艦隊 真・恋姫無双 96話目 |
【 連合艦隊 到着 の件 】
? 司隷 洛陽 都城 内城 にて ?
程なくして……川内達が艦隊を引き連れて、一刀の前に留まる。 任務を無事に、やり遂げたという……良い笑顔での報告だった。
ーー
川内「提督──艦隊が到着したわよ! うんっ、当然の結果ね。 あっ……いいのいいの、そんなに褒めなくっても────」
神通「こんな私でも、提督のお役に立てて………あの、その、本当に……嬉しいです」
那珂「お仕事しゅーりょー! おつかれさまっ!! さて、えぇ〜と、那珂ちゃんの今度のスケジュールは……とぉ………」
ーー
一刀は、三隻を各々に褒めて、少し休息するように伝えると、後ろで待つ艦娘達に向き直った。
ーー
吹雪「司令官! 連合艦隊旗艦『吹雪』です! 第一艦隊、第二艦隊──共に洛陽の目的地点へ到着! 全艦投錨、完了致しました!」
★
龍驤「第一艦隊到着や! 材料は此方に持って行けばいいんかぁ?」
曙「このクソ提督、また、あたし達に鼠輸送やらせるの!? 場当り事なんかしないで、運航計画立ててから行動させなさいよっ!!」
漣「ご主人様、頼まれた物は全部ですよ。 とぉーぜん、御褒美……期待してますからねぇ?」
朧「それにしても………ビールやら日本酒とか。 提督、飲み過ぎは駄目ですよ?」
潮「提督、これで任務が終わりました。 無事に済んで良かったですね!」
ー
隼鷹「いよぉ──提督、昼から酒盛りなんて羨ましいなぁ! えっ? 責めてない、責めてないって! その代わり……私達も付き合わせてくれよ!!」
飛鷹「何なのよ、もう! 艦載機の整備で大変なのに………!」
★★
愛宕「ぱんぱかぱーん♪ 第二艦隊、無事に到着しました〜! うふっ!」
高雄「はぁー、やっと私達にも出番が回って来ました。 提督……お逢いできて……嬉しいです」
陸奥「あらあら、長門ばかり可愛がっていないで、私も重用して欲しいのに。 でも……火遊びは危険だから、絶対に止めてよね?」
天津風「ふ、ふん………雪風が来てたのに、あたしが来ちゃ駄目ってこと……無いでしょう? な、何よ? あたしだって………………貴方の事………」
ーー
青葉「一刀司令官、洛水の流域──大騒ぎでしたよっ! 残念だなぁ……この任務に行っていなきゃ取材してたのにぃっっ!!」
ーー
北上「ああー、疲れたよ。 提督、鼠輸送をアタシみたいな艦娘にさせないでよー。 こりゃ………明日は筋肉痛かなぁー?」
大井「提督ぅ〜? 北上さんに重労働ばかりさせてますと、魚雷……撃ち込みますよ? あぁ──北上さん、大丈夫? もし良ければ……この後、身体全体のマッサージしますからねぇ! え、遠慮なんて入りませんよ……ねっ?」
ーー
庭園の池には、十隻前後の艦娘が……手に荷物を抱えて持っている。
到着したのは……
◎吹雪型 1番艦 駆逐艦 『吹雪』
★陽炎型 9番艦 駆逐艦 『天津風』
●綾波型 7番艦 駆逐艦 『朧』
●綾波型 8番艦 駆逐艦 『曙』
●綾波型 9番艦 駆逐艦 『漣』
●綾波型 10番艦 駆逐艦 『潮』
〇龍驤型 1番艦 軽空母 『龍驤』
●飛鷹型 1番艦 軽空母 『飛鷹』
●飛鷹型 2番艦 軽空母 『隼鷹』
