失われゆく世界
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桂花「華琳様がいない!?」

 

侍女の言葉に、寝ぼけ眼だった桂花は一気に目が覚めた。

寝間着から、素早く普段着に着替え華琳の部屋へと向かう。

コンコンとノックし返事がない事を確認してドアを開ける。

そこはもぬけの殻だった。

それどころか、昨晩部屋主が戻った形跡がない。

 

侍女に話を聞くと、今朝いつも通りの時間に華琳の部屋へと来た。

ノックしたが返事がなく、心配になりドアを開けたらいなかったそうだ。

昨晩は、三国の平和式典で盛り上がったため、華琳は誰も閨に呼ぶこと無く一人で部屋に戻ったはずだ。

桂花も、会場から部屋に戻ろうとする華琳を見ている。

その時に声をかけたかったが、酔っぱらった春蘭に絡まれ結局声をかけずじまいだった。

あの後、部屋に戻るまでに何かあったに違いない。

桂花は色々と考えを巡らせてみる。

だが、原因探しも大事だが、華琳がいないという事実が問題だという事に気付いた。

今ここには、呉の孫策、蜀の劉備を始め、ほとんどの武官文官が集まっている。

そんな時に主催者たる華琳がいなくなったと知られれば一大事だ。

桂花は、先ほどの侍女にこの事は内密にと口を酸っぱくするほど話し、秋蘭、稟、風の3人を玉座に呼ぶよう伝えた。

 

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ほどなくして、桂花と秋蘭達3人は主の居ない玉座へと集まった。

昨日の式典の疲れが取れていないのか、3人は眠そうにしていた。

だが、キチンとした格好に着替えているあたりはさすがと言えよう。

 

秋蘭「桂花、一体何の用なのだ?呼びに来た侍女もかなり焦っていたようだが・・・。」

桂花「華琳様が居なくなったのよ。」

秋蘭「何!?それは本当か?」

 

秋蘭の問いにうなずく桂花。

稟も驚き、言葉が出ていない。

ただ、風だけはいつも通りののほほんとした表情のままだった。

 

桂花「それで、この事態にどう対応しようかと3人を呼んだわけなんだけど・・・。」

稟「なるほど。今は平和式典で、呉や蜀の重鎮達も多数来ている。その中で主催者たる華琳様がいないとなれば外交問題にも発展しかねないというわけですね。」

桂花「そうなの・・・。で、みんなの意見を聞きたいのだけれど。」

風「ぐぅ・・・。」

稟「風、起きろ。」

風「おおっ。」

 

稟のツッコミに目が覚める風。

 

桂花「風、余裕なのね。あなたには何か策があるのかしら?」

風「それは、華琳様が居ないことをどうやってごまかすということですか?」

桂花「ごまかすって・・・。まあ、そうなるわね。」

 

突飛も無い事を言う風に、焦る桂花だったが、すぐにいつも調子を取り戻す。

 

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風「いくつか策はありますが・・・。一つは影武者ですね。」

桂花・稟・秋蘭「影武者?」

 

聞き慣れない言葉に首をかしげる3人。

 

風「おにいさんから聞いたのですが・・・。」

桂花・稟・秋蘭「!?」

 

風のおにいさんという言葉に反応する3人。

やはり北郷一刀の事を忘れきれていないという動かぬ証拠だった。

風はそんな3人の反応など気にせず話を進めた。

 

風「なんでも、偉い人には影武者と呼ばれるそっくりさんがいて、身代わりになったりしたそうです〜。」

秋蘭「なるほど・・・。影武者が居れば、ある程度はやり過ごせるというわけか・・・。」

稟「でも、華琳様のそっくりさんなんて居るでしょうか?」

桂花「そうよ!!華琳様のそっくりさんなんて居るはず無いわ。」

風「そうですねぇ〜。そこで登場するのが春蘭さまです。」

秋蘭「姉者が?・・・あっ、そういうことか!?」

桂花・稟「???」

 

