新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第051話
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新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第051話「((死鳥姫|しちょうき))出陣」

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「………ふふふ、中々の絶景かな」

ここは魏興と南郷の狭間の砦、凛寧が述べるには、この砦より続く街道こそが、長安への一番の近道だという。前方の数十里先には木々が豊かな山々があり、その前方からその砦までは軽い傾斜になっている。だが軽いといってもほぼ水平と言ってもいい。少し道が進んだ先は、こちらの傾斜と対面するかのように逆の傾斜が出来ている。つまり、その傾斜と傾斜の真ん中より考えると、鈍角な((V|ヴイ))字型と考えれば分かりやすいであろう。この砦の最大の特徴は、攻める時は互いに坂道の勢いを付けることが出来るが、その撤退時は坂道で体力を奪われることにより撤退戦には向かず、ましてや坂道の丁度境目にて敵に追いつかれることになれば、それこそ蟻地獄のように坂の中心に引き込まれるこの街道を『天上道坡』と呼ばれた。通れれば長安、負ければ…。その砦の城壁に恋歌が立ち、隣に控える凛寧に尋ねた。

「凛寧、今一度尋ねます。襄陽から長安にかけての一番の街道は真にこの道なのですか?」

いつもの優雅な着物姿では無く、赤に染まった鎧に身を包む。鎧の名は『((鬼血漆備|きけつうるしそな))え』、胸に鎖帷子をきこみ、肩から肘にかけて伸びる『袖』と呼ばれる肩当て、そして腰に巻く((草摺|くさずり))と呼ばれる股間を防御するものと、ふとももを保護する((射向草摺|いけむけくさずり))と腕に付ける篭手のみ。端から見ればとても防御する場所が少なく、戦場に不向きな着込みに見えるが、恋歌は動きやすさを重視して、あえてこの様な格好でいるのだ。それに着込んでいる鎖帷子は十数であるため、他のものがそんなものを着てしまえばその重さと動きにくさで完全に動けなくなるが、恋歌曰く「胸が絞まってちょうどいい」らしい。確かに彼女の自慢の一つである我侭な豊胸はしっかりと押さえられている為、マジックのネタの様に着痩せしてしまっている。

「はい、奥方様。長安を真っ先に通り抜けるには、この道しか考えられません」

「それは相手も同じ事を考えると思っても間違いないのですか?」

「はい。荊州に住まうものであれば大体そう考え、劉備軍も同じ結論に達したに違いないと思われます」

「そうですか。なればこそここで劉備軍を叩き、彼らの進軍を食い止めてみせましょうか。……まぁ、それも必要ないかもしれませんけどね。逆に私達が先にあちらを叩いて追い返す手もありですから。それに…そっちの方が燃えるわね」

少し頬を赤らめて高揚する恋歌に凛寧は出陣前より、一つの不安を抱えていた。これから来る劉備軍は8万に対して、我が方は圧倒的に数が足りていないのだ。

 

時は数日前に遡る。影村領内より三方向から軍が発進されて、重昌は一夜のうちに四面楚歌対策を考え、それを実行に移した。西の大将、重昌。東の大将、虎。南の大将、恋歌。格方面の大将と人選の割り振りを考え、重昌は恋歌に聞いた。

「恋歌、お前の方に軍をどれだけ割ければ劉備を追い払えることが出来る?」

「………追い払わないまでも、私の好きにしていいならそのまま荊州を取ることもできるわよ」

「……なかなかのビックマウスだけど、本当にそんなことが可能なのか?」

その問いに恋歌はニヤリと頬を緩ませる。

「あたしに8千を預ければ大抵の戦場に問題ない事はあんたも知っているじゃないか。ただし、兵の人選は好きに選ばせてもらうよ」

恋歌の問いに重昌もニヤリと同じく頬を緩ませ、荊州よりの迎撃作戦を恋歌に一任した。

 

そして恋歌の荊州軍迎撃には影村軍全体より彼女の目利きの付いた兵が選ばれた。将の人選は雅、月、詠に二千。紅音、瞳に二千ずつ。また荊州の地理を詳しい凛寧、黒美に千五百。砦を守る兵士が二千。自らは五百を率いる形を取る。大将である彼女の一番兵力が少ないことに凛寧は疑問を持ったが、恋歌は凛寧に質問した。