★球磨型 3番艦 軽巡洋艦 『北上』
★球磨型 4番艦 軽巡洋艦 『大井』
★青葉型 1番艦 重巡洋艦 『青葉』
★高雄型 1番艦 重巡洋艦 『高雄』
☆高雄型 2番艦 重巡洋艦 『愛宕』
★長門型 2番艦 戦艦 『陸奥』
───計15隻
荷物の中身は、会食で作る料理の材料、調味料、日本酒、ビール……等。
『何で、鼠輸送で……軽空母や重巡洋艦を使用するんだ! ここは駆逐艦だろう!?』──と幾人かの『時事に詳しい提督諸兄』から、このような御指摘を受けそうであるが『外史』ゆえ……許して頂こう。
一刀は、艦娘達の様子を聞いて安心した後、再度の任務を説明する。
ここからが、重要な任務だったからだ。
ーー
一刀「急な話で済まなかったね。 助けてくれた皆さんに、俺達が出来る事をしたかったんだが………何分、皆が激戦と徹夜で疲労困憊なんだよ。 だから、疲れているところを悪いんだけど、手伝いをして貰いたいんだ!」
ー
曙「全く──あたし達は、クソ提督の女中じゃないのぉ! やらせるんなら、女官やら他の艦娘にやらせばいいじゃない!!」
ー
大井「私は、北上さんの全身マッサージをする重要な任務が………」
ーー
ところが、一部の艦娘から反論が出た。 具体的には……曙は一刀に向けて毒舌を発し、大井が何処を吹く風で北上の腕に貼り付く。
その様子に一部の艦娘達は眉を寄せ、また別の艦娘はオロオロし出す。
上官に対する侮辱もいいところ、正に厳罰もの。 一刀の下に居る艦娘が、全艦が全艦……一刀を慕って一枚板になって居るとは限らない。 現に、このような反応を示して嫌悪感を露にしている者も居るのだ。
『確かに電文だけでは、意味が伝わらなかった………』と後悔する一刀であるが、一刀が着任して艦娘達と築いた絆も……決して無駄ではなかった。
ーー
漣「あー、ご主人様? 気にしないで下さいね……その分、漣達が頑張っちゃいますから! 勿論………報償も期待してますよってぇ!!」
潮「う、潮は……働くのが大好きですから! はいっ、何でも仰って下さい! 料理も準備も……両方……出来ますので!」
朧「うん、この任務も必ず役に立つと思う。 提督、朧に任せて下さい!」
曙「───わ、わかったわよ! 皆を働かせて、あたしだけ遊んでるなんて………できるわけないじゃない! クソ提督、早く私にも命じなさいよっ!!」
ーー
北上「さてぇ〜、ちゃちゃと終わらせて、大井っちのマッサージ頼もうかねぇ? アタシと大井っちが組めば、簡単に終わっちまうよー!」
大井「さすが北上さん! ええ──私と北上さんの力で、早急に終わらせてみせますっ! そして、北上さんを……うふふ、ふふ……うっ! は、鼻血が? あははは…………」
ーー
相手が拒むのなら、周囲の相方が動いて動かざる得ない状況を作る。 相方達は、一刀を嫌っている訳で無い。 寧ろ、好ましく思っているのだ。
一刀が前の世界で行った行動、この世界で示した気概は、しっかり艦娘達に届いている。 だから、こうして……フォローに回ってくれているのだ。
そのため、次の任務を命じて、次の準備に進む事が出来たのである。
◆◇◆
【 一刀との絆 の件 】
? 洛陽 都城 内城 にて ?
