21話「ドタバタ日記」 |
ガイ達を乗せた船はドゥルを出発し、翌日の夕方にはリーラ西の海岸へたどり着いた。
「よし、そんじゃ行くか!」
船から下りたのはガイ、レイナ、ジェリーダ、ケイン、ユーリスの5人だけだった。
「俺はここで待っている。貴様らだけで行け」
クルティスだけは甲板に残り海岸へ上陸しようとはしなかった。
「どうしてですか?」
ケインが尋ねるもクルティスは自ら答えようとはしなかったが、代わりにジェリーダとユーリスが無表情に頷いた。
「そうだな。そうしてくれると助かる」
「ええ。貴方には二度とリーラ城に入って来てほしくはありませんわ。お城の人達を悪戯に怖がらせたくありませんから」
ユーリスの言葉でケインもその意味を理解したが、同時にクルティスの事も心配だった。
「まぁ…いいんじゃねえか?」
この険悪なムードにガイが苦笑しながら全員を促す。
「そうね。船員さん達だけじゃ心配だし、貴方が残ってくれるなら安心して船を任せられるわね」
レイナのフォローで少しは雰囲気が軽くなった、少なくともガイとケインにはそう感じた。
リーラ城にたどり着くと大勢のメイドや兵士、宮廷僧侶や彼らを纏める初老の執事が城門に駆けつけて来た。そこにドゥルの兵は1人もいなかった。ラインホルトが数日前に出した書簡により全軍撤退していたのだ。
「ジェリーダ様あ〜!!!ご無事で何よりです!!」
「王子とユーリス殿がお帰りになられたぞ!!!」
「それにどこかご立派になられたようですわ!!」
「お、おいちょっと待ッ……!!!」
有無を言わさず兵達によってジェリーダは胴上げされてしまっていた。
「爺は嬉しゅうございます…!!」
「こりゃ一体どういう事ですかね…?」
ガイの記憶にはジェリーダという王子はこの城の者達には悪戯ばかりして周囲を困らせる厄介者だと思われているという事だけしかなかった。
「リーラでもあんな事があったんですもの。無理もないわ」
レイナが微笑ましく見守り、この状況は暫く続いた。
やっと解放されたジェリーダはユーリスと共に地下の王家霊安室に足を運んだ。最奥の石碑の前に火葬された両親の骨が入っているだろう白い箱が2つ置かれていた。
2人はその箱に向かって両手を合わせて王と王妃の冥福を祈った。
「父上…母上…最後まで2人を困らせて…ごめんなさい。喧嘩ばかりしてたけど本当は父上も母上も大好きだった…ははは…こんな事今更言っても遅い…ですよね…」
笑いながら話すも、ジェリーダの瞳からはただただ涙がこぼれ落ちるばかりだった。涙で視界がぼやけていたせいで錯覚でも起こしたのか、ジェリーダには石碑の前に立つ両親の姿が見えた。彼らは成長した息子を見て満足げな笑みを見せてすぐにその姿を消した。
「今の…!!」
ジェリーダは袖で涙を拭い周囲を見回したがもうそれが見える事はなかった。
霊安室への階段の前で待つガイ、レイナ、ケインの3人。会話をしているうちにケインがプントの姉の墓前で見たものをガイとレイナに話していたのだ。
「大切な家族を失った悲しみから解放された時にその墓前に行くと生者の吹っ切れた気持ちと死者の思いがシンクロして一瞬だけ『見える』事があるって迷信なら知ってるけど…」
レイナが昔父から聞いた事のある話を持ち出すと
「俺が見たヤツ、それかも!!!」
下階からジェリーダとユーリスが駆け上がって来た。
「父上と母上が半透明で見えて…俺を見て優しく笑ってすぐ消えたんだ」
「俺が姉の姿を見た時に似てますね、それ…」
「そう、貴方達には家族が見えたのね……」
