真・恋姫無双〜魏・外史伝22
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第十章〜その心のままに・後編〜

 

 

 

   ジュシュゥウウッ!!!!

  「・・・ッ!?!?」

  露仁の体から・・・天に向かって凄い勢いでおびただしい量の鮮血が飛び出す・・・。

 そして、その体は・・・足元から崩れさるように・・・、力尽きるように・・・・、

 全ての糸が切れた人形のように・・・、倒れた・・・。

  「・・・うああああああああぁあぁあぁぁぁぁぁぁっぁあぁあああ!!!!!!」

  そして、俺の叫びが、この林の中を駆け抜けていった。

  「ろ、露仁・・・!」

  力が入らない体をどうにか動かさそうと立ち上がるが、そのまま地面にへばりつくような体勢になる。

 それでも、露仁の元に行こうと体全身を使い、みみずのようにほふくして前進する。

  だが、それは2本の足によって遮られた。

 俺はその足から、まるで舐めるように視線を上へとずらす。そこには、優越感から来るものか・・・、

 それとも俺の惨めな姿を憐れむものか・・・、俺を見下ろす憎たらしい顔があった。

  「さて・・・、次はお前の番・・・だ!」

  ドガッ!!!

  「ブッ!?」

  最後の一言と同時に、伏義は俺の頭を右足で踏みつける。

 俺はなす術も無く、奴の足と地面の板挟み状態になる。じりじりと右足に体重をかけていく。

 その度に、顔が地面にめり込んでいく・・・。意識が一瞬、飛びそうになったがそこを何とか

 耐える・・・。

  奴の足が俺の頭から離れる。すると今度は、俺の首根っこを乱暴に掴み上げる。

  「う・・・がっはぁ・・・・・・!」

  伏義の太い指が首筋に食い込む。そのせいで、呼吸がままならない・・・。

 奴の顔が、笑みに満ちているのが・・・ここからよく分かる。

 そうか・・・。こいつは・・・俺をいたぶって、楽しんでいるんだ・・・。

 露仁のように・・・じわじわと・・・いたぶって・・・。

 伏義の手は緩む事無く、じわじわと俺の首を絞める・・・。

 視界の焦点が合わなくなり始め・・・ぼやけていく・・・

 呼吸も・・・もう出来ない・・・。

 ・・・もう・・・だめだ・・・。

 俺は・・・ここで・・・死ぬんだ・・・。

 ・・・ゴメン、か・・・りん・・・。

 そして、俺の意識は完全に消える。その時であった。

  「まだだ・・・!!」

  「・・・ッ!?」

  突然、誰かの声が俺の耳に、そして頭の中に響く。

  「あ・・・?」

  伏義は後ろを振り返る・・・。

 そこには、血だまりの中を這いずり、全身を血に濡らす、瀕死の露仁の姿があった・・・。

  「まだ・・・、お前は・・・死んではいけない・・・!

   ここでお前が死ねば・・・、この外史は・・・奴等に・・・よって、消滅するのだぞ!!」

  息を荒げながら、両腕でそのボロボロな体を、引きずりながら伏義に近づこうとする。

  「・・・北郷!・・・恐れるなぁ!・・・その力は・・・、お前の・・・心しだい!!

  自分の・・・心を信じるんだ!・・・その心のままに、力を・・・解放するんだ!!」

  「うるせぇーよ・・・。」

  そんな露仁の姿を見ながら、伏義はぼそぼそと言う。

  「お前の・・・信じる、お前自身を信じろ!!心の向かう先が・・・、定まっているのなら!

  お前は・・・、その力を自在に操り・・・、そして奴等に決して負けは・・・!!」

  「うるせぇーって言ってんだろうが!!!」

  シュンッ!!

  ドゴーーーンッ!!

  「ぐぁあーーーああッ・・・!!!!」

  俺の首を掴んでいた伏義が、目の前から一瞬消える。俺の首は解放され、そのまま地面に落ちる。

 無呼吸状態の肺に、急に空気が入り込んだせいで俺は咳き込んだ。そして伏義は、露仁の背中を

 踏み潰していた。その衝撃で地面は割れ、その断片が宙に浮いた。

  露仁の口から大量の血が吐き出される。瞳孔が開き、目が飛び出すんじゃないかと思うほど見開く。

 そして、糸が切れるように、上半身から力が消え、露仁の顔が地面に触れる。

  「・・・・・・ッ!!!」

 

  露仁の姿が、俺の瞳に映る・・・。

 

  ―――自分の・・・心を信じるんだ!

