真・恋姫†無双 【“漢女(オトメ)”が“乙女(オトメ)”で恋姫†無双?!】 捌
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『深まる……』

 

 

 

 

一刀の種馬騒動から翌日の夜

月が空の真上に着いた頃

 

コンコン

 

???「ん?誰だこんな夜更けに?すまないが今ちょっと手が離せないから後に……」

 

???「あっ……ごめんね白蓮さん」

 

白蓮「……っ!!!北郷!!!」

 

一刀「うん、ちょっと白蓮さんに話があったんだけど……忙しいなら……」

 

白蓮「ちょっと待ってろ!!」

 

一刀「えっ?」

 

ドタドタドタ……

 

一刀「………」

 

白蓮「こんな夜更けに来るって事はやっぱり零姫と……不味い!これは………ろに、それでこれ………の下にっ!」

 

一刀「………」

 

白蓮「机の上…数枚だけ……て、後は……わっとっとっ!」

 

ドタドタド……ドサドサドサッ!

 

白蓮「あぁぁっ!くっそ!いっその事全部燃やしてやるか!!!」

 

一刀「えっと……ごめん、やっぱ明日に……」

 

白蓮「わあああぁぁぁっ!後ちょっとだから待ってろ!えぇっと……確かアレはここに仕舞った……あった!」

 

一刀「………」

 

ガタガタガタ……シュルシュル……「よしっ!」ダダダッ!バタンッ!

と勢いよく扉が開き

 

白蓮「ま……待たせた」

 

息を切らせながら白蓮が出てきた

 

一刀「う……ううん」

 

白蓮「まぁ……入れよ」

 

一刀「ありがとう……それじゃお邪魔します」

 

白蓮に続いて一刀も部屋に入って行った

 

綺麗に整頓された部屋……なのだがよく見ると棚の後ろや寝台の下にチラチラと竹簡らしき物が見えているが……

一刀は見てないフリをした

 

白蓮「そ……それで!こんな夜更けになんの用なんだ?!!」

 

白蓮が頬を赤くしながら一刀に言った

 

一刀「うん……実は白蓮さんに、とっても大事な話しがあるんだ」

 

白蓮「とっても……大事な話し……」

 

ゴクリッ……と白蓮の喉が鳴る

 

一刀「俺……俺」

 

白蓮「ちょっと待ってくれ北郷!!」

 

一刀「?」

 

白蓮「その……北郷の気持ちは嬉しいんだ……嬉いだぞ!?だけどまだ知り合ったばかりでそんな……

    もっとこう、順序ってものが……でも北郷が……望むなら……な?」

 

指をモジモジさせながら、一刀をチラチラ見る白蓮

 

一刀「……えぇっと?ごめん、何の話しそれ?」

 

白蓮「だから!零姫みたいにその……なんだ……とにかく!ナニしに来たか言えよ!!」

 

一刀「?、それじゃ話すね……実は」

 

白蓮「実は……」

 

一刀「俺……俺、天和を助けたいんだ!」

 

………

 

…………

 

……………

 

白蓮「……はっ?天和って確か<黄巾党>党首の張角………だよな?」

 

一刀「そう」

 

白蓮「………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

その話を聞いて、白蓮はダランッ、と力が抜けたように体がだらけた

 

白蓮「なんだよそれ……それじゃせっかくの下着が台無しじゃないか……」

 

ボソボソッ……と小さな声で愚痴る白蓮

 

一刀「?、ごめんよく聞こえなかったんだけど」

 

白蓮「なんでもないよ!」

 

一刀「?」

 

白蓮「たくっ……それで北郷、お前それ本気で言ってるのか?」

 

一刀「うん、俺は天和……張角を助けたい」

 

白蓮「北郷……お前桃香達の志を忘れたのか?」

 

一刀「……皆が笑顔で平和に暮らしていられる、そんな世界」

 

白蓮「あぁ、桃香らしい……甘い考え方だ。だけどお前はそれに共感して、桃香達と一緒に旅してきたんだろう?」

 

一刀「うん……」

 

白蓮「<黄巾党>が何してきたか……お前も分かるだろ?同じ農民の作物を奪い、それだけじゃ飽き足らず、

    人を殺したりするような……そんな奴等の頭を助けるなんて……」

 

一刀「違う!」

 

白蓮「!?」

 

一刀「天和はそんなことする子じゃない!アレは集まってきた奴等が天和を利用して暴れてるだけなんだ!!

