恋姫†無双 〜乗り越えなければならないもの〜 第六話
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                               恋姫†無双

                          〜乗り越えなければならないもの〜

 

 

                           『新世界から未来を見据えて』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ようやく大切な親友の死に向き合えた北郷一刀は、隣を歩く愛紗が何かを言いたげな雰囲気を敏感に察した。

 

「愛紗、どうかした?何か聞きたいことがあるの?」

 

「………気付かれてしまいましたか。」

 

 愛紗は彼の洞察力にほんの少しだけ驚かされながら、なのになぜこうまで鈍感(主に恋愛関係の機微)なのだろうと心の中で愚痴を言わずにはいられない。

 

「北郷流っていう流派の存在は知っていても、それがどれほどの存在かまでは、愛紗だけじゃない、外史出身者にわかるはずがない。なのにさっき話した時に何にも驚かなかったろ?」

 

 種明かしをすることにした。特に隠し立てする理由はない。

 

「実は前から疑問に思っていました。」

 

「疑問…?」

 

 一刀からすれば、疑問なんて湧いてくることもないような平凡な自分に一体どんな疑問があったのだろうと首をひねることしかできない。まあ、北郷流なんてものを背負ってる段階から平凡という言葉はほぼ意味をなさないのだが、彼からしてみれば、継ぐ気のない流派の跡取り…ぶっちゃけそういう血統に生まれただけだという認識が強い。

 

「ご主人様はかつて天の国で…この世界でないほうの天の国で、左慈と戦ったとおっしゃっていましたね?」

 

「あ、うん。」

 

 それ以外言葉が出てこない。それは事実だったし、特に否定する内容もない。

 

「そこからして疑問だったのです。ご主人様のご学友…長瀬さん、飯沢さん、竹河内さん、沢池さん、漆戸さん、乃川さん、不動先輩…彼らを見ていて、かつて外史で感じた疑問がようやく形を持ちました。」

 

 愛紗はここで息を着く、彼女自身も落ち着くために。

 

「呉を併合した後のことを覚えていますか?左慈が襲ってきたときのことです。」

 

 一刀は首を縦に振った。忘れられるわけもない。ようやく手に入れた平和を、あいつの手で壊された上に、その後には貂蝉先生による外史の真実というありがたい授業まであったのだから。

 

「あの時私は、ご主人様を守るために左慈の前に出ました。結果は…貂蝉がいなければ死んでいたという…最悪なものでした。その時から感じていました。」

 

 愛紗は少しためを作ってから言った。

 

「ご主人様は天の国で左慈と戦い、引き分けた。それは私が勝てなかった左慈と、引き分けるだけの何かがあるということ。天人とは我々には想像もつかない種族なのかもしれない…でもご主人様は、良くも悪くも、我々と同じ普通の人間にしか見えなかった………この世界に来て…ご主人様がこの世界でのご学友との接し方を見てようやくわかりました。少なくとも、天の国にいる彼らの実力と、今この世界にいる彼らの実力との間で大きな隔たりはないと。つまりご主人様の強さは天人としてのものではない。もちろん、フランチェスカにも強者はいました。不動先輩や、乃川さんもそうでしたね…でもその誰も彼もが、左慈と戦って引き分けることができるほどの実力者には見えませんでした。」

 

 そう一気に話した愛紗の表情は、どこか晴れやかで、ようやく疑問が晴れたと、ようやく知りたかったことがほんの少しだけわかったと、そう言っているように見えた。

 

「ご主人様の強さ…少なくとも、武の一点に関しては、義祖父様やその血脈に連なる祖先の積み上げてきた『北郷流』と、共に切磋琢磨した親友の『想い』がその強さの秘密だということが、私はようやく知ることができました。あなたのことを知ることができる…これを幸せと言わずして、なんだというのですか?」

 

 愛紗は本当によく笑うようになったと思う。

 

 外史では常に死と隣り合わせの最前線で戦い、最初の頃は女であることさえ捨てていた彼女が、ここまでよく笑うようになってくれたことに、一刀は頬が緩むことを隠しきれない。

 

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 でもこれが自然なのだと、一刀はそう思う。人が人を殺す必要なんてない。人が笑顔を殺すようなことを強いる世界のほうが間違っているのだ。

 

「愛紗、さっきの話だけど…。」

 

 この一言だけで、愛紗は何のことか察したようだ。

 

「私の答えは変わりません。」

 

 愛紗の言葉に一刀はしっかりと頷く。愛紗の想いを、決意をしっかりと受け止めるように。

 

「話そうと思うんだ、皆に。力を貸してくれるかは強制しない。でも俺は…絶対にやる。」

 

「私はいつまでも、あなたのお側にいます。」

 

 二人は先程よりもずっと軽い歩調で北郷本家へ帰っていった。

 

 だが二人は知らない。

 

 ((二人っきり|・・・・・))で出かけるということが、どれほどのリスクを伴うのか、忘れたわけではないはずなのに、彼らはまだ、晴れやかな表情で帰っていく。

 

 そして、やはりと言うかなんというか、帰ってきた二人に待っていたのは、星のからかいと、無邪気にとむくれる鈴々、ニヤニヤ顔の霞、愛紗の焼きもちを焼く華琳…と華琳が焼きもちを焼く愛紗に嫉妬の炎を燃やす桂花…が仲良く出迎えてくれた。

 

 この危機を何とか乗り越えた一刀を待っていたのは、意外な人物からの手紙だった。

 

「こちらです、ご主人様。」

 

 月が宝物でも扱うように差し出したのは、ここの住所と『北郷一刀様』と達筆に書かれた真っ白な封筒だった。…本家の方に手紙を送ってくる人物は一人しかいない。

 

「ずいぶん久しぶりだな…。」

 

 一刀は封筒の裏を確認すると、そこには予想通りたった二文字『((優佳|ゆうか))』とだけ書かれている。

 

 優しく、なるべく丁寧に封筒を開けると、そこには一枚の便箋が入っていた。

 

『拝啓 北郷様

 ご無沙汰しております。

 私が御許を離れて、幾何か月日が流れました。私は今、この国の最北端の県におります。

 この国は本当に、我らのいた時代には想像もできないようなことで溢れ返っている。

 この間はこの地の者の計らいでへりなるものに乗り、空から世界を見下ろす経験をいたしました。

 世界を見る目が大きく変わるような思いでした。

 世界とはこうも小さいのか、ただ己の武に拘っていたあの頃の私が、とても小さいものに思えてなりません。

 私は、今のこの生活を気に入っております。

 しかし、心残りもあります。

 一つには、我が主、董卓様の事。

 無論私ごときが居らずとも、不自由と思われることはありますまいが、主君の御傍を離れている身として、心苦しい思いをしていることもまた事実。

 また、もう一つには、我が主と私自身の恩人、北郷様の事。

 董卓様のお命を救ってくださったばかりか、愚かな我が身にこのようなわがままを許してくださった。

 どのような形になるとも知れませぬが、この御恩、いずれ必ずお返ししたい所存。

 あと、これは書くべきかどうか迷いましたが、知らぬよりはと思い、こうして数行の間を使わせていただきます。

 近頃どうも、この世界の何かが抜け落ちて消えていくような、そんな何かを感じます。

 無論、これは私の勘違いである可能性もありますゆえ、杞憂であることを祈りますが、御用心のほどを。

 少々曖昧な言い回しになってしまい、申し訳ございません。

 遠くない内に、いずれ必ず御挨拶に戻ります。

 最後になりましたが、北郷様、董卓様、お元気で。

 他の皆にもどうかよろしくお伝えください。

                                                                 敬具』

 