レイナはずっとこの話が迷信だと思ってきた。何故ならば自分の母が病死して時間が悲しみを薄れさせた時『それ』を一度も見た事がなかったためである。まだ自分は母の死を悲しんでいるのか、『見える』条件が別にあるのか、そんな考えが一時期過ぎったが結局は迷信だと思う事に決めたのだ。
「レイナ、どうした?」
ガイが心配そうに尋ねるとレイナは今考えるべきは別の事だと思い返し笑顔で振り返った。
「いいえ何でもないわ。それよりリーラ王家の書物というのを確認するんでしょ?」
「あ、ああ…でも確かアレ…」
ジェリーダがある事を思い出し目を泳がせる。
「ガイとレイナがここに来る前の日だったかな…ある悪戯が父上にバレてめちゃくちゃ怒られたんだけど、その時ムカついて腹いせにその書物持ち出して書斎に隠したんだよな…」
「だったら書斎から探し出せばいいじゃない」
何故そんなに青い顔をするの?と付け足しながらレイナが言葉を返す。
「いや…それが…どの本棚に隠したのか忘れちゃって…ホラ、木の葉を隠すなら森の中って言うじゃんか…」
一同、どんよりとその場に項垂れた。
「隠すにも限度があるわあああッ!!!!!」
ガイが烈火の如く怒り力一杯地団駄を踏む。その背景では火山が大噴火を起こしていた。
「あの時はこんな事になるなんて思ってなかったんだよ!!そこまで怒る事ねぇだろ!?」
「怒るわドアホ!!!」
「そこでジェリーダさんを責めても仕方ありませんよ!とにかく探しませんか?」
ケインが喧嘩を続けるガイとジェリーダを宥めると5人は書斎へ向かいただひたすら本を漁り始めた。
「こら。せめてどの辺の棚に隠したかくらい思い出せねぇのか?」
苛立ちながら上段を漁るガイが下段を調べているジェリーダをジロリと睨む。
「だって…あれからかなり時間経ってるもん……」
「ハイハイ、口より先に手を動かす!」
後の棚を調べているレイナに諭され2人は再度手を動かし始めた。
「どんな本か…そのくらいはわかりますよね?」
ケインが裏側の本棚から尋ねるとジェリーダは更に縮こまった。
「表紙が白くて厚めの本だけど…この書斎そういう本ばっかだから…」
「そう…みたいですね」
寧ろ表紙が白以外の本の方が少なかった。
「ったく…普段バカのくせに何でこういう時だけ巧妙なんだよオメーわ」
「うっさいなー!ガイにバカとか言われたくねぇし!」
「口より手を動かせってさっき言ったわよね?」
レイナが手近な本を抜き取りその角でガイとジェリーダの頭を叩く。
「いって…!!」
「角はねぇだろ角は!!!」
目的の本を探す事数時間、日が暮れ外はすっかり暗くなっていた。
「あ…ありましたわー!!!!」
下らない喧嘩にも参加せずずっと本を探し続けていたユーリスが書斎の最奥の棚からようやく目的の本を見つけた。
「おおー!!でかしたぞユーリス!!俺が王になった暁にはお前を大臣にしてやるからな♪」
「流石はジェリーダ様ですわ、苦労しましたわよww」
「す、すいません…」
悪びれる様子もなくにこやかに本を渡してくるユーリスだがジェリーダには彼女が怒っているように思えた。(実際怒ってはいないのだが)
その本を広げるとリーラ王家の歴史などが長々と書かれていて、最後の方のページに世界地図が描かれていた。その地図ではドゥルの南西の山を越えた場所に十字架のマークが書かれていてそこに神殿があると記されている。
「結構ドゥルから近くね?これ」
ガイがその地図を眺めながら頬を引きつらせる。場所さえ知っていればわざわざリーラまで寄り道する必要などなかったのでは…と心の中で突っ込みを入れた。
「まぁそういうオチもあるわ。とりあえず今日はもう遅いから明日に…と言いたい所だけど」
