英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 戦争回避成功ルート |
〜トールズ士官学院・1年Z組〜
「それにしても……改めて思ったけど、僕達の時代って凄い皇族ばかりいるよね……」
「隠居の身でありながらも未だに世界各国に武勇でその名を轟かせるメンフィル帝国のリウイ皇帝陛下やリフィア殿下を始めとしたメンフィルの皇族の方達………”賢王”と名高いリベールのアリシア女王陛下とその跡継ぎであられるクローディア王太女殿下も”リベールの異変”の解決の為に自ら”導力停止現象”を起こした空中浮遊都市に乗り込んで”結社”との決戦に挑んだという話だしな。」
「当然”自治州”だったクロスベルを”帝国”を名乗る程の巨大国家へと成り上がらせたヴァイスハイト皇帝陛下とギュランドロス皇帝陛下は凄まじいと言ってもおかしくないものね……」
「それに独立したノルドの元首となったリザイラさんも他国からしたら間違いなく”王”としても凄まじい存在でしょうね。」
「ああ……何せ伝承でしか存在しなかった精霊達の”女王”だからな。」
エリオットの言葉を聞いたリィンやアリサ、セレーネとガイウスはそれぞれの国の”皇”を思い浮かべた。
「そんな優秀な能力を持つ皇や皇族がいる各国に対してエレボニアの国王は民達から”愚帝”って侮辱されているものね。」
「フィ、フィーちゃん!その言葉はユーゲント陛下―――いえ、エレボニア皇家である”アルノール家”の方々に対して最大限の侮辱ですよ……!?」
「でも、国を纏められなくて戦争が起こって生活が滅茶苦茶にされて家族を失った人達もいるんだから、普通に考えたらそんな奴を自分達の王様と認めたくないよ。」
「確かにエヴリーヌお姉様の仰っている事は間違ってはいないのですが……」
フィーが呟いた言葉を聞いたエマは真剣な表情で指摘し、エヴリーヌの意見にプリネは複雑そうな表情で同意し
「”貴族派”と”革新派”を纏められずに内戦を引き起こしてしまった事でも民達はユーゲント陛下に対して不満を抱えていたのに、そこに追い討ちするかのようにクロスベルに独立されて領地の一部を奪われた事やメンフィル・クロスベル連合と和解する為にエレボニアにとって数々の不利な条約を受け入れてエレボニアを衰退させた事、そして”百日戦役”が起こった”真相”―――”ハーメルの悲劇”を公表したからな……ユーゲント陛下も御自分に対する民達の信頼を回復するのはもはや不可能と悟って、あのような思い切った決断―――セドリック殿下が成人した際にセドリック殿下に王位を譲り、それ以降はエレボニアの政治に一切関わらず隠居する事を公言されたのかもしれないな……」
「”ハーメルの悲劇”の件でエイドスさんがエレボニアの事もフォローする発言を公表してくれたけど、それでも民達のユーゲント陛下に対する悪印象は変わっていないもんな………」
「正確に言えばエイドスさんの件を依頼したのはオリヴァルト皇子だったとの事ですからね。そのお蔭でオリヴァルト皇子の評判は高まりましたが……」
「フン……こういう時こそ得意の情報操作とやらで民達のユーゲント陛下の印象を回復すべきだというのに、肝心な時に役に立たないな、”情報局”は。」
ラウラやマキアスは辛そうな表情で呟き、ツーヤは複雑そうな表情で答え、ユーシスは鼻を鳴らしてミリアムを睨んだ。
「無茶言わないでよ〜。内戦やクロスベルの独立、それとメンフィル・クロスベルとの戦争でエレボニアが衰退した事でのユーゲント国王の責任はまだ誤魔化せるかもしれないけど、”ハーメルの悲劇”の件で”空の女神”がハーメルの件はユーゲント国王にも責任があるって言っちゃったから、さすがに誤魔化しようがないよ〜。もしそれを誤魔化したりしたら、七耀教会は当然として、”空の女神”を崇めているゼムリア大陸全土の人達を敵に回す事になるんだから。でもその代わり他の皇族の人達――――特にメンフィルとの戦争勃発の切っ掛けになったアルフィン皇女の印象が最悪にならずにむしろ民達はアルフィン皇女に対して同情や感謝をしているし、ユーゲント国王も後5年で国王を辞めるんだから別にいいじゃないか〜。」
ユーシスに睨まれたミリアムは疲れた表情で答えた。
「全然良くないぞ。その5年の間にユーゲント陛下に不満を持つ民達がクーデターとかを起こしたらどう責任を取るつもりだ?」
「それに関しては大丈夫だと思うよ〜?セドリック皇太子とオリヴァルト皇子の二人はアルフィン皇女同様内戦の件で人気が急上昇したし、何より”あの人”がユーゲント国王が国王を辞めて成人したセドリック皇太子に王位を渡すまでの5年間空位になった”宰相”を務めてくれるんだから。実際”あの人”を勧誘して”臨時宰相”に採用した事に関しては民達も正解だって声は多いよ?」
「”あの人”――――パントき、いや”パント臨時宰相”か。」
マキアスの指摘に答えたミリアムの話を聞いたリィンはかつて共に戦った人物の今の状況を思い出した。
「まさかパント卿がエレボニアの宰相になるとは想像もしていなかったな……」
「というか普通に考えて誰も想像できないよ。パント卿は他国―――それも戦争をした相手の国の貴族で、しかも重鎮なんだから。」