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 一息にこれを読み切ると、一刀は先程から黙ったままの月達に水を向けた。

 

「月、詠、霞、恋……((華雄|・・))は元気だってさ。」

 

 優佳とは、華雄のことだ。

 

 元々華雄は捨て子だったため、真名が無く、話の流れでこの世界に来た初日に一刀が名付けたのだが、まさか戸籍にも『四方優佳』と登録されているとはさすがに想定外だった。

 

「はい、お元気そうで何よりです。でも華雄さん…『何かが抜け落ちて消えていく』って、どういう意味なんでしょう?」

 

「華雄の奴、何が言いたいのかさっぱりわからないわ!もったくもう!」

 

「まあまあ、詠っちもカリカリせんと素直に手紙喜んだらええんとちゃう?」

 

「………華雄、元気、よかった。」

 

 四者四様の反応。

 

 月は純粋に華雄の警告の意味を考え込み、詠は毎度のようにツンツンツン子だし、霞はそんな詠を弄って楽しみ、恋は普通に華雄の無事を喜んだ………要は、元董卓軍の面々だけ集めたのだ。

 

「………………………………………………………………………………………。」

 

 わかるわけがないが、一刀は華雄の言葉の意味を考え込んだ。

 

 華雄自身もよくわからないと言っているものを、凡人の一刀(あくまで一刀の主張)にわかるわけがない。

 

 だが、外史出身者の中でただ一人、この世界を見て回りたいと旅に出た華雄の言葉を無視できるわけもない。伊達に大陸の王をやっていたわけではないのだ。それが無視していいものかどうか位の判断はつく。

 

「恋、華雄が何を言いたいか、わかるか…?」

 

 恋は三国時代最強の呂布その人だ。それ抜きにしても、時々恐ろしく鋭い指摘をすることがあるので、彼女の意見は聞いておきたい。何より、武官にしかわからないような感覚的なものだと凡人の一刀(あくまで一刀の主張)にはとても想像もつかない。

 

 恋は一刀の言葉に少し考え込んだ後、いつもより少し言葉を選ぶようにして話し始めた。

 

「…………………………………多分、華雄の言ってること、恋、わかる。華雄、多分、空っぽなの、感じてる………。」

 

「『空っぽなの』って……どういうことですか??」

 

 全員、月と同じ感想だった。

 

 これでわかる奴はもうエスパーとかそういう領域の奴だろう。……なぜか今、ムカツクあのホモ眼鏡の顔がよぎったが、気にせず忘れよう。俺の殺意がマッハで危険が危ない。

 

 月の問いかけに、恋はしばらく考え込んだ後、訥々と話し始めった。

 

「…………………………………………………………お腹がすくのと同じ。夜眠くなるのと、あと…冬に寒くなるのと一緒。」

 

「つまり、自然な流れで何かが『空っぽ』になっていっている……そういうことか?」

 

「……そう。」

 

「つまり恋でも何が『空っぽ』になっていっとんのか、わからんっちゅうことか?」

 

 恋は霞の言葉にコクンと頷いた。

 

 『何が』の部分がわからないままだが、一刀はひとまず安心した。これで少なくとも、あの憎き仇敵が関与していないことがわかったからだ。あくまで暫定的な話ではあるが、それでも一刀の心の平穏のためには大切なことだ。

 

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「……………霞は何かわからないか?」

 

「いやいやいやいや、無理やろ!?こないな抽象的なこと言われて誰がわかるかいな!?んーっとやなーー……華雄と恋だけがわかるっちゅうんやったら、多分野生の勘とかとちゃうか?華雄も恋と同じで勘で動く直感型やし、稀にやったら恋とタメ張るとこ行っとったしな。ウチはアカンで?どっちかっちゅうと理詰めの方やし?」

 

 この場にいるもう一人の武官として、霞に水を向けたのだが、やはり無理だったか。

 

 霞が理詰めの方かどうかはとにかくとして、霞の方はわからないということだけがわかったが……『勘』か…。

 

 『勘』で思い出すのは鈴々と春蘭あたりだろうか。

 

 彼女達の意見を聞くのもありかもしれないが、おそらく抽象的な表現ばかりで、鈴々と以前にやった訓練のような結果になりそうだ。

 

 ………後で一応鈴々にだけ聞こう。春蘭は……どうしよう?

 

「あーもう!なんなのよ!久しぶりの手紙で突然意味わかんないこと言ってきて、挙句自分でもわからない!?華雄の奴、戻ってきたら説教決定ね!まったく、今度こんな手紙送ってきたらすぐに送り返すべきね!そうしましょう!!」

 

「え、詠ちゃ〜〜〜ん…………。」

 

 …………………………手詠が突然切れた。

 

 まあ意味がわからない気持ちはわかるが…この場合だと、文官の自分が推理の蚊帳の外にいることが気に入らなかったんだろうな。

 

「う〜〜〜……………でも詠ちゃん、華雄さんの手紙が来たとき、真っ先に開けようとしてたよね?」

 

「うっ……………。」

 

 あ、月の攻撃が始まった。

 

「そ、それはほら、あれよ!不審なものが入ってないか心配で……っ!!」

 

「………詠、これどう触っても封筒に紙一枚しか入ってなさそうやったで?」

 

 霞の援護は的確だな。さすが遊撃の騎馬隊、神速の張遼。

 

「え、えっとほら、そうよ毒!毒が仕込んであったかも………っ!!!!」

 

「………………?恋、毒なら、匂いで、わかる。」

 

 おぉ…人中の呂布の嗅覚は既に人外だったか………いや知ってたけどさ。

 

「はいはい、皆そこまで。あんまり詠をいじめると、後が怖いぞ?」

 

 とりあえずこの辺で話を切っておく、華雄の話はとりあえず頭の隅に入れておくとして、ちょっと情報収集とか必要そうだな。

 

 ちなみにこの後、鈴々に確認を取ってみたが「よくわからないのだ。」とあっさり片づけられ、念のため春蘭にも確認を取ってみたが「意味がわからん!お前が弱いからだ!」と意味不明に一蹴(物理)されてしまった。

 

 まぁ………仕方ないとは思うけどね?

 

 そして、夜の帳も下り、すっかり静かになった時間帯。

 

 俺は、一人の男の下に赴いた。

 

 これから先に進むため、ここから未来を紡ぐため、俺は今乗り越えたい壁と対峙する。

 

 北郷直刀…北郷陽天裂斬流、現師範兼北郷家当主、近代最強の名を持つ稀代の剣豪に。

 

 ………皆ごめん、もうちょっとだけ待っていてくれ。

 

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「たのもう!!」

 

「じゃが断る!!!!」

 

 ………………………これが、親友の死という大きな壁にようやく乗り越えることのできた孫に対する、祖父の言葉である。

 

 なぜジョジョネタがわかる!?

