サトシ「うーん」ｸﾙｸﾙ

タケシ「ドーミラーをそんなにマジマジと見てどうした？」

サトシ「いやさ、流石に食べられないかな、と思ってさ」

タケシ「ふふ、お前は本当にポケモンが好きなんだな」

タケシ「……サトシ、火を起こしてくれないか？」

サトシ「何か食べさせてくれるの？」

タケシ「まあやってみてくれ」

サトシ「分かった」ｶﾞｻｶﾞｻ……

タケシ「焚き火の中にこいつを入れて……」ｶﾗﾝｯ

サトシ「タケシ、ドーミラーはあたためても鉄板みたいに熱くなるだけじゃないの？」

タケシ「まあ、今日はゆっくりしよう」

サトシ「……そうだね」

ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

サトシ「焚き火って落ち着くよな」

サトシ「今日みたいに寒い時はこうやって火を眺めてるだけでも温まる」

タケシ「中火を絶やさないように気を付けて、と」ｶｺﾝｯ

サトシ「ふぁ、眠くなってきた……」

タケシ「おい、サトシ」

サトシ「うーん」

タケシ「そろそろだぞ」

サトシ「……もう出発するの？」

タケシ「ドーミラーを焚き火の中に入れて二時間」

サトシ「結構寝ちゃったね」

タケシ「取り出したらその辺の適当な大きさの岩の上に乗せ、ハンマーで叩きわる」ｶﾝｯ ｶﾝｯ

サトシ「こうすると簡単に割れるんだね」

タケシ「砕いたものの中にドーミラーのコアがある」ｶｼｬｶｼｬ

サトシ「流石に焼きすぎて無理かなぁ」

サトシ「ちょっとお腹すいてきたかな、材料集めなきゃ」

タケシ「ナイフで丁寧にコアを割ると……」ﾋﾟｷｯ ﾊﾟｶ

タケシ「コアの中に小さな白い固まりが有るだろ、これを半分に割って」ﾎﾟｸｯ

タケシ「食べてみてくれ」ｽｯ

サトシ「随分とちっちゃいね」ﾓｸﾞ

タケシ「ドーミラーひとつに僅か50グラム、ゆっくり噛んでみてくれ」

サトシ「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

サトシ「うん」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

タケシ「昔一部の地方では飢饉があったとき、こうやってドーミラーを食べたそうだ」

サトシ「……」ｺﾞｸﾝ

タケシ「どうだった？」

サトシ「……食べるものが無くて、大変な時もあったんだね」

タケシ「そうだ、だから全ての食材には感謝しなけりゃいけないんだ」

サトシ「結構ホクホクして美味しかったよ、ご馳走さま」

タケシ「まあ、流石に足りないだろうからタマタマのホイル焼きとチャオブーの干し肉スープも作っておいたから」ｽｯ

サトシ「流石タケシ！ いただきます！」

タケシ「急ぎすぎると喉につまるぞ」HAHAHA

サトシ「大丈夫、だ むぐっ……」

タケシ「ほら、スープで流して……」

おわり