一刀「ふう………年頃の娘は中々難しいな………。 今度からは、もう少し詳細に説明して命令しようかな………」
龍驤「いや、司令官……キミィの精神のタフさには、正直呆れるわぁー!」
ーー
龍驤が声を大にして、一刀を褒めた。
普通、あのような態度を取られたら、上官としても、歳上の者としても……怒鳴りつけるだろう。 確かに、船としての年齢なら、一刀など孫に等しい年齢。 しかし、艦娘になった月日から考えれば、年相応の姿だ。
だから、一刀が激怒して処罰を与える……と龍驤は考えたのだ。
ところが、一刀は何時もの笑顔で聞き流し、普段通りに命令して、今も怒っている状態どころか……自分に原因があると言って反省している。
現に一刀は、先に材料を厨房に届けるように第七駆逐隊、北上、大井、天津風、陸奥に命じていた。 それが終われば、少し休憩した後に調理を手伝うようにと、追加指令も出してあるのだ。
怒りに任せた乱雑な指令では無い。 的確な次の段階を踏まえ、更に艦娘の疲労を労る優しさも忘れない……立派な指揮である。
ーー
一刀「昔、今より……もっと酷いこと言われたからな。 これ位じゃあ……怒る理由も無いよ。 そう言えば………誰に……言われたのかな?」
龍驤「ちょっち待ちぃな、まだ──今のより惨い事ゆう奴がおるんかぁ!? 司令官……結構酷い目ぇあってんな。 ほらぁ……アメちゃん、あげるでぇ元気だしてな! ───なぁ?」
一刀「あ、ありがとう………?」
高雄「でも、本当に……失礼な子達ですね。 こんな素敵な提督を、無能呼ばわりするやら無視するなんて……。 提督、私達が力になりますから、遠慮無く仰って下さい! 何なら私から一言注意してでも───」
愛宕「あらあら……そのまま言動を取っては駄目よぉ〜。 そんな事したら、あの子達……本当に落ち込んでしまうわ? あの子達は、あの子達なりに提督に甘えたいのよ。 勿論……私も力になってあげるわね、うふっ!」
ーー
一刀の境遇に憐れむ龍驤。
そんな龍驤より飴玉を貰い、どう意味か思案に暮れる一刀。
そして、上官に対する曙達の言い草と態度に御冠な高雄、逆に曙達を気遣いつつ、一刀に力を貸す事を宣言する愛宕。
ーー
飛鷹「……………仕方ないわね。 提督は私が忙しい事を知ってて、こっちに来る順番を後に回してくれたようだから。 さて、私もやるわ! 隼鷹、貴女も手伝ってよ! 早く終わらせて、色々と調節して貰いたいとこあるの!!」
隼鷹「──当然、パパッとやろうぜ〜! パパッとな!! それから……飛鷹と一緒に呑ませて貰っ───あっ、あたしもぉ、艦載機結構あるんだよね〜。 提督が、そん時に暇だったら手伝って欲しいけど、無理っぽいな……」
ーー
飛鷹と隼鷹は、そう話しながら一刀に近付いて行く。
一刀と新たに建造された艦娘達の絆は………まだ浅く脆い。
しかし、このような問題を一つ、また一つ解決する事で、強く強靱になって行く。 あの恋姫と同じ位の絆を築くまでに…………
一刀は、愛宕、高雄、飛鷹、龍驤、隼鷹を川内達に預けて、『謁見の間予備室』での準備を命じるのだった。
◆◇◆
【 一刀の指令 の件 】
? 洛陽 都城 内城 にて ?
今回の艦娘の洛陽遠征は、一見、赤城や川内の意向で動いたように見える。
赤城は………『天の酒の用意』
川内は………『一刀の護衛強化』
いや、確かに要請があって動いた結果もあるのだが、実は……一刀の考えが大きく占められている。 一刀には、一刀なりの確固とした意思を持って
行動に起こした結果であったのだ!
では──その理由は?
某正義の味方の冒頭台詞風に説明すると………
★☆★
益州州牧『北郷一刀』は、天の御遣いである。
彼を任命した漢王朝は、大陸を支配する一大王朝である。
益州州牧は、腐敗堕落する漢王朝を建て直し、諸侯と共に大陸平和の為、反漢王朝勢力と戦うのだ!!