 

「一刀よ、儂に常識なんか通用するわけないじゃろうが?」

 

「今さらだったよこん畜生〜〜〜〜〜!!!!!!!!」

 

 ああ、よく自分は常識人に育ったものだと、我ながら感動する一刀は、そういう自分が一番常識の外側にいる存在(主に女性関係)だということには、残念ながら気付いていないようだ。

 

「で?何の用じゃ?半人前から四分の三人前くらいの顔になっとることと、なんぞ関係があるんじゃろうが?」

 

 いくら非常識だとは言っても、さすがは北郷流現師範。一目で孫の変化に気付いたようだ。

 

 一刀は無言で道場の壁にいくつか掛けてある木刀のうちの一本を手に取る。それは、先日祖父との試合で使用したものと同じものだった。

 

「………………………………本気か、一刀?」

 

「ああ。」

 

 そう、北郷一刀は試合を申し込んでいる。

 

 近代最強とまで謳われた剣豪、北郷直刀に。

 

 それは、羽虫が象に戦いを挑むような愚挙。

 

 石ころ一つで最新式の装備を持つ精鋭の軍隊にケンカを売るような愚行。

 

 だが一刀の目は本気だった。

 

 それは、長く孫を見守ってきた北郷直刀にとって、凡百の武人の次の一手を読むよりも容易いことだ。

 

 そしてなにより…………………………その言葉をこの長い生涯待ち続けていた彼にとって、「ようやく来たか」とある種の感動にほど近い感情が顔に出ないように必死だったのだ。

 

 それは、どこにでもいる孫の成長を喜ぶ祖父という顔と、どこにでもいる孫に自分を失望させたくないと考える祖父の顔の二つが絶妙に混じり合った、複雑な想い。

 

 だが、本来的にはたった一つのシンプルな表現で片づけられる感情。

 

 『嬉しい』

 

 だから、この男にとって先程の冗談を本気で言うつもりなど欠片もないのだ。

 

 ここで受けないという選択肢など、絶対に存在しない。

 

 だがここで、近代最強は先日と違う行動をとった。「ちょっと待っとれ。」と道場から出て行ったのだ。

 

 これには流石の一刀も肩すかしのような気分になった。

 

 だが………………その感想が、いかに甘かったのかを一刀はすぐに知ることになった。

 

「これを使え、一刀。」

 

 そう言って彼が差し出したのは、あろうことか真剣だった。

 

 しかも刃は潰していない。当たり所が悪ければ、骨折では済まない。それどころか、寸止めできなければ死の可能性すらもある。

 

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「…………じいちゃん、これ、どこで手に入れたんだ?蔵にあった覚えがないんだけど?というか本気か?これ真剣だぜ?」

 

 一刀はあまりに予想外な事態に軽く混乱状態になる。

 

「ん?蔵にはいろいろ置いてあるんじゃから、覚えがないのも当然じゃろうが?…確かに蔵にあったもんじゃぁないがの〜、カカカッ!真剣なんじゃから本気じゃ。一刀、お前の覚悟………見せてみいッ!!」

 

 一刀は静かに刀を抜く。

 

 同時に視界に入る刀の銘。

 

 見慣れた位置にある、見覚えのある銘。

 

 近代最強も真剣の小太刀と長刀を手に一刀と対峙する。

 

 一刀はギュッと握り慣れた刀を握りしめ、構えた。

 

 

 

 

 

((平原北国白勇|・・・・・・))を。

 

 

 

 

 

 外史で一刀が振るっていた愛刀、平原北国白勇。

 

 なぜここにあるのか?

 

 光の反射や、長さなども微妙に違う。どうやら、知らない内に幾度となく鍛え直されたようだ。そもそも、こいつは泰山の神殿に残ったままのはずだし、ボロボロになっていたはずだから仮にどういう形でこの世界に来たとしても、鉄屑と大差ない状態のはずだ。

 

 つまり、誰かが回収して鍛え直したことになる。

 

 思い浮かぶのは、世にも恐ろしい筋肉達磨だ。いや、あいつには色々感謝はしてるんだぞ?一応な?でもまあ、あいつならやりかねないとも思う。

 

「今一つ集中できておらんようだの、一刀。理由はその刀か?それはこの間妙な骨董品屋で気に入って買ったもんじゃ、蔵には確かになかったぞ?」

 

「妙な骨董品屋?」

 

 まさか貂蝉の奴が…ッ!?

 

「たしか『HI★MI★K?』とかいう妙な店員がおる店じゃ。なんとなく一刀に似合うと思うて衝動買いじゃわい!カカカッ!」

 

 ………なぜだろう?猛烈に違う気がする。

 

 残念だが、そのことに思考を割く時間は与えられなかった。

 

 祖父はひとしきり笑った後、一言「やるか」とだけ言って静かに目を閉じ………開いた。

 

 ただそれだけで、場が支配されるのがわかる。

 

 それは、先日の焼回しにも似た光景。

 

 先日と何が違うか…それを明確に言葉にできる人間は少ないことだろう。

 

 だが、一刀を愛する彼女達なら気付いただろう。

 

 一刀の父、北郷優刀でも、一刀の母、北郷夕菜でも気付いただろう。

 

 そして当然、彼の祖父、((北郷直刀|近代最強))も気付いていた。

 

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 それは一刀の目の奥にあるもの。北郷一刀は本来、誰よりも平凡で普通であることを願い、高望みをせず、いつもどこかで手を抜いて一番を取るまいとする臆病者だった。

 

 一番を取ることで目立ちたくなかった。

 

 強いことで目立ちたくなかった。

 

 勝つことで目立ちたくなかった。

 

 どちらにも突出してはいけない。それは((普通|・・))ではない。

 

 普通であることを願うという、最も普通ではない願い。だから一刀は、左慈と戦ったあの日まで、本当の意味で勝ちを得ようとしたことがなかった。むしろ全力で中間を狙ってきた。

 

 一刀が勝とうとしていたのは、拳無と戦ったあの日が最後だっただろうか?

 

 だが彼は、ある途轍もなく大きなことを成し遂げると決めたのだ。

 

 その大きな壁を超えるために、超えるべき壁は多い。

 

 親友の死という壁にようやく足をかけた彼は、選んだのだ。

 

 ((己の祖父|近代最強の剣豪))を、その最初の壁として。

 

 乗り越えたい…!

