英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 戦争回避成功ルート |
ルーファス達と戦ったフロアを超えるとルーファスの言葉通りある人物がリィン達を待ち構え、リィン達の存在に気付くと声を掛けた。
〜ジュライロッジ〜
「クク……ようやく来たか。」
ある人物――――クロウはリィン達を見つめて不敵な笑みを浮かべていた。
「あ…………」
「クロウ……ッ!」
クロウの姿を確認したエリオットは目を丸くし、リィンは声を上げて仲間達と共にクロウに近づいた。
「久しぶりだな。最後に会ったのは…………ユミルの時か。どいつもこいつも少し見ない内に一丁前の顔になりやがって。メンフィルの助っ人の力を借りて更にメンフィルにお膳立てされた仮初めの修羅場を潜り抜けた割には随分と成長したようだな?」
「ああ……おかげさまでな。だが………祖国を……エレボニアを存続させる為にも僕達はなりふり構っていられなかったのさ。」
「確かにシグルーン中将を始めとしたメンフィルや多くの人々の力添えによるものだが、それでも我らは共にあり、強くなる事でこの場に辿り着けた。これもまた巡り会わせだろう。」
「わたしも一応、自分のケリは付けられたし。少しは成長、できたかな。」
クロウの言葉に対し、マキアスやラウラ、フィーはそれぞれ静かな表情で答えた。
「やれやれ……………それにしても、まさかエリス嬢ちゃんまでこの場に来るとは思わなかったぜ。せっかくメンフィルに助けてもらったのに、何でわざわざ自分から修羅場に足を踏み入れたんだよ?」
「私がこの場にいるのは姫様の友人として力になる為に……そして兄様の妹として、兄様の背中を護る為にも、今こうして兄様達と共にいるのです。」
クロウに視線を向けられたエリスは決意の表情で答えた。
「ったく、またリィンかよ……エリゼ嬢ちゃんのように幾ら兄の為とは言え、こんな所までついて来る妹なんざ、世界中どこを探してもいねぇっつーの。」
「多分、エリゼとエリスは世界一のブラコンだろうね〜。」
「フフ、お二人のその言葉は私達にとっては褒め言葉ですね。」
「エ、エリゼお姉様……というかミリアムさんもそこでどうしてクロウさんに同意するんですか……」
疲れた表情でため息を吐いたクロウの言葉に続くように呟いたミリアムの言葉を聞いて微笑んで同意するエリゼに冷や汗をかいたセレーネは疲れた表情でミリアムに指摘した。
「プリネ達も以前会った時と比べると更に成長したみてぇだな。エヴリーヌはともかく、まさかお前らまで結社の”執行者”もそうだが、領邦軍の連中を殺しまくるとは思わなかったぜ。」
「私もお父様達と同じメンフィル皇族。”敵を殺す覚悟”ができていない程、私は甘くありません。」
「あたしもです。プリネさん―――マスターを守る為にあたしは既に多くの敵を殺しています。それがマスターの”パートナードラゴン”であるあたしの役目ですから。」
「くふっ♪というかエヴリーヌ達の世界では”敵を殺す”のが常識だよ♪こっちの世界の考えが甘すぎるだけだよ♪」
クロウの評価にプリネとツーヤがそれぞれ静かな表情で答えた後、エヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべて答えてその場にいる多くの者達に冷や汗をかかせ
「そんな殺伐とした世界の常識を俺達の世界に押し付けるなっつーの。」
クロウは呆れた表情で指摘した。
「……貴様は俺達を成長したと言っているが、そう言う貴様は成長どころか、随分と落ちぶれたものだな。まさか薬物にまで手を出す程落ちぶれるとは思わなかったぞ。」
するとその時ユーシスは真剣な表情でクロウを見つめた。
「俺だって好きでここまで落ちぶれた訳じゃねえっつーの。メンフィルという異世界の”部外者”共が俺達の事情に介入しなかったら、俺はこんな所にいなかった。」
ユーシスの言葉に疲れた表情で答えたクロウはシグルーン達を睨み
「よくもそのような戯言をぬけぬけと言えますわよね。」
「やれやれ……お前もルーファス・アルバレア同様責任転嫁か。」
「ユミルはメンフィル帝国領。自国の領土を襲撃され、黙っていない等常識で考えれば絶対にありえないよ。」
「アルバレア公爵が雇った”北の猟兵”達によるユミル襲撃があった時点でいずれメンフィル帝国がエレボニアの内戦に介入する事は予測できたはずです。それを怠った貴方がそんな事を言える権利はありませんよ。」
「”蒼の騎神”を駆る当時の貴方はカイエン公―――貴族連合にとって重要な人物でした。貴方が貴族連合に幽閉されているエリス・シュバルツァーをメンフィルに返還するようにカイエン公達に取りなすか、貴方自身の手で彼女をメンフィルに返還すればメンフィルが介入して来なかった可能性もありました。メンフィルの介入は貴方にも責任があります。」
「うふふ、要するにバンダナのお兄さんがそこまで落ちぶれたのも、お兄さん自身の自業自得って事よ♪」