  ドクンッ―――!!!

  露仁の言葉が、呼び起される・・・!

  「そんなに死に急ぎたいなら・・・、その首を跳ね飛ばして望みどおり死に急がしてやる!!」

  露仁から足をどける。伏義は地面に刺さっていた露仁の薙刀を左手で抜き取る。

  

 

  ―――その心のままに、力を・・・解放するんだ!!

  ドクンッ―――!!!

  露仁の言葉が、また呼び起される・・・!

  「これで、終わりだ・・・。」

  伏義はその薙刀を左肩腕で振り上げる。その先には露仁の首があった。

     

  ―――お前の・・・信じる、お前自身を信じろ!!

  ドクンッ―――!!!

  俺の心・・・、俺が信じる俺・・・、何かが・・・俺に呼びかける・・・。

  「しぃいいねえええーーー!!!」

  伏義の声と一緒に、薙刀が振り落とされる。

  俺が信じる俺が・・・、心が・・・、俺に・・・叫んだ!

  

  ―――露仁を・・・助けたい!!!

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  ドカーーーンッッッ!!!

 

  轟音と共に、地面はさらに砕け、その破片と砂煙が宙に舞い上がる。

  ガンッ!!

  その一撃に耐えられなかったのか、薙刀の刃先が粉々砕けていた。

  「・・・ん?!」

  伏義は異変に気が付いた。

 そこにうつ伏せに倒れていた、あの死に損ないの体が無い事に・・・。

 動けないように、足で背骨を踏み潰しておいたはずだ。だから、動けるはずが無い。

 だが・・・、実際はどうだ。そこには奴がいない。俺達を散々邪魔して来た

 あの憎たらしい男の姿が・・・何処にもないのだ!

  「・・・何処にいった!?」

  伏義は、周囲を見渡す。しかし、肝心の奴の姿が無い。それどころか、北郷一刀の

 姿すら無かった。

  伏義は理解に苦しんだ。今、何が起きたのだ、と。

  「・・・ッ!?!?」

  背中に悪寒のようなものが走る。伏義は一瞬で、体を180度回し、後ろを見る。

  そこには、奴がいた。

 身をかがめ、何かを優しく置いている・・・奴の後ろ姿があった。

  「北郷・・・。貴様ぁッ!!」

  伏義が奴の名を叫ぶ。

 それに気が付いたのか、奴・・・北郷一刀は振り向く事無く、立ち上がる。

 一刀が置いたもの・・・それは、変わり果てた露仁であった。まだ微かに息はしているようだ。

 だが、あれではもう長くはないだろう・・・。それは伏義にも理解出来た。理解出来なかったのは

 北郷一刀、奴自身に何が起きているのかという事であった・・・。

  奴の背中には、先程までの弱々しさは微塵も無かった。今までの奴では考えられない程、力強い

 背中であった。そして、その体からはオーラの様なものが発せられていた。

 

  さっき俺が寄りかかっていた、木の根元近くの地面に露仁の体に衝撃を与えないようゆっくりと寝かした。

 まだ、息がある・・・、もしかしたら助かるかもしれない。でも・・・、その前にあいつを・・・何とか

 しないと・・・。

  「北郷・・・。貴様ぁッ!!」

  俺の後ろから、奴の・・・伏義の怒りがこもったような声が聞こえる。

  「・・・ほ・・・ん・・・ごう・・・。」

  かすれた声で、露仁は俺を呼んでいるの気付き、再び露仁に目をやる。

  「・・・それで・・・、いい・・・。大・・・丈夫だな?」

  その疑問に、俺は首を縦に頷く事で答えた。それを見て、安心した表情を見せる。

 そして俺は木の根元に掛けてあった鞘に収まった『刃』を取り、両足で立ち上がる。

  不思議な感覚に襲われる・・・。全身に力が満ち、そして体外に溢れ出すような、そんな感覚に。

 これと似た感覚は建業の時と、山陽の村の時にも感じたが、あの時とは明らかに違っていた。

 上手く言えないが、その力が・・・優しさとか・・・、思いやりとかに包みこまれたような、そんな

 感じである。恐怖は無かった。迷いも無かった。今までの俺では絶対に有りえない。

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  シュンッ・・・!!!

  「!?」

  突然として、伏義の視界から一刀の姿が消える。それに気が付いた、その時・・・。

  ザシュゥゥゥウウーーーーー!!!