 

 その意思が確かに目に宿っていることに…そして、自分の目を片時も離さず凝視するその目に、近代最強は先日のようにはいかないことを理解した。

 

 先に動いたのはやはり前回と同じく、一刀だった。

 

 近代最強は前回と同じく動かない。

 

 そして、一刀が繰り出したのは、前回と同じ威力の亜龍逆鱗斬だった。

 

 近代最強はいささか拍子抜けしたような気がしたが、前回同様、彼の小太刀によって難なく受け流され、胴に長刀を叩きつけられようとしていた。

 

 

 

 

 ((そのはずだった。|・・・・・・・・))

 

 

 

 

 なんと一刀はその長刀を前に、前進したのだ。

 

 それは物理学…いや、理科のレベルで知られていること。

 

 長物は近距離では威力が激減する。

 

 いかにバットをフルスイングしたとしても、手元のほうにボールに当たれば飛距離が稼げないのと同じだ。

 

 たとえそれがどれほどの力であっても、全力を出し切れないならば、勝機は僅かにでも見えてくる。

 

 今回は真剣であるがゆえに前回と同じ手段を選択できないのだから、新しい手段を考えるのは当然なのだ。

 

 もっとも、同じ手を二度も相手するほど近代最強は甘くはないから、当然の帰結とも言えた。

 

 一刀は迫りくる長刀の勢いを((殺さないように|・・・・・・・))気を付けながら、側面から手刀を添え、僅かに角度をずらした。

 

 自身に被害のない、それでいて近代最強でも咄嗟には戻せない最低限度の軌道修正をかけ、刹那、一刀の生涯で恐らく最大限の思い切りの跳躍で近代最強の頭上を飛び越える。

 

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 足を斬られないための行為だったが、それでも十分近代最強の予測の外にある行動だ。

 

 四半世紀ぶりに近代最強の後ろを取った武人になった、という奇跡をみすみす手放す余裕が今の一刀にあるわけもない。

 

 一刀はこの刹那のチャンスを逃さないため、徹底的に攻勢に出ることを決めた。

 

 極端なまでの前傾姿勢で、自身のできる最速の突撃をかけた。

 

 当然死角からの攻撃にもしっかり対処されるが、それでもいい。相手の裏をかき続けることが今は大事なのだ。

 

 今はまだ((観察に徹する|・・・・・・))。

 

 倒せなくても倒されないこと、勝てなくても負けないこと、外史で徹底していたそれを、一刀は同じく徹底する。

 

 だがそれでも、蹴りや肘や拳撃、突きに斬撃に斬り返しに流しに袈裟懸けに………近代最強とここまで打ち合えているのは奇跡としか言いようがない。たとえ近代最強がいくら楽しんでいるとはいえども、当然全力ではなく、彼の実力の上限をかつて神童として名を馳せていた10歳程度のころに設定しているとは言えども、だ。

 

 既に同世代から遥かに抜きん出て、当時の師範すら圧倒していた頃………宝刀を全て継承し、北郷陽天裂斬流の実質的な師範になった頃のレベルだ。

 

 原因は、一刀の覚悟と集中力にある。

 

 一刀は極限のレベルで近代最強の動きを集中して観察し、微かな情報も逃すまいとしているのだ。

 

 そして、ようやく((拳無|親友))の死と向き合えたことで、今までにはできなかった思い切りの良さ………覚悟とも言いかえられるそれを手に入れた。

 

 しかもそれだけではない。

 

 一刀は今まで戦ってきた((思春や春蘭達|敵))や、((愛紗達|味方))…果ては((左慈や貂蝉|神仙))、 ((拳無|親友))の動きを今この瞬間までずっと思い返しながら分析し、己のものとして活用しているのだ。

 

 当然、どれもオリジナルには遥かに届かないレベルだし、あまりに不完全だ。

 

 だが、近代最強の側から見れば、一人の人間と戦っているにもかかわらず、まるで違う複数の人間と戦っているような、違和感を感じずにはいられない。

 

 近代最強はこれまでにも複数の流派を使いこなす武人とも戦ったことはあるし、複数人の師から教えを受けた影響で複数の攻撃の流れを持つ武人とも戦ったことがある。

 

 だが、近代最強にとって最も厄介だったこと、それは、((左慈や貂蝉|神仙))の攻撃の模倣だ。

 

 かつて、初めて左慈と敵対した北郷陽天裂斬流正統後継者、北郷一刀が、見たこともないと感じた流派。

 

 神仙の使う流派なのか、それとも別口の何かであるのか、それすらわからないが、彼らの動きは、確実に近代最強にとって初見の動きなのだ。

 

 しかも、古代的な中華流剣術と思われる斬撃、大槌を振るうかのごとき豪快な一撃かと思いきや、一転隠密用の攻撃と思われる特殊な足さばきで死角を狙われ、軽槍を扱うような手軽さで素早い多段突きを放ち………果ては、北郷陽天裂斬流と肩を並べた南郷陰地貫打流の拳法すら使ってくるのだ。

 

 あまりにも予想外すぎて楽しさが顔に出てしまっていた。

 

「いいのう!面白いわいのう、一刀ッ!!」

 

「行くぜ、じいちゃんッ!!」

 

 お互いの鎬を削り合いながら、力で負ける一刀は巧みに受け流し、相手の力を利用して戦っていた。

 

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 相手が威力の高い攻撃を出せば避け、あるいは軌道を反らしてできた隙を狙い、威力の弱い小技で来れば攻勢に出たように見せかけて後退し、動揺を誘って攻撃をかける。

 

 こんな細かい、姑息と言われかねない小さな技術をいくつも積み重ねていくことで、それはやがて大きな流れを作っていく。

 

 それに対して、近代最強は北郷家に伝わるある古い伝承を思い出した。

 

(……………………これはまさか、『流水制空圏』かいのうッ!?)

 

 時は遥か昔、後に戦国時代と呼ばれる時代に一人の超人がいた。それは無敵超人と謳われる無手の武人。通称『天下無敵の超人』。

 

 彼は存在そのものがあまりに超越したところにあったために、後の世にその存在を認知されることはなかったが、その卓越した武は実は多くの流派でひっそり伝えられている。

 

 そして、無敵超人が使っていたとされる百八秘儀の一つにあったとされるそれが『流水制空圏』。

 

 伝承によると、『合わさりては一つと成りて飲み込むが如く』とあり、相手の呼吸を読み、圧倒し、場を支配するという意味であると考えられる。

 

 だがそれだけであれば、一定以上の領域に達した多くの武人が実践している。

 

 絶対にそれだけではないはずだと、近代最強は遠い過去の超人に思いを巡らせて長い年月が流れた。

 

 そして今、近代最強の勘が告げている。

 

 これはひょっとして、流水制空圏の『欠片』なのではないか?

 

 これはもしかしたら、自分が考えていたよりも、とてつもない領域の技なのではないか?

 

 これはまさか…………自分は孫の素質を過大評価という名の過小評価をしていたのではないか?

 

 近代最強はある一つの可能性に気付いた。

 

 『合わさりては一つと成りて飲み込むが如く』とは、『相手の呼吸を読み、圧倒し、場を支配するという意味』だけではなく、『相手の動きに合わせて、相手の動きと一つになり、最後には相手の動きを自分の動きに合わさせるという意味』なのではないか?

 

 近代最強はあまりの突拍子のない内容に内心絶句するが、同時に納得もした。無敵などと呼ばれる存在の秘技が、凡人に読み解けるわけがない。

 

 正直、近代最強は北郷一刀を読めなくなった。

 

 北郷一刀に、偶然流水制空圏の発想に至る何かがあったのか、偶然流水制空圏に関係した才能があったのか、あるいは……………………偶然天下無敵の超人に匹敵する原石であったのか、それすら定かではないが、それでも胸の内で一つの決意を抱くには十分だった。

 

(どうやら………まだまだ死ねんようだわいのうッ!!)