クロウの言葉を聞いたシグルーンとレーヴェは呆れ、パントとルイーズ、そしてリアンヌはそれぞれ真剣な表情で、レンは小悪魔な笑みを浮かべて指摘した。
「言ってくれるぜ………で?何でお前までリィン達と一緒にいるんだよ、ヴィータ。」
「……私はリィン君やエリス――――シュバルツァー家に対して自分の罪を償う為に……そして貴方を導いた”魔女”として貴方を”D∴G教団”と手を切らせる為に彼らと共にいるのよ。」
クロウに視線を向けられたクロチルダは静かな表情で答え
「おいおい……少し見ない内に随分と殊勝な性格になったな。お前に一体何があってリィン達の味方をするようになったのかは気にはなるが……今は外の状況同様そんな事は”どうでもいい。”」
クロチルダの答えを聞いて目を丸くしていたクロウはリィン達にとって信じられない言葉を口にした。
「クロウ……………」
「ど、”どうでもいい”って……!」
「あんた……今、外がどんな状況なのかわかっていて言っているの!?」
クロウの答えを聞いたクロチルダは辛そうな表情をし、エリオットは信じられない表情をし、サラ教官は厳しい表情で問いかけた。
「ああ、ヨアヒムの野郎が仕向けた貴族連合の残党や悪魔共がリベールとエレボニアの国境付近とジュライで暴れているんだろう?」
「わかっているのなら、どうしてそんな事が言えるのよ!?」
「クロウの故郷――――ジュライ特区も襲撃されているんだぞ……?なのにどうして、未だヨアヒムに力を貸しているんだ?」
クロウの言葉を聞いたアリサは厳しい表情で、ガイウスは真剣な表情で問いかけ
「……………………」
二人の言葉に対し、クロウは何も語らず黙り込んでいた。
「クロウ!お前がカイエン公――――貴族連合によって誘拐されたエーデル先輩達の為に仕方なくヨアヒムに力を貸していた事はわかっている!」
「貴族連合に誘拐された士官学院の人達や貴族の方々も全員見つけました!クロウさんがヨアヒム・ギュンターに力を貸す理由はなくなりました……!」
「クロウ、貴方はまだ”戻って来られる領域”にいるわ!今ならまだ間に合うから、ヨアヒム―――”D∴G教団”と手を切りなさい!貴方を縛る鎖もなくなった以上、ヨアヒムを裏切っても大丈夫よ……!」
リィンやエマ、クロチルダはそれぞれクロウを説得する為にクロウを見つめて呼びかけたが
「ハッ……お前ら、勘違いをしていないか?」
クロウは鼻を鳴らし、意味ありげな笑みを浮かべてリィン達を見つめた。
「へ…………」
「か、勘違い……ですか?」
「まさかヨアヒム・ギュンターに力を貸している理由が他にもあるのですか?」
クロウの答えを聞いたマキアスは呆け、セレーネは戸惑い、シャロンは真剣な表情で尋ねた。
「ああ…………一つはエリゼ嬢ちゃんと”殲滅天使”から受けた”借り”を返す為だ。」
「ええっ!?」
「二人から受けた”借り”とは一体何の事を言っているんだ?」
「ミシェラムの時の事をまだ根に持っていたのですか…………」
「うふふ、レンは心当たりが一杯ありすぎて、一体どの時の事を言っているのかわからないわ♪」
「そうだよね〜。夏至祭とかの件も含めてクロウは”殲滅天使”に何度も煮え湯を呑まされているよね〜。」
「レ、レンさん……」
「こんな時くらいは真面目に答えなさいよ……」
「後君もいい加減空気を読んで発言する事を覚えてくれ……」
クロウの答えを聞いたエリオットは驚き、ガイウスはエリゼとレンへと視線を向け、心当たりがあるエリゼは呆れた表情をし、小悪魔な笑みを浮かべているレンの言葉を聞いたツーヤは脱力し、レンの言葉に同意したミリアムの答えを聞いたマキアスはプリネと共に呆れた表情で指摘した。
「……”一つは”と言ったな。他にもまだ理由があるのか?」
「ハッ、当然だろ。――――リィン。それが何なのか、お前ならわかるだろう?」
レーヴェの問いかけに鼻を鳴らして答えたクロウはリィンに視線を向け
「!まさか……”パンダグリュエル”での”約束”――――”騎神”同士による決着を守る為にヨアヒムに手を貸したのか!?」
クロウが言いたい事をすぐに理解したリィンは血相を変えて声を上げ
「クク…………――――わかっているじゃねぇか。」
リィンの答えを聞いたクロウは不敵な笑みを浮かべて全身に膨大な瘴気を纏い始めた!
「!あの”風”は……!」
「”魔人化(デモナイズ)”をするつもりか……!」
「やめなさい、クロウ―――――ッ!」
クロウに纏う瘴気を見たガイウスは目を見開き、パントは厳しい表情をし、クロチルダは声を上げた。
「オオォォォォオオオ――――――――ッ!!」
そしてクロウは”魔人化”し、オルディーネの姿へと変化した!
説明 | ||
第120話 | ||
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他エウシュリーキャラも登場 幻燐の姫将軍 空を仰ぎて雲高くキャラ特別出演 閃の軌跡U | ||
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