  「ぬおおおおおうううううううッ!?!?!?」

  すでに動作は終わっていた。伏義が、自分の視界から一刀の姿が消えた事に、自身が気が付いた時。

 一刀の動作は完了していた。伏義に近づき、刃を振り上げ、伏義を斬るという3つの動作を一刀は

 完了させていた。

  その一撃に、伏義はその場に倒れはしなかったものの、後ずさりしながらも踏ん張るように立つ。

 致命傷を負った事に変わりはなく。傷口から大量の血が流れる。左肩から左腹部までバッサリと

 斬られながらもそれでも伏義は生きていた。

  「ぐ・・・ぐおお・・・、ぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!」

  伏義は離れた左肩を右手で持ち、そこから強引に切り口同士を接合する。左腕に感覚が無いのか、

 左手から薙刀が落ちる。

  一刀はその伏義の姿を見続けていた。隙を見せまいと、その黄色い瞳で伏義を睨み続ける。

  「はぁ・・・、はぁ・・・、はぁ・・・。」

  伏義の顔に余裕の笑みは無かった。あったのは苦痛に歪み、息を荒げながら汗を垂れ流す顔であった。

  「ぐ・・・、北郷・・・き、貴様ぁ・・・!」

  伏義の定まらない目が一刀を捉える。それに気付いた一刀は、再び刃を構え直す。その体から

 オーラの様なものが未だに発せられていた。

  「まだ、やるか・・・?」

  憎たらしい程に冷静な一刀に、伏義は苛立ちを隠せない。 

  ビュンッ!!!

  「ぐ・・・ッ!?」

  そしてまた一刀が一撃を放つ。その動作も伏義には見えなかったが、直感で右からくる横薙ぎを

 後ろに飛びずさる事で回避する。一刀の斬撃は伏義の上着を切り、腹部の上皮をかする。

  「ふんッ!!」

  伏義はそのままの回避した体勢のまま後ろに飛び、木の枝に飛び移る。

 伏義が乗る枝の近付く一刀。奴の表情は苦痛に歪めながらも、笑みをこぼしていた。

  「へへ・・・、まさかここに来て覚醒するか?発端としての補正がかかっているようだな!?」

  伏義はくくく・・・と、喉を鳴らしながら、枝の上で立ち上がる。

  「ッ!!」

  一刀はその枝に向かって飛び上がる。

  ザシュッ!!!

  一刀が着地すると、同時に1刀によって切り落とされた枝も地面に落ちる。

 しかし、伏義の姿は無かった・・・。

  『生憎、俺は多忙の身でな!今日の所はお前に勝ちを譲ってやる!

  だが・・・、次はこうはいかねぇッ!!!次は必ず殺してやるぜ!

  あの老いぼれのようにな・・・!』

  何処からともなく、伏義の声が聞こえる。

 どうやら逃げたようだ・・・。

 一刀はゆっくりと目を閉じる。そして再び開けるとその黄色染まった瞳は元の黒い瞳に戻り、

 全身から出ていたオーラの様なものも消える。

  「ふぅ・・・。」

  一刀は安著から軽いため息をつく。が、すぐに顔を強張らせる。

  「・・・露仁!?」

  一刀は急ぎ、露仁の元へと戻る。

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  「は・・・、は・・・、は・・・、・・・露仁!!」

  一刀は林の中から出てくると、真っ直ぐに露仁の横に駆け寄る。

  「露仁!おい・・・、露仁!!しっかりしろ、おい!」

  一刀は露仁の名を何度も呼ぶ。それに反応するように、露仁は閉じていた瞼をゆっくりと開く。

  「露仁・・・!」

  「・・・ほん、ごう・・・。」

  掠れた声で喋る露仁。

  「露仁、無理に喋るな・・・!体力を無駄に消費するぞ!!」

  だが、一刀の言葉を無視し、露仁は話を続ける。

  「・・・ほん、ごう。・・・私の、・・・露仁としての役目は、ここ・・・までだ。」

  「・・・!何を言っているんだ!?死ぬみたいな事を言うな!」

  「いや・・・、私は・・・もう・・・死ぬ。」

  「露仁・・・ッ!な、これ・・は!?」

  露仁の体が先程よりも透けているのに、一刀は驚愕する。

  「なん・・・だ、これ・・・?一体何が起きているんだ!!!」

  「私は・・・、この外史の人間ではない・・・からな・・・。役目を・・・終え・・・れば、

  消える・・・が運命(さだめ)・・・。」

  「な・・・!!!」

  一刀は絶句する。かつての自分を思い出す。あの日の事を・・・、華琳の目の前で消えた時の事を。

 愕然とする一刀の肩を握る露仁。その顔はこれから死ぬ人間とは思えないほど、安らいだものであった。

  一刀は自分の肩を握る露仁の透けた手を見る。

  「いいか・・・。・・・北郷、・・・ここから先は、お前一人だ・・・。お前に・・・全てを託し・・・

  済まない。だが・・・、お前でなくてはいけなかっ・・・た。・・・その力で、守れ・・・この外史・・・を!

