英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク 改訂版 |
〜女王宮・テラス〜
「それっ!!」
「!!」
戦闘開始早々シェラザードは鞭を振るったがロランス少尉は側面に跳躍して回避し
「魔神剣・双牙!!」
「せいっ!」
レンが遠距離から放った衝撃波は金色に輝く魔剣で斬り裂き
「させんっ!!」
「うっ!?」
オーブメントの駆動を始めたクローゼには剣から発生させた竜巻――――零ストームを放ってクローゼを怯ませると共にオーブメントの駆動の駆動を止め
「―――シャープネス!!」
「―――瞬迅爪!!」
「せいっ!」
「キャアッ!?」
譜術によって筋力が上がったエステルの突進攻撃を剣を一振りして弾いた!
「ジーク!!」
「ピュイ!」
「!!」
そしてクローゼの指示によって突進して来たジークの突撃をロランス少尉は顔を僅かに横に逸らして回避したその時
「二の型・改―――疾風追連!!」
「ほう……」
レンが電光石火の速さで詰め寄って斬撃を繰り出し
「爪竜連牙斬!!」
「………」
さらに踊りを舞いながら二振りの小太刀を繰り出し、ロランス少尉は繰り出される刃を次々と弾き
「―――翔月双閃!!」
「甘いっ!」
「キャッ!?」
最後に繰り出した二振りの小太刀で月を描いたその時、ロランス少尉は剣を振るってレンを吹っ飛ばし
「や〜!ブルーインパクト!!」
「!!」
クローゼが放ったアーツによって地面から発生した水のエネルギーを側面に飛んで回避し
「えいっ!アースランス!!」
「やあっ!エアストライク!!」
「せいっ!!」
更にエステルが発動したアーツによって発生した地面から生えてきた大地の槍を側面に飛んで回避しながら自分に向かって来たシェラザードが放ったアーツによる風の弾丸を剣で斬り裂いた!
「―――魔狼の咆哮!ブラッディハウリング!!」
「な―――ぐあああああああああああっ!?」
エステル達の連携攻撃を無効化したロランス少尉だったが、エステル達の連携攻撃の合間に詠唱を終わらせたアリエッタが発動した譜術によってロランス少尉を中心に発生した広範囲の暗黒の咆哮に呑みこまれ、悲鳴を上げながら傷ついた!
「グッ………さすがはかの”七の導師(セブンスフォンマスター)”の守護者。凄まじい威力の法術だ。―――シルバーソーン!!」
そしてダメージから立ち直ったロランス少尉はオーブメントを駆動させた。するとロランス少尉のオーブメントに付けてある駆動の速さを大幅に速くする漆黒のクオーツが反応し、一瞬でアーツが発動し、後衛にいるアリエッタを除いたエステル達を囲みこむように突如銀色の楔が天より降り注いだ後、楔についている宝石が怪しい紫色の光を放った!
「キャアアアアアアッ!?」
光に包みこまれたエステル達は悲鳴を上げ
「命を照らす光よ、ここに来たれ!ハートレスサークル!!」
アーツによるダメージを受けたエステル達を癒すかのようにアリエッタが発動した譜術によってエステル達の頭上から聖なる光が降り注いでエステル達の傷を回復した。傷が回復して立ち直ったエステル達は攻撃を再開しようとしたが予想外の所から攻撃が来た。」
「ク、クローゼ!?それにシェラ姉も!どうしちゃったの!?」
「……!―――どうやら今のアーツを受けて混乱しちゃったみたいよ!」
それぞれの武器を繰り出して攻撃して来るクローゼとシェラザードにエステルが戸惑っている中、焦点があってない二人の目を見て混乱状態に陥っていると判断したレンは攻撃を回避したり相殺しながら助言した。
「あ、あんですって〜!?攻撃と同時に混乱させるようなアーツ、知らないわよ!?」
