ポケットモンスター トライメモリーズ 第5話
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第5話 才気の少女

 

ラカイがトウカシティに5年ぶりに帰省しクウヤが一晩泊まった翌日、彼がトウカシティから出ていくのを見送った彼女はオダマキ博士が来るのを今かいまかと待ち望んでいた。

 

「にしてもラカイも律儀だな、

エンジュシティあたりで野生のポケモンを捕まえてたってよかったんだぞ?」

「いいんだってば。

わたしは前からこうしようって決めてたのよ。

ここに帰ってくるまではトレーナーとしての勉強をして、帰ってきたら自分のポケモンを手に旅にでようってね。」

 

ラカイは父親にウィンクしつつそういうと、自分の荷物を確認するために部屋に戻っていく。

 

「頑固になったものだな」

「貴方に似たのかもしれないわね」

 

妻のツッコミに苦笑いするセンリ。

ふと視界に入れたのは家族が写ってる写真。

6年前の、あの時の写真だ。

 

「できればあの時、ラカイのことを公表しようとしたが・・・あんなことになってしまうとはな。」

「あなた・・・」

「お前やあの子を守るには医者をやっている友人がいるエンジュシティにお前達を任せるしか選択肢が思いつかなかった。

あの時、目を失ったお前を救う方法もそれしかなかった。

しかしそれで・・・ラカイには父親らしくしてやれなかったし、寂しい思いをさせてしまったかもしれない。」

 

トウカシティを襲った炎。

あれがなければ、あのまま決まりを改正するためにラカイは自分の娘だと堂々と言えるはずだったのに・・・自分のとろうとした行動がどれほど愚かだったのかとセンリはずっと思い悩んでいた。

 

「あなたにも色々な思いがあるでしょうけど・・・今はあの子の旅立ちを祝いましょう。」

「そうだな・・・」

 

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30分後、覇乃家にオダマキ博士とその息子、リクガが訪問してきた。

センリに呼ばれてラカイが部屋から出てくる。

 

「君がラカイちゃんだね。

初めまして、私の名前はオダマキ。

そしてこいつは私の息子、リクガだよ」

「織田槙陸牙です。」

「はい、よろしくお願いします!」

 

オダマキ博士とリクガに対しハキハキと喋るラカイ。

そんな彼女の様子に博士は元気だね、と言いつつ一個のモンスターボールを差し出す。

 

「これが君のポケモンになるミズゴロウだよ。」

「ありがとうございます!

早速出してもいいですか?」

「ああ、大丈夫だよ」

 

リクガに言われラカイはボールからミズゴロウを出した。

ミズゴロウは青くて小さい身体を震わせるとラカイの顔を見た。

 

「ごろぉ?」

「うわぁー可愛い!

わたしはラカイ、今日からあなたのトレーナーになるの。

よろしくね!」

「ゴロロウ!」

 

ミズゴロウはラカイの顔を見て話しかけるなり彼女に行きおいよく飛びついた。

 

「うわぁ!?」

「ごろ〜」

「ははは、早速懐かれたね」

「・・・えっへへ・・・」

 

すり寄るミズゴロウに顔がほころぶ。

それをみてリクガは自分のキモリをそこに出した。

 

「きぁも」

「あらキモリ? ひょっとしてあなたの?」

「そうだよ。」

「へぇー・・・」

 

リクガとラカイは早速意気投合する。

 

「キミも今後、ポケモンリーグに挑戦するのかい?」

「ええ、そうよ。

ひょっとしてあなたもそうなの?」

「もちろんさ」

 

その後もリクガは彼女にいろんな話をした。

父の研究のことや自分の夢・・・そしてもちろん、これからの旅のこと。

 

「ふぅん、じゃあ今後あなたはわたしとライバルになるってことね」

「そうだろうね!」

 

そしてリクガは旅先でバトルする約束をしミシロタウンへと帰っていった。

 

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「それじゃお父さん!

私行って来るね!」

「ああ、がんばってこいよ!」

「いってらっしゃい」

「いってきまーす!」

 

ミズゴロウを博士から受け取って、昼が過ぎた頃、ラカイがトウカシティより旅立った。

彼女の目標はただ一つ、ホウエンリーグの制覇のみだ。

コンテストや旅を楽しむことに興味がないわけでないがジムをすべて制覇することに対する気持ちは強かった。

 

「クウヤやリクガに遅れをとるわけには行かないわ!

ね、ラグジー!」

「ごろろ」

 

可愛く鳴いてラカイに同意したのは青い体の小さいポケモン。

ラカイはこのミズゴロウの進化系から、ラグジーというニックネームをつけたようだ。

 

「よぉーし!まずはここら辺で戦力強化よ!」

「ごろ?」

「野生のポケモンをゲットして、仲間を増やすの」

 

モンスターボールはたくさん持っている。

ポケモンゲットの準備は満タンだ。

 

「確かトウカの森だったらいいポケモンがたくさんいたはずだわ。

さらにそこを抜ければ最初のジムがあるカナズミシティにもいけるし一石二鳥よ。」

 

一人と一匹はまずトウカの森へ向かった

 

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「なつかしいなー。昔ここで遊んだっけ?」

「ごろ?」

 

トウカの森を進みさまざまな樹に触れながらラカイは呟く。

彼女の言葉の意味が気になったラグジーは首をかしげた。

それに気づいたラカイは切り株に腰かけラグジーを膝に乗せてあたりを見渡しながら話し始める。

 

「私はね・・・トウカシティには6年ぶりに帰ってきたの。

6歳の頃にトウカ全体を巻き込む大事件が起こって、お父さんは私とお母さんをエンジュシティまで逃がしてくれたんだ。」

「みずごろっ」

「すごくひどい、事件だったわ・・・。

あれからもうかなりの時間がたって森はここまでになったのね」

「ごろ・・・・」

 

あの事件を思い出しているのかラカイの表情は曇ったが、すぐに自分の頬をたたき目を覚ましたかのようにラグジーに向き直る。

 

「・・・・・・・ま、ここにいても仕方ないわ。

トウカシティは蘇ったんだもの、それが実感できて私は満足!

どんどん先へ進もう、ね!」

「ごろっ!!」

 

どんな悲劇があったのか気にはなったがこのミズゴロウは優しい性格らしい、それ以上聞いたら彼女を落ち込ませると思い黙っておくことにした。

 

「なにか良いポケモン、いないかなー?」

「きのっ」

「あら、キノココだわ」

 

姿を現したのはきのこポケモンのキノココだった。

とことこ普通に歩いてたかと思えばラグジーを発見するなりいきなりたいあたりをしてきた。

 

「ごろっ!!」

「ラグジー大丈夫!!?

なにこのキノココ、かなり挑戦的ね!

だったら相手してあげましょ、ラグジーもたいあたり!」

 

助走をつけたたいあたりはキノココに大ダメージを与える。

ふらつきながらもこっちに向かってきたキノココの一撃を交わし、真上からもう一度たいあたりをヒットさせた。

 

「今だわ、それ!!」

 

勢いよく投げたモンスターボールはキノココに命中し数回ゆれた後とまった。

 

「よーし、まずはキノココゲットよ!」

「ごろっ」

「相当好戦的だからバトル向きね・・・えと、この子の進化系はっと」

 

図鑑を開き、キノガッサの情報を知ったラカイはキノココに「キッサ」とつけトウカの森をさらに進んでいった。

 

「うふふ、ますますこの先が楽しみだわ。

どれだけ強いトレーナーやポケモンがいるのかしら!」

 

 

説明
ヒロイン、ラカイの話。
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