Free Trigger 第5話「大切な者を救え」
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「……よし、これで大丈夫ね」

 階段を駆け上がり、地下二階に辿り着いた3人。

 もう少しでこの教会から脱出する事ができる。

 だが……。

 

「クラウディアはどこにいるのかしら?」

「クラウディア? 誰の事ですか?」

「あたしの従者の吸血鬼! きっと人間に殺されてるかもしれないわ」

 ミロはふと、クラウディアの事を思い出した。

 クラウディアはミロの従者であり、ミロにとって姉の次に大事な人物である。

「そいつをどうするつもりなんだ?」

「助けに行くわ!」

「……助ける、だと? 何故だ?」

 男がミロの行動に疑問を覚える。

 すると、ユミルはこう言った。

「ミロさんにとって大事な人だからですよ。……こんな言葉がありますよね? 『悪魔は冷酷だが、身内には慈悲深い』と」

「……ふっ。それも、そうだな。行こう」

 男はそう言って、長剣を抜いた。

 彼もクラウディアを助けるために、ミロやユミルと協力する事にしたのだ。

 

「さあ、行きましょう!」

「はい!」

「ああ」

 その頃、クラウディアは……。

 

「うっ、うぐっ……!」

「さあ、吐いてもらうぞ。ベリサルダはどこだ?」

 神剣ベリサルダがある場所を言わせるため、騎士に拷問を受けていた。

「私は知らない。それよりここから出せ!」

「いいや、ベリサルダがある場所を言うまでここから出すわけにはいかない」

「うぐぅっ!」

 そう言って、騎士はクラウディアに剣を刺した。

 クラウディアの顔が苦悶に歪む。

「さあ、ベリサルダはどこにある! 言え!」

「ぜ……絶対に言わない……言うくらいなら……」

 その頃、ミロ達は……。

 

「ここかしら? クラウディアがいるのは」

「ああ、恐らくはな」

 武僧達を蹴散らしながら、クラウディアが囚われていると思われる部屋のドアに辿り着いた。

 ミロは、ドアに手を掛ける。

「待ってください、ミロさん」

「え?」

「何があるか分かりませんよ。慎重に」

「……分かってるわよ!」

 そう言って、ミロはドアを開けた。

 

「!!!」

 そこにいたのは、気絶したクラウディアと、彼女を拷問していた騎士だった。

「クラウディアを返しなさい!」

「こいつの事か? 彼女はベリサルダの場所を吐かなかった、故にもう必要ない」

 そう言って、騎士はクラウディアを投げた。

 ミロはクラウディアを受け止める。

「クラウディア……!」

「だ、大丈夫です、主様……。私は、平気……」

「喋らないで!」

 ミロはクラウディアを安全な場所に休ませる。

 そして、彼女は騎士を鋭い目で睨みつけた。

「よくもやったわね人間……! というか、ベリサルダって一体なんなの!?」

「ベリサルダは信頼の神剣。主に力を与える剣だ。こやつが知っていると見たが、吐かなかった!」

「だからといって拷問はないでしょ!?」

「彼女の言う通りです」

 そう言って、ユミルは杖を抜き騎士に突きつけた。

 だが、騎士は全く怯んでいない。

「何としてでもベリサルダを手に入れてみせる! そのために……まずは貴様らを討伐する!!」

 騎士は戦闘態勢を取った。

 その姿勢にミロは苛々し、彼女も戦いを挑んだ。

「あーあー、無茶苦茶過ぎる理論ね! ほら、いくわよ、ユミル!」

「は、はい!」

「待て!」

 戦闘しようとするミロとユミルを止める男。

「なんで止めるのよ!」

「こいつは何かしらの魔法を使う、と読んだ。だから、魔法を切り裂ける俺が相手する!」

「もう、しょうがないわね!」

「……分かりました」

 ミロ&男VS騎士の戦いが始まった。

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「幻影よ……」

 騎士が幻影魔法を唱え、身を隠す。

「相手が見えなくなったわ!」

「ふん、幻には……これで対抗する!」

 男は長剣で、空気を切り裂いた。

 すると、幻影魔法が打ち消され、騎士が怯む。

「幻影が消えた!?」

「今だ、ミロ!」

「はいっ!」

 ミロは相手の懐に潜り込み、爪で装甲を貫いた。

「続けて、はっ、せいっ!」

「いくわよ!」

 男が長剣で騎士を2回攻撃する。

 ミロも男に合わせて爪で攻撃する。

「くっ……」

「うぐあっ!」

 騎士の剣がミロを切り裂く。

「「アサルトエッジ!」」

 続いて男が高速の斬撃を放つ。

 騎士も同じ技で男を攻撃した。

「せーのっ!」

 ミロがキックを繰り出し、騎士を吹っ飛ばす。

 続けて男は騎士に近付き、長剣を一閃した。

 

「く、なかなかやるな。……幻影よ……」

 再び騎士は幻影魔法を唱えた。

「また消えたわ!」

「怯むな! 俺が斬る!」

 男の長剣が、騎士の幻影を切り裂き、怯ませる。

 その隙にミロが爪を一閃した。

「いくぞ!」

「せいっ!」

 その後、男は長剣を構え直し、乱舞攻撃を放った。

 しかし、その後のミロの攻撃は外れてしまった。

 その隙に騎士の剣がミロを切り裂く。

「まだいけるか?」

「うん! ……わわっ!」

 騎士の剣がミロに突き刺さる。

 刺された部分から出血が始まった。

「ミロさん!」

「う、傷ついた……」

「ボクが治します! ド・オヴァ・デ・シー!」

「幻影よ……」

 ユミルが呪文を唱え、ミロの傷が癒えた。

 その隙に騎士が幻影魔法を唱える。

「く、きりがない……!」

「でもここで挫けちゃダメよ!」

「分かっている!」

 ミロが爪で、男が長剣で騎士を攻撃し続ける。

 だが、二人の顔には疲労が見えている。

 あと一回攻撃するのが限界だろう。

「あと一発……! あと一発で……!」

「仕留められなければ、負ける……!」

「「はああーっ!!」」

 そして、二人の攻撃が騎士に命中し、倒れた。

 

「クラウディアを拷問した罪。あなたはそれ相応の罰を受けてもらうわよ」

 そう言って、ミロは飛翔剣を取り出した。

 どうやら、彼女は大切な従者を傷つけられたせいで、凄まじく怒っているようだ。

「ど、どうしたのですか? 主様……」

「ここから先は、R指定よ。健全なあなた達なら、目を閉じるわよね?」

「は、はい……」

「俺は目を閉じないぞ」

「え? なんで?」

「慣れてるから」

「しょうがないわね……」

 男以外の全員はゆっくり目を閉じた。

 これから、何が起こるのだろうか。

「……じゃあ、始めるわよ!」

 

 数分後。

「はい、OK」

「……!?」

 全員が目を開けると、そこにあったのは、無残に切り裂かれた騎士の死体だった。

 大量出血で騎士の死体は真っ赤になっており、非常に猟奇的な事をしただろうと推測される。

「なんでそんな事をしたんですか! いくら悪い人間だとはいえ……!」

「あら? 悪事への報いなのよ?」

「だからといって……!」

「じゃあ、あなたはあまりにも酷い事をされたら、加害者をどうするのかしら?」

「そ、それは……」

 どもってしまうユミル。

 これが、吸血鬼と(元)人間の違いである。

「さあクラウディア、一緒に脱出しましょう! そして他の吸血鬼達も助けにいきましょう?」

「ええ……分かったわ!」

 

 クラウディアと共に、三人は歩むのであった。

説明
ボス戦。ここでまた新しい仲間が増えます。
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