    だから俺は天和を助けたい!」

 

白蓮「北郷……」

 

一刀「だから白蓮さん、無理を承知でお願い……俺に兵を……白蓮さんの力を貸して下さい」

 

一は力一杯頭を下げて、白蓮に頼み込んだ

 

白蓮「簡単に頭下げんなって////もぅ……分かった、私に出来る事なら力を貸すよ」

 

一刀「っ!ありがとう!」

 

また力一杯頭を下げる一刀を見て、困った顔をする白蓮

 

白蓮「だから頭下げるのやめろっつうの////力を貸すのはいいんだ……けどな?なんていっても兵力の差がありすぎる。

    情報によれば相手は烏合の衆とはいえ10万強……対してこっちは2万の兵とお前等の民っつうか兵っつうか……

    まぁそいつ等が200程度……これじゃ張角を助ける所か、途中で私達が死んじまう。

    だからまず朝廷に連絡してだな……」

 

一刀「それは駄目!」

 

白蓮「?!」

 

さっきよりも大きい大声に白蓮が驚く

 

一刀「あっ……ごめん」

 

白蓮「……理由を聞かせてもらっても言いか?朝廷に連絡されると困る理由を」

 

一刀「……ごめん、それは言えないんだ……でも、朝廷に連絡されると……その……」

 

白蓮「……はぁ、はいはい分かったよ。朝廷には連絡しないで、私達だけでなんとかしよう」

 

白蓮がやれやれとため息を吐きながらそう言った

 

一刀「っ!ありがとう!」

 

ガバッ!と白蓮に抱きつく一刀

 

白蓮「なぁっ!ちょっ!抱きつくなって北郷////」

 

 

 

白蓮との話し合いから数刻後の朝

 

愛紗「何をふざけた事を仰っておられるのですか?“北郷殿”」

 

一刀「えっ?」

 

桃香「愛紗ちゃん?!」

 

白蓮との話し合いを桃香達にも話し、桃香達にも協力してもらおうとしていたのだが……愛紗がこれに賛成しなかった

 

愛紗「なぜ我々がそれに協力せねばならないのですか?」

 

一刀「それは……」

 

何も言わずに協力してくれると信じていた一刀は、深く落ち込んだ。それを見て、ほんの一瞬だったが愛紗も落ち込んだ顔をしたが

 

愛紗「話しというのはそれだけですか?ならば我々は失礼させて頂きます……行きましょう桃香様、鈴々、朱里、雛里」

 

そう言い、踵を返して愛紗は部屋を出て行く

 

桃香「えっ、あっ……うぅぅぅっ……待って愛紗ちゃん!!」

 

桃香が愛紗と一刀を交互に見て、一刀に申し訳なさそうな顔をして、鈴々達と一緒に愛紗を追った

 

一刀「………」

 

零姫「ご主人様」

 

一刀「零さん……零さんも」

 

零姫「……もしご主人様が間違った道を進むなら、私は愛紗ちゃんと同じ行動をすると思います……

    間違った道なら……ね♪」

 

一刀「それじゃ」

 

零姫「私はご主人様について行きますよ♪」

 

一刀「ありが……とう、零さん………」

 

一刀は零姫に抱きつき、少しの間だけ泣いた……

 

その日の夜、桃香達5人と200人の民達は街に残り、公孫賛軍と一刀達は<黄巾党>討伐という名の下、天和の救出に向かった

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???「北郷一刀………許さない」

 

そこは何もない……真っ暗な闇の中

そこにただ一人、その闇の中で立ち尽くす女がいた

 

???「――お姉様……私だけ……見て」

 

その女が何かを呟くと、闇の中から黒装束を着た人達が現れた

 

???「あの“2人”……連絡……<黄巾党>……討伐……誰一人……捕獲する事……許さない……」

 

それを聞くと、ゆっくりと闇に溶け……黒装束は消えていった

 

???「北郷一刀……お前の好きに……させない……絶望に……打ちひしがれろ……ふふふふふっ」

 

 

 

一刀達が討伐に向かってから数刻後の朝

 

―――魏

 

???「桂花、<黄巾党>の本隊の居場所は特定出来たかしら?」

 