★☆★
……………つまり、一刀は、漢王朝に属する官として組み込まれている。 だから、益州の地から呼ばれたり、何度か顔を見せに、洛陽を訪ねなければならない。 出て来なければ、叛意ありで敵対勢力として、見なされてしまうのだ。
それは、一刀が州牧となっている限り続く。 それに、一刀達は『天の御遣い』と言われているのである。 だから、他の諸侯より漢王朝の繋りは密接、当然洛陽への出仕も頻繁だと予想される。
そうなれば、艦娘達は、時には秘書艦、護衛役で一緒に出仕しなければ行けなくなるのだ。 裏を返せば、道筋を知らないと、一刀の出仕に対して支障をきたす恐れがある。
その懸念がある為、洛陽にまだ来た事の無い艦娘達を呼び寄せたのだ。
★☆☆
吹雪「一刀司令官、確かに電文で承り、皆さんと艦隊を編成して準備してきました! え〜と………調理担当、準備担当は分かりましたが………監視担当とは………?」
一刀「折角、遠い場所から来て貰ったんだ、君達にも料理を味わって飲み食いして貰いたいじゃないか。 だけど………歯止めが効かない娘が、必ず居ると思うんだ。 食べ物とか酒に関して……ほぼ容量無制限な娘がさ………?」
吹雪「あ、あぁ──赤城さん、加賀さん! そして準鷹さんとか…………」
一刀「そう、だからね………そのストッパー役!」
吹雪「───わ、わかりました! 誰が良いか………決めて置きます!」
一刀「それじゃ………吹雪は準備の手伝いをお願いしたい! 俺は厨房に向かうから!」
吹雪「──はいっ!! では、失礼しますっ!!」
ーー
青葉「──司令官っ! 青葉を呼ばれましたかぁ!?」
一刀「いいところに来てくれた。 青葉には、特殊な任務を命じたいのだが、受けて貰えるのだろうか?」
青葉「特殊な任務ですか? そうですねぇ〜青葉の魂を揺さぶるような特ダネがある方が嬉しいんですよ。 勿論、それなりの報酬も欲しいんですけでねぇ? そんなの中々ないんですけど…………」
一刀「───探りを入れて貰いたい人物が居るんだ。 王允の………」
青葉「ふむ、ふむふむ………何やら面白そうですよね? 分かりました! 青葉にお任せ下さい!!」
一刀「───頼んだよ!」
ーー
一刀は、到着した艦娘達に、役割りを全部振り分けて命じた。
こうして、北郷一刀や他の艦娘達の思惑が交差する中、会食の準備が始まるのだった。
◆◇◆
【 艦娘達の調理 の件 】
? 洛陽 都城 大厨房 にて ?
現在、大厨房は正しく『戦場』であった。
材料、調味料、そして調理器具の持ち込み!
そして、援軍による支援!!
当時の洛陽で、何処よりも熱く、何処よりも華やかで、何処よりも騒がしがったのは、この厨房であっただろう……………多分。
ーー
北上「大井っち、鶏肉を持ってきたよ!」
大井「北上さん、ありがとうございます! だけど、北上さんの綺麗な肌が、汚れて荒れてしまいますよ? もう少し、楽な仕事でも………」
北上「いやぁ〜、大井っちばかりに苦労させるのもねぇ〜」
大井「───北上さんっ!!」ダキッ!
北上「うわっちぃ──大井っち、包丁、包丁ぅううう!!」
ー
瑞穂「はい……瑞穂達の食材と、此方の品を交換して……えぇっ!? こ、こんなに? い、いえ……そんなに高価な食材では……こ、困りますぅ!!」
鳳翔「瑞穂さん、一度有り難く受取ってから……こちらの調理した物を御裾分けしましょう。 その方が、双方の気持ちがスッキリする筈ですよ?」
瑞穂「は、はいっ! そうですね……そうします!!」
ー
漣「さぁて、何から調理………あれっ? 食材に≧[゚ ゚]≦……? もしかして、ご主人様からのサプライズ───ウマメシキタコレ!!」
朧「それは──朧のカニさぁーんっっ!! 調理しちゃ駄目っっ!!!」
ー
潮「曙ちゃん〜! お、お魚さんが……潮の事、睨んでるよぉぉぉ………!」
曙「アンタねぇ………クソ提督を前に、あれだけ大きなこと言っといて、何を怖がっているのよ。 こいつは、生を全うして食材になってるの! ちゃんと調理して食べてあげなきゃ……こいつに悪いじゃない!」
潮「あ、曙ちゃん………優しいんだね」
曙「ば、馬鹿言ってんじゃないわよっ! ほらっ、手に持ってる包丁を貸しなさい! …………潮の代わりに、頭を落としてあげるからっ!」
ーー
天津風「よ、よいしょっ! 連装砲君、もう少し動かして………あっ!」