秋蘭は何か思い当たる事があるようだが、桂花や稟にはなんだか分からない。

 

風「春蘭さまがお持ちのあの人形を使うのですよ〜。」

稟「あっ、あれか・・・。」

 

それは春蘭が密かに(本人はそう思っているがバレバレの)作っている華琳様人形の事である。

身長はもちろん、スリーサイズや腕や足の長さまで本物そっくりの人形である。

 

秋蘭「あれなら偽物と気付かれないかもしれない。だが、あれを使うとなると、姉者に華琳様が居なくなった事を教えねばならぬぞ。」

稟「それに、あれは姿形はそっくりでも声を発しません。」

桂花「それじゃ、ダメじゃない。なにより、春蘭に教えたらそれこそあっという間に国中に広がってしまうわ。」

 

酷い言われようだが、誰も否定できなかった。

 

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風「ならば、華琳様にはお休みしていただきましょう。」

秋蘭「うむ。それしかないな。」

稟「そうですね。」

 

3人の考えに桂花が溜息をつく。

 

桂花「やはりそれしかないようね。お風邪を召されたということにするわ。」

秋蘭「うむ。それで口裏を合わせることにしよう。」

稟「他の者には秘密ということで。」

風「ぐぅ〜。」

稟「風、起きろ!!」

風「おおっ!!当たり前のような結論につい寝てしまいました。」

 

風のいつもの様子にその場の雰囲気が和んだ。

 

桂花「とにかく、この事を知っているのは、私達とあの侍女だけだから、他言無用ね。」

秋蘭「それがいいだろうな。あまり知っている人間が多いと騒ぎが大きくなる。」

 

それから4人は、これからの事について話し合った。

みんなに事情を話すのは、桂花の役目になった。

稟と風はそれのサポート。

つまり、桂花の言をより真実みのあるモノにする役目だった。

秋蘭は春蘭を抑える役目になった。

おそらく、華琳を見舞いにと言うであろうという事を見越した役目であった。

それぞれの役目を決め、皆を案内する侍女に対し、まずは玉座に集まるよう伝えた。

 

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しばらくして、4人を除く魏の武官、文官、そして、呉と蜀の武将達も玉座に集まった。

 

雪蓮「いきなり玉座に集まれってどういう事なの?」

 

雪蓮が眠そうな目をこすりながら話す。

 

桂花「実は・・・。」

 

桂花は、皆に華琳は風邪をひき今日は出席しない事を伝えた。

またうつすと悪いから、見舞いに来なくて良い事も合わせて伝えた。

さらに、自分が居ないだけで中止になるのは悪いから、式典はそのまま続けて欲しい事も伝えた。

 

案の定、魏のメンバーからは驚きの声が上がり、春蘭はすぐにでも見舞いに行く素振りを見せる。

秋蘭によって抑えられる春蘭であったが、それでは収まりきれず玉座を今にも飛び出しそうだった。

それを抑えたのは意外にも霞であった。

 

霞「惇ちゃん、待ちぃ〜や。」

春蘭「霞、止めるな!!」

霞「うつすと悪いという華琳の気持ちを察しなや!!」

春蘭「だが・・・。」

霞「元気になったら責めたればええやん!!」

春蘭「う・・・うむ・・・。」

 

霞に説得され春蘭は大人しくなった。

桃香もお見舞いにと言ったが、愛紗や朱里、雛里に止められ諦めた。

意外にも雪蓮は、桂花の言葉に納得しお大事にという言葉だけにとどめた。

 

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なんだか変な雰囲気になってしまったが、華琳の言葉通りその日も予定通り式典が始まった。