桂花「すみません華琳様、どこかの馬鹿が私の策を無視して<黄巾党>を全員殺してしまうので未だに」

 

???「全く、誰だそんな馬鹿な事をするのは!!」

 

桂花「アンタの事言ってんのよ!この脳筋馬鹿!!」

 

???「なっ!なにぃ?!!誰が馬鹿だ誰が!!」

 

桂花「アンタの事よ!ア・ン・タ・の!!」

 

???「ガルルルルルルルルッ!!」

 

桂花「ううううううううぅぅぅぅっ!!」

 

???「春蘭様、桂花さm……」

 

春蘭・桂花「なんだ季衣!(なによ!)」

 

季衣「うわ〜〜ん華琳様〜〜〜」

 

春蘭「きしゃ〜〜〜〜っ!」

 

桂花「ううううううううぅぅぅぅっ!!」

 

桂花と言われたネコミミの子と脳筋馬鹿と言われた女が睨みあう

 

華琳「はぁ……秋蘭、あの二人を止めなさい」

 

秋蘭「やはり姉者は可愛いなぁ」

 

華琳「……秋蘭」

 

秋蘭「……はっ!申し訳ありません華琳様、つい」

 

華琳「全く……貴女達!」

 

その時

 

???「大将〜〜、ちょっとえぇかぁ〜〜?」

 

華琳「真桜?今ちょっと立て込んでるけど……いいわ、入りなさい」

 

真桜「あいな〜〜」

 

???「………」

 

???「もぅ……凪ちゃん、自分で歩いて……なの……沙和疲れたの〜〜〜!」

 

そこに真桜、凪、沙和が入ってきてその後ろに一人の男がいた

 

男「貴女が曹操殿ですね」

 

華琳「……えぇ、貴方は?」

 

男「私は朝廷よりの使者です。曹操殿、貴女に……」

 

 

 

―――呉

 

???「……ねぇ冥琳、どう思う?」

 

冥琳「ん?どう思うとは?」

 

冥琳と呼ばれた女が眼鏡を掛け直しながらそこにいたもう一人の女に聞いた

 

???「今の朝廷から来たってヤツ」

 

冥琳「いや、特に何も……まぁ袁術の所ではなく直にこっち来る所は怪しいとは思ったが」

 

???「ふぅ〜〜〜ん……」

 

冥琳「……何か感じたの?雪蓮」

 

雪蓮「……嫌な感じ」

 

冥琳「朝廷の者など全員嫌な感じではないか」

 

雪蓮「違うわね、確かに朝廷のヤツは全員嫌な感じのヤツばっかだけど……今来たアレは違う、もっと……

    なんとも言えない嫌な感じ」

 

冥琳「……いつもの勘か?」

 

雪蓮「そそ♪」

 

冥琳「雪蓮の勘は当たるからな……しかし、我々には拒否する権利がない、細心の注意をしていくしかないな」

 

雪蓮「えぇ、そこら辺はお願いね♪」

 

冥琳「全く……さて、まずはこの事を袁術に報告しておかないとな……」

 

やれやれ……という顔をしながら、冥琳は笑っていた

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コンコン

 

桃香「愛紗ちゃん?」

 

コンコン

 

桃香「愛紗ちゃん、入るよ〜〜?」

 

扉を開けて、桃香が愛紗の部屋に入っていく

 

愛紗「………」

 

愛紗は寝台の上で膝を抱えて座っていた

 

桃香「愛紗ちゃん?」

 

愛紗「………」

 

桃香「愛紗ちゃん、愛紗ちゃんたらっ!!!」

 

桃香が何度も肩を揺らして呼びかけるが、愛紗は俯いたまま何も反応しなかった

 

桃香「……そんなに落ち込むんなら、あんな事言わないでご主人様について行けばよかったじゃない」

 

愛紗「……っ」

 

ピクンッ、と愛紗の肩が震えるが、それでも顔をあげようとはしなかった

 

桃香「……もぅっ!愛紗ちゃん!!」

 

愛紗「あっ」

 

ぐいっ!と桃香が無理矢理愛紗の顔をあげさせる、その顔は目が赤く、泣いていた事が一目瞭然で分かる顔をしていた

 

桃香「こんなになるまで泣いちゃうのに、なんでご主人様にあんな事いったの?」

 

愛紗の目を見ながら桃香が聞いた。その顔はいつものポヤポヤした顔ではなく、真剣そのものだった

 

