本編補足
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アールアル国革命(前篇)

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C1 売買

C2 報告

C3 減少

C4 浸食

C5 帰省

C6 誘い

C7 やけ酒

C8 設立

C9 暗転

C10 事件

Intermission

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C1 売買

 

ユランシア大陸。ロメン帝国とキルード海を面して向かい側にあるアールアル国。離島レイキュラ。畑の脇の農道に止まる八百屋の8O8店の軽トラ。傍らには豚獣人のカヲとゴリラ獣人のルー、ダンボールに入った野菜を軽トラの荷台に積みこむ8O8店の店主でゴブリンのゴーブの息子で美青年のゴブラ。

 

ゴブラ『いつも、ありがとうございます。』

 

腕組みをするルー。

 

ルー『いいってことよ。』

 

人差し指で鼻の頭をなぞるカヲ。

 

カヲ『しっかし、ゴーブの奴、良い息子を持ったな。』

ゴブラ『そんなこと…。僕らが商売できるのは皆さんがおいしいものを作ってくれているからです。本当にいつもありがとうございます。』

ルー『まあまあ、謙遜するなって、都会の大学を出て、ゴブリンの癖にイケメンだからな。』

 

瞬きをするゴブラ。

 

ゴブラ『えっ、あの…そ、そんなことは。』

ルー『女の子が放って置かないだろ。』

ゴブラ『い、いえ…。』

カヲ『はっはっは、照れちまって…。』

 

笑い出すカヲとルー。暫くして、二人は溜息を付き、ゴブラの方を向く。

 

カヲ『あんたがそう言ってくれるのは嬉しいんだ。だがな…。』

 

顔を見合わせるカヲとルー。ゴブラは彼らを見つめる。

 

ゴブラ『どうかしたんですか?』

 

眉を顰め、頷くカヲとルー。

 

カヲ『実は…俺達、農業をやめることにしたんだ…。』

 

眼を見開くゴブラ。

 

ゴブラ『えっ、やめるって…。』

 

頷くルー。

 

ルー『ああ、自由貿易協定は知ってるだろ。あの関係でな…。』

カヲ『政府が土地を高く買い取ってくれるんだ。まあ、どの道、こんな離島の小さい兼業農家なんてすぐやっていけなくなっちまうよ…。』

ルー『まあ、製造業が潤って、人手が必要になるから、まあ、そっちなら雇ってくれるかとさ。』

 

俯くゴブラ。

 

ゴブラ『そうですか…。』

 

ゴブラを見つめるカヲ。

 

カヲ『もう決めたことなんだ。』

 

ゴブラは顔を上げてカヲとルーを見つめる。

 

ゴブラ『残念です。カヲさんとルーさんの野菜は絶品で…。』

カヲ『そういってくれるとありがたいよ。』

ルー『…親父さんによろしくな。』

 

カヲとルーを見つめ、頭を深く下げるゴブラ。

 

C1 売買 END

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C2 報告

 

アールアル国。離島レイキュラ。バデュ港。ゴブラの運転する軽トラは神話上この離島を発見したとされるアールアル探検団の像の立つロータリーを回り、バデュ商店街に入り、八百屋の8O8店の前に止まる。野菜や果物の並ぶ店内から出てくる8O8店の店主でゴブリンのゴーブ妻でゴブラの母親のゴブエ。軽トラから降りるゴブラ。店の奥でテレビをつけながら書物を読んでいる8O8店の店主のゴーブ。

 

ゴブラ『ただいま。』

ゴブエ『おかえり。』

ゴーブ『おかえり。』

 

ゴブラは軽トラの荷台から荷物を下ろす。書物から顔を上げ、TVの方を見つめるゴーブ。TVに映るアレス王国の偽王子事件のテロップ。

 

ゴブエ『どうだった?』

 

ゴブエの方を向くゴブラ。

 

ゴブラ『うん。農家の人達は皆いい人ばっかりで…。でも、僕がうまくやって行けるのも父さんが長年築き上げた関係があってこそだね。』

 