まず張三姉妹によるライブ。

初の体験に呉や蜀の皆は驚いたが、鈴々や翠、蒲公英、小蓮や明命は非常に盛り上がっていた。

それ以外にも、大食い大会や武術大会などが開かれ大いに盛り上がった。

しかし、特に魏の者達だが、心のどこかに華琳の事が気になってしまい、なにやらぎこちない雰囲気になる事もあった。

そうこうしているうちに、2日目ももう夕方近くになっていた。

予定では、今日も一泊して明日の午前中に呉と蜀に帰る事になっている。

だが、雪蓮が突然今日帰ると言い出した。

魏や蜀の一部の人間は驚いたが、冥琳を初めとする呉のメンバーと、朱里や雛里といった蜀の軍師達は当たり前のような反応を示していた。

 

雪蓮「華琳が風邪じゃ、長居は無用だわ。華琳にはお大事にと伝えておいて。」

 

そう言って身支度を調える雪蓮ら呉のメンバー。

 

朱里「そうですね、私達も帰る事にしましょう。」

桃香「でもぉ・・・。」

 

渋る桃香に愛紗も促す。

その言葉に渋々従って、桃香達も身支度を調えた。

 

季衣「ちびっこ!!次は負けないからな〜!!」

鈴々「いつでもこいなのだ!!チビペタはるまきになんか負けないのだ!!」

 

むーっとにらみ合う季衣と鈴々。

それぞれを流琉、愛紗が抑えさよならの挨拶を交わす。

 

雪蓮達や桃香達が帰ると、先ほどまでの騒がしさが嘘のように静まりかえる。

城下町ではまだ民達が騒いでいるようだが、その音が聞こえてくるくらい城内は静まりかえってしまった。

 

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そろそろ頃合いとばかりに桂花が皆を促した。

 

桂花「皆に話があるの。また玉座に集まってもらえるかしら?」

霞「なんや、改めて。華琳の事か?」

凪「心配です。」

真桜「せやな。大将が風邪なんて似合わんし。」

沙和「そうなのー。」

 

皆は色々話をしながら玉座へと向かった。

 

玉座の横には秋蘭、その反対側には稟と風が並んでいた。

そして、秋蘭の横に桂花が立つ。

本来なら華琳に次ぐ地位にいるのは春蘭だから、秋蘭の横には春蘭が立つべきなのだが、事態が事態だけに今回は桂花が立った。

4人のただならぬ状況に、それまで話をしながら歩いていた魏の面々は黙って4人に向かい合った。

そんな中、桂花が口を開く。

 

桂花「まずは、ごめんなさい。先に謝っておくわ。」

春蘭「なんだ?桂花らしからぬ態度だな。」

季衣「なんか変なものでも食べたの、桂花?」

流琉「そんな・・・、季衣じゃあるまいし。」

 

流琉の発言に笑いがこぼれる玉座。

それまで流れていた重苦しい空気が若干緩んだ。

この気を逃さず、桂花が言葉を続けた。

 

桂花「華琳様の事なんだけど、風邪というのは嘘なの。」

春蘭「なにぃ〜!!」

 

桂花の発言に食って掛かろうとする春蘭。

すぐに秋蘭と霞で取り押さえる。

 

春蘭「一体、どういう事なんだ!?」

 

春蘭の怒鳴るような言葉に、一瞬怯む桂花に秋蘭が助け船を出した。

 

秋蘭「華琳様は行方不明なのだ・・・。」

春蘭「なっ!?」

 

春蘭を始め、先の4人以外全員が言葉を失う。

 

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凪「それは、いつ分かったのですか?」

 

凪の質問に稟が答えずらそうに話す。

 

稟「朝のうちに分かってました。」

春蘭「だったら、なぜ朝のうちに本当の事を言わないんだ!!」

 

春蘭の言葉はもっともだったが、桂花が怒鳴るように答えた。

 

桂花「仕方ないでしょ!!朝のうちは、孫策達も劉備達も居たのよ!!そんな時に華琳様が行方不明なんて話せるはず無いじゃない!!」

春蘭「ぐっ!!」

 

桂花の言葉に反論できない春蘭。

 