  人の・・・想念・・・を!」

  「露・・・仁・・・!!」

  露仁の言う事が、理解出来ずにいた一刀。だが、それでも露仁の言葉を拾い上げていく。

 気が付くと、露仁の体は半分以上が消えかけていた。

  「頼む・・・、北郷!!わた・・・しの・・・、私の・・・過ちを・・・、た、たの・・・ん・・・。」

  露仁の言葉が途中で途切れる。それと同時に、一刀の肩から手が滑り落ちる。

 一刀はその手を受け止めようしたが、触れる前にその手が消える。

  「露仁!!!」

  そして、露仁の姿は・・・完全に消えた・・・。

  「・・・・・・・・・ッ!!!」

  一刀の目から大粒の涙が溢れ、頬を伝わる・・・。

 走馬灯のように、次から次へと露仁との旅の記憶が断片として再び呼び起される。

 同じ断片達が何度も何度も一刀の頭を過ぎる・・・。

 

  「露仁ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

  すでに日が暮れ、辺りは闇に飲み込まれた林の中で、消えてしまった者の名を叫ぶ。

 その叫びは、誰の耳に届く事は無かった・・・。

  この時、一刀は初めて知る。大事な人が目の前からいなくなってしまう・・・悲しみを。

 

  それから数刻後、夜が明け・・・山の合間から日の光が溢れる。その光は、林の中で一人立ち尽くす

 一刀の顔に差し込む。一刀の顔が上がる。その顔に、迷いは無かった。そしてその目はこれから自分の行く先を

 見据える力強いものであった。一刀は後ろを振り返る。そこは昨夜、露仁が消えた所だった。

  「露仁・・・、俺は行くよ。」

  だたそれだけを言い残し、外套を身につけ、腰に刃を掛け、一刀は歩きだす。本来2人で行くはずだった道を目指して・・・。

  そして、一人で洛陽に向かう。

  夜の間・・・、考えに考えぬいた答えであった。

 たった一人でも、歩く事を止めない・・・。それが・・・露仁が最後に俺に伝えた言葉の意味を知る唯一の方法と信じ、

 その道の先に、その答えがあると信じて・・・。

 そのために・・・まずは、陳留を目指す一刀であった。

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  「・・・大丈夫、ですか?伏義さん・・・。」

  「うるせーよ・・・。それより、さっさと直してくれよ。」

  「は・・・、はい・・・。」

  「後・・・、ついでといっちゃあ何だが・・・、無双玉を一個くれ。」

  「え・・・?でも・・・。」

  「でももへったくれもねぇよ・・・。それが無いと、この外史を消滅させらんねぇんだ。

  そうなると・・・、お前にとっても不都合だろ?」

  「は、はい・・・。」

  「なら・・・、分かるだろ?・・・母さん、頼むよ。息子の頼みを聞いてくれよ。」

  「・・・分かりました。ではちょっと待ってて下さい。すぐ作りますから。」

  「さっすがぁ・・・。それでこそ、俺の母さんだよ・・・。くく・・・、北郷。

  今のうちにせいぜい生きながらえていろよ・・・。」

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  「では、桃香様。行って参ります。」

  「うん、気を付けてね。愛紗ちゃん。」

  「はっ!では、皆の者出陣だ!!」

  「「「応っ!!!」」」

  愛紗の檄に呼応する関羽隊の兵士達。そして、愛紗を筆頭に城門から出ていく。

 ここは、成都より東に位置する元は呉の防衛拠点として建てた白帝城。

  正和党が蜀に反乱を起こしてから、早くも四日・・・、すでに十の拠点が彼等の手によって陥落していた。

 これは、正和党独自の情報網、蜀軍にとって不慣れな夜の奇襲、そしてどこから入手したのか官渡の戦いで

 魏軍が使用した投石機、といった攻略兵器などによって各拠点の蜀兵達は苦戦を強いられていた。

  この状況を重く見た桃香は、やむなしと・・・その重い腰を上げたのであった。

 現在、蜀軍は白帝城を本陣に各方面の拠点に部隊を派遣し、正和党の侵攻を食い止めていた。

 そして先程、愛紗が率いる部隊が樊城の防衛拠点へと白帝城から出陣したのであった。