愛紗「………」

 

桃香「どうしたの愛紗ちゃん?いつもの愛紗ちゃんらしくないよ?」

 

愛紗「……分からないんです」

 

桃香「えっ?」

 

愛紗「自分でも……なんであんな事言ったのか……ご主人様の口から自分の知らない者の名を聞いた途端、

    頭が真っ白になって!」

 

桃香「愛紗ちゃん……」

 

愛紗「どうして……どうして私は………」

 

桃香「………」

 

愛紗「あっ……」

 

愛紗が涙を流していると、桃香がそっと優しく抱きしめていた

 

桃香「愛紗ちゃんもご主人様の事が大好きなんだよね」

 

愛紗「………」

 

桃香「……私もね、昨日ご主人様の口から自分の知らない人の名前が出てきて頭が真っ白になった……でもね?

    誰かを助けたい、って言うのはご主人様らしいと思ったよ。それがただ偶然に女の人だっただけで……ね?

    そうじゃないかな?」

 

愛紗「はい……そうですよね、私は何を迷っていたのでしょう。ご主人様のあの性格は今に始まった事じゃないと言うのに」

 

桃香「そうそう♪あの性格は今に始まった事じゃないんだから♪」

 

愛紗「そうですよね、ふふふふっ♪」

 

二人が笑いあっていると

 

朱里「桃香様〜〜〜!どこですか〜〜!!!」

 

桃香「朱里ちゃん?ここだよ〜〜!!」

 

朱里「はわわっ!声はすれど姿が見えません!!」

 

桃香「あぅぅ……」

 

愛紗「朱里、私の部屋だ!!」

 

朱里「愛紗さん?……ここでしょうか?失礼します」

 

朱里がおそるおそる部屋に入ってきた

 

愛紗「どうしたんだ?」

 

朱里「はいっ!朝廷からの使者さんが桃香様にお会いしたいと!!」

 

桃香「ほぇっ!朝廷の使者さん?!なんだろうね」

 

愛紗「とりあえずお会いしましょう。朱里、それで今使者はどこに?」

 

朱里「はいっ!こちらです!!」

 

そして桃香と愛紗は朱里に連れられ、使者のいる部屋に連れて行ってもらった

その部屋に入ると、一人の男が座っていた

 

男「貴女が劉備殿ですね?」

 

桃香「は……はいっ!私が劉備です!!」

 

男「私は朝廷より参った者……劉備殿、貴女に朝廷からの言伝をお伝えします……

  『<黄巾党>本隊の居場所が掴めた、よって各諸侯はこれを共に討伐すること。命乞いしようと誰も生かさず殺す事』

   との事です」

 

桃香「えっ?誰も……ですか!」

 

男「えぇ、女だろうと子供だろうとです。もし兵、もしくは党首を捕虜にするなんて事をしようものなら、

   他の諸侯に報告してもらえるようにお伝えしておりますのであしからず」

 

愛紗「!!」

 

男「それではお伝えしましたので、私はこれにて失礼させて頂きます……あぁそれと」

 

そう言うと男は、涼しい顔をしてその場を去って行く前に

 

男「貴女方にこれを拒否する権利が無い事は……分かってますよね?」

 

笑顔でそう言い残し、男は今度こそ去って行った

 

桃香「……そんな」

 

愛紗「……そうか、それでご主人様は朝廷に連絡せずに急いで救出しようと……

    拙い!ご主人様達はこの事を知らない!!桃香様!!」

 

桃香「うん!愛紗ちゃんは鈴々ちゃんと民の人達に連絡して!

    朱里ちゃんは雛里ちゃんと一緒にどう動けばご主人様達に早く合流出来るか考えて!」

 

愛紗「御意!」

 

朱里「分かりました!」

 

桃香「……ごめんね、私は……」

 

愛紗「桃香様」

 

愛紗がそれ以上言わせないように人差し指で桃香の口を封じた

 

愛紗「そう思うなら私と一緒に行きましょう、桃香様も一緒なら更に士気が上がりますからね」

 

桃香「……うん♪」

 

愛紗「……ご主人様、どうかご無事で」

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???「……大丈夫?疲れてない?」

 

???「はい大丈夫です、ありがとうございます」

 

ある山岳の中腹部、森の中で3人の女性が歩いていた

 