春蘭「だが、せめてわたしには話してくれてもよかったのではないか?」

秋蘭「姉者は、華琳様が行方不明と聞いたらどうする?」

春蘭「すぐに探しに行く!!」

秋蘭「それでどうやって孫策達や劉備達にばれないようにするのだ?」

春蘭「なっ!!」

霞「せやな〜。惇ちゃんに話したら一気に話が広がってしまうわ。」

凪「そうですね。」

真桜「うんうん。」

沙和「納得なの〜。」

季衣「春蘭さま・・・。」

流琉「申し訳ないですけど、黙っていて正解だった気がします。」

天和「わたしもそう思う!!」

地和「天和姉さん、分かってないでしょ。」

人和「はぁ。」

春蘭「お前らなぁ〜。」

 

皆の分かり切っていた反応と春蘭の反応に再び和やかな雰囲気になる。

 

人和「それで、黙っているだけなのですか?」

 

人和が真面目に聞く。

 

桂花「もちろん、国中に情報集めに人を放っているわ。少し時間はかかるかもしれないけど、じきに情報が集まるはずよ。」

人和「それまで、私達はいつも通りにしていればいいのですね?」

桂花「そうね。」

春蘭「ちょっと待て。わたし達は探しに行かないのか?」

桂花「行かないわ。」

春蘭「なんだと〜!!」

 

再び食って掛かろうとする春蘭。

秋蘭はやれやれと首を振り春蘭に話す。

 

秋蘭「私だって華琳様を探しに行きたい。だが、私達が探しに行けば大事になる。この事は、呉や蜀にはもちろん、民達にも気付かれてはならないからな。」

 

天の御遣いという存在が無くなった今、この国は事実上、華琳のカリスマ性の上に成り立っていると言っても過言ではなかった。

その華琳が行方不明と知られれば、どのような事態になるか想像も出来ない。

ここまで平和な世の中になってきたのだ。

五胡やその他敵対勢力の件もある。

また戦乱の世に戻って欲しくないと言うのは、皆の願いである。

この言葉に春蘭は納得した。

 

桂花「それじゃ、今日のところは解散するわ。難しいかもしれないけど、あくまで平静を保って。」

 

そう言って解散を宣言する桂花。

その言葉に、体を重たそうにしながら玉座を後にしようとする春蘭たちであったが・・・。

 

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風「待ってください!!」

 

それまで黙りを決め込んでいた風の言葉に、皆は振り返った。

今まで見たこと無い風の表情に、一番馴染みのある稟でさえ驚いた。

 

桂花「風、何かあるの?」

風「華琳さまの居場所を知っています・・・。」

皆「何っ!?」

 

その言葉は予想外だった。

華琳の行方不明の事を先ほどまで知らなかった皆はもちろん、口裏を合わせていたはずの桂花達も驚いた。

 

稟「どういう事だ、風?」

風「ある人からそのように聞きました・・・。・・・もう入ってきても良いですよ。」

 

そう言って風は誰かを玉座に促した。

皆の注目が自然と入り口に集中する。

 

??「ようやっと、お呼ばれか・・・。時間がかかるのぉ。」

 

そこには、背丈は季衣や流琉くらいの女性が立っていた。

だが、その胸の大きさは霞や真桜にも匹敵するほどだった。

彼女はゆっくりと、風の横に立った。

 

秋蘭「突然現れて・・・。お前は何者なんだ?」

??「わしか?わしは、管輅じゃ。」

桂花「管輅・・・。」

 

知っている者と知らない者とで反応が分かれた。

 

風「風は聞きました。この管輅さんが華琳さまの居場所を知っていると。」

春蘭「何〜!!それは本当か!!」

 

管輅の首を掴む春蘭。

 

管輅「本当じゃ!!話すから手を離してくれ!!」

秋蘭「姉者。手を離さないと管輅が死んでしまうぞ。」

 

管輅を見ると、今にも気を失いそうにしている。

春蘭は慌てて手を離した。

管輅は咳をして少し息を整えた。

 