書物から顔を上げゴブラの方を向くゴーブ。

 

ゴーブ『こいつめ言う様になって!』

 

ゴブラは荷物を運びながら俯く。

 

ゴブラ『でも…。』

ゴーブ『どうした?』

ゴブラ『いや、実はさ。カヲさんとルーさんが農業をやめちゃうんだ。』

 

眉を顰め、2、3回頷くゴーブ。

 

ゴーブ『カヲとルーの奴が…か。』

 

頷くゴブラ。

 

ゴブラ『何でも製造業が儲かるからそこで雇ってもらうって…。』

ゴブエ『あら、そうなの…。残念ねえ…。』

ゴーブ『そうか。あいつらが…か。』

 

頷くゴブラ。眉を顰めるゴーブ。

 

C2 報告

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C3 減少

 

アールアル国。離島レイキュラ。梨畑の傍の農道の路肩に止まる8O8店の軽トラ。梨農家のオルモと荷台に梨の入ったダンボールを積み込むゴブラ。ゴブラはオルモの前に行き、一礼する。

 

ゴブラ『毎度ありがとうございます。』

 

頭をかくオルモ。

 

オルモ『いやあ、こちらこそな。』

ゴブラ『オルモさんの梨は絶品で・・・。』

オルモ『そうかい。そういってくれると嬉しいよ。』

 

エンジン音。オルモとゴブラの傍らの農道を通る黒塗りの乗用車。

オルモは黒塗りの乗用車の方を見つめる。

 

オルモ『来たか・・・。』

 

瞬きするゴブラ。黒塗りの車は農道の路肩に止まる。ゴブラの方を向くオルモ。

 

オルモ『すまんなあ。この梨畑を売ることにしたんだよ。』

 

眼を見開くゴブラ。

 

ゴブラ『・・・そんな。』

 

俯くオルモ。

 

オルモ『まあ、いい金になるしな。この際処分しようかとな。』

ゴブラ『そうですか・・・。』

 

オルモはゴブラの方を向く。

 

オルモ『仕入先が少なくなっちまってすまねえな。』

 

俯くゴブラ。黒塗りの車から出て、オルモの方へ歩いて来るアールアル国の職員Aと暗黒大陸連邦の証券会社会社員A。オルモは彼らの方へ歩いていく。

 

アールアル国。離島レイキュラ。バデュ港。バデュ商店街8O8店の前に止まる軽トラ。扉を開けて俯いて出てくるゴブラ。ゴブエはゴブラの方を向く。

 

ゴブエ『おかえりなさい。』

ゴブラ『ただいま・・・。』

ゴブエ『元気ないけど、何かあったの?』

 

頷くゴブラ。

 

ゴブラ『うん。』

 

ゴブラは振り返り、軽トラの荷台に置かれた梨の入ったダンボールの方を向く。

 

ゴブラ『・・・オルモさんが梨畑を手放しちゃうんだ。』

 

眼を見開くゴブエ。

 

ゴブエ『それは本当なの?』

 

頷くゴブラ。

 

ゴブラ『政府の人たちが来てたから・・・。』

ゴブエ『まあ、残念ね・・・。』

 

8O8店の正面に立ちゴブラとゴブエを見つめるゴーブ。

 

ゴーブ『なに・・・それは本当か!?』

 

頷くゴブラ。眉を顰め俯くゴーブ。

 

ゴブエ『あなた。今までどこにいってたんですか?』

 

2、3回頷くゴーブ。

 

ゴーブ『少しエントロンスのところに、チェスをしにな。』

 

8O8店の奥へ歩いていくゴーブ。

 

ゴーブ『そうか。オルモの奴も・・・。』

 

俯くゴブラ。

 

ゴブラ『どんどん農家の人がやめていっちゃうね・・・。』

 

ゴーブは奥の部屋でリモコンのボタンを押し、TVをつける。TVに映るニュースキャスターAの顔。

 