「あくまで”臨時”、ですけどね。パント卿がエレボニアの宰相を務める際に提示した条件―――『エレボニアの臨時宰相の就任期間はセドリック皇太子が皇位を継ぐまでの5年間』ですから、ユーゲント陛下達から話を持ち掛けられた時にパント卿自身が推薦した本来のエレボニアの宰相――――オリヴァルト殿下がパント卿の元で宰相として必要な事を学んでいるオリヴァルト殿下が、ユーゲント陛下が退位するまでの5年よりも早く成長して宰相としての仕事を任せられるようになれば、徐々にオリヴァルト皇子に宰相としての仕事を引き継ぐとの事ですから、オリヴァルト殿下の成長の速度によっては予定よりも早くパント卿は宰相の座から降りると思いますよ。」
「まあ、ふざけた態度ばっかり取っていてサボリなあのオリビエがそんなに早く成長するとはとても思えないけど。オリビエの事だから、どうせ隙を見て適当にサボると思うね。」
「エ、エヴリーヌさん……確かにリベールでのオリビエさんはそんな人だった事は認めますけど、エレボニアに帰ってからのオリビエさんは皇族として忙しく働いていましたし、何よりも祖国の未来を考えたらさすがのオリビエさんも真面目に勉強すると思いますよ……?」
ガイウスの言葉にエリオットは苦笑し、プリネは静かな表情で答え、呆れた表情で呟いたエヴリーヌにツーヤは疲れた表情で指摘し、二人の会話を聞いたリィン達は冷や汗をかいた。
「フフッ、オリヴァルト殿下が宰相となられ、ユーゲント陛下達を支える事には期待しているが同時にパント臨時宰相閣下には一日でも長くエレボニアに留まってユーゲント陛下達を支えて貰いたいという気持ちもあるから、我々エレボニア人としては色々と複雑だな。」
「実際パント臨時宰相の手腕はあのオズボーン宰相を越えていると噂されている程、異例な速さでエレボニアの復興や経済回復の案を出して次々と実行し、エレボニアの復興は順調に進んで資産凍結や内戦で恐慌状態であった経済も凄まじい速さで回復し続けていますものね。」
「さすがはあのメンフィル帝国の”宰相”を務めた偉大なる人物と言った所だな。」
ラウラは苦笑し、エマは明るい表情で呟き、ユーシスは静かな表情で呟いた。
「それにしてもよく”英雄王”達はあんな優秀な人が戦争をした相手の国の宰相になる事をたったあれだけの条件で許可したよね?」
「そうですわよね……普通に考えたらパント卿程の優秀な方を戦争をした国家の重要な役職に就くことを許可しませんわよね?」
「フフ、パント卿自身も仰っていましたがパント卿は既に爵位や当主の座もご子息に引き継いでお父様同様隠居の身ですから、お父様達もそんなに口うるさく言うつもりはなかったのだと思います。」
「パント卿をエレボニアの宰相に就任する事に対してリウイ陛下達が出した条件であるメンフィルにパント卿が”総参謀”として必要な程の事態になった際は宰相を休職させてメンフィルの”総参謀”に就かせる事ですけど、現状メンフィルと本格的に戦争をしている国家はありませんし、パント卿が”総参謀”として必要な事態には余程の事がない限りありませんから、恐らくパント卿がエレボニアの宰相を休職するような事はないと思いますよ。」
フィーとセレーネの疑問にプリネとツーヤは微笑みながら答えた。
「……パント卿がエレボニアの臨時宰相に就任した時からずっと疑問に思っていたんだけど、マキアス。どうして知事閣下は空位となった宰相の座に就任しなかったんだ?」
「レーグニッツ知事は”鉄血宰相”の盟友だからな。”鉄血宰相”亡き後のエレボニアの”宰相”の座に”鉄血宰相”の盟友であったレーグニッツ知事が就任してもおかしくはないな。」
「そ、そう言えば……」
マキアスを見つめて質問したリィンの疑問に続くように答えたユーシスの話を聞いたエリオットは目を丸くしてマキアスを見つめた。
「いや……逆だよ。確かにパント卿に話が行く前にユーゲント陛下から打診はあったそうだけど、その場ですぐに辞退したそうだ。辞退した理由を聞いたら『内戦とメンフィル・クロスベル連合との戦争によってエレボニアが衰退する原因となった人物の一人であるオズボーン宰相の盟友であり、”革新派”の中心人物の一人でもあった私がオズボーン宰相の後を継いで”宰相”に就任すれば、また同じ事が繰り返される恐れがある。だから私は絶対に”宰相”に就任してはいけなく、”宰相”に就任するのは”革新派”でもなく”貴族派”でもない第三者である事が一番丸く収まる方法だ』って父さんは言ってたんだ。」
「知事閣下がそのような事を……」
「ま、言われてみればその通りだよね。」
静かな表情で語ったマキアスの話を聞いたラウラは複雑そうな表情をし、フィーは静かな表情で呟いた。
「という事はパント卿がエレボニアの臨時宰相を務める事やオリヴァルト殿下がパント卿の後を継いでエレボニアの宰相となられた事にも賛成なされているのですか?」
「ああ。『これからのエレボニアの為にもパント臨時宰相は勿論、オリヴァルト殿下の支えになれる人物になる事が私の目標だ』って言っていたくらいだ。」
セレーネの疑問にマキアスは明るい表情で答え
「レーグニッツ知事も協力的ですから、大丈夫そうですね。」
「ええ……」
ツーヤの言葉にプリネは静かな笑みを浮かべて頷いた。
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第143話 | ||
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