「レンだって、知らないわよ!とにかくアーツで二人の混乱を治療するわよ!」
「了解!」
そしてエステル達は混乱して攻撃して来るシェラザードとクローゼの攻撃に対処しながらオーブメントを駆動させ始め、その隙にロランス少尉がアリエッタに詰め寄って来た。
「フッ、守る者がいなければ術者の脅威性は一気に薄れる。」
アリエッタに詰め寄るロランス少尉は口元に笑みを浮かべたが
「尊貴なる光の斬撃、不滅の悪も圧倒する!―――ブレードロール!!」
「何ッ!?」
アリエッタの周囲に現れた光の剣が詰め寄って来るロランス少尉を斬り裂くかのようにアリエッタの周囲を薙ぎ払い、攻撃に気付いたロランス少尉は後ろに跳躍して回避した。
「ピコハン!!」
更にアリエッタが詠唱無しで譜術を発動するとロランス少尉の頭上から突如玩具を思わせるような小さなハンマーが現れた後高速で落下してロランス少尉の頭にピコっと可愛らしい音を出して消えた。
「グッ!?」
しかし可愛らしい音を出した事とは裏腹に、ロランス少尉の脳に気絶してもおかしくない強い衝撃を与え、脳から伝わって来る強い衝撃にロランス少尉は呻き
「ピコハン!ピコハン!ピコハン!!」
「チッ、無詠唱かつ発動が早いとは厄介な………!」
頭上から連続で次々と高速で落下して来る小さなハンマーを脅威と思ったロランス少尉は連続で何度も後ろに跳躍して次々と落ちてくる小さなハンマーを回避し、その間にエステルとレンは状態異常を回復するアーツ――――キュリアをシェラザードとクローゼに放って二人の混乱状態を回復した。
「手間をかけさせてしまったわね……」
「す、すみません。」
「ううん、気にしないで!まさかさっきのアーツにあんな効果があるなんて、予想もしていなかったし。」
「うふふ、ここから反撃開始ね♪」
自分達が足手纏いになった事に悔しそうにしている二人を慰めるかのようにエステルは苦笑しながら言い、レンは口元に笑みを浮かべてロランス少尉を見つめた。
「やれやれ……少々本気を出す必要がありそうだな。ハァァァァ……!」
一方ロランス少尉は剣に膨大な闘気を溜め込み
「アリエッタだって本気、出しちゃうんだから………!」
アリエッタは膨大な魔力をぬいぐるみに溜め込んで天へと掲げた。するとアリエッタを中心に魔力による衝撃波が発生し
「終わり!イービルライト!!」
掲げた人形から極太の魔力エネルギーがロランス少尉を襲い
「むんっ!受けて見ろ、荒ぶる炎の渦を!―――――鬼炎斬!!」
ロランス少尉は剣を振るって炎の斬撃波を放ち、放たれた斬撃波は真っ直ぐに向かって来る極太のエネルギーとぶつかり、互いの攻撃を相殺した!
「ほう、今のを相殺するか。」
奥義を相殺された事にロランス少尉は感心し
「うふふ、ここからが反撃の時間よ♪フゥゥゥゥ………ハッ!!」
レンは気功技―――軽功で自らの身体能力を上昇させ
「漲(みなぎ)れ!――――柔招来!!」
エステルは闘気を溜め込んで解放し
「レン、行くわよ!!」
「ええっ!!」
レンと共に上昇した身体能力でロランス少尉に詰め寄って攻撃を繰り出した!
「空破――――」
「!!」
一瞬で詰め寄って来て突きを繰り出したレンの攻撃をロランス少尉は防ぎ
「絶掌撃!!」
「させんっ!」
更に背後に回って繰り出された突きもすぐに反応して防いだ!しかしその時ロランス少尉の側面からエステルの強烈な突きが繰り出されると共に鞘に一旦小太刀を納めた後両手に闘気を溜め込んだレンの拳が繰り出された!
「兎迅衝!!」
「剛烈破掌!!」
「ガッ!?」
力を一点集中させた突きと拳を叩きつけられた際に解放された闘気の爆発を同時に受けたロランス少尉は勢いよく吹き飛ばされて壁にぶつかった!
