英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 戦争回避成功ルート
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学院内を周っていたリィンが技術棟に入るとある人物達がいた。

 

〜トールズ士官学院・技術棟〜

 

「あ…………」

「やあ、リィン君。」

「今日の授業は終わりかい?」

技術棟に入って来たリィンに気付いたアンゼリカとジョルジュはそれぞれリィンに声をかけた。

「ええ、つい先程。ひょっとしてそれが……」

ジョルジュの傍にある見覚えのない導力バイクが気になったリィンは導力バイクに視線を向けた。

 

「ああ―――アン用の新しい導力バイクさ。」

「改めて君用にと思ったが……もう思い入れもあるだろうし、こっちを私が使おうと思ってね。」

「すみません……気を遣わせてしまって。でも、こちらも相当格好いいデザインですね。」

改めて導力バイクを見つめたリィンは感心した様子で呟いた。

「基本的なスペックは君のヤツと変わらないけどね。アン用のチューニングとロングツーリング用の装備を追加するつもりさ。」

「え……確かレン姫の所での秘書の仕事を終えたら旅に出るんでしたよね?」

「モラトリアムってやつさ。私の武術の先生もそうだったが色々なものを見て見たくてね。とりあえずゼムリア大陸を一周してみようと思っている。まあ、レン君の仕事関連でフィールドワークもあるそうだから、その時に旅に備えて自分の身体に馴染ませようと思っているよ。」

「大陸一周、ですか……」

「ふう、まったく行動力がありすぎるっていうか……」

アンゼリカの未来を知ったリィンは驚き、ジョルジュは呆れた表情でため息を吐いた。

 

「そういう君こそ人の事は言えないだろう?名だたる技術工房巡りなんて武者修行もいい所じゃないか。」

「うーん、そうかな?」

「ジョルジュ先輩もしばらく国外に行くんですよね?」

「ああ、まずはリベールのZCF(ツァイス中央工房)に行ってみるつもりさ。その後はレマン自治州にあるエプスタイン財団本部……できればカルバード―――いや、メンフィルのヴェルヌ社や異世界の”匠王”が納める”工匠”の都市――――”ユイドラ”も訪ねてみたいかな。」

「元共和国のメーカーや異世界のディオン卿の所にも……」

「どちらもメンフィルが関係している所だから思い切ってプリネ君のコネに頼ってみたら、何とかどちらとも行けそうでね。技術屋として僕なりにこの状況をどう改善できるか……各国の技術者と交流しながら見極めていきたいんだ。」

「ジョルジュ先輩……俺の方からもどうかよろしくお願いします。エレボニアから奪い取った領地を納める事になる俺が言えた義理じゃないですけど……」

ジョルジュの話を聞いてジッとジョルジュを見つめたリィンは頭を下げた。

 

「リィン君、頭を上げてくれ。」

「君が恥じる必要など何一つないさ。貴族連合―――エレボニアが自らメンフィルに戦争を仕掛けた以上、メンフィルと和解する為にああいう形で治める以外の方法は無かった。ユーゲント陛下達もそれをわかって、エレボニアを滅亡の道に歩ませない為にも”戦争回避条約”に調印なさったのだろう?」

「それは……」

アンゼリカの言葉を聞いたリィンは複雑そうな表情をした。

「もしメンフィルが提示した”戦争回避条約”に調印しなかったら、メンフィル・クロスベル連合はエレボニアを滅ぼし、貴族連合に所属する人達を”皆殺し”にしていたかもしれないだろうね。そうなれば、ユーゲント陛下達もどうなっていたかわからないし、貴族連合に所属する人達が犠牲になって、その人達の家族が悲しむ事になっていたに違いない。その意味で、君が果たす役割はすごく大きいと思うよ。」

「………………」

「罪悪感を感じるなとは言わない。それは君自身が向き合うものだろうから。ただ、私達やトワ、もちろん君の仲間達も……君の事を理解している事だけはどうか忘れないでくれ。」

「……アンゼリカ先輩……ジョルジュ先輩も…………ありがとうございます……」

ジョルジュとアンゼリカの慰めの言葉に感謝したリィンは再び頭を下げた。

「フフ、そんなに暗い顔をするもんじゃないよ。後2ヶ月であの”空の女神”に祝福される歴史上初のアルフィン皇女殿下との結婚式だろう?君に降嫁されるアルフィン殿下や将来君と結ばれるアリサ君達を幸せにする事とエレボニアから貰ったクロイツェン州を繁栄させる事こそが君の”義務”だよ。」

「はい……!」

そしてアンゼリカの助言にリィンは力強く頷いた。その後技術棟を出て学院内を見回っていたリィンは裏庭にいるエーデルに気付き、声をかけた。

 

〜裏庭〜

 

「エーデル先輩。」

「あら、リィン君。こんにちは。授業は終わったのかしら?」

「はい。えっと……今は”エーデル先輩”ですよね?」

エーデルの言葉に頷いたリィンは恐る恐ると言った様子でエーデルを見つめて訊ねた。

「もう、リィン君ったら……いつも”私達”の身体を荒々しく犯している癖に”私達”の見分けがまだできないのかしら?」

するとその時エーデルは妖艶な笑みを浮かべてリィンを見つめた。

「え”。ま、まさか”カトレアさん”の方ですか……?」

「正解〜♪さすが私の”ご主人様”ね♪」

表情を引き攣らせているリィンにエーデル――――魔族化した事によって具現化したエーデルの裏の人格であるカトレアはからかいの表情でリィンにウインクをしたが

「こーら。学院に通っている間の身体の主導権は”私”だって、約束したでしょう?えっと、ごめんね?カトレアが混乱させちゃって。」

すぐに人格がエーデルに戻り、エーデルは申し訳なさそうな表情でリィンに謝罪した。

 