管輅「全く・・・。どの世界でも馬鹿力じゃからのぉ。」

春蘭「どの世界?」

 

管輅の言葉に首をかしげる春蘭。

 

管輅「まあ、今は曹操殿の居場所じゃな。実はもうこの世界にはおらんのだ。」

皆「何っ!?」

 

風を除く皆が驚きと何を言っているんだという不思議そうな表情をした。

 

管輅「ここにいたじゃろ。天の御遣い北郷一刀が。」

 

一刀の名前が出た時、皆の表情が少し曇った。

 

管輅「彼の者は、異世界よりこの世界に下り立ち平和な世を成し遂げ、元の世界へと戻った。曹操殿は、その天の御遣い殿のいる世界へと旅だったのじゃ。」

春蘭「何だと!!」

秋蘭「北郷の世界か・・・。」

桂花・稟「・・・。」

季衣「兄ちゃんの世界・・・。」

流琉「兄様・・・。」

凪・真桜・沙和「隊長の世界って・・・。」

霞「一刀の世界か・・・。」

天和「一刀の世界だって。」

地和「ちぃも行きたい!!」

人和「ちぃ姉さん、無理言わないの。」

 

一刀の世界に行ったと聞いて、誰もが自分も行きたいと思った。

ここで、風が口を開く。

 

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風「お兄さんがいなくなって、華琳さまもいなくなって、この世界は支えを失いつつあるそうです。」

稟「それはどういう意味?」

管輅「それはのぉ。もうすぐこの世界が消滅してしまうと言う事じゃ。」

皆「なっ!?」

 

驚かされっぱなしだが、この言葉は一番驚いた。

 

桂花「世界が消滅って・・・どういう事?」

管輅「そのまんまの話じゃ。この世界が綺麗さっぱりと無くなるわけじゃな。」

春蘭「何を言っているのだ。世界が無くなるはず無いだろう。」

 

春蘭は笑いながらそう言った。

 

管輅「いや・・・、この世界は人々の想いの上に成り立っておる。その中心だったのが、天の御遣い北郷一刀と曹操殿だったわけじゃ。その支えが無くなればその世界は消えゆく運命でしかない。」

霞「じゃあ、うちらはどうなるんや?」

 

もっともな質問だった。

 

管輅「別の世界で生き続けることになるじゃろうなぁ。じゃが、この世界で体験してきた事や記憶は綺麗さっぱり無くなる。」

凪「記憶が・・・無くなる・・・。」

 

突然の言葉に混乱する皆。

信じる者、信じない者それぞれだったが・・・。

だが、この状況に耐えきれない者が叫びだした。

 

季衣「ボクはイヤだ!!皆との記憶がなくなるなんて!!兄ちゃんとの思い出が無くなるなんて!!」

流琉「私もイヤ!!」

 

流琉の言葉に私もと次々に訴える。

そんな状況の中で、風がまた口を開く。

 

風「落ち着いてください。記憶をなくさない方法があるそうです。」

管輅「そうじゃな。曹操殿と同じように天の御遣い殿の世界に行けば記憶をなくさずに済む。」

 

この管輅の言葉に、皆は行きたいと叫びだした。

 

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皆が行きたいと話す中、桂花だけは黙り込んでいた。

 

秋蘭「桂花はこのままで良いのか?」

桂花「よくないけど・・・。あの万年発情男のところに行くのは・・・。」

霞「桂花・・・。華琳がいるんやで。」

凪「そうです、桂花さま。」

真桜「そうやで。」

沙和「そうなの〜。」

 

皆に促される、桂花。

 

桂花「ま・・・まあ、皆が行くって言うなら私も行くけど。あいつに会いたいわけじゃないんだからね。」

霞「華琳がいる言うただけで、誰も一刀に会おうなんて言ってへんで。」

 

霞の言葉に真っ赤になる桂花。

その表情に笑いが起こった。

 