 

 近代最強は、幾度目になるかわからない一刀の斬撃を流しつつ、頬の肉が吊り上るのを止めることができなかった。

 

 だが対する一刀は焦っていた。

 

 何度切り込んでも掠りもしないどころか、あまつさえ自分の方か削り殺されているのを感じている。

 

 一刀は流水制空圏という概念を知らない。

 

 しかし、今の自分の状態に関しては当然把握している。

 

 今一刀は、自分の神経を極限まで集中させて、近代最強の一挙手一投足を観察しつつ、次に起こりうるあらゆる状況と対抗策を練り上げ、過去に相対したありとあらゆる武将や神仙の技を道場に来るまでは全力で道場に入ってからは((片手間で|・・・・))解析しつつ自身の動きに取り込んで、なんとか均衡状態を保っている。

 

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 だが、そんな状態で長く持つはずもない。どんな人間でも集中力には限界というものが存在する。

 

 正直なところ、持久戦になった段階で、既に一刀に勝ち目はほぼなくなっていると言っていい。

 

 体力でも知力でも、一刀は近代最強に遠く及ばない。そんなことは双方にとって、もはや確認の必要もないほどに当たり前な事実だ。

 

 つまり、一刀が勝つためには、どこかの段階で瞬間的に、いずれかの能力で近代最強を上回る…つまり短期決戦に持ち込むのがベストだったのだ。

 

 初撃…つまり亜龍逆鱗斬からの流れで、思春の隠密技と星の軽槍捌きを掛け合わせた、今一刀にできる最速の一撃でもって決するのが当初の最良プランだった。

 

 防がれる可能性も当然低くない。むしろ絶大なほどに高い。

 

 だから一刀はそこから他の武将達の技を取り入れつつ、奇怪な技の組み合わせでもって、近代最強を翻弄して、どこかで瞬間的に超えようとした。

 

 予定通りのことは進んだ。それら全てに欠片の戸惑いもなく対応されていたことを除けば。

 

 思考に僅かに足を取られ、微かに回避行動が遅れた。その代償として、右頬を僅かに、皮二枚分ほど切り裂かれ、一筋の赤い軌跡が頬を彩る。

 

 だが一刀にはそれを拭う余裕などない。

 

 今はまだ辛うじて均衡状態を保っている。

 

 だがそう遠くないいうちに手を打たなければ、この程度の((小技|・・))などあっさりねじ伏せられる。

 

 当然既にいくつか手を打ってあるし、いくつも試しているが、どれもいい感触はない。

 

 当然だ。あるわけがない。

 

 今度は鈴々と春蘭の模倣技で上段から一撃叩き込もうとするも、これはどこかで見たことでもあったのか、比較的軽くいなされる。

 

 わかっている。だからこそ………………………………………………………………………………………………だからこそ、その((次|・))を求めたのだ。

 

 体力でも知力でも近代最強に遠く及ばないのならば、近代最強に近く((及ぶもの|・・・・))はなんだ?

 

 ((準ずるもの|・・・・・)) はなんだ?

 

 ((比肩しうるもの|・・・・・・・)) はなんだ?

 

 ((超えるもの|・・・・・))は、一体………なんだ?

 

 そして一刀はそれを知っている。

 

 近代最強を打倒しうるそれは、一刀の中に確かに存在していた。

 

 それは、現代においては、そうそう手に入らないもの。おいそれとは手に入れてはいけないもの。

 

 それは、近代最強・北郷直刀が持っていない、唯一のもの。

 

 手に入れられる可能性のあった時代は既に、遠い昔に過ぎ去っている。

 

 北郷一刀がたった一つ、北郷直刀を確実に超えている、 ( (唯一無二のもの|・・・・・・・))。

 

 北郷一刀がただ一つ、北郷直刀と絶対に隔絶している、 ((単一無類のもの|・・・・・・・))。

 

 たとえ今この瞬間、北郷直刀がそれに気付こうとも、絶対に届かない遥か向こう側の果てにあるもの。

 

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それは……………………((実戦経験|・・・・))。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 一刀は貂蝉の踏込と翠の下段切り上げを組み合わせて、ようやく直刀を一歩下がらせることに成功した。

 

 このとき、直刀の前髪が数本舞い散ったように見えたのは、一刀の願望から来る幻想だったのかもしれないが、一刀の中に希望を芽生えさせるには十分な出来事だ。

 

 そう、((北郷直刀は第二次世界大戦に参戦していない|・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・))。

 

 そして、((北郷一刀は三国時代を乗り切っている|・・・・・・・・・・・・・・・・・))。

 

 両者のその違いは小さく、そしてとてつもなく大きい。

 

 第二次世界大戦と三国時代では、戦争の性質そのものも違っている。

 

 しかし、死線を潜り抜けた人間とそうでない人間とでは違いすぎる。

 

 かたや、三国時代の大陸を平定し、世界の命運を賭けて神仙との戦いに挑んだ((大陸の王|天の御使い))。

 

 かたや、数多の武人と試合ってはいても、死合ったことはなく、世界の命運ほどに重いものを背負って戦いを挑んだことがあるわけでもない((一般人|・・・))。

 

 恋と同様に次元の違う才能を持っているとは言えども、戦場を知らない((一般人風情|・・・・・))に後れを取るほど、((北郷一刀|天の御使い))の戦場は軽くない。

 

 ((北郷一刀|天の御使い))の戦場は、どれほど才能に恵まれた力量を持とうとも、((手加減をした一般人|・・・・・・・・・))が生き残れるほど低い次元ではないのだ。

 

 体を軽く後ろにそらし、眼前からおよそ((数ミリもの距離|・・・・・・・))を直刀の長刀が通り過ぎる。

 

 確信と共に言い切れる。

 

 ((北郷直刀は甘い|・・・・・・・))。

 

 これがもしも一刀ではなく、愛紗や鈴々、いや外史組の誰であったとしても、今の一撃なら終わっていたはずだ。

 

 だが終わらなかった。

 

 その理由は断じて実力の不足ではないし、決して手を抜きすぎているからというわけでもない。

 

 この試合は((試合|・・))なのだ。((死合い|・・・))ではない。

 

 だからと言って、最後の一歩を踏み出せるか踏み出せないかでは大違いだ。

 

 それは人を殺したことのある人間と、人を倒したことしかない人間の隔絶した差なのだ。

 

 そしてそれは……………本来北郷一刀が最も欲しくなかったものだった。

 

 右へ…左へ…上へ…下へ…不規則に軌道を変えて斬りかかる一刀に、もはや最後の一歩を踏み出す覚悟を問う必要などどこにもない。

 

 相手が祖父でも…いや、祖父だからこそ((安心して|・・・・))殺しに行けるのだ。

 

 なぜなら、絶対に死なないだろうから。

 

 そして、最悪の場合でも今の一刀なら寸止めできるからだ。

 

(………ここだッ!!)