「凛寧、『兵は詭道なり』の意味はわかるわね?」

「それは勿論。孫氏の有名な言葉で、意味は『戦いは、所詮騙し合いで、いろいろの謀りごとを凝らして、敵の目を欺き、状況いかんでは当初の作戦を変えることによって勝利を収めることができるものだと』いう意味ですね?」

「そうまさにその通り。しかし私の家の家訓ではその言葉を弄り捻って、こんな言葉を作ってあるわ」

恋歌は自らの腕ほどありそうな大きな扇子を広げ、凛寧はそこに広げられた言葉を呟いた。

「『兵は機動、戦は速さ、迷いは敵』……ですか?」

「そう。どれほど圧倒的な軍勢を誇っている軍といえど、圧倒的な強さを誇った選りすぐりの一騎当千の一個団隊を壊滅させるには時間がかかる。時間がかかれば迷いが生じる。また相手はどれかけ警戒していても、心のどこかで絶対に思うはず。『相手よりこちらの方が、圧倒的に人数が多い』っと。そこに慢心、過信が生まれる。その時こそ全ての兵士を蹴散らして、虎の如く相手の懐に入りその喉を食い破る」

恋歌は虎の爪のように、空に向けて拳を握る。

「勿論、この様な愚かな作戦は、誰にでも出来る筈も無いわ。五十合打ち合っても疲れない体力を持ち、五日間飲まず食わずでも退かれない精神力を持ち、一人で十人でも百人でも刈り取らんばかりの闘争心を持った人材がいなければならないのよ。それも一人欠かさず」

恋歌は凛寧に向き直ると、鼻先が付くばかりにまで顔を近づける。恋歌は女性としては長身であるので、必然的に恋歌が腰を落とし凛寧の視線に合わせる形になる。

「本来はここに((小龍|シャオロン))ちゃんも連れてきたかったけど、生憎あの子は、精神はともかく体が追いつかない。彼女が居れば荊州の統治は格段に楽にはなるけど、あたしの団には足手まといになってしまう。だから凛寧と黒美だけでも付いてきてもらったわけよ」

彼女のいう恋歌の率いる部隊の実情が確かであれば、病弱な小龍は確かに足手まといになってしまう。それを考えれば文官である月や詠なども小龍程でないにしろ挙げられそうでもあるが、彼女は元々西涼地区の出身であり、騎馬の扱いにかけては熟練されている。

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「凛寧、死ぬ気で付いてきな。もしあんたが本当に自分の家を取り戻したいと思うならね」

恋歌は笑いながら彼女に言う。これより十倍の兵に立ち向かうというのにも関わらず、普通の者が言えばこの言葉はただの狂言にしか聞こえないが、目の前の恋歌が言えば何故かそれが実現しそうな感じがして、今から攻め入る劉備軍の数に対して気に病む必要もなくなった。恋歌は兵士に号令する。

「赤備え、出るよ!!甘ちゃんが率いる軍団なんか、あたしらで全て狩ってやろうさ!!一人最低十人殺しな!!一桁代なんて承知しないからね!!いくよ!!」

兵士の雄叫びと共に、砦の扉が開かれる。砦に月と詠を残し、恋歌を先頭に率いられたその軍団の全ては、赤い血に染められたかのように真っ赤であった。

 

劉備軍は新城を完全にその手中に収め、既に南郷の制圧に手を伸ばしていた。その南郷に陣を構えており、彼らは現在長安攻略への軍議を開いている最中であった。

「現在影村の領地に向けて我らを含む三勢力が進軍を開始しています。東の曹操、西の五胡、そして南よりは我ら……」

五胡という単語を聞きつけると、皆騒然とした。

「朱里ちゃん。五胡が攻め入っているって一体どういうこと?」

軍議の幕開け一番に、劉備が諸葛亮に質問する。

ちなみにこの場に居る将の面々は劉備、趙雲、馬超、関羽、諸葛亮、劉封、公孫?といった面々である。いずれも影村軍に一時期在籍し、その内情を知るものである。諸葛亮にかんしては参謀。劉封、公孫?は劉備の護衛という形である。そして残りの将は襄陽の守りに入っていた。

「はい。商人より話を聞きましたら、以前より西涼は五胡の一つである羌と争い合っています。理由は不明ですが、彼らも大陸の状況に反応して西涼に攻め入ったはずです」

「………そう……でも、西側の人には悪いけれど、今は五胡より影村さんをどうやって倒すかだよね」

劉備は自らの決意を固めて胸の前で拳をつくる。

「それでは作戦をたてていきましょう。私達が今向かっているのは、ここ、『天上道坡』と呼ばれる街道です。この街道こそが今の私達にとって長安への一番の近道です。勿論敵もここを抑えているといっても間違いないでしょう」