「クッ、やるな……!」
壁にぶつかった際に伝わって来た衝撃に呻くロランス少尉が立ち上がったその時
「逃がさないわよ!ヴァリアブルトリガー!!」
「グッ!?」
既に銃を装備したレンが正確無比な狙撃でロランス少尉に追撃を叩き込み
「今よ!―――エアリアル!!」
「何っ!?クッ……!」
シェラザードが発動した竜巻のアーツに呑みこまれて怯み
「ブルーインパクト!!」
「グッ!?」
更にクローゼが発動した水のエネルギーのアーツはロランス少尉にダメージを与えると共に回転し続ける竜巻と同化して水の竜巻と化して竜巻の刃でロランス少尉の全身を傷つけながら身体をずぶぬれにし
「―――出でよ、雷の鉄槌!スパークウェブ!!――まだ!プラズマウェイブ!!」
その瞬間を狙っていたかのようにアリエッタは水の竜巻の中心部に放電する雷の球体を現させ、更に駆動を終えたオーブメントで雷を走らせるアーツを放って水の竜巻に叩き込んだ!
「があああああああああああああああああっ!?」
全身ずぶ濡れのロランス少尉は放電する雷撃や雷撃が混じった水の竜巻による相乗攻撃によって身体や傷口から感じる凄まじい電気ショックに耐えられず、悲鳴を上げて怯んだ!
「今よ、レン!」
「ええ!行くわよ、エステル!」
そしてエステルの叫びに呼応して武器を双剣に変えたレンはエステルと同時に怯んでいるロランス少尉に詰め寄り
「「せーの!!」」
「グッ……!?」
エステルは棒で連続突きを電気ショックの影響で身体を動かすことが困難なロランス少尉に慈悲もなく次々と叩き込み、その間にレンは残像を残す程の速さでロランス少尉の上下左右を駆け回ったり跳躍しながら斬撃を叩き込み
「これで決める!」
「行くわよっ!」
「ガッ!?」
強烈な打撃と斬撃でロランス少尉を上空へと打ち上げて自分達も同時に打ち上げたロランス少尉より高い位置へと跳躍した!
「黒曜の輝き、快速の槍となり、敵を討つ!デモンズランス!!」
「ガハッ!?」
そこにアリエッタが発動した譜術によってロランス少尉の周囲に発生した5本の暗黒の槍が次々とロランス少尉に刺さり
「ハアッ!ソウルブラー!!」
「や〜!ソウルブラー!!」
「グッ!?」
追撃するかのようにシェラザードとクローゼが同時に放った時の刃が次々とロランス少尉に命中した!
「麟!」
そしてロランス少尉より高い位置にいるレンは闘気を纏わせている両手に持つ武器をクロスさせて全身に闘気を纏って小さな闘気の塊になって落下して行くロランス少尉に向けて急降下し
「凰!」
エステルは闘気を全身に纏わせた事によって発生した”鳳凰”をその身に纏いながら急降下してレンと並んで大型の”鳳凰”と化し
「「天翔駆!!」」
同時に強烈な攻撃をロランス少尉の身体に叩き込んでそれぞれ地面に着地した!すると二人の闘気が爆発すると共にロランス少尉に刺さった5本の暗黒の槍が同時に爆発を起こした!
「ぐああああああっ!?グッ、まさかこれ程までとは……………!」
二人の連携奥義(コンビクラフト)――――麟凰天翔駆とアリエッタの譜術による暗黒の爆発をその身に受けたロランス少尉は信じられない表情で地面に膝をついた!
「驚いたな……。まさかここまでやるとは。」
地面に膝をついているロランス少尉はエステル達を称賛するかのように口元に笑みを浮かべていた。
「はあ、はあ……なんとか勝った〜!」
「うふふ、強かったけど所詮は一人。レン達が協力すればどんな強敵が来てもへっちゃらよ♪」
「フウ………アリエッタさんが一番の功労者ですね……」
「ええ。彼女のサポートがなければ負けていたのはあたし達だったでしょうね。」
ロランス少尉に勝利した事にエステル達はそれぞれ喜んだり安堵の表情をしていたが
「油断しないで、下さい。”剣帝”が、”この程度”で無力化できるとは、思えません……!」
アリエッタは警戒の表情でロランス少尉を睨んでいた。
「け、”剣帝”……?」
「……もしかして知り合いなのかしら?」
アリエッタが口にした言葉を聞いたエステルは戸惑い、シェラザードは真剣な表情でアリエッタに尋ね
「フッ、そう警戒しなくても先程の雷撃を受けた影響で満足に剣を振るう事もできん。」
ロランス少尉は静かな笑みを浮かべて身体を震わせながら立ち上がった!