 

 ここにきて、事態が動いた。

 

 さすがにこれの事態は、直刀も想像していなかったのか、顔中に驚愕の色が広がり、刹那の間体が動きを鈍らせた。

 

 亜龍逆鱗斬を放って、事態を動かした側の一刀は間に合ったと心の中で酷く凶悪にほくそ笑んだ。それは、まるで外史の戦場でのように。

 

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 北郷直刀の左手に持つ小太刀が、音を立てて折れたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 一刀は別に黙って長期戦に甘んじていたわけではない。

 

 武将達の戦い方の解析の合間にも、目の前の敵の観察と解析だって当然続けていた。そして気付いた。北郷直刀の戦闘の癖を。

 

 刀というものは、漫画やアニメで語られるほどに丈夫なものではない。どれほどの名刀でも、何度も使えば折れるし曲がるし斬れなくなる、長物の欠点だ。

 

 外史にいた時は、なぜか無敵なほどに丈夫な武器ばかりで驚いたが、この世界にはそれはない。

 

 そして、相手が((必ず防御時に小太刀を使う癖がある|・・・・・・・・・・・・・・・・))と知っていれば、そこにダメージを集中させることも難しくはない。

 

 一歩踏み出す。

 

 少なくとも、今の一刀にはまだ、刹那の隙でも見逃せる余力はない。

 

 今の一刀にできる限りの最良角度で逆袈裟懸けに切り上げる。翠の“((白銀錦槍|はくぎんきんそう))”のように。

 

 直刀は半歩引くことでこれを避ける。

 

 避けられるのに気付く少し前に、上半身を僅かに前に出し、次の一撃の体勢をさりげなく整える。

 

 今の一刀にできる限りの本気の本気で多角的に連撃を出す。鈴々の“((猛虎粉砕撃|もうこふんさいげき))”のように。

 

 直刀は長刀と折れた小太刀でその全てを受け止める。

 

 連撃の中、呼吸の間合いを見て、腰を落とし高さを調節する。

 

 今の一刀にできる限りの高速で各急所へ突きを繰り出す。星の“((蒼竜紅牙|そうりゅうこうが))”のように。

 

 直刀は小太刀だったものを投げ捨て、両手で長刀を持ち、受け流した。

 

 直刀が突きを上へ流し、長刀が僅かに下がったタイミングで一刀は直人の直上に飛び上がる。

 

 今の一刀にできる限りの照準で直刀の頭上から平原北国白勇を撃つように突く。紫苑の“((曲張比肩|きょくちょうひけん))”のように。

 

 さすがに生涯初となる直上からの突きに、直刀は長刀をかなり本気に近い力で振るってその一撃を弾く。

 

 直刀の背後に着地した一刀は、着地の勢いを殺さぬまま体の倒れる角度を最低限だけ調整して前進の糧とする。

 

 今の一刀にできる限りの覚悟を乗せて………過去を乗せて、平原北国白勇を突き出す。

 

 

 

 

「劣化…天沼矛ッ!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

あの日、一刀が敗北した技…拳無の“((無手天沼矛|むてあめのぬぼこ))”のように。

 

 辛うじて反応が間に合い、切っ先同士がぶつかり合う。

 

 長刀は音を立てて折れ、平原北国白勇は北郷直刀の喉元に静かに突きつけられていた。

 

「…………見事じゃ、一刀。これは儂の負けじゃわいのう。」

 

 満足げに笑う祖父に、一刀には現実味がなかったが、ひとまず刀を下ろすことにした。

 

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「ようやくここまで来たか。本当に、お迎えの方が先に来ることも覚悟しとったくらいじゃわい!」

 

 カカカッ!っと夜にもかかわらず大きな声で………いや確かに比較的静かだけど?皆寝てるんだからさ!

 

「一刀よ、儂に常識なんか通用するわけないじゃろうが?むしろちゃんと声が響かんように抑えとるじゃろうが?」

 

「抑えてるとか、そういう問題じゃねーけど…平常運転で嬉しいよ、コンチクショー。」

 

 さすがに俺は常識をわきまえてるから夜は静かにする。

 

 いやだからさ?その好々爺というか、孫の成長を縁側で見守る爺さん的な目で見るなよ。ものすごく似合わないからさ。

 

「さて?一刀、お前に聞きたいことと、場合によっては話しておきたいこともある。」

 

 僅かに身じろぎして座りなおした祖父が、仕切り直しと言わんばかりに姿勢を正して威厳をあらわにした。

 

「お前に聞きたいことは二つあるが………まず、お前は昼間、どこで何をしておった?」

 

 ………うん、いきなり核心をついてくるのはいつも通りだ。でも、気付くの早くね!?

 

「…拳兄のところに、久しぶりに挨拶に行ってきた。」

 

 ここ数年間、本当はいつもそう回答しているべきだった。本当はそうできているべきだったのだ。

 

 今なら言える。胸を張って………は、無理だ。

 

 なにせ、ここまで時間がかかったのだから、胸を張るというのは無理があるとしか言いようもない。いくらなんでも恥ずかしすぎる。

 

「なんじゃ一刀、お前は『あっち』に行ってきたのか?婆さんは元気じゃったか?」

 

「行ってないっ!まだしばらくは予定ないからっ!」

 

 何を縁起でもないことをこのジジイはッ!笑ってんじゃねぇッ!

 

「冗談じゃ。だがのぉ〜…まさかとは思っておったが、『南郷の里』に行っておったのか?」

 

「ああ。」

 

 また笑ってる。しかも今回はどこか安心したみたいな笑い方だし…。この笑い方は苦手だ。どこかこそばゆいと言うか、外史で会った村のお爺ちゃんお婆ちゃん達を思い出す。

 

「では………………お前には言わなくてはならんことがある。」

 

 先程まで浮かべていた笑みを飲み込むように俯き、顔を上げたじいちゃんは、深い決意を抱いた目をしていた。

 

 この目を俺は知っている。

 

 水関で俺達の前に立ちはだかった華雄が、華琳を助けたいと助力を求めてきた春蘭達が、叛旗を翻した冥琳と自ら戦うと引かなかった蓮華が、そして………泰山で頂上を目指した俺達自身がこの目をしていた。

 

 絶対に、何があろうとも退かないという重い決意を抱いた人間の目だ。

 

「北郷陽天裂斬流正統後継者((候補|・・))、北郷一刀。心して聞くがよい。これは、北郷陽天裂斬流と南郷陰地貫打流の長い因縁の根幹であり……………そして、南郷一族壊滅の原因につながる内容じゃ。」

 

「南g…って、えっ…?」

 

 北郷陽天裂斬流と南郷陰地貫打流の長い因縁の根幹…?南郷一族壊滅の原因だって……??

