〜夢〜為すべき事 |
一人の少女が月明かりの照らす川辺の岩に腰かけていた。
その少女は何をするわけでもなく、ただ、月を見上げていた。
その表情は、計り知れない憂いのこもったものだった。
「貴方が居なくなって、どれほどの時が経ったのでしょうね。」
少女は、その瞳にうっすらと涙をうかべながら、ポツリと呟いた。
「貴方が居ないだけでこんなにも生きることに張り合いがなくなるとは思わなかったわ。」
ポタポタと、少女の双眸