と言いレイナがため息をつくとケインもその事情を察した。
「クルティスさん…すっごく怒ってますかね…?」
彼らはこの西の海岸に船番をしているクルティスを待たせている事を思い出した。
「今から戻っても怒られるだろ、だったら一泊してから行こ……いって!!!」
ガイが提案を言い切る前にレイナがその頭をリーラの大切な書物の角で叩いた。
「ちょっと!!王家の大切な本を突っ込みに使わないで!!!」
そんなレイナにユーリスが突っ込みを入れる。やいのやいのと騒いだせいでまた無駄に時間が経過した。
結局ガイ達はユーリスを城に残し今すぐ旅立つ事にした。
「それじゃあ、ジェリーダ様…どうかお気を付け下さいねッ…!!」
「ああ、また留守にするけど…待っててくれよな」
「はい!このお城は必ずわたくし達で守って見せますーッ!!!」
城門でユーリスを始めとする城の一同に見送られ4人は西の海岸へ戻って行った。
さもありなん。ガイ達4人が船に戻って心の中での第一声がこれだった。ジェリーダだけは『激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム』と呟いていたが。
この上なく不機嫌な顔をしたクルティスがガイ達(レイナ除く)を睨みつける。
『憤怒バーニングファッキンストリーム』…そんな様子を見てガイの脳裏にそんな言葉が浮かんだ。そしてケインの脳裏に浮かんだ言葉は『大噴火レジェンドサイクロンフレアァァッ』だった。
「ぶっ転がす…」
しかしクルティスの苛立ちは3人の想像の上のレベルを行くものだった。
「ちょっと、落ち着いて?まぁ色々あったんだけど…」
レイナによりこの場は一旦は鎮められた。ジェリーダの悪戯の話を抜きにクルティスにこれまでの経緯を話し、借りてきた本に記された地図を見せた。
「怒らないで聞いて欲しいんだけど…神殿の場所はね…」
神殿の場所がドゥルから近い事を説明しても意外とクルティスは怒らなかった。
「この山は陸路では越えられないぞ。大陸を海路で北から回らなければならんからな」
「えッ…そーなの?」
ジェリーダが意外そうに尋ねるとクルティスは無言で頷いた。
「岩山になっているからな。いや、山というよりは絶壁だな」
なるほど…と納得する4人。どのみち船が必要になると瞬時に把握したからクルティスは怒らなかったのだ。
「じゃあ船旅ってワケか。ま、いーんじゃねぇの?」
クルティスが怒らなかった事で内心安堵しているガイが一息つきながら言うと全員船に乗り込みリーラの海岸を発った。
翌朝の船上。船内ダイニングにて。この場にはレイナを除く4人が集まって来ていた。
「おい…これは一体どういう事だ?」
クルティスは明らかに不機嫌だった。それもその筈、朝食にと来てみればテーブルに並べられているものは料理などとは到底思えないような消し炭ばかり。中には蠢いている物体さえある。
「これってさ…」
ジェリーダがその消し炭達を指差しながらガイに意見を求める。
「多分お前が考えてる通りだと思うぞ…」
「おい!!コックはいるか!?」
クルティスが不機嫌なまま厨房の方に声をかけると船内コックが数人恐る恐るその場に出てきた。
「これは一体何の真似だ?確かに俺はどんな非難も受けるとは言ったが、言いたい事があるならこんな回りくどい真似はやめて直接言うべきではないのか?」
「いえ、決してそういう事では…!!」
コック達がどうやってクルティスの誤解を解こうかと考える中、
「もう、また朝から喧嘩?いい加減にしなさいよね」
厨房からエプロンをつけたレイナが出てきて、それを見たガイ、ジェリーダ、ケインは同時に深いため息をついた。