陸奥「あら……それくらいの調理なら、私にも出来るわよ?」
天津風「だって……陸奥さん………竃に火を入れないと!」
陸奥「火が苦手じゃないかって……心配してくれるの……? ふふ、ありがと。 だけど、今は大丈夫! 今度は爆発なんかしないわよ。 さあ、出来る事から手際よくやっていきましょう!」
天津風「……………………うん!」
ーー
────こんな具合である。
★☆☆
そんな中、鳳翔と瑞穂より提案され……『提督の一品料理』を作るようになってしまった一刀。 現在、その準備に真っ最中。
特に瑞穂から──
『主催者が客を持て成すには、自らが作った物で持て成すが、古来からの仕来り。 簡単な物で良いですから……提督が調理できる物をお願いしたいのです……。 だ、駄目で……しょうか……?』
と言われ、断ることも出来ず──承知するしかなかったのだ。
一刀が曰く『可愛い女の子に……泪を目尻に溜め、下から見上げられつつ頼まれたら……男として断るのは………どうなんだろうな………?』と。
そう考えながら、材料を確認して作りに掛かる北郷一刀だった。
ーー
一刀「……………………………」コネコネ コネコネ
磯風「司令………予備の『片栗粉』……ここに置くぞ?」
一刀「あ、ありがとう………お、磯風か! どうだった? 西涼諸侯への連絡は無事に済んだかい?」
磯風「ああ……簡単に了承された。 此方が拍子抜けするほど呆気なくな……。 まるで、提督から呼ばれるのを、期待していたような素振りだったぞ?」
一刀「そうか………。 何にしても仲良くなれるのなら………助かる! 俺達だけの戦力など……たかが知れる。 少しでも……敵対する勢力を………減らさないとな! それに、君達の負担も………少なく……なる──っと!」
磯風「ぼそっ(仲良き事は良いが、良すぎて男女の垣根を越えるのは……勘弁して貰いたいものだ……)」
一刀「─────何か………言ったか?」
磯風「………………独り言だ……」
一刀「そうか………。 よしっ! 次は、この豆を………粉にしてっと………」ゴリゴリゴリゴリ
磯風「司令………身体を厭えよ。 我ら艦娘は司令が心の支え。 司令さえ健在ならば全員が奮起し、この大陸の命運は必ず開こう! ──必ずな!」
ーー
そう言って、磯風は場を離れる。
磯風「(…………………………………)」
磯風の頭に過るのは、川内と共に聞いた……鬼灯(南方棲戦鬼)の呪詛。
『…………北郷一刀……かの者の命数さえ………絶てば………フフフ……』
闇より聞こえる愛しき者を呪う禍禍しい声!
磯風「 (あれは……脅しでも警告でも無い。 ───完全な予告だ!) 」
川内を止めたのは、果して川内の為だったのか?
それとも、磯風自身が攻撃したいのを止める為に、川内の動きを止める動作をしたのか?
あのまま、突撃すれば…………更なる罠に嵌まる可能性があった!
しかし、あの場で、南方棲戦鬼を仕留めなかった事を、後悔している自分が居る。 絶対に何かが起きる! 途方もない事態が!!
ーー
磯風「──嫌な予感がしてならない! だが、できる対策など……限られている! どうすれば……………」
??「───お困りのようですね。 相談に乗りますよ?」
磯風「いや、済まない………大丈夫──だっ?」
??「────?」パクリ、モグモグモグ
磯風「はて、赤城───貴女は厨房で何をしている?」
赤城「私は任務が終わったので、提督に報告をと……………」
磯風「ほぅ………確か諸侯への連絡の後は、会席の準備じゃなかったのか?」
赤城「─── (゜゜;)」
磯風「────その手に持ってるのは………何だぁあああっ!」
赤城「一航戦赤城、消えますっっっ!!」
磯風「────食材を置いて行けぇえええっ!!!」
ーー
磯風の苦悩する姿の前に現れたのは………『赤城』であったが、何故か様子がおかしい。
その違和感は、両手に……厨房の料理を指で器用に挟みつつ、悩める磯風を覗き込んでいたからである。
しかも、禍禍しい鬼氣を発し一つ、二つと食材を口に入れてニッコリと笑みを浮かべていた。
ハッとした磯風は、自分が赤城の監視を任されていた事を思い出し、赤城へ詰問! そうしたところ、実に判りやすい態度で示し、証拠も赤城の手の平にあり、言い逃れなど全く出来なかった!!
しかし、赤城は磯風から難なく逃走し、内城の中を逃げ回る!