「い、いえ。もうすっかり人格の切り替えが自由にできるみたいで安心しました。」

「フフ、これもみんなベルフェゴールさん達のお蔭よ。」

冷や汗をかいて苦笑しているリィンにエーデルは微笑んだが

「後はリィン君のセックスのテクニックによって数え切れないくらいイカされたからでもあるわよ♪」

すぐに人格がカトレアに変わり、からかいの表情で呟いたカトレアの言葉を聞いたリィンは表情を引き攣らせた。

「お願いだから、私の口からそんなはしたない事を言わないでよ……」

再び人格がエーデルに戻るとエーデルは疲れた表情で溜息を吐き

「(な、何だかベルフェゴールがもう一人増えたみたいに感じるな……)……え、えっと……前から聞こうと思っていたんですけど、エーデル先輩が名付けた裏のエーデル先輩の名前―――”カトレア”にはもしかして意味とかあるんですか?」

その様子を冷や汗をかいて見守っていたリィンは話を変えた。

 

「?どうしてそう思うのかしら。」

「花が大好きなエーデル先輩でしたら、花言葉とかも知っていそうですからその関係かと思って。」

「あら、中々鋭いわね。」

リィンの話を聞いたエーデルは目を丸くした後微笑み

「これで”ある一定の部分”についてだけ恐ろしい程鈍感だから不思議よね♪」

「う”っ…………」

(ふふふ、全く持ってその通りですね。)

(うふふ、後はたくさんの女の子達を食べても初心な所を忘れているわよ♪)

(いい加減少しはマシにならないのでしょうか。マスターのこの罪作りで超鈍感な性格は。)

(多分それは無理でしょうね……)

(エーデルさんも大変ですわよね……)

カトレアの言葉を聞いたリィンは唸り、リザイラは静かな笑みを浮かべ、ベルフェゴールはからかいの表情になり、ジト目のアルティナの念話を聞いたアイドスは苦笑し、メサイアはエーデルに同情していた。

 

「もう、あの娘ったら……―――さっきの話の続きだけど、勿論意味はあるわ。」

「へえ……どんな意味なんですか?」

「”カトレア”には花言葉がいくつかあるのだけど……その中の一つに”魅惑的”という意味があってね。カトレアの普段の行動や性格を考えたらピッタリな名前でしょう?」

「ハハ……そうですね。………………」

エーデルの説明を聞き、カトレアの性格を思い返したリィンは苦笑しながら同意したがすぐに複雑そうな表情になって黙り込んだ。

「リィン君?」

「その……ずっと気になっていたんですけど、もしかしてエーデル先輩がミントさんの力を借りて人間に戻りたくない理由はカトレアさんの件ですか?」

「…………フフ、リィン君には気付かれちゃっていたか。リィン君の推測通りよ。もし私の身体の時間を戻したらあの娘まで消えちゃうしね。あの娘も”私”なのだから、それだけは絶対にしたくなかったのよ。」

「エーデル先輩……ハハ……さすがはセレーネやあのフィーも尊敬する優しい先輩ですね。」

自分の指摘に優しげな微笑みを浮かべて答えるエーデルをリィンは静かな表情で見つめた後エーデルに微笑んだ。

 

「…………フウ、もし私が魔族にされなくても結果は同じだったかもしれないわね。」

「???」

リィンの言葉を聞いて呆けた表情で黙り込んでいたエーデルは疲れた表情で溜息を吐き、エーデルの言葉の意味がわからなかったリィンは不思議そうな表情で首を傾げた。

「うふふ、ちなみにエーデルがミントの力を借りて人間に戻る事を拒否したのは他にも理由があるのよ♪」

するとその時エーデルの人格がカトレアに変わり、カトレアはからかいの表情でリィンを見つめて意外な答えを口にした。

 

「へ……その理由は何なのですか?」

「それはね……あの時のリィン君の性魔術によって私達のお腹の中にリィン君の赤ちゃんを孕んでいた可能性もあったからよ♪」

「いい”っ!?」

カトレアの口から語られた驚愕の答えを聞いたリィンは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「あら、もしかしてあの時のセックスで私達がリィン君の赤ちゃんを孕んでいる可能性は考えていなかったのかしら?私達の身体の中に何度も溢れるくらいたくさんのリィン君の体液を注ぎ込んだのだから、妊娠していてもおかしくないでしょう?」

「そ、それは……!で、でもあの時のは”性魔術”でしたから妊娠しないはずじゃ……!」

カトレアに問いかけられたリィンは慌てた様子で反論したが

「……その”性魔術”で人格を私に戻した後何度も私を犯してたくさん中に出したでしょう?」

「………………そ、その……まさかとは思いますけどエーデル先輩もアリサのように……」

人格が再び戻ったエーデルにジト目で指摘されると恐る恐るエーデルを見つめて問いかけた。

 

「………ええ、”できている”わ。ちなみに今月で”2ヶ月目”よ。」

「……………………………」

そして頬を赤く染めて幸せそうに自分のお腹に視線を向けた後両手で優しくお腹を撫でるエーデルの爆弾発言を聞いたリィンは凍りついた!

 

 

 

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というわけで元旦早々にとんでもない事実が発覚しましたww

説明
第148話
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