋効果か?……いずれにせよ、俺が取り付くしまがないわけだが。

こうして時々クリエの恋の手伝いをする約束をして別れた……そして俺の初恋は、音も立たずに崩れ去った。

 

「あの二人…そういう事か」

 

その時誰かが俺達のやり取りを双眼鏡越しで見ていたが、俺はともかくクリエすら気づいてなかった……

 

失意のどん底の中、俺は教会の休憩用の座席に座っていた。その時発していたオーラによって誰も寄っては来れなかったが…

「隣、空いてるか?」

「おう……」

野郎が…デバッカが隣に座って来た。

「……あのさ」

「……何だよ」

「実はメガミホテルの窓から双眼鏡で遠くを眺めてたら……偶然二人の事を見かけた、まさかそんな関係だったとはな……」

「……へぃ?」

え、どういう事?双眼鏡で遠くを眺めた?と言うかデバッカよ、まさかお前……

見られていたことは別に良い、恥ずかしいとか言う気持ちは今の奴の言葉で吹っ飛んだ。

何せ俺の隣に座っているこの男が…誤解しているかもしれないからだ。

「俺…応援するよ、お似合いだと思うしそれに……クリエも何だか、俺の事避けてるしな」

「あ、えっとさ……俺達の話とかって聞いたの?」

「遠すぎて聞けなかったけど…そう言う会話なんだろ?」

……やっぱりか。コイツ、何かを察したように俺の事見てるけど実際の所それが大きな勘違いとか!

これじゃあクリエが浮かばれんな…何とかして誤解を解かないと…

「それにクリエには、その…幸せになっていてほしいから、アイツが幸せなら、俺はそれで……」

「……?」

おい、待てよ?まさかコイツ…否、コイツもまさか…………!?

「俺はアイツが…好きかもしれない……だからかな、お前と気軽に明るく話せてるアイツの顔を見てると…嬉しいんだ」

「………………そうか」

そおおおおおおおおおおおおおおおおおゆううううううううううううことかああああああああああああああ!!!!!

まさか!あの無表情なデバッカが!そう言うの知らなそうな隣のあのやろーが!恋をしているだとおおおおおお!?

しかも相手はクリエ!?まさかの両想い!?けど誤解して諦めてサポに走ろうとしてるよコイツ!

……だが、この関係を利用すれば、二人の仲を縮められるんじゃねぇか?

俺がクリエのサポートをして、アイツには俺のサポートという名目でクリエとの関係を作らせれば……

俺はクリエの事が好きだ、だが…否ァ!!だからこそアイツには幸せになって欲しい。

脈無しの俺よかアイツの事を心から想っているやろーの事が好きだというならば…………俺は!!

「……あのさデバッカ、早速だが手を貸してくれ…………」

「何だ?」

「近々クリエとデートをする予定なんだ……その時に同行して欲しい、いきなり二人っきりになる勇気が無い」

この関係を利用して、二人の距離を縮めさせる!

その為には邪魔者を削ぎ落し、協力者を集めよう…幸いここには有力な戦力がいるわけだ、利用しない手はねぇ!

二人の仲をとりもつ、百発百中の恋のキューピット王に、俺はなる!!

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作戦会議:ルウィー城の一室にて……(ほぼ台詞オンリー)

 

ブラン

「……それで、貴方の方は良いの?」

チータ

「生憎俺にNTRの趣味はねぇんでな。しかし場所の提供を感謝するぜ」

ブラン

「別に良いわ…丁度私達にかかってるレズビアン疑惑がいい加減うざったく思えて来たの」

ベール

「全くですわ、私たちだって普通に恋もしますし、それが女性だけだとは限りません!ただ…良い殿方に……巡り合ってないだけ……ですのに…………」

ノワール

「言いながら落ち込まないでよ…それで悩んでるの貴方だけじゃないんだから……」

ブラン

「…………」

コンパ

「元気出してください!皆さんは素敵な方ですから、きっと良い人見つかります!」

アイエフ

「……このメンバーで上手くいくのかしら?不安になってきたわ……」

チータ

「いくともさ…寧ろだからこそと言うべきかな。」

アイエフ

「根拠は?」

チータ

「知っての通り、女神は国の最高権力者だ。それ故に高嶺の花過ぎて見合う男がいねぇ……だから恋の話となると女子学生並に盛り上がり、婚期を焦り落ち込むアラフォー並に執着するんだ、やる気なんて増し増しだぜ」

アイエフ

「それ…本人の前で失礼じゃない?」

チータ

「大丈夫だって、かなり落ち込んでるから聞こえちゃいねぇよ……ってあれ?皆さん何で女神化して武器をお持ちに……フギャアアアアアアアアアアアアア!!!」

アイエフ

「……はぁ」

 

それからしばらくして……

 

チータ

「さて……この作戦に置いて、重要な事は二つある。一つは良い雰囲気、二つは障害の隔離、この二つが成り立たんと計画は始まらない……そこで二人の間に俺が入り、仲介役となる。」

ブラン

「先ずはそこからね」

ノワール

「あなたに任せるなんて不安でしょうがないけど…仕方が無いわ。」

チータ

「ブランとノワールにはプルルートとクエストに行ってもらう」

ノワール&ブラン

「「はァ!?」」

チータ

「俺は動けねぇし付き合い長いし適役だろ?」

ノワール

「それは良いけど何でコイツと一緒に行かなきゃいけないのよ!私一人で十分だわ!」

ブラン

「それはこっちの台詞だ!何でこんな奴と同行しなきゃいけねぇんだよ!」

チータ

「万が一暴走した時、たった一人で抑えられるのか?」

ノワール&ブラン

「「そ…それは……」」

コンパ

「凄いです……息がぴったりです」

アイエフ

「これなら納得だわ…喧嘩するほどなんとやら……かしら」

チータ

「アイエフ、コンパ、ベールさんは、リーンボックスでピーシェと遊んでてくれ」

アイエフ

「ベール様はともかく、どうして私達を?」

コンパ

「てっきりアイちゃんと私はサポートするのかと……」

チータ

「アイツ、幼馴染と遊びたがってたからさ…特訓中も最近会ってないって愚痴こぼしてたぜ?」

アイエフ

「あー……確かに最近会ってないわ……」

チータ

「イストワールさんには、事前にデートのサポートをお願いしている…計画は来週、プリントを用意してるから、各自これに目を通して準備するように」

 

解散直後……

 

ベール

「…………(くすっ)」

チータ

「……ん?どうしたんですかい?」

ベール

「皆さんの事、随分と考えてますのね……気配りの良い殿方には、ついつい惚れてしまいそうですわ」

チータ

「じゃあこの計画が終わったら付き合っちゃいます?俺達」

ベール

「ふふっ…それは少し考えさせて下さいまし」

チータ

「期待してます」

ベール

「あらあら…………正直ですわね」

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