諸葛亮は机に広げられた地図に指を指して説明する。

「なるほど。しかし、敵が押さえているのを分かっていながら、何故多少の遠回りをしてでも別街道をいかないのだ?」

趙雲は疑問を持って質問する。その質問に答えたのは?統であった。

「それは、速度の問題です」

「速度の問題?」

「はい。影村軍の一番の強みはなんと言っても騎馬を用いたその速度。私達が進路を変えて別の街道を進んだとしても、直ぐに方向転換をしてこちらに向かってくるはずです。陽動を用いる作戦も考えましたが、陽動作戦を実行している間に曹操さんと五胡の戦い、どちらかを落ち着かされると、すぐさま軍勢はこちらに来る筈です。そうなれば私達に勝機はありません。なので、今回は多少ゴリ押しでも、短期決戦に持ち込んで曹操さんと五胡を相手にしている間に、街道を抜けて長安をとってしまいたいのです」

「なるほど。っで、その砦を守るのは一体誰だ?」

肝心の問題を、趙雲が問いかける。

「はい。草の報告では旗印は『蔡、向、華、賈、李、皇』で、あと二つは旗印に名前が書かれておらず、絵が描かれていました」

絵と聞いた瞬間に、数人の人物が影村軍の最古参が出陣していることが容易に想像できた。影村軍の最古参だけは、奇妙な旗印を使う習性があった。ここで影村軍の最古参の重臣に加え、重昌の旗印、所謂家紋を紹介しておこう。まずは重昌と恋歌のは長尾の『九曜巴』。円の中にコンマあるいは勾玉のような形の先が、円の中心を均等に三つ並んでいる。一刀と椿(愛紗)は『丸に十の字』円に十字。虎の『上杉笹』竹輪に五枚笹を5つ並べ中央に対い雀を描く。瞳の『仙台笹』笹の葉を外側に描いた竹輪笹の中央に対い雀を描く。三葉の『四つ割菱』横長な菱形が均等に四つ重ねられる。柑奈の『三つ引両』淵黒の丸い円の中に、均等に横棒が三つならんでいる。ちなみに恋歌と椿(愛紗)の旗の刺繍に関しては金色である。これは重昌が分かりやすくしたもので、将の奥が将であり、その者が出陣するときであれば金色にする様にしている。ただし女性は戦場で捕まればある意味男より不遇な待遇になってしまう為、これは強制ではない。

「絵以外は恐らく蔡瑁、向朗、華雄、賈?、李儒、皇甫嵩だな。絵には何が描かれていた?」

関羽が片手に肩肘を置いて問いかける。

「一つは竹輪笹の中央に鳥を描いた様な絵柄でした」

これを聞き、趙雲と馬超の頭の中では、絵の旗印の一人が伊達政宗と分かった。

「そしてもう一つの旗印は、三つに分かれた対極輪の様な模様が円に9つ描かれていたらしいです。そして色は金色でした」

『金色』という言葉を聞いた瞬間、何人かは体が固まり、血の気が引いたように顔が青くなる。

「星!翠!すぐに防衛戦を張れ!白蓮殿と氷華は桃香様と朱里の護衛!私も自分の隊を率いて防衛に回ります!」

関羽からの指示に趙雲、馬超はすぐに反応し、その他は未だ困惑する。

「ちょ、ちょっと、愛紗ちゃん?一体どうしたの!?」

「桃香様、真に申し訳ございませんが、今は愛紗の指示に黙って従ってもらえませんか?」

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趙雲が劉備の肩を持って諭すが、それも無に帰する報告がもたらされる。

「伝令、前方より赤い軍団を確認。恐らく敵軍かと思われます」

関羽の心配も虚しく、敵軍の近づきを許してしまう。本来であればここですぐに編成をし直し迎撃の準備を整えるのだが、如何せん劉備軍が8万という軍での戦は始めてである為に、速やかな陣の変更は難しく、このまま正攻法で臨むしかなかった。

 