???「そう……――さんは大丈夫ですか?歩くの速くないでしょうか?」

 

???「大丈夫、このままの速さで行きま……」

 

黄巾党A「見つけたぞ!」

 

???「!!」

 

黄巾党A「おいっ!こっ……」

 

???「しっ!」

 

女の一人が持っていた矛でその男を一突きにした

 

黄巾党B「こっちから声がしたぞ!」

 

???「ちっ……見つかった」

 

???「すみません、私が歩くの遅いせいで……」

 

???「そんな事ないですよ」

 

???「そうです……私が何とかします」

 

その女がスッ…と武器を構える

 

???「――さん」

 

???「大丈夫……行って下さい」

 

???「……死なないで」

 

???「気をつけて下さい」

 

そう言って二人は走って行った

 

黄巾党B「見つけた!」

 

ぞろぞろと黄巾を被った男達が女を取り囲むように現れた

 

黄巾党(頭)「探したぞ!……っててめぇだけか?!」

 

???「なんだ……私だけじゃ不満か?」

 

そう言い、女は矛を目の前の男に向ける

 

黄巾党(頭)「ちっ……まぁいい!!お前ら気をつけろ!この女強いぞ!一人で当たらず数人で当たって行け!!」

 

黄巾党「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

???「……来い!」

 

 

 

零姫「♪〜〜〜」

 

一刀「……えぇっと」

 

零姫「♪〜〜〜」

 

一刀「零さん?俺やっぱ恥ずかしいから歩く……」

 

零姫「駄目ですよ?」

 

一刀「ううぅぅっ……」

 

今一刀は零姫の前に跨って座っていた

 

白蓮「……なぁ北郷」

 

一刀「?」

 

白蓮「本当によかったのか?桃香達の事」

 

白蓮が申し訳ない顔をしながら聞いていた

 

一刀「……しょうがないよ、俺が悪いんだから……桃香達の志を知っていながらこんな事言って……」

 

白蓮「……それもだけど、大きな理由は違うと思うぞ……」

 

一刀「えっ?ごめんよく聞こえなかったんだけど」

 

白蓮「……なんでもない」

 

一刀「?、白蓮さんって時々小声だよね」

 

白蓮「……鈍感」

 

零姫「そうですね」

 

星「全くですな」

 

三人が呆れた顔で一刀を見つめる

 

一刀「えっ?えっ?何皆し……」

 

――――――――――

 

一刀「……えっ?」

 

零姫「……?どうかしましたかご主人様?」

 

一刀「いや……今声が聞こえたような気がしたんだけど」

 

星「声……ですか?」

 

そう聞くと白蓮達も耳を澄ますが

ザッザッザッザッ……

パカラッパカラッパカラッパカラッ……

 

白蓮「兵と馬が歩く音だけで声なんて聞こえないぞ?何かの聞き間違いじゃないか?」

 

一刀「でも……」

 

――――――――――

 

一刀「ほら……また聞こえた」

 

白蓮「だから……何も聞こえないって!」

 

零姫「……ご主人様、その声はどちらから聞こえます?」

 

一刀「えっ?うん……あっちの方から……かな」

 

一刀が少し遠くにある山岳を指差す

 

零姫「……白蓮ちゃん、少し兵を借りていいかしら」

 

白蓮「えっ?別に構わないが……もしかして」

 

零姫「私も何も聞こえないけれど、ご主人様がそう言うのなら何かあると思う……だから」

 

白蓮「……星、お前も行ってやれ」

 

星「おや?よろしいので?」

 

星が意外そうな顔をして白蓮を見る

 

白蓮「さっきから行きたそうにしてた奴が何を言うのやら……だけど早く帰ってきてくれよ?

    お前達抜きで行ったら意味無いんだからな」

 

星「……ふふっ、御意」

 

白蓮「おしっ!伝令!歩兵隊600と騎馬隊400は北郷達について行ってやれ!

    残りの者は私の速さに合わせてゆっくりと前進だ!!」

 

一刀「白蓮さん!」

 

白蓮「北郷、早く戻って来いよ!」

 

一刀「……うん!」

 

白蓮「……それと」

 

一刀「?」

 

白蓮「前から言おうとしてたんだが……私にさん付けとか微妙な敬語はやめろ……なんだか恥ずかしい////」

 

白蓮が頬を赤らめながら言った

 

一刀「……あぁ!行ってくるよ白蓮!……あっ!ごめんあともう1つお願い……」

 

 

 

黄巾党199「こっのアマ〜〜!!」

 

ブンッ!