  「なぁ、お姉ちゃん・・・。本当にこれでいいのか?」

  「鈴々ちゃん・・・。」

  不満そうな顔をしながら鈴々は確認するように、桃香に聞く。そんな鈴々に済まなそうな顔をする桃香。

  「仕方がないさ、鈴々。連中を早いとこどうにかしないといけないんだからさ。」

  「そうだよ。悪い人達をやっつけるのがたんぽぽ達の仕事なんだし・・・。」

  蒲公英の発言に、鈴々と鈴々の髪を止めている虎顔が怒りを露わにする。

  「おっちゃんのをよく知らないくせに、一体どうしてそんなこといえるのだ!?」

  「鈴々だって、一体何を知っているってのよー!?」

  「お前みたいなちびっこよりも知っているのだ!!」

  「何ですってぇ〜!!蒲公英よりちびっこのくせに!!」

  「何をーっ!!」

  「おいこら、お前等止めろって!!」

  二人の喧嘩を止めようと翠が二人の間に割り込むが、紫苑や桔梗のように上手くなだめられず、

 喧嘩はどんどん激しくなっていった・・・。

  「でも確かに民達の中には、私達を批判する人達がいます。」

  「ええっ!?どうして!?」

  桃香の傍にいた朱里の言葉に、鈴々と喧嘩していた蒲公英がそっちのけで驚く。

  「それだけ彼等という存在が、この国の者達の心に強く根付いている・・・という事だろうな。我々以上に。」

  どこからともなく現れた星が、言葉を付けたす。

  「どういう事だ、星?言っている事がよく分からないんだが・・・。」

  星の言葉が良く分かっていない翠達・・・。その一方で、その言葉の意味を理解し、苦虫を噛んだような顔をする桃香。

  「私達の主張よりも正和党さんの主張を・・・、民達は真実として受け入れているんです。」

  「廖化が桃香様に送って来た、あのでたらめな言い分が書いてある・・・あの宣戦布告書の内容を

  真に受けているって言うのかよ!?」

  「民達からして見れば、でたらめな言い分では無く、紛れも無い真実・・・と言う事さ。」

  「じゃあ。蒲公英達が悪者って事ぉ!?」

  「多くの民達の目からは・・・。」

  「彼等と戦えば戦う程・・・我等は悪者になっていく・・・か。何とも皮肉な事だ。」

  「お前達なんかより、皆の方が見る目があるのだな〜♪」

  鈴々は嬉しそうな顔をしながら言うと、今度は蒲公英が怒りを露わにする。

  「ちょっと鈴々!あんたはどっちの味方なのよ!?」

  「だから止めろってー!!」

  二人の喧嘩を止めようともう一度、翠が二人の間に割り込むが、やはり紫苑や桔梗のように上手くなだめられず、

 またしても喧嘩はどんどん激しくなっていった・・・。

  そんな光景を見ながら、ずっと黙っていた桃香が口を開く・・・。

  「・・・どうして、こんな事になっちゃったんだろう・・・?」

  この言葉には、彼女自身の後悔の思いが込められたいた・・・。

 そんな彼女の問いは・・・虚しくも誰の耳に届く事無く、宙を漂っていた・・・。

説明
 投稿が遅くなりました、アンドレカンドレです。昨日のうちに投稿しようと思ったのですが、始めに書いた戦闘シーン、内容が濃いものだったので、ここではふさわしくないと思い・・・全てカット!別の所で使う事にしました。
 さて・・・、前回は露仁が倒れた所で終わりました。今回はそのシーンから続きが書かれています。一刀君の運命は・・・?!露仁の運命は・・・?!
 では、第十章〜その心のままに・後編〜をどうぞ!
 
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コメント
一刀覚醒www   続きが楽しみです。(キラ・リョウ)
さて・・・・・どうなるんだがwww愉しみです^^w(Poussiere)
「お前の・・・、信じる、お前自信を信じろ!!」え!?グレン●ガン!?(いずむ)
鈴々が義姉である桃香を批判する正和党に同調するのが不思議だ。(ぬこ)
なんかセルゲームの16号と悟飯を思い出した。(ブロンコ)
無双玉を作れる母親とは、この後も楽しみです。(もっさん)
一刀、とうとう力を物にしたな(brid)
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