ニュースキャスターA『・・・ン帝国各地で僭称皇帝を名乗るものが続出し、ロメン帝国各地で難民が発生しております。その救済の為に政府は彼らの受け入れを決定しました。』

 

C3 減少 END

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C4 浸食

 

アールアル国。離島レイキュラ。海岸沿いの道路を走る8O8店の軽トラ。運転席にゴブラ。フロントガラスから見える建築中のカン大陸帝国のラハン食品株式会社の大工場。ゴブラは陸の方に連なるラハン食品株式会社の大工場の壁を眼に映す。

 

アールアル国。離島レイキュラ。バデュ港。バデュ商店街8O8店の前に止まる軽トラ。扉を開け、降りるゴブラ。

 

ゴブラ『ただいま。』

 

店の奥から出てくるゴブエ。

 

ゴブエ『おかえりなさい。』

ゴブラ『カヲさんやオルモさんの畑だったところすごい変わりようだったよ。』

 

ゴブラの方を向くゴーブ。

 

ゴブラ『壁が連なってて・・・まるで城壁みたいな・・・。』

 

眉を顰めるゴーブ。

 

ゴーブ『政府は外国の奴らに土地の使用制限をかけないのか。』

ゴブラ『さあ・・・。』

 

ゴーブの方を向くゴブラ。

 

ゴブラ『でも、上手くいけばいい取引先になってくれるかもしれないよ。』

 

首を横に振るゴーブ。ゴーブを見つめるゴブラ。

 

ゴブラ『でも、父さん。この島の農家の人はもう数えるほどまで減っちゃったよ・・・。』

 

眉を顰め、下を向くゴーブ。一歩前に出るゴブエ。

 

ゴブエ『そうね。私達も先のことを考えないと・・・。』

 

C4 浸食

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C5 帰省

 

アールアル国。離島レイキュラ。バデュ港。停止する連絡船。タラップが降り、降り立つ数人の観光客とカヲとルー。8O8店から出るゴブラ。

 

ゴブラ『いらっしゃい。安いですよ。』

 

8O8店の前で止まり、値札を見る観光客達。

 

女観光客A『あら、安いわね。』

ゴブラ『この梨はこの島のサットモさんが作った梨ですよ。』

女観光客A『生産者がわかるのね。』

女観光客B『それは安心。一つ貰おうかしら。』

ゴブラ『一つおまけにつけておきますよ。』

 

顔を見合わせて微笑む女観光客Aと女観光客B。

 

ゴブラ『まいど。』

 

果物や野菜を買って去っていく観光客達。8O8店の前を通るカヲとルー。

 

ゴブラ『あれ、カヲさんとルーさんじゃないですか。』

 

少し俯いた後、顔を上げて、笑顔を作るカヲ。

 

カヲ『よう・・・久しぶりだな。』

ゴブラ『戻ってきたんですか?』

 

頭をかくルー。

 

ルー『あ、ああ。長期休暇をとってな。』

 

微笑むゴブラ。

 

ゴブラ『そうなんですか。カヲさんとルーさんが居ない間にだいぶ変わっちゃって・・・。

畑だったところはもう工場で・・・。』

 

頷くカヲとルー。

 

カヲ『ああ、見た見た。船からも見えたぜでっかい工場だ。』

ゴブラ『まあ、今は色々と用事があるからな。』

ゴブラ『そうですか。またよろしければ帰りに寄ってくださいね。』

 

頷くカヲとルー。

 

ルー『ああ・・・。』

 

去っていくカヲとルー。

 

C5 帰省 END

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C6 誘い

 

アールアル国。離島レイキュラ。バデュ港。バデュ商店街8O8店の奥に併設されているゴーブの家。机を囲むゴーブにゴブエにゴブラ。

 

ゴーブ『今月の売上はこれだけか。』

ゴブエ『観光客の人も年々少なくなっているから・・・。』

 

眉を顰めるゴーブ。

 