 

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「いや、ちょっと待った!じいちゃん!南郷一族壊滅の原因って、水難事故だろッ!?」

 

 間違いない。これはじいちゃんだけじゃなく、警察の人からも聞いたし、ニュースにもなってた。

 

「違う。南郷一家水難事故は、事実を隠すための隠れ蓑じゃよ。」

 

「隠れ…蓑?」

 

「そうじゃ。最初から話そうかいのう?まずは………北郷陽天裂斬流と南郷陰地貫打流についてじゃ。この二つの流派が、同じ起源を持っとるのは知っとったか?」

 

「あ、ああ。確か、流祖が同じ師匠についてたんだよな?」

 

 俺は動揺を何とか押しとどめながら、記憶の奥底にしまっておいた言葉を引き上げた。細かい背景は知らないが、確か教えられた内容はこうだったはずだ。

 

「それは正解でもあるが、半分だけじゃ。北郷陽天裂斬流の流祖、北郷真刀。そして南郷陰地貫打流の流祖、南郷拳聖。彼らは師、((四天拳刀|してんけんと))の実子なのじゃ。」

 

「は………?」

 

 いきなりすぎる爆弾に、俺の思考は早くも停止寸前だ。

 

 当然だ。まだ『候補』だとはいえ、仮にも北郷陽天裂斬流の正統後継者に、北郷本家の直系の血統に、そんな重要な真実が隠されていたのだから。

 

 だが、それを知っていてなお北郷直刀は説明を続けた。

 

 元々、四天拳刀には4人の子供がいた。2人は武に優れた才を示し、2人は知に優れた才を示した。そして四天拳刀は、その両方に非凡な才を持っていた。

 

 四天拳刀は子を良く愛し、子も四天拳刀を良く愛した。

 

 だからこそ、四天拳刀は4人の我が子にそれぞれの才に応じて、自らの持つものを分け与えた。

 

 4人の子はやがて成人し、それぞれ東郷、西郷、南郷………そして北郷の名を与えられた。

 

 東郷は戦略に秀で、西郷は政略に秀でた。南郷と北郷は武に秀で、1人は拳を、1人は刀を手に、腕を磨いた。

 

 まもなく四天拳刀が病死し、4人は朝廷に仕えた。

 

 しかし、南郷と北郷には気がかりなことがあった。

 

 かつては最強の武人の一角として名を馳せていた四天拳刀を自分達は成人前に、つまり四天拳刀が病を患う前に越えてしまっていたのだ。

 

 自分達がもしも力を合わせて悪事を働けば、それはおそらく、この国は大きな被害を生むことになるだろう。

 

 彼らは知っていたのだ。自分達の力が世界を救うことも、世界を壊すこともできる可能性すらも孕んでいるということを。

 

 そして、その選択をするのは自分達ではなく、自分達の子孫達であるということに彼らは危機を感じていた。

 

 たとえどれほどの聖人の子であったとしても、それが悪人にならないという保証はない。

 

 そして彼らは考え、決めたのだ。

 

 敵になろうと。

 

 心強い味方ではいずれどちらかが道を踏み外した時、両方が踏み外してしまう。

 

 だが強大な敵なら?

 

 相手を牽制しあいながら、程よく均衡を保ってくれるのではないだろうか?

 

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 そして、南郷と北郷は仮初めの敵対関係を作った。

 

 次代を担う子供達にはまだ真実を告げたまま、その次の代からは本当の敵対関係を築き、しかし決して争わず、殺し合わず、互いが存続する形で。

 

 だが、彼らにも予測できないことがあった。

 

 それぞれの一族に与えた役割が、図らずも敵対関係を強固なものにしてしまったのだ。

 

 北郷陽天裂斬流の役割はこの国の『武』であり続けること。

 

 この国の敵を排除し、朝廷を守護し、奉ること。

 

 そして、南郷陰地貫打流の役割は、((人間を守り続けること|・・・・・・・・・・))。

 

 あらゆる((人ではないもの|・・・・・・・))から人間を守り、((人類の敵を未来永劫排除し続けること|・・・・・・・・・・・・・・・・・))。

 

「((人ではないもの|・・・・・・・))?」

 

 ここまで黙って聞いていたものの、その言葉は流石に聞き流せなかった。なにせ、一刀は既にその言葉が当て嵌まりうる存在に出会い、そして戦った。

 

「この世界には、様々な存在がおる。人、動物、植物…そして、肉体すら持たぬ存在、悪霊やら鬼やらと言われとるやつじゃ。……詳しくまでは、儂も知らぬがのう。」

 

 ここで彼は、とても疲れた顔をした。

 

 もしかしたら、北郷と南郷を和睦させた遠い昔を、回想しているのだろうか?

 

 話は続いた。

 

 南郷の子孫は北郷の子孫に嫉妬した。

 

 人間を相手にしている北郷よりも、南郷はその役割の性質上、代替わりが激しい。

 

 そして、北郷は役割の性質上、公に功績を認められやすく、逆に南郷はどれだけ強大な化け物を倒そうと、日の目を見ることはなく、どれだけの犠牲を出そうも、決して報われない。

 

 なぜ同じ起源を持ち、一部では凌駕もしている南郷がこれほどの冷遇されなければいけないのか?

 

 それはやがて、北郷と南郷の間に横たわる大きすぎる溝として確立していった。

 

 南郷は武家にも嫉妬の念を抱いていたが、同じ起源をもつ北郷に深くその念を抱いた。

 

 やがて、退魔師が歴史の表からも裏からもから姿を消し、陰陽師達もその多くが継承者を失っていく中で、南郷は代替わりが激しいながらも確かに存続していた。

 

「そして儂は、そんな悲しい歴史を知った時、なんとかしたいと思った。」

 

「つまりそれが………。」

 

「そう、北郷と南郷の和睦じゃ。時に一刀、最後に拳無君に会った日を覚えておるか?」

 

「えっ?あ、うん。それはもちろん。」

 

 突然に質問されたから驚いたが、忘れるはずもない。そもそも、そこに苦しんでたのに忘れるはずもない。

 

「あの日………実はあれが今生の別れになるかもしれぬと、儂らは…いや、お前以外は全員知っておったのじゃ。」

 

「はい…………………?????」

 

 開いた口が塞がらない。

 

 先程からのとんでもない発言で、いい加減思考が停止していてもおかしくないこの状況下で、更にこの男は爆弾を落としたのだ。

 

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 あの日が最後だと拳兄は知っていた?

 あの日勝ち越してそのままいなくなるかもしれないと知っていた?

 あの日再戦の約束が果たせないことを知っていた?

 

 様々な思いが去来する中、一刀は同時に納得もしていた。

 

 あの日に限って、自分しか知らない、とっておきの場所を教えてくれた。…いつもはあまり教えてくれないのに。

 あの日に限って、北郷と南郷について、仄めかす様なことも言っていた。…いつもはあまり話したがらないのに。

 そして何より………あの時の彼の目が、どこまでを見渡しているのかもわからない遠い目が……………それを事実だと雄弁に語っているように思えたのだ。

 

「南郷一族が何と戦って壊滅したのか………それは儂も知らん。どうやら相討ちだったようじゃ。拳雷殿は『もしも自分達が敗北したら、必ず伝えるように手は打っておく』と言っておった。そして………『もしもの時が来たら、どうか共に戦ってはくださいませんか』ともな。もちろん儂は頷いたし、むしろ可能ならすぐに参戦したいと願い出たくらいじゃ。」

 

「でも今じいちゃんがここにいるってことは………?」

 

「ああ、断られたわい。『それは本当に最後の最後の選択肢とさせてください』とな。一族の長としての立場もあったのじゃろうし、拳雷殿自身の矜持の問題であったのかもしれん…ひょっとしたら、最悪の場合の保険だったのかもしれんがの。」

 

 重々しく語る祖父、北郷直刀の顔に刻まれた皺が、一層濃くなったような気がしたのは、おそらく気のせいではないのだろう。

 

 この男の性格上、絶対に食い下がったのだろうし、梃子でも動かないほどの覚悟でもって話し合ったはずだ。それでも彼は今ここにいる事実を、後悔し続けているのだろう。

 

 そして…あの拳雷おじさんが、保険としてでも北郷を頼る動きをしていたというのなら、それはもう…人間の手に負える次元ではなかったのではないだろうか?

