英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 戦争回避成功ルート
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戦闘不能になったクロウは元の人間の姿に戻り、ヴァリマールからセリーヌと共に降りたリィンは仲間達と共にクロウにかけよった。

 

〜ジュライロッジ〜

 

「大丈夫か、クロウ―――――ッ!?」

仲間達と共にクロウにかけよったリィンは倒れているクロウを両手で抱え起こした。

「ぐっ……ゴホッ、ゴホッ……!」

するとクロウは口から大量の血を吐いた。

「……あ……」

「……これは……」

「そ、そんな……」

「嘘……だろ……?」

「……………」

自分達と同年代とは思えない程やせ細り、銀髪だった髪はまるで老人のように白髪になっていたクロウを見たアリサは呆け、ガイウスは重々しい様子を纏い、エリスは悲痛そうな表情をし、マキアスは信じられない表情をし、フィーは悲しそうな表情で目を伏せた。

 

「……レン姫、まさかこれは”グノーシス”を服用しすぎた”副作用”なのでしょうか……?」

「それもあるけど、さっきの二柱の悪魔達の顕現が一番の原因だと思うわ。」

「先程顕現した悪魔は多くの悪魔達を率いる”軍団長”―――つまりは”魔神”に迫る程の悪魔達です。」

「それ程の高位の悪魔を術者でもないのに二柱も顕現してしまえば、必ず術者に反動が来てしまいます……」

「……あれ程の存在を二柱も顕現させた上、自身も魔人化(デモナイズ)をして戦い続けられるなんて、そちらの方が驚嘆に値するくらいだ……」

「ん……プリネ達と違って術者としての訓練もしていない上、魔力もそんなにないクロウがあの悪魔達を呼んでクロウ自身もあんな姿になって戦い続けていたら、クロウは………」

シャロンに尋ねられたレンは静かな表情で答え、リアンヌとルイーズ、パントの説明に続くようにエヴリーヌは複雑そうな表情で最後の言葉を濁した。

 

「今、治癒術を……!セリーヌ、手伝って!」

「わかった……っ!」

「わたくしも手伝いますわ……!」

「私も手伝います……!ツーヤも手伝って!」

「はい……!」

するとその時エマとセリーヌ、セレーネやプリネ、ツーヤがそれぞれ様々な治癒術をクロウにかけ始めた。

「…………ったく…………なりふり構わないやり方をして、このザマかよ……ハハ、俺もカイエンのオッサンと同類だな……」

「クロウ……!」

「しゃ、喋っちゃ駄目だよ!」

クロウが話し始めるとリィンとエリオットは心配そうな表情で声を上げた。

 

「……悪いな…………”勝負”から逃げちまった上……あの時の約束を……こんな無様な形で…………再現しちまって………」

「いい、それはいいんだ!」

「兄様………」

「それより今はクロウのその身体を治す事が先決よ―――!」

クロウの言葉を聞いたリィンは悲痛そうな表情で首を横に振り、その様子をエリゼは辛そうな表情で見つめ、アリサは真剣な表情で声を上げた。そしてクロチルダが治癒魔術を発動しようとしたが中断して目を伏せた。

 

「……無理なのね?」

「……ええ……たとえ魔女の治癒術でも。……ここまで命の源である霊力(マナ)を失ってしまっては……」

「……加えて臓器も相当やられているな…………」

「……もはや通常の治癒術でもどうにもできないレベルですわ。」

既に察していたサラ教官に視線を向けられたクロチルダは辛そうな表情で頷き、クロウの状態を察していたレーヴェとシグルーンは重々しい様子を纏って呟いた。

「……くっ…………」

「ダメ、これ以上は……っ!」

「そんな……!どうして治らないのですか……!?」

「諦めないで下さい!クロウさんを助ける方法は必ずあるはずです……!」

「……ッ!(ミントちゃんがいてくれたらフェミリンスさんの時のようにでクロウさんの状態を”戻す”事ができるのに……!)」

それぞれがクロウを治療している中、ある事に気付いたツーヤは唇を噛みしめていた。

 

「ゴホッ………委員長ちゃん……セレーネ……プリネとツーヤ……黒猫も……悪ぃな…………おかげで…………最後の挨拶が……できる……」

「クロウ……さん……」

「……アンタ…………」

「やめろ……やめてくれ……」

「ったく、甘ったれが……………」

泣きそうになっているリィンの頭を撫でたクロウは順番に仲間達に視線を向け始めた。

 