 

???「甘い!ふっ!!」

 

ガキンッ!ザシュッ!

 

黄巾党199「ぐはっ!」

 

ドサッ……

 

???「はぁ……はぁ……はぁ……っ!」

 

グッ!とそこにいた女が倒れそうになったが、何とか武器を杖代わりにして踏ん張った

 

黄巾党(頭)「ふっふっふっ……どうやら化け物並の強さとはいえ、やっぱり女、体力の限界のようだなぁ?」

 

???「だ……まれ」

 

女が息を切らせながら男を睨みつける

 

黄巾党(頭)「おぉ怖っ♪……さて、そろそろ半分に分けた奴らが“お姫様”と合流した頃かな?」

 

???「な……に?まさ…か!」

 

黄巾党(頭)「そうさ!お前が俺達に熱心な間!500人ずつに分かれてあの可愛いお姫様をお迎えに行ったのさ!

        先に手を出すなとは言っておいたんだが……どうなってる事やら、はっはっはっはっ!!」

 

???「このっ……外道が」

 

黄巾党(頭)「外道?最高の褒め言葉じゃないか♪」

 

???「くっ……」

 

黄巾党(頭)「なぁに心配すんな、3人共殺さずに生かしてやるよ……

       なんてったって死ぬまで俺達の相手してもらうんだからな!」

 

頭が合図をして、また一斉に男達が女に飛び掛っていった

 

 

 

???「はぁ……はぁ……」

 

黄巾党A´「見つけ……」

 

???「五月蝿いですよ!」

 

黄巾党A´「ぎゃっ!」

 

???「くっ……このままでは」

 

黄巾党4人「せりゃ〜〜!」

 

???「っ!たぁぁ〜〜〜っ!!」

 

前からいきなり現れた男達の上段からの斬撃をなんとか避け、後ろから一閃した

 

???「こちらです!」

 

???「……もぅ」

 

バタンッ

 

???「!!――さん!」

 

倒れた女に近付く

 

???「ごめんなさい、私の事はもう……」

 

???「駄目です、あなたの事を見捨てたりなんかしません」

 

???「……ごめんなさい」

 

黄巾党B´「へっへっへっ……」

 

周りから女達を囲むように400人近くの男達が現れた

 

???「……それ以上近付いてきてみなさい、この【湖底蒼月】で真っ二つにして差し上げますよ?」

 

女が睨みを自分の武器を構える

男達はそれを見て怯むが

 

黄巾党C´「そ……そんなのこけおどしだ!」

 

黄巾党D´「そうだ!それにこの人数相手に勝てるはずないだろう!」

 

黄巾党C´「行くぞ!!!」

 

黄巾党「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

???「くっ……やるしか」

 

男達が一斉に女に飛び掛る……

 

一刀「スト〜〜〜〜〜ップ!!!……って言っても誰もわからないか」

 

前に、一刀が“一人”で馬に乗り現れ、その場にいた全員が止まった

 

黄巾党C´「何だお前!!」

 

一刀「何だお前ってか!そうです!私が変な……って違う違う!」

 

黄巾党B´「くそっ!なんか知らんが腹が立つ!!おいっ!!こいつもやっつけるぞ!!!」

 

………

 

黄巾党B´「?」

 

星「呼んでも意味が無いと思いますが?」

 

黄巾党B´「はっ?」

 

男が振り向くとそこには零姫と星がいて、周りには男達が倒れていた

 

黄巾党B´「なっ……」

 

そしてその男も零姫の腹への一発により落ちた

 

零姫「大丈夫♪気絶するだけだからぁ♪……今ちょ〜〜っと不機嫌だから加減が厳しいけど……ね♪」

 

零姫が満面の笑顔で言うが、目が笑っていなかった

 

一刀「……なんか零さんいつもと違うような?」

 

一刀が一人不思議そうな顔で馬に乗り戻ってきてそう言う……そう、零姫が乗っている馬とは違う馬で!

あの時、白蓮にお願いしてたのは馬の事だったのだ

 

兵達(アンタのせいだよ、アンタの!!)

