ポケットモンスター トライメモリーズ 第16話
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第16話:ムロジム!格闘対決!

  

この町にジムがあることを知り、クウヤはさっそくジムへ向かった。

しかしジムリーダーは留守にしており今そのジムリーダーがいるというムロ海岸へ来ていた。

 

「さて、ジムリーダーはどこにいるんだ?」

 

実際そこまでそれっぽい人を探すが、サーフィンしてる人ばかりが目に入る。

すぐに関係ないと目を反らし、とりあえず大声を上げて再び捜索開始。

 

「おぉ〜い! ムロジムのリーダーさんや〜い!

いるんなら出てきてくれ〜〜〜!

オレはチャレンジャーだぜ〜〜〜!」

 

「やだぁ、なにあのこ」

「下品に大声で叫んじゃって」 

「しかもジムのチャレンジャーですって・・・?」

 

「どこだ〜〜〜い!あれぇ・・・?」

 

人目も陰口にも気に留めず

――いや、気付かず、が正しいだろう――

クウヤはバトルしたいがために必死だ。

しかし、いくら探せどもそれらしき人物は見当たらず彼の必死の叫びも返事がない。

クウヤは仕方ない、とムロ海岸を出ようとするが咄嗟に呼び止められふりかえる。

そこにいたのは、体格がいい若いサーファーだった。

 

「そこの子達に聞いたぞ!

きみ、ムロジムのジムリーダーを探しているんだって?」

「あ、ああ。そうだけど」

 

それを聞いて男はやっちまった、と苦笑いする。

 

「悪いな! サーフィンに夢中になりすぎてて!」

「へっ・・・!?

じゃもしかして、あんたが?」

「その通り! オレがジムリーダーのトウキだ!

さぁどうする、早速バトルといくか!」

「いくいく! バトルする!」

 

クウヤの元気の良い返事を聞くとトウキはにっと笑いジムへ彼を案内する。

 

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辿りつきジムの中に入ると、リング形状のバトルフィールドが用意されていた。

ここでのルールは、1対1のタイマン形式だ。

 

「一発勝負だな!おもしれぇ!」

「うん、いい目だ!

オレのポケモンはこいつだ、マクノシタ!」

「アーチ、頼むぜ」

 

トウキはマクノシタ、クウヤはアーチをそれぞれフィールドに出した。

ゴングが鳴り試合開始。

 

「でんこうせっかだ!」

「つっばり!」

 

真先にでんこうせっかでつっこむもののつっぱりで弾き飛ばされひのこも簡単に回避されてしまう。

その体力とパワーを相手にしていくうちにアーチはだんだんと疲れがたまっていった。

強敵に少しずつだがクウヤも戸惑い始めた。

 

「やばいぞ、これ」

「さぁ降参するか?」

「だ、誰が降参なんてするかよ!

アーチ、ジャンプ!」

「チャ!」

 

クウヤの指示に合わせて高く飛ぶ。

 

「そこからひのこ!」

「無駄だ! マクノシタ、つっぱりで弾き飛ばせ!」

「くっ、まだまだ!

次はそこからつつくだ!」

 

その一撃はマクノシタにささる。

スピードの連続攻撃で攻めるクウヤに対しトウキは余裕の表情だ。

少し隙を見せてしまったらマクノシタのつっぱりを受けてしまう。

彼の戦い方に手加減は、ない。

 

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クウヤにとって予想外の長期戦が続いた。

 

「このままやられっぱなしで言い分けないよな!?

アーチ、頑張ってくれ!」

 

その気持ちに反発しアーチの息が上がりここまで戦ったにもかかわらずまだ攻略方法が見つからない。

 

「へぇ・・・並のポケモンならここでバテるのにすげぇ根性。

そのアチャモ、かなりタフだな。」

「・・・・アーチ・・・!」

 

クウヤはどうすればいいのか分からない様子だ。

 

「キミはどうするんだ?

アチャモの体力はもう限界、でもやる気と諦めの悪さはまだまだ健在・・・・」

「オレは・・・アーチが諦めない限りオレも諦めない!