 

「これが…お前に話さなければならん全てじゃ。そして聞きたい。一刀、お前はこの先どうしたい?北郷陽天裂斬流を継ぐか?それとも…己の道を切り開き、己の道を行くか?」

 

 ああ…だからか、と北郷一刀は納得した。

 

 この男は…北郷直刀は今日この日を待っていたのだ。((北郷一刀|俺))が((南郷拳無|親友))の死を乗り越え、手加減しているとしても自分を倒してくれる日を。北郷陽天裂斬流の継承資格を持つものが現れてくれる日を。

 

 なぜなら一刀の父、北郷優刀は武の才を一切持ち合わせておらず、本来なら、もっともそれを残念に思っていたのは間違いなく彼…北郷直刀のはずだ。

 

 それでも彼は我が子を愛していたし、子のために一族・流派に関連するすべての敵対者を完膚なきまで叩き潰した。

 

 一刀は憧れていた。我が子のためにすべてを賭けて戦えるこの男に。一刀が人生で最初に憧れた人物………多くの子供と同じくそれは、どれほどの逆風の中でも自身の道を踏みしめて進んでゆく父であり、強く優しく誰より高い頂を見据えて登ってゆく祖父だった。

 

 ………照れくさいから、口に出すことはないが、その程度で色あせるような安っぽい感情ではない。

 

 一刀は静かに目を伏せてすぐに目を開く。

 

 答えなど決まっている。どれほど悩んでみても、何度自身に問いかけてみても、どこまで未来を見据えてみても、どれも同じ答えしか出てこなかった。

 

「じいちゃん………俺の話も聞いてくれるか?」

 

「聞いとるのは儂じゃろうが?」

 

 そうだったな…この人には聞いてもらいたいし、話さないなんて不義理できるわけない。

 

 さあ、始めよう。

 

 ((北郷一刀|俺))の、((大陸の王|天の御使い))の求めた、この世界の本当の第一歩のために。

 

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「やれやれやな…ホンマ、けったいなことに巻き込まれる体質になってもうた思うわ。」

 

 ちょっと用事で外に出てみたらこれや。夜にコンビニ行くくらい普通ちゃう?現代人やったらこんくらい日常茶飯事やろ?

 

「でもまぁ…見過ごすことなんぞ、できひんわなぁ〜?」

 

 どう見ても怪しい一団。しかもどうも、なんとなくやけど、ものすご腹が立つ。今おる場所もそうやし、ついでにまるで自分の書いたラブレターの内容にケチでもつけられたような気持ちになる………意味不明とかいう声が聞こえたけど、無視やッ!わかり難かったらパンツを前後ろ逆にはいて学校に来てもうたん気付いてんのに、わざわざ体育の着替えで気ぃ付いた奴に指摘されるような気持ちとでも思っとけッ!

 

「はぁ〜〜〜〜〜〜………………。」

 

 彼は心から深い溜息を吐く。そうして少しでも胸の奥のもやもやを吐き出したかった。

 

 『どこのラノベや…』と呟きそうになるのをグッと我慢して、気配を消して移動し、やがてちょうどいい場所を見つけて、バレないように手早く登る。

 

「こんな夜中に何やっとるんや、お前ら?」

 

 まるで普通に声をかけるように、手近にあったちょっと高い木の上で満点の砕けた月をバックにドドーンッと聞こえてきそうなジョジョ立ちで登場―――ッッ!!

 

 やっぱこれ、ものすご大事やろ?ほらあいつら、驚きのあまり身じろぎもできてへんわ!

 

「かずピーの家の前で何しとるんや?なんか用事かいな?けったいな白装束集団ちゃん?」

 

 彼は…乃川は、親友の家の前に蠢いていた白装束の怪しい集団にとりあえずケンカを売ることにした。胸の内側に感じる、謎の熱い感情に突き動かされるように。

 

 その感情の大半が、親友のための与り知らぬ義憤で占めていることに、気付かぬまま。

 

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あとがき

 

どうも、心は永遠の中学二年生です。

 

遅くなって本当に申し訳ありません!

 

前回の訂正版から一か月、訂正前からすると三か月…!?

 

心から申し訳ありません!

 

どうでしたでしょう?冗長に書きすぎですよね…。

 

今回は前回の戦闘描写から描写方法を変更してみたのですが、思いのほかダメっぽい気がしますね…。

 

どこから設定持ってきたかは…ご存知の方もいらっしゃるかと思われますが、史上最強な武術家的な、某日曜日に連載されていたあれです。M大先生、応援してます!でも打ち切り的なのは勘弁です…!!

 

予定では、もうそろそろ完結です。

 

 

 

ちなみにイメージソング考えてみました!

題名のすぐ下にキャッチフレーズ的なものを、その下にイメージソングを書いてます。

調子に乗って、公式にまで手を出してます。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

○終端の果てに紡ぐもの

 もうあなたがいなくても、私はあなたに愛を捧げる

 『鏡の闇を穿ちて/KOKOMI』

 

○乗り越えなければならないもの

 俺はそれでも皆といたい

 『僕たちの行方/高橋瞳』

 

○無印(黎明の御使い)

 俺は何も知らないまま、救世主になった

 『PHANTOM MINDS/水樹奈々』

 『鏡の森/片霧烈火』(泰山戦にぜひとも挿入していただきたい曲)

 

○蜀(約束の御使い)

 記憶にない、あの日の約束を守るために、俺は行く

 『Legend/山本美禰子』

 

○魏(枷鎖の御使い)

 支えよう…たとえこの身が朽ち果てようと

 『幻想の城/kala(Angel Note)』

 

○呉(承継の御使い)

 命を背負って前に進む…これから先も…永遠に…

 『River of No Return/Taro Iwashiro』

 

 

 

呉だけ尋常じゃなく重い…!?

 

レッドクリフ、大好きです!

 

選曲から読み取られるものも多いかと思いますが、名前の通り重度の厨二病です!!

 

選曲は曲の雰囲気と言うより、歌詞のほうで選んでる率が高いです!

 

短編2つ書きかけなので、いつか…できれば近いうちに公開したいです。

 

ではまた〜ノ

 

 

説明
いつも以上に遅くなって申し訳ありません!!

今回は色々詰め込んだ回です。

心から色々低レベルな完成度と思っていますが、どうかお納めください。
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