平野にて、片や八千の軍、片や八万の大軍がそれぞれ向かい合う。八千の軍より恋歌が前に出て、それに対しては劉備が前に出てきた。

「劉備よ、これより先は影村が領となる。何故悪戯に軍を動かす。今すぐに引きたまえ」

「…私はただ劉gさんを迎えに行くだけです。ですからそこを通して下さい」

「……ふん、何が劉gを取り戻しに来ただけだ。その方は劉表殿が亡くなった瞬間に彼の領地を次々に強奪しくさったではないか。どの口を広げて”取り返す”だ。それならば最初から『奪いに来た』と述べればよいではないか」

「…し、失礼ではありませんか!?私は叔父さんの意志を継ごうとして――」

「なれば何故まずこちらに一報を寄越さない?『劉表様の葬儀の為に劉g殿の帰還を要請する』などの報はこちらに届いておらぬよ」

「………」

「……今我が夫の領は西より五胡、東より曹操と挟み撃ちにされている。その二勢力を抑えている間に火事場泥棒しようという魂胆であろう?」

「………」

「黙りこけることは肯定と受け取ろう。しかし我らも夫に舐められたものだ。よりによって三方よりの軍の中で一番の”弱小”をあてがうとは……」

その言葉に劉備は何か強く言いたい気持ちが出そうになるが、そこをグッと堪えて一つ呼吸を置いた。

「……晴景さん、どうか降ってくれませんか?今影村さんは絶体絶命です。今貴女が影村さんを説得して下さるなら、西涼に関しては影村さんに任せていいと思っています」

「そして貴女は中央で権力を振りかざし、私達は日の沈む西に追いやるということ?小娘が好い気なものね。貴女の様な足袋売り娘に天下を収められるなら、酒屋の親父でも天下を収められるわ」

「………!!」

劉備は顔を真っ赤にし、怒り心頭で恋歌に噛み付く。

「この兵力差を見ても、何故貴女はそんなことを言えるんですか!?」

「この”兵力”?この兵力とは『力』のこと?結局貴女は我が夫のことを力で全てを解決する暴君だと言うけれど、その貴女はどうなの?貴女のその後ろの軍勢は何?結局のところ貴女も力で全てを従えさせようとしているだけよね?」

「ち、違います!!この人たちは私の考えに同調してくれた人たちで――」

「違うものですか。その者達は貴女の説く理想とやらに同調したもの達かもしれない。しかしその者達が貴女の持つ”人材(財)”であるなら、それは貴女の持つ力になる。そしてその力は今あたしたちに向けられている。これを力で押さえつけるのではなく、一体なんだというの?」

恋歌にそう指摘をされ、劉備はまた口を紡ぐが、恋歌は馬に乗りながらも、右手を地面と平行に横にのばすと、兵士が三人がかりで弓を持ってくる。しかも普通の弓より異様にでかく、洋弓が全長160cm前後と言われており、和弓で全長が標準で七尺三寸(約221cm)。しかし兵士が持ってきた弓はどう見ても九尺九寸(3m)あり、恋歌の身長が大体165〜170程であり、彼女は約二倍の弓を扱っているのだ。それをしならせる為に弓の弦を三本も四本も重ねて張ってある。普通の張り方であれば、弦が耐え切れなくなり切れてしまうからだ。余談ではあるが、この弓は恋歌が馬に乗ったときにしか使わない特注である。理由は立って扱えば弓が地面に刺さるのだ。恋歌が矢を構えその弓を引くと、弓の於と弦にミチミチと鈍い音がなり、次の瞬間、鳴ったか鳴っていないか分からない様な鈍重な音が響くと、劉備の乗っていた馬の胸に穴が開き、馬が一つ暴れた際に彼女は落馬し、馬も飛んできた矢にて刺殺される。劉備の落馬と共に劉備軍より動揺が起こり、影村軍よりは笑いが起こる。

劉備軍の血の気の多い数十騎の隊が恋歌に向けて突っ込んで行く。関羽などが止めに入ろうとしたものの、彼らは制止を聞かない。劉備は落馬より未だ起き上がって来れず、恋歌は地面に弓を差し込んで、背中よりスラリと二本の武器を抜き取る。その武器は竹で出来た((鋸|のこぎり))であり、そのまま馬を走らせて劉備に向かっていく。趙雲は恋歌が走り出したのを確認すると、彼女も即座に馬を走らせ劉備を助けに走る。だが重鎮のその行動が開戦と劉備軍は判断し、軍は動き出し、それを判断してか、対して影村軍も動き出す。しかし、先行していた恋歌と劉備軍の数十騎の激突した際に劉備軍の行動は怯むことになる。