「エリオット……ステージ……楽しかったぜ……お前の音楽……俺は好きだぞ……」

「うぐっ………ううううう……!」

「アリサ……お袋さんとは……上手くやっていけよ……?生きて話せるだけでも……上等だろうからな……」

「ぐすっ……うん……そうね……」

「お嬢様……」

「……マキアスにユーシス……いいケンカ友達でいろよ……エレボニアがどうなろうと……変わらずに……そのままで……」

「……うぐっ……当たり前だろう……!」

「……友達はありえんが……喧嘩相手としては認めよう………」

「ラウラにフィー……ガイウスにミリアムも……色々あったが……楽しい時間……過ごさせてもらった……あんがとよ……」

「こちらこそ……ありがとう。」

「……わたしも楽しかった。」

「仲間として、先輩として……本当に世話になった……」

「ボクも……立場とか関係なくすっごく楽しかったよ……」

「……プリネにツーヤ……それとエヴリーヌ……お前達メンフィルには……俺の計画を滅茶苦茶にされたが……悪かったな……俺達が引き起こした内戦に……エレボニアとは関係のないメンフィルまで……巻き込んじまって……」

「その事はもういいのです……!」

「色々とありましたけど、クロウさんはあたし達にとっても大切な仲間です……!」

「……ま、エヴリーヌは全然気にしていなかったから、クロウが気にする必要はないよ。」

「セレーネ……エリス嬢ちゃん…………この甘ったれがヘタレないように……支えてやれよ……」

「クロウさん……」

「ぐすっ……はい……!」

「エリゼ嬢ちゃん……殲滅天使…………結局……最後までお前達メンフィルには……”本当の力の差”を思い知らされて……一矢を報いる事すら……できなかったな…………お前達やメンフィルの”力”が圧倒的なのは……認めるが……油断をしていたら……経験した修羅場の数や”騎神”の操縦経験で調子に乗っていた結果、オルディーネを失った俺のように……足元をすくわれるから、せいぜい気を付けておけよ………」

「クロウさんの忠告、心の底まで刻み込んでおきます。」

「ま、世の中何が起こるかわからないからね。バンダナのお兄さんの忠告、ありがたく受け取っておくわ。」

「……サラ教官……二年間、世話になった……レオンハルト教官も短い間だったが……世話になった……ヴィータも……色々あったが礼を言っておくぜ……」

「フフ………お互いお世辞にも真面目とは言えなかったけど……」

「短い間だったが、お前を指導する事は俺にとっても忘れられない出来事だった……」

「……礼を言うのはこちらの方よ。」

「シャロンさん……いつも上手いメシ……食わせてくれて……あんがとな……」

「クロウ様こそ、いつもわたくしの料理を美味しそうに召し上がっていただき、本当にありがとうございました……」

「……オラ……情けねぇ顔、すんな…………」

仲間達への遺言を言い終えたクロウはリィンへと視線を向けた。

 

「クロウ……」

「……これから先……お前は………色々あんだろう……俺は立ち止まっちまった……だがお前は……お前らは……まっすぐ前を向いて歩いていけ……カハッ!?」

リィンへの遺言を終えた後虚ろな目で喋り続けたクロウは再び口から大量の血を吐いた。

「クロウ……!」

「何か……何かクロウを助ける方法はないの!?」

「無理よ……”至宝”のような”奇蹟”が無い限りは……」

「……後は”空の女神”―――エイドス様がいれば、何とかなったかもしれませんね……実際エイドス様は”奇蹟”を起こして”グノーシス”に侵されていたディーター元大統領を救ったのですから……」

それを見たエリオットは声をあげ、必死の表情をしているアリサの言葉を聞いたクロチルダは辛そうな表情で呟き、エリゼは重々しい様子を纏って呟き

「レクターがクロウみたいに”グノーシス”を投与された人達を助けられる”空の女神”に交渉しているって、クレアは言っていたけど……」

「……例えエイドスさんがエレボニアの要請に応えてくれたとしても、エイドスさんがこの場にいない以上先輩は……」

「クッ、肝心な時に役に立たないとは、どこまでふざけた女神だ……!」

「”女神”……―――!リィンさん、アイドス様でしたらクロウさんを助けられる可能性はあるかもしれません!」

暗い表情で呟いたミリアムとマキアスの言葉を聞いて悔しそうな表情をしているユーシスの言葉を聞いてある事に気付いたプリネはリィンに視線を向けて希望の言葉を口にした。

 

 

 

説明
第124話
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コメント
本郷 刃様 確かにそうですねw(sorano)
むしろアイドスほど適任なのはいないと思う、彼女は世界のあらゆる穢れや罪などを浄化しようとした慈悲の大女神ですからね(本郷 刃)
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