ゴブラ『あ、父さんそういえば、カヲさんとルーさんが戻ってきていたよ。』

 

顔を上げるゴーブ。

 

ゴーブ『カヲとルーの奴らがか。』

ゴブラ『長期休暇をとったらしくて・・・。景気もいいらしいし、もし・・・。』

ゴーブ『黙っていろ!』

ゴブラ『でも、仕入先も少なくなってるし、商品の種類も少なくて、観光客の人も

年々・・・。』

 

立ち上がるゴーブ。

 

ゴーブ『それ以上言うな!』

 

ゴブラはゴーブを見つめた後、俯く。背を向け去っていくゴーブ。ゴブラのほうを向くゴブエ。

 

ゴブエ『ゴブラ、お父さんはずっとこの土地でこの店を切り盛りしてきたの・・・。お父さんの気持ちも分かってね。』

 

頷くゴブラ。

 

ゴブラ『分かっているよ。父さんだって辛いんだ・・・。でも、このままじゃ・・・。』

 

 

アールアル国。離島レイキュラ。バデュ港。バデュ商店街。ロータリーの中央に立つアールアル探検団の像を暫し見つめるゴブラ。彼は拳を握り締める。

 

カヲの声『ちくしょう!何だってんだよ!』

 

振り向くゴブラ。顔を赤くするカヲとルー。彼らと眼が合うゴブラ。

 

ゴブラ『カヲさんとルーさん??』

ルー『おお、ゴブラじゃねえか。ちょっと付き合え?』

 

瞬きするゴブラ。

 

ゴブラ『えっ、つ、付き合えって??』

カヲ『いいから。いいから。』

 

ゴブラを引っ張っていくカヲとルー。

 

C6 誘い END

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C7 やけ酒

 

アールアル国。離島レイキュラ。バデュ港。バデュ商店街。居酒屋グーメルル。テーブル席に座るカヲとルー。向かいに座るゴブラ。

 

ゴブラ『どうしたんですか?二人とも・・・。こんなに飲んで。』

 

ビールを一気に飲み干すルー。

 

ルー『これが飲まずにいられるかい。俺達なぁ・・・。』

 

顔を見合わせ、笑い出すカヲとルー。

 

カヲ『実は俺達、勤めてた会社、クビにされたんだ…。』

 

眼を見開くゴブラ。

 

額に手を当てて体をそらすルー。

 

ルー『はっはっは・・・。駄目だった。会社は何処も雇ってくれねえんだ。』

 

瞬きするゴブラ。

 

ゴブラ『…えっ、何処も雇ってくれないって、でも製造業が景気が良くなるって…。』

 

ビールのジョッキを机に叩きつけるカヲ。

 

カヲ『移民だよ!移民!賃金が安いからな、俺達は雇わねえ!』

ルー『それにな。政府は買った土地を暗黒大陸連邦の投資会社に売りつけて、

その投資会社が、外国…特にカン大陸連邦に売っちまってるらしいからよ。』

カヲ『中小企業は潰れてるぜ…はぁ。外国からは安い品物とか移民が入って来るし、企業は俺らを雇ってくれないし…国民っていったいなんだろうな…。』

 

ルーはビールジョッキに入ったビールを飲み干す。眉を顰めるゴブラ。

 

ゴブラ『いったい何があったんですか?』

 

俯くカヲとルー。

 

カヲ『俺達な。あの食品会社の工場に問い合わせてみたら…。』

 

顔を合わせ、俯くカヲとルー。

 

ルー『あの会社は移民しか雇わねえらしい。』

 

首をかしげるゴブラ。

 

ゴブラ『それはどういう…。』

カヲ『あの土地を持ってるカラカラっていうロメンの僭称皇帝が、そういう意向らしい。』

ルー『まったく、あの偽王子にまさるとも劣らない悪党の僭称皇帝なんかに土地を売るんだぜ。あの暗黒大陸連邦はよ。』

 

カヲとルーを見つめた後、溜息を付くゴブラ。

 

 