「はっ、そんな貧相な武器でこの大斧に敵うと思うか!その体ごと叩き伏せてくれる!」

先頭を走るハルバードの様な武器を持った大男が恋歌に向かっていく。やがて大男と恋歌が接触し、斧が恋歌の頭上に振り下ろされるが、恋歌は持っていた二本のノコギリを右手に持ち替えて、難もなく左指で斧の刃を摘むように止める。

「ただの筋力で敵将が討ち取れるなら、将は全て筋肉ダルマの集まりだわね」

そう告げると彼女は大男の腕の腱をノコギリで切り裂き、握力を失った大男の手から斧が離され、恋歌はそのまま斧を左手でしっかりと掴み前方に放り投げた。

クルクルとまわってやってくる大斧を血気流行った兵士の何人かはそのまま斧の刃の餌食になり、既にこの一連の動作で数十騎の騎馬のうち十騎は葬っていた。

その後彼女は、自ら馬の上に立ち、そのまま相手兵士の首を動脈狙いで切り捨てていき、馬に座ったと思えば、馬の腹に捕まり相手の騎馬の足を傷つけて兵士を落馬させ、そのような気違いじみた戦いをしているうちに、血気流行った劉備軍の先行部隊は全滅した。やがて自らも馬から地面に降り立ち相手方に突っ込み、敵を狩っていった。

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「恋様が敵を蹂躙しているぞ!皆の者!!我らも続け!!」

紅音の激励に影村軍兵士は節々に「一人十殺」と呟きながら、劉備軍の兵士を血祭りにあげていく。流石に影村軍一の武力を誇る恋歌が選んだ兵だけあって、十倍の差がある劉備軍を恐れも知らずにどんどんと狩っていく。しかし、なにより恐ろしいのは恋歌の戦い方であった。彼女は敵に恐怖を植え付けるためにあえて敵を致死傷手前の傷を負わせている。彼女の切り伏せられた多くは五体満足な状態であるが、その全てはこの戦闘の間は”もう何も出来ない”状態になった。足の腱を切られた者は立ち上がることが出来ず、腕の腱を切られた者は剣を持てず。落馬したものはそのまま自身の馬に圧死される。普通の死に方をさせてもらえない恐怖が先立ち、劉備軍の一部は萎縮してしまっており、形勢不利と断定し、劉備軍は堪らず撤退した。

恋歌選抜隊と劉備軍の初戦は恋歌隊の圧勝し、この日劉備軍は3千の兵士を失うことになり、対する恋歌隊の失った兵の数は7人程であった。ちなみにこの時一番多く兵士を討ち取った人物は雅であった。意外な展開だと戦いを終えた兵士の間で話題になったが、一番血飛沫を上げさせたのは恋歌だと知った瞬間、兵士は「流石((裏屋形|うらやかた))様」と盛り上がりをみせたという。

その日、恋歌達は劉備が捨てていった陣営を使い休息を取る事にした。

 

説明
ただの恋歌お母さん無双回です。
文は短いのでのっぺり読んでいって下さい。
誤字があれば報告下さい。

まじかるー
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コメント
Jack Tlamさん〉一応今回の遠征は満場一致の上で攻めいった感じです。この影村軍が四面楚歌の今こそ、この機会を逃せば影村を討つなど本当に夢物語になりかねませんからね。それでも8万対8千の野戦なら、誰でも数が多い方が勝つと思うのが人間の心理です。しかし合戦はまだ始まったばかりです。のっぺり待って下さい。 (IFZ)
しかし3mもある長弓を扱うには途轍もない膂力と技量が必要になりますよね?もし扱えたなら、長射程・高威力の狙撃が出来るが……今回は威し目的でしょうね。愛紗は流石に気付いたが、時既に遅し。嫌悪のあまり、勝てない戦を家臣や兵に強いて、無意味な犠牲を増やすだけか……軍師も何故言わんのだ。勝てない戦いなんてするなと。(Jack Tlam)
うーむ、確かに当然のことが欠けてます劉備軍。詰めが甘いな。相手方に働きかけ、大義名分に説得力を持たせなければ、こうやって簡単に崩される。これで単に「奪いに行く」のなら、ここまで言われないですよ。言行不一致で、説得力の無い感情論を振りかざしてるだけの今の彼女に、影村軍と戦う、況してや勝つなんてことは出来ないですね。(Jack Tlam)
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恋姫†無双 恋歌 凛寧 紅音 劉備軍一堂 

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