秋蘭「それで、どのようにすればいいのだ?」

管輅「それは、この鏡に触れれば行く事が出来るのだ。」

 

その鏡には、華琳と一刀が映っていた。

 

春蘭「華琳様と北郷ではないか!!ってなんだこれは!!」

 

春蘭が鏡に触れた途端、華琳達は消え去り代わりに光があふれ出した。

その光が、その場にいる者達を次々と飲み込みだす。

 

管輅「すまなかったのぉ、案内役をお願いして。」

風「いえ〜。風もお兄さんに会いたいですから。それくらいおやすいご用です。」

管輅「達者でのぉ〜。」

 

手を振り風を見送る管輅。

しばらくして光が収まると、その場にいた者達はいなくなっていた。

その瞬間、大きな揺れが起こり出す。

 

管輅「とうとう始まったか。さて、わしは帰るとするかのぉ。」

 

そうして、管輅の姿もその場から消え去った。

 

こうして、一つの世界の物語が消滅した。

だが、人々に想いがある限りこの世界はまた再び現れるであろう。

その時にどのような物語が紡がれるのかは、誰にも分からない・・・。

 

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あとがき・・・

 

満月の夜に・・・の物語はあれで終わらせたはずなのですが、華琳のいなくなった魏はどうなるかというのを書きたくなりこの話を書きました。

 

途中で色々悩んでしまいなかなか話を進める事が出来ませんでした。

ただ、あっちの世界に魏のメンバーをどのように飛ばすかを考えたとき、世界が消滅するからと言うのはもっともらしい理由かなと。

1人ずつ細々とというのも考えたのですが、そこまで引き出しもないので一気にで決着させました。

 

基本、桂花を進行役にさせていたのですが、やっぱり風が一番全体を見えているのではという事で、管輅から真実を聞き最後のあたりで促すという役割を果たしてもらいました。

言葉遣いおかしいんじゃないかと思われる方もいるかもしれませんが、思った以上に難しかったです。

これは、何度も真恋姫やるしかないですね。

 

消滅した世界の民達は別の世界で生き続ける事になるんだと思います。

また、雪蓮達や桃香達は、雪蓮や桃香という柱がいるので、それで一つの世界を形成していくというのを裏設定で考えています。

その事を書くかどうかは分かりません、というか書いても面白くない気がするので、書くつもりはないです(笑

 

また一刀の世界に行った魏のメンバーですが、もちろんあの世界へと飛んでいます。

 

次は、蓮華が居なくなった呉の話か学園の恋姫たちの続きが書ければと思いますが、何にも思い浮かんでません(^^ゞ

だいぶ先かもしれませんが、またお読みいただけると幸いです。

 

今回もご覧いただきありがとうございました。

説明
以前書きました、満月の夜に・・・続きの世界で、華琳のいなくなった世界はどうなったのかという事を書いてみました。

一部キャラの口調がおかしいかもしれません。
その辺はゆる〜く指摘していただけると幸いです(笑

誤字脱字報告、感想、叱咤激励お待ちしております。

前作はこちら
http://www.tinami.com/view/79241
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コメント
いろんな意味でがんばれ一刀(ブックマン)
こういう終わり方もありだな〜。(いずむ)
そのうち三国全員集合しそうですねwww(キラ・リョウ)
何か、似た様な勢いで呉組( その娘達)も来そうな気がするのは私だけでしょうか・・・?(NAOTO)
さ〜て さてw この後、会えるのかな? ん〜愉しみですね^^w(Poussiere)
飄々としている事すらもが虚である 風はそんな軍師ですね(cheat)
気になってた所を書いてくださってありがとうございます!学園の恋姫もがんばってください。(もっさん)
どのSSを読んでも思うのは、性格的な面だけじゃなく風が一番の軍師の柱の気がするw桂花にも稟にも穴がありすぎだからかなぁ。(だめぱんだ♪)
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真・恋姫無双 恋姫†無双 桂花 秋蘭   春蘭  管輅  

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