 

一刀「……なんか言いたそうな顔してるね君達?」

 

兵達「いえいえいえいえいえいえいえいえいえいえっ!!!!」

 

一刀「まぁいいけど……騎馬隊の半分の人は周りに残党がいないか調べて、残りはここで待機……っとそうだ!!」

 

一刀がまだ呆然と武器を構えている女に近付く

 

一刀「大丈夫ですか?!怪我とかしてませんか?!」

 

???「……えっ?あっ、はい大丈夫です」

 

一刀「貴女達二人だけですか?」

 

???「……っ!いえ、もう一人います!ですがあの子、私達を逃がす為に一人で!」

 

一刀「場所は?!」

 

???「ごめんなさい、私達も逃げるので精一杯で……」

 

一刀「なら残りの騎馬隊の人で急いで捜索を……」

 

――――――――――

 

一刀「……っ!待った!!」

 

 

 

???「こ……っの〜〜〜!!!」

 

黄巾党269「ギャオスッ!」

 

???「はぁ……はぁ……ぐっ」

 

武器を杖代わりにしながら攻撃していた女だったが、遂に力尽き膝をついた

 

黄巾党(頭)「へっへっへっ……終わりだな」

 

黄巾党(頭)が女に近付く

 

???「……すみません二人共」

 

女が諦め、黄巾党(頭)が手を伸ばした……その時

 

零姫「愚かな人達」

 

黄巾党(頭)「h……」

 

ザシュッ!……ドンッ

 

黄巾党(頭)は声を発する事を、ましてや後ろを振り向く事も出来ずに、首を狩られ絶命した

 

零姫「暴れたいが為に、己が欲求を満たしたいが為にこんな事をして……だから、殺されても文句はないですよねぇ♪」

 

零姫が黄巾党(頭)から噴出した血がついたままの顔で、笑顔でそう言った

今まで何が起こったのか分からず呆然と立ち尽くしていた男達はブルッ…と震え

 

黄巾党270「……はっ!頭!!」

 

黄巾党399「あの女どこから出やがった!」

 

黄巾党277「くそっ!殺してやる!!」

 

黄巾党459「……殺される」

 

黄巾党387「こんな所で死にたくない!!」

 

いきなり現れ頭をやられた男達は、大半が武器を構え、ごく少数の人達は逃げ出した

 

零姫「10…50…100……150人……勇敢なのか命知らずなのか、逃げるなら今のうちよぉ?」

 

黄巾党「うるせぇ!!行くぜ!!」

 

黄巾党「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

残った黄巾党が零姫に向かって走る

 

零姫「全員死亡希望ね……天の御使い北郷一刀が一の家臣、貂蝉!参る!!」

 

 

 

一刀「零さん!」

 

零姫「ただいま戻りましたご主人様♪」

 

零姫が血塗れになりながら背中に女を背負って戻ってきた

 

???「あの……」

 

女の一人が心配そうに背負われている女の見つめる

 

零姫「大丈夫ですよ、疲れて眠っているだけです」

 

???「そうですか……良かった」

 

そう言うと女はホッと胸を撫で下ろし、一刀に向き

 

???「此度は助けていただき、誠にありがとうございます……えぇっと」

 

一刀「俺の名前は北郷一刀って言います」

 

???「北郷一刀……そうですか、貴方が噂の天の御使い様なんですね」

 

一刀「そう言われてます(汗)、それで貴女達は?」

 

???「はい、私の姓名は黄婉貞、字は月英と申します。

     そして彼女が鴻芙蓉、今そこの方の背中にいるのが星彩と言います」

 

 

『深まる謎と、新たに吹く風』  完

-5ページ-

あとがき

オリジナルキャラ紹介

 

 

性…黄

名…婉貞

字…月英

真名…美琴(みこと)

武器…湖底蒼月

備考…朱里にとって従姉に当たる人で、朱里の恥ずかしい過去をバラし、慌てふためいている姿を見て楽しむのが趣味

「朱里さんの困っている顔を見ると、とても癒されます♪」

三国志…黄夫人(月英)は中国の三国時代に活躍した蜀(蜀漢)の宰相諸葛亮の妻。黄氏。

      また「黄月英」、「黄婉貞」という名も一般的に知られるが、これらは後世の創作による名前であり史実ではない。

     (当時は女性の名が史書に残る事は稀で、黄婉貞に関しても名自体が残されていない。

      つまり、創作上の必要から名付けられたものである)

まとめ(?)…諸葛亮の妻!……なんですがここで登場させるとなると妻は無理なんでいつもの無理矢理で従姉に大変身!!