お前もそう思ってるんだろ、アーチ!」

「チャモォォオ!!!」

 

突然、たちあがったアーチが輝き炎に包まれた。

炎が晴れたとき、そこにいたのは・・・

 

「え・・・!? アーチなのか・・・?」

「へぇ・・・」

 

たくましい姿へと成長したパートナーだった。

図鑑には『ワカシャモ』という名があった。

 

「し、進化したということか?」  

「土壇場で決めてくれるな!

でもこれでとどめといかしてもらうぜ!

マクノシタ、かいりき!」

「アーチ、でんこうせっか!」

 

アチャモの頃よりもパワーとスピードが高いでんこうせっかはマクノシタに命中しひるませる。

さらにアーチはクウヤの知らない技で追撃しマクノシタをノックアウトした。

図鑑に表示されたその技は「にどげり」だった。

 

「ま、マクノシタ!」

「やったぁー!いいぞアーチさいっこう!」

 

クウヤの勝利が、決まった。

 

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「・・・・やられたよ!

まさかあのタイミングで進化をするなんて思ってもいなかった。」

「オレも、びっくりした。

・・・・アーチ・・・・お前はいつのまにかここまで強くなっていたんだな」

「キミの気持ちがそのワカシャモに通じたんだろう。

最高のビックウェーブだった!」

 

クウヤはじっとアーチを見つめた。 

そこにいるのは今まで肩に乗せてた、あの可愛らしくて小さいアチャモではなく、隣で自分の身を預けられるような、強くたくましいワカシャモ・・・。

初めてのポケモンで初めての進化のため喜びも大きかった。

 

「クウヤくん・・・いや、クウヤ。

お前にこのナックルバッジをあげよう」

「あ・・・ありがとう」

 

呼び方が変わったことにつっこむことなくクウヤはトウキから貰ったそのバッジをバッジケースにつけるとジムを出ようとする。

 

が。

 

 

「ぶォオおォオっぉ!!!!!?」 

 

バタン!

 

「ななななんだいまの大嵐・・・・!」

「あー、すっかり忘れてた。今日は台風だ」

「さきに・・・・いってくれ・・・」

「ごめん」

 

ちょっと開けただけなのにびしょぬれになった哀れなクウヤであった

 

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その晩、クウヤはトウキと共に仕方なくムロジムの中に泊まっていく事になった。

なんとか貯蔵庫などがあり食料などの心配はなかったが 寝るとこはないため適当にマットレスや寝袋を使う羽目になった。

でもそれくらいなら、気にしない。

  

「雑魚寝でわりぃな!」

「平気へーき!

いつもこうだからすっかり慣れちまったぜ!」

 

クウヤはマットレスを敷き布団代わりにし寝袋に潜った。

ポケモンたちが自分を囲ってるため暖かい。

 

しばらく夜も更けた頃、クウヤは暗闇の中でトウキに話しかける。

 

「トウキってさ。」

「なんだ?」

「なんでジムリーダーなのにサーファーやってんの?」

 

悪いとはいわないけどさ、と言うクウヤにトウキは笑いながら返事をする。

 

「ははは・・・オレは元々サーファーだったんだ」

「そうだったのか?」

「でも、ある格闘家に会ってポケモンバトルするうちに仲良くなってさ・・・。

そいつの修行を軽い気持ちで真似したら不思議と面白いんだコレが」

「・・・軽いノリで格闘修行!?」

「ああ、最初だけな。

でもバトルでも格闘技でもオレのサーファーとしての能力がうまく生かされること、大きな影響を与える事を知ったら段々と かくとうポケモン使いの道に不思議と惹かれて進んじゃったんだ」

「・・・・・」

 

黙ってトウキの話を聞くクウヤ。

 

「そうしてバトルを繰り返したりしてくうちにジムリーダーとして認められたんだ」

「自分の特技を生かしたバトル、か」

「お前にはあるのか?」

「いや、わかんねぇ」

「ま、クウヤはその先だな。

なーに、まだ時間あるし若いんだから余裕持っちゃって良いって」

「おぅ!

・・・・ってトウキも若いっての!」

 

10くらいは離れているのにすっかり意気投合し友人同士となった。

 

  

 

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