「そ、そんな……!?」
「まだやる気なのかしら?」
倒したと思ったはずのロランス少尉が立ち上がった事にクローゼは驚き、レンは油断なく武器を構えていた。
「もうやめて下さい……私はこれ以上、人々が争い、傷ついて行く姿を見たくないのです……」
「……………………………」
そして悲痛そうな表情で言ったアリシア女王の言葉に反応したロランス少尉は黙ってアリシア女王を見つめた。
「………………………………。その瞳……なんて深い色をしているのかしら。まだ若いのに……たいそう苦労してきたようですね。」
ロランス少尉の目を見て何かを感じ取ったアリシア女王はロランス少尉を哀れんだが
「………………………………。女王よ、あなたに俺を哀れむ資格などない。『ハーメル』の名を知っているあなたには……」
「!?」
ロランス少尉の口から出た予想外の言葉を聞き、血相を変えた。
「さてと、そろそろ時間だ。お望み通り、女王陛下は返してやろう。」
「へ……!?」
「大佐を止めたければ地下に急いだ方がよかろう。もはや手遅れだろうが……。無用な被害が広がるのを食い止められるかもしれん。」
「地下に……まさか、あの場所から地下に降りたという事ですか?」
ロランス少尉の話に反応したアリシア女王は驚きの表情で尋ね
「フ……今のあなたならばその意味が嫌というほど判るはず。彼らを導いてやるといいだろう。……それでは、さらばだ。」
ロランス少尉は静かな笑みを浮かべて答えた後高度のあるテラスから飛び降りた!
「なっ!?」
「しょ、正気!?」
「諦めて自殺したのかしら?」
ロランス少尉の行動に驚いたエステル、シェラザード、レンはテラスに近づいて見下ろしたがロランス少尉の姿はなかった。
「い、いない……。池に落ちたのかな……?」
「それにしては……水面が波立っていないわ……。あの男、いったい……」
「もしかしたら落下しながらワイヤーか何かを使って別の場所から降りたかもしれないわよ。」
「…………………」
エステル達が戸惑ったり考え込んでいる中、アリエッタは真剣な表情で黙り込んでいた。
「お祖母さま……お怪我はありませんか!?」
「大丈夫よ、クローディア。乱暴なことはされていません。それよりも……」
クローゼに話しかけられたアリシア女王は微笑んだ後、今後の事を口にしようとした。するとその時
「エステル!」
「2人とも無事か!?」
ヨシュアとルークの声が聞こえた後、二人はエステル達に駆け寄り、二人に続くようにジン、オリビエ、フレン、バダック、ユリア中尉も駆け寄って来た。
「ヨシュア!?それにルーク兄も!よかった、無事だったみたいね!」
「エステルの方こそ……。リシャール大佐やロランス少尉が城内にいなかったから心配だったんだ。」
「ああ。てっきりロランス少尉辺りが俺達の方に仕掛けてくると思ったんだが、完全に読み違えてしまったぜ……」
「あの赤ヘルムならさっきまでここにいたけど……」
「え……!?」
「何っ!?」
自分達が警戒していた相手がエステル達と戦っていた事を知ったヨシュアとルークは血相を変えた。
「その手すりを越えて飛び降りて逃げていったわ。とんでもない化物ね、あれは……」
「ええ、アリエッタお姉さんの援護が無かったら、レン達が負けていた可能性が高かったわ。」
シェラザードとレンはそれぞれ自分達の力の無さを嘆くかのように疲れた表情で答え
「フッ、さすがだな、アリエッタ。」
「もう子供扱いしないで、下さい。アリエッタも立派な大人、です。」
二人の話を聞いてアリエッタの技量に感心したバダックは静かな笑みを浮かべてアリエッタの頭を撫で、撫でられたアリエッタは気持ちよさそうな表情をし
「クク、そう言っている割には喜んでいるじゃねえか。」
その様子を見ていたフレンは笑いをかみ殺していた。
「そ、そうだったんですか……。本当によかった……エステル、君が無事でいてくれて……」
「ヨシュア……」
そして自分の身を案じたヨシュアの言葉を聞いたエステルは顔を真っ赤にした。
「陛下……よくぞご無事で……」
「ユリア中尉……また会えてうれしいわ。それに皆さんも……本当に感謝の言葉が尽きません。」
「フッ、女王陛下。過分なお言葉、ありがたき幸せ。」
「お役に立てたならば幸いです。ですが、まだこれで終わりではなさそうですな。」