       三国志の紹介の通りだとすると姓名字は実際どうなるんだ!って事で勝手に当てはめました、

       すんません_/ ̄|○|||

 

 

名前…星彩

備考…名前以外何も覚えていなく、自分の真名でさえ思い出せない

    森でさまよっているた所月英に保護され、一緒に旅をすることに

「鈴々……何故だか分からないけど、その名を呼ぶととても落ち着く」

三国志…敬哀皇后(星彩)は三国時代の蜀の後主劉禅の皇后。父は張飛。母は夏侯覇の従妹。

      死後に妹が劉禅の皇后に立てられている(単に張皇后と呼ばれる)。

      琢郡の人。

まとめ(?)…星彩の姓名字って何かなぁ♪っと思って調べてみると……なに敬哀皇后って?!!!

       どうやら月英と同じ扱いなのかな?

       って事で勝手に姓名のみにしてます(汗)

 

名前…鴻芙蓉

真名…胡桃(くるみ)

備考…太守の娘で歌が上手い

    よく侍女達に紛れ城から抜け出すなどやんちゃな事をして他の人を困らせている

    民や家臣達に優しく接していて、皆から[芙蓉姫]、[姫]と呼ばれ親しまれている

    しかし、<黄巾党>の襲撃により父親を殺され、

   「民や家臣を殺されたくなければついて来い」

    と脅され山に連れて行かれてる所を月英と星彩に助けられ、今に至る

「私の思い、歌に乗せて……どうか北郷様に届いて……」

三国志…張飛の元主人に当たる県の城主「鴻家」の娘で、劉備の初恋の女性。一族が黄巾賊によって殺されてしまい、

      寺の和尚に匿われていたところで玄徳と知り合う。その後、玄徳共々窮地を救った元家臣の張飛に連れられて、

      鴻家に縁のある大人の家に養われる事になり、そこで再び玄徳と運命的な出会いを果たす。

      作中では玄徳がまだ城主としてではなく放浪の身であった時に登場し、

      玄徳との一時ばかりのラブロマンスを演出することになるのだが、

      その後は登場せず詳細は不明。

まとめ(?)…オリキャラ出すのに何かいないか調べていてふと目にとまり、登場。

      やっぱり詳細が不安定でいろいろ説があるみたいですね(汗)

 

 

ってことで、全員好き勝手にやらせてもらってます!!月英、星彩、鴻芙蓉好きな人ホントすんません!!!!!

説明
今回の話で天和達救出するはずだったんですが……俺の全てにおいて残念な右手がそうわさせない!と暴れました(汗)


誤字脱字ありましたらご報告お願いしますm(_ _)m

とにかく…とか記号が多いのと駄文で短文[作者の文才がない為に(汗)]です

ネタバレとして
あの人は漢女(オトメ)だからこそいいんだ!って人は回れ右、もしくは左して退場して下さい

とにかくご都合主義でなんかいろいろえっ?て思う無理矢理な展開が多いですがそれでもいい、駄文・短文へっちゃら!って人は
私と共に、≪混沌≫の世界へ向かいましょう

さぁ―――新たな【外史】の突端を、共に開きましょう。
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コメント
アインさん>応援ありがとうございます♪今鈍亀ながら頑張って執筆中なんでもし出来たら見てあげて下さい^^;(混沌)
応援してますよー^^(アイン)
キラ・リョウさん>これからもはっちゃけながら頑張って逝きますwww(混沌)
混沌さんの思ったことをしたらいいと思います。  続きも楽しみにしています。(キラ・リョウ)
munimuniさん>OKっすかww頑張りますwww(混沌)
jackryさん>残念、面白くないからアウトですねww(混沌)
ブックマンさん>白蓮可愛いですよねw一刀はステータスに「鈍感」がつくぐらいですからw(ぇ(混沌)
Poussiereさん>頑張って好き勝手していきます!(`・∞・)ゝビシッ(混沌)
白蓮なんて可愛いんだ。一刀もきずいてやれよな。(ブックマン)
おう!好き勝手にやってけ! もう、面白ければいいのだ!(オリキャラの所為&この外史の所為にしてしまえ!(マテコラwww))(Poussiere)
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