アールアル国。離島レイキュラ。バデュ港。バデュ商店街。8O8店。カヲとルーに肩を貸すゴブラ。

 

カヲ『ああ、もう飲めねえよ。』

ルー『ひっく。よったよった…。』

 

ゴブラは顔を上げる。

 

ゴブラ『ただいま…。』

 

店の奥から飛び出してくるゴブエ。

 

ゴブエ『あんた。どうしたの。こんなにおそ…。』

 

カヲとルーの方を向くゴブエ。

 

ゴブエ『あら、カヲさんとルーさんじゃない。』

 

店の奥から出てくるゴーブ。

 

ゴーブ『何?カヲとルー。』

 

カヲは両手を上げ、開店する。

 

カヲ『いや〜。息子さんを怒らないでやってください。』

 

手首を動かすルー。

 

ルー『俺達がさそったんです…。ひっく。』

 

眉を顰めるゴーブとゴブエ。彼らはカヲとルーの傍らに寄り、ゴブラの方を向く。

 

ゴブエ『いったい何があったの?』

 

俯くゴブラ。

 

ゴブラ『仕事…どこも雇ってくれないって…。』

 

カヲとルーを見つめるゴーブとゴブエ。

 

C7 やけ酒 END

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C8 設立

 

アールアル国。離島レイキュラ。バデュ港。バデュ商店街。8O8店。既存の農家達にカヲにルー、オルモをはじめとした内陸部から帰省した元農家達が集まる。

 

カヲ『なあ、ゴーブさん。何とかならないのかよ…。』

ルー『あんた色々本読んでるし…、息子も大学に行ってるんだろう。』

 

眉を顰め、腕を組むゴーブ。

 

ゴーブ『う〜む。しかし、この状況じゃあな…。』

オルモ『まだ、家はある。庭でいくらかは、農業はできるぜ。』

 

頷くゴーブ。

 

ゴーブ『そうだな…。』

カヲ『以前より大量な生産はできねえけどよ。』

 

8O8店の前を通る軽い打撲痕をつけた漁師達。彼らは8O8店の前で止まる。漁師でニュウドウウオ人のボクボソウが8O8店の中に入る。

 

ボクボソウ『おいおい。何やってんだ?』

 

ボクボソウは手前の農家Aを見る。振り返る農家A。

 

農家A『ああこれは…どうしたお前ら…。』

 

一斉に漁師達の方を向く農家と元農家達。一歩前に出るボクボソウ。

 

ボクボソウ『ああ。これか。あの工場の前で抗議集会を開いたら、警官隊にボコボコにされてな。まったく、あいつら国民と外国人どっちの味方だよ!』

 

ボクボソウを見つめるゴーブ。

 

ゴーブ『抗議集会?お前らもなんかあったのか?』

 

頷く漁師達。

 

漁師A『あの工場ができてから不漁が続いててよ。俺達は、あの工場から出る排水が原因じゃないかと。』

漁師B『それだけじゃねえよ。魚もおかしなやつばかりとれるんだ。』

漁師C『まったく。いい漁場は全部、外国の食品企業の船が大手振って走り回ってやがる。しかも、そこで俺達が漁をすれば法律違反だぜ。間違ってるぜ。まったく。』

カヲ『俺達もそうだ。政治家が製造業がよくなります。農業をやめて工業へとか都合のいい事ばっかりいいやがって、で、結局、できた企業は外資ばかり。おまけに奴らは

賃金の安い移民ばっかり使ってやがる。』

ルー『俺達、国民のことなんてどうも思ってないぜ。外国人ばかり優遇しやがって。』

ボクボソウ『あいつらしめちまおうぜ!』

 

頷く、農家と元農家に漁師の一同。彼らを見つめるゴーブ。彼らを見つめて立ち上がるゴブラ。

 

ゴブラ『待ってください!』

 

ゴブラを一斉に見る農家と元農家に漁師の一同。

 

ゴブラ『暴力行為はいけませんよ。』

 