ーー
赤城「トラトラトラ………ワレ奇襲ニ成功セリ!」
磯風「何故だか分からないが……赤城が豹変したか! いいだろう……この磯風が相手になってやる! たとえ、赤城が相手でも容赦なぞしないっ!!」
島風「──駆けっこしたいんですか? 負けませんよ!」
磯風「ちょうどいい! 赤城を捕まえたい、島風、手を貸せっ!!」
島風「にひひひっ、私には誰も追いつけないよ!」
赤城「…………我ニ追イツク……船舶無シ!」
島風「う、うそ! はぁう──っ! この私が……駆けっこで負けるなんて………」
磯風「諦めるなぁ! 大陸の興廃、この一戦にありぃ! 赤城を必ず止めろぉおおおっ!!」
ーー
こうして──赤城と磯風の追いかけっこが始り、何故か島風も合わさり、洛陽の内城が更に賑やかになった事は、言うまでもない。
ーーーーーーー
ーーーーーーー
あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
本来は、年始の御挨拶を述べるところなんですが、不幸があったため控えさせて頂いております。
また、こうして小説を投稿を続けて行きますが、今年こそは……義輝記の完結、この作品が反董卓軍のところまで、書ければいいなぁと思っております。
どうぞ、よろしくお願いします。
追記
実際、反董卓軍用の策が片手ほど出来て、早く出したいと思うのですが……思うようにいきません。 勿論、前作の策、他の皆様の作品には登場しない(はずの)策を用意しています。
後、下記の話は………本文の作成中に出てきた『厨房内の話』です。
本文には付けれなかったので、オマケで入れておきました。
◆◇◆
【 お約束 の件 】
? 洛陽 都城 大厨房 にて ?
ーー
一刀は、試作品を作り上げ、鳳翔と瑞穂に試食を頼んだところ絶賛された。
そのため、艦娘達の分まで作る事になり、大忙しの提督『北郷一刀』である。
ーー
一刀「水と粉の分量が………」
菊月「司令官、この器に入った水と小麦粉を、この菊月が見事に泡立てたぞ。 ───他に何をすれば良い?」
一刀「え〜と、それを雛里に渡して貰って…………後、聞いてくれ!」
菊月「了解だ! 雛里、これが出来たが───」
雛里「はい………ありが──あわわわっ! 菊月ちゃん、泡立て過ぎですよ!」
菊月「───ちゃん付けで言うなぁ! ううぅぅぅ〜〜、そう言われても加減と言うのが………よく分からない───」
雛里「ここを──もう少し入れて……」
菊月「ふむふむ…………」
ーー
ーー
一刀「ふう………さて、ここで少し捏ねてぇ………」
紫苑「北郷様、此方の小麦粉も……綺麗に混ぜました! この後に何を?」
一刀「そ、それは………鳳翔さんの所に渡して指示を仰いで! 多分……『衣』を付けて油で揚げると思うから!」
紫苑「『揚げる』………とは?」
一刀「それは、鳳翔さんに───」
鳳翔「──はい、頂きますね? それでは、紫苑さん。 申し訳ありませんが、私と一緒に揚げ物の手伝いを。 人数分を揚げるには、まだ時間が掛かりそうで……」
紫苑「はいっ! 喜んで、御手伝いさせて頂きます!」
ーー
ーー
一刀「えーと、これに砂糖を少し入れてから………捏ねてぇ………」
如月「ねぇ、司令官………如月にも何かぁ……手伝わせて貰う事────」
一刀「おっ──と!」ガタッ
如月「あ、あぁ〜ん! 如月の顔に、司令官の……白くてドロッとしたモノが付いちゃた……! もお……司令官って……元気なんだからぁ?」
「「「「 ーーーーーーー!!!! 」」」」
一刀「ちょっ、如月の顔に片栗粉が跳ねただけ! どうして、それだけで皆が集まってくるんだぁあああっ!!」
ーーー
ーーー
説明 | ||
今年、最初の投稿です。 1/5 ちょっこと島風や磯風達の台詞、修正しました。 | ||
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コメント | ||
雪風提督 コメントありがとうございます! これで正式に着任しました。 どのような活躍かは、また次回から!(いた) ワレ・アオバ・着任っすですね。青葉着任によって、一刀陣営側からの諜報活動がしやすくなりますね。(雪風) スネーク提督 コメントありがとうございます! この赤城は、外史第5話に登場した『妖怪食っちゃ寝』ですw(いた) 島風より早い…だと…食い物の力は恐ろしい…w(スネーク) 天龍焔提督 コメントありがとうございます! 一航戦のとんでもない活躍でした。 結局、捕まりますけどねw (いた) |
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