アリシア女王の感謝の言葉にオリビエは珍しくも殊勝な態度で受け取り、ジンは会釈をした後真剣な表情で言い
「城内の特務兵は鎮圧しましたがよくない報せが届いています。各地の正規軍部隊が王都を目指しているとのこと……。どうやら、情報部によってコントロールされているようです」
「そうですか……」
ユリア中尉の報告を聞くと表情を曇らせた。
「失礼ですが、あまり時間がありません。どうか今すぐ飛行艇でここから脱出なさってください。」
「いえ……それはできません。それよりも……どうやら大変なことになりました。何としても、リシャール大佐を止めなくてはなりません。」
「ど、どういう事ですか?」
「昨夜、大佐と話をしてみてようやく真の目的が判りました。」
「真の目的……?リベールを陰から操ることではなかったんですか?」
アリシア女王の話を聞いたヨシュアは不思議そうな表情で尋ねた。
「ええ……どうやら彼は、『輝く環(オーリオール)』を手に入れるつもりのようなのです。」
「『輝く環(オーリオール)』……。そ、それってどこかで聞いたことがあるような……」
「!!」
アリシア女王の口から出た聞き覚えのある言葉を聞いたエステルは首を傾げ、アリエッタは血相を変えた。
「古代人が女神から授かった『七の至宝(セプト=テリオン)』のひとつ……。全てを支配する力を持つといわれる伝説のアーティファクトのことですね。」
「ああ、アルバ教授が言ってた……。でもそれって、教会に伝わっているただのおとぎ話なんでしょう?」
「「………………………………」」
そしてヨシュアの説明を聞いて完全に思い出したエステルはアリシア女王とアリエッタに視線を向けたが、二人はそれぞれ重々しい様子を纏って黙り込んでいた。
「え……」
「その様子からすると、どうやらその『輝く環(オーリオール)』って古代遺物(アーティファクト)がリベールに実在しているのですね……それもこの王城のどこかに。」
二人の様子を見たエステルが呆けている中、フレンは真剣な表情で尋ねた。
「古き王家の伝承にはこうあります。『輝く環、いつしか災いとなり人の子らの魂を煉獄へと繋がん。我ら、人として生きるがために昏(くら)き闇の狭間にこれを封じん……』」
「七耀教会も大体同じような内容の伝承が、伝わって、います。」
「この言葉は、代々の国王への戒めとして伝えられてきました。おそらく『輝く環』と呼ばれる何かはその危険性ゆえ、王家の始祖によって封印されたのだと推測できます。そして、王都の地下から検出された巨大な導力反応……。この2つを結びつけて考えたら……」
「王都の地下に『輝く環』が封印されている……。そう考えるのが自然でしょうね」
「ええ……。大佐もそう考えたのでしょう。『輝く環』がどういう物なのかは伝承にも残っていませんが……。もし、蘇らせてしまったら大変なことが起きるかもしれません。それこそ過去に起きたという伝説の『大崩壊』に匹敵する……」
「『七の至宝(セプト=テリオン)』は、他の古代遺物(アーティファクト)と違って、一つでも存在すれば、世界を変えると言われるほどの、古代遺物(アーティファクト)、です。」
「そ、そんな……」
アリシア女王とアリエッタの口から出た壮大な話にクローゼは不安そうな表情をし
「おいおい……とんでもない話になって来たな……」
「参ったわね、こりゃあ……」
「―――だが、リシャール大佐達がまだ手に入れていないのなら、間に合うはずだ。」
「問題はリシャール大佐達がどこにいるか、ね。」
ルークとシェラザードが疲れた表情をして今後どうするか考え込んでいる中、バダックの話を聞いたレンは考え込んでいた。
「あ、あの女王様!ロランス少尉は『地下に行け』と言ってましたけど……。あれってどういう意味なんでしょう?」
「このグランセル城には不思議な部屋があるのです……。特に何も保管されていないのに昔から立入禁止とされた場所……」
「あ……」
「宝物庫のことですか!?」
アリシア女王の言葉から心当たりを思い出したクローゼとユリア中尉はそれぞれ声を上げ、その場にいる全員は宝物庫へ向かった。
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