ゴブラを睨み付けるボクボソウ。

 

ボクボソウ『暴力はいけないって!だったら俺達はこのまま泣き寝入りしろと!』

オルモ『俺達の気持ちがおさまらねえぜ。』

ゴブラ『待ってください。僕達で…そう。僕達で会社を興せばいいんです。』

 

眉を顰める一同。

 

ボクボソウ『会社を作る?』

 

頷くゴブラ。

 

ゴブラ『ええ。そうです。僕達が会社を作って、あの食品工場に対抗するんです!』

 

首を傾げる一同。

 

カヲ『対抗するたって…どう??』

ゴブラ『僕達は食品の生産者が分かり、食品は安全という強みがあります。そこを価値として売り出すんです。』

ルー『でも、俺達、離島は陸地への輸送手段が…。』

 

一歩前に出るボクボソウ。

 

ボクボソウ『…そうか。そこは俺達に任せろ。向こうの漁協と相談しよう。』

 

顔を見合わせる一同。彼らは一斉に握り拳を上げる。

 

一同『よし、やってやるぜ!』

 

C8 設立

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C9 暗転

 

アールアル国。離島レイキュラ。バデュ港。バデュ商店街。8O8店。店の看板は8O8株式会社に変更され、建物は少し壊され、畑にされている。軽トラから野菜や果物の入ったダンボールを漁師たちに渡すゴブラ。

 

漁師D『任せておけって。』

漁師E『いや〜。この野菜。陸地の方では評判がいいぜ。何でも、生産者の顔が分かって安全ってな。』

ゴブラ『そうですか。』

漁師D『このまま軌道に乗れば…。』

 

808店の前に止まる黒塗りの車。そちらを向く808株式会社の従業員達。車の扉が開き。現れるアールアル国の職員Bと暗黒大陸連邦の投資会社の営業部長Aに暗黒大陸連邦の弁護士Aとカン大陸帝国ラハン食品会社の工場長。彼らの方を向き、眉を顰める8O8株式会社の一同。一歩前に出るゴブラ。

 

ゴブラ『何かご用ですか?』

 

周りを見回し、ネクタイを直しながら、歩いていく暗黒大陸連邦の投資会社の営業部長A。

 

暗黒大陸連邦の投資会社の営業部長『いや、なかなか風情のある会社だな。』

 

鼻で笑う暗黒大陸連邦の投資会社の営業部長A。ゴブラは彼を睨み付ける。

 

ゴブラ『何かご用ですか?我々はそちらの困るようなことを何もやってない筈です!』

 

ゴブラを睨み付けるカン大陸帝国ラハン食品会社の工場長。

 

カン大陸帝国ラハン食品会社の工場長『何もやってない?お前らの種が入り込んだおかげで、こちらは50億の損失だ!』

 

眼を見開くゴブラ。

 

ゴブラ『えっ、た、種??』

暗黒大陸連邦の弁護士A『そう、君たちが起こした会社で使っている種が、ラハン食品会社の工場に損害を与え、親会社である暗黒大陸連邦のシード食品会社の信用を落としたのです。』

カン大陸帝国ラハン食品会社の工場長『どう責任を取ってくれる!』

ゴブラ『どう責任をとるったって…。』

 

アールアル国の職員Bと暗黒大陸連邦の投資会社の営業部長Aに暗黒大陸連邦の弁護士Aとカン大陸帝国ラハン食品会社の工場長を睨み付ける漁師達。

 

漁師D『責任を取る?お前らの方が責任を取るべきだろうが!』

漁師E『お前らが来てから、不漁になるわ、奇形の魚が釣れるわ…。』

 

一歩前に出るアールアル国職員B。

 

アールアル国職員B『まあまあ、言い争いはそれだけに…後は、裁判で決めます。今日はそのことできました。』

 

アールアル国職員Bを睨み付ける漁師達。

 

漁師D『裁判で決めるって!お前はどっちの味方だよ!』

 

後ずさるアールアル国職員B。

 