「すまないレイナ、今すぐこのゴミを片付けて新しいものを用意させよう」
「ゴミ…?」
レイナの眉がぴくりと動く。クルティスの完全な地雷発言によりガイ達はその場に硬直するばかりだった。
「ああ。朝から不快なものを見せてしまった事は詫びよう。…いいか!?今すぐその消し炭を処分しろ!!どう見ても人間の食い物ではないからな…」
「不快なもの…消し炭……人間の食べ物じゃなくて悪かったわねぇ…!!!!!」
船室に大爆発が巻き起こる。その後コック達はケインの協力も得てちゃんとした朝食を用意し、爆発に巻き込まれた者達の治療もジェリーダによって施されひと段落ついた。
「ったく…余すトコなく地雷踏みまくりやがって…!!」
「先に説明しない貴様が悪い」
甲板ではガイとクルティスが例によって喧嘩を始めていた。
「おい!今度喧嘩して怪我しても治してやんねーぞ!?」
朝から色々魔力を使いすぎたジェリーダが通りがかり喧嘩を続ける兄弟を叱咤する。そんな賑やかな甲板に緑色の鱗を持つ人型の魔物…『半魚人』が十数匹程上がってきた。
「なッ…なななな何だこれ!!!」
思わず尻餅をつくのはやはりジェリーダだった。
「半魚人…集団行動を旨とし商船や帆船を狙う、いわば海のゴロツキだ。しかしこのドゥルの軍艦を襲うとは運の尽きだな…!!」
クルティスが槍を構えるとガイも剣を抜き刀身に雷を宿した。
「よぅ、どっちが多く狩れるか勝負しねぇ?」
「そうだな…どちらが上か、今ここで決着をつけてやる!」
「その勝負、俺も混ぜて貰えませんか?」
突如、争う2人の兄弟の間に爪を構えたケインが現れる。
「OK。一番少なかった奴は便所掃除な!!」
ガイの返事を合図に3人は戦闘を開始した。容赦なく3人を標的に襲いかかる半魚人達。
「テメエらの弱点は…コレだろッ!!!」
雷を帯びたガイの剣が周囲の半魚人達を吹き飛ばす。
「弱点属性に頼るとは軟弱な男だな!!」
クルティスの呼び出した無数の氷の刃が半魚人達を貫く。
「ンだとテメエ!!!そういうテメエこそ全体魔法に頼ってんじゃねーか!!!」
「お二方…喧嘩してる暇はありませんよ!?」
またしても喧嘩するガイとクルティスを尻目にケインが前線へ猛スピードで飛び出し半魚人達の中心に入ると
「でやあああッ!!!!!」
力一杯の掛け声と共に無数に繰り出す蹴りや爪による乱舞で半魚人達を海に落としていった。船に上がって来た半魚人はガイ達によって一掃されたのだ。
「あ…はは…寧ろ魔物に同情しちまうよ…」
尻餅をついたままのジェリーダが3人の戦いぶりを見て苦笑する。そして上空から拍手の音。マストの上の見張り台からレイナがずっと戦いを見ていたのだった。
「ケインが6体、ガイとクルティスは5体ずつだったわ」
同点を知らされガイが不満そうな顔をする。
「マジかぁ?俺軽く7体はやっただろ〜?」
「ちょろまかすな。貴様は確実に5体だ。俺は8体だったと思うがな」
「ちょろまかしてんのはテメエだろ。大体そんな数いねぇっつーの!」
「おい…ラウンド2が始まったぞ」
ガイとクルティスがまたも口論を始めている間に更に船に上がり込む十数匹の半魚人をジェリーダが指差し戦闘は再会された。今度はレイナも下りてきて戦闘に参加、半魚人の群れは一掃された。
「おいレイナ!!今度は俺が1番だろ!?」
「いや俺だろう」
レイナは迫り来るガイとクルティスの顔を押しのける。
「見てないわよ。私も戦っていたもの」
がっくりと項垂れる2人だが、すぐに同時にジェリーダの方を向いた。
「俺…逃げるのに夢中だったから…」
「結局うやむやになっちゃいましたね…」
結局勝負の行方はわからないまま船は大陸沿いに西へと進むばかりだった。
翌日もまた空は晴天だった。先日の半魚人のような群れの魔物は出ないが空から大型の羽が長い鳥の魔物や海底からの大型の烏賊の魔物との戦闘が時折ある程度だ。しかし魔物は空や海からのものだけではなかった。
「いやああああああああああッ!!!!!!!」
突如甲板からこの世のものとは思えない、そんなものを見たような悲鳴が響き渡る。
「どうした!?」
見張り台にいたガイがそこから甲板に向かって飛び降りる。
「何事だ!?」
船室のドアからクルティスが飛び出す。
「な…何だよびっくりしたぁ」
船首にいたジェリーダも声の方まで駆け寄って来た。
「今…凄い悲鳴が…」
そして右舷後方で海を眺めていたケインも。
4人が集まったのは甲板中央にいるレイナのもとだった。しかし彼女は今、涙目でその場にへたり込み全身を恐怖で震わせている。これは彼女をよく知らない者にはひどく珍しい光景だった。
「い…嫌ッ…!!」
仲間達が現れるとレイナは勢いよく立ち上がりガイの胸に飛び込んできた。
「魔物なんてどこにもいねぇぞ…?」
周囲を見回すジェリーダ。海は至って穏やかだった。
「おーおー、アレが出たんだな?よしよし…」
しょうがないな、と苦笑しながらガイは抱きついてきたレイナの頭をそっと撫でた。それが多少ながらクルティスの癪に触るものがあったのだがそれに気付く者はいない。
「レイナさんがこんなに取り乱すなんて…アレって何ですか?」
ケインが不思議そうに尋ねるとレイナは涙目のまま彼をキッと睨みつけ
「皆まで言わせないでッ!!!」
ヒステリックに怒鳴り散らした。その瞬間、
カサカサカサカサ…
黒い小さな物体が5人の足元を縫って行く。
「きゃあああああああ!!!!!!」
再度悲鳴を上げるレイナ。
「…奴か」
黒い物体の正体を見てジェリーダは納得した。
「クローナでは殆ど見かけないんですが…」
確かに見ただけで悲鳴を上げる者は少なくはないだろう、ケインにとっては縁のない存在だったが納得はできた。
「冷酷無比の黒騎士…」
ガイが警戒の表情で見たのはその物体ではなくクルティスの顔だった。
「誰がゴキブリだ…!!!」
「その名前を出さないで!!!もう…もう嫌ぁッ…!!」
レイナの意外な弱点が発覚した後その物体―ゴキブリはガイ、クルティス、ケインの共同作業によって排除された(ジェリーダは僧侶故殺生はできないと言い逃れ不参加)。
その日の夜、船内のダイニングにジェリーダの笑い声が響き渡った。彼の他にはクルティスとケインの姿がある。
「あっははははははは!!レイナの奴、案外可愛いトコあるじゃんか♪」
「笑いすぎですよ…」
今この場にレイナがいない事に安堵しながらケインが苦笑する。
「でも意外でしたね。あのレイナさんが…」
「まーな。でもガイは手慣れてるって感じだったな。そりゃそうか、あの2人ずっと同じ家で暮らしてたわけだし……」
ダン!!!!!!突然のテーブルを叩く大きな音。ジェリーダとケインは一瞬身体を強ばらせ音の方を振り返る。
「………」
席を立ったクルティスが無表情かつ冷たい目つきで2人を見つめていたが、数秒の沈黙の後2人に背を向けダイニングを出て行った。
「なんっだ、ありゃ!!」
「さぁ…」
わけがわからず苛立ちを覚えるジェリーダとクルティスが出て行ったドアを見ながらぽかんと見つめているケインだけがその場に残された。
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