アールアル国職員B『…わ、私は公平な立場で…。』

漁師E『公平?俺達の利権を外資企業に売り飛ばし、口方便で農家をだましてどこが公平だ!』

アールアル国職員B『と、と、ともかく。裁判できまります。それだけは言っておきます。』

 

アールアル国職員Bは暗黒大陸連邦の投資会社の営業部長Aに暗黒大陸連邦の弁護士Aとカン大陸帝国ラハン食品会社の工場長の方を向く

 

アールアル国職員B『では、我々はこれで。』

 

黒塗りの車に乗り込むアールアル国職員Bは暗黒大陸連邦の投資会社の営業部長Aに暗黒大陸連邦の弁護士Aとカン大陸帝国ラハン食品会社の工場長。

 

C9 暗転

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C10 事件

 

アールアル国。離島レイキュラ。バデュ港。バデュ商店街。8O8店。風が吹き、8O8株式会社の看板が揺れる。

店の奥の部屋で座る。ゴーブにゴブエにゴブラ。ため息をつく、ゴブラ。

 

カヲの声『ごめんくださ〜い。』

 

店の奥から顔を出すゴブラ。店の前に立つカヲとオルモの息子のモルツ。

 

ゴブラ『カヲさんに…モルツ君。』

 

ゴブラに手を振るモルツ。

 

モルツ『ゴブラのお兄さん。久しぶり。』

 

立ち上がり、カヲとモルツの方へ歩み寄るゴブラ。

 

ゴブラ『モルツ君。久しぶりだね。』

 

店の奥から現れるゴーブにゴブエ。

 

ゴーブ『どうしたカヲ?』

カヲ『畑…の手入れしなきゃな。』

 

眉を顰めるゴーブ。

 

ゴーブ『カヲよ。俺達は裁判で負けたんだ。多大な負債を背負ったんだ。もう…。』

 

拳を握りしめるカヲ。

 

カヲ『分かんねえよ!まだ、どうなるか分かんねえんだ!諦めてどうする!』

モルツ『そうだ。そうだ。』

 

眉を顰め、腕組みをするゴーブ。

 

ゴーブ『ああ、勝手にしろ。』

カヲ『おお、勝手にさせてもらうぜ。』

 

畑の方に歩いていくカヲとモルツ。ゴブラは彼らの後をついていく。

畑を耕すカヲとモルツにゴブラ。

 

ゴブラ『そういえば、モルツ君は何でここに?』

モルツ『お父さんの梨畑。花がとっても綺麗で…。実も美味しくて…。僕もお父さんみたいな農家になりたいんだ。』

ゴブラ『そうか…。』

 

頷くゴブラ。

 

カヲ『明日があるさ。明日が…。』

 

 

早朝。アールアル国。離島レイキュラ。バデュ港。バデュ商店街。サイレンの音が響き、家から出る住民達。ラットー医院に止まる救急車。医院の扉からオルモとラハン食品会社の工場長がもみあいになって出て来る。

 

ラハン食品会社の工場長『迷惑だ!だいたい、お前が息子をしっかり教育していないから!』

 

眼を血走らせ、蟀谷に血管が浮き出し、ラハン食品会社の工場長の胸ぐらを掴むオルモ。

 

オルモ『なんだと!』

ラハン食品会社の工場長『親も親なら、子も子だ。害獣に間違われる奴らだ!』

 

オルモはラハン食品会社の工場長を押し倒し、何発も殴る。

 

オルモ『この野郎!お前だろう!お前らが!倅を殺しておいて!』

 

眼を見開くゴブラ。止めに入る警察。

 

C10 事件 END

-13ページ-

Intermission

 

説明
・必要事項のみ記載。
・グロテスクな描写がございますので18歳未満の方、もしくはそういったものが苦手な方は絶対に読まないで下さい。
・心理的嫌悪感を現す描写が多々含まれておりますのでそれういったものが苦手な方は絶対に読まないで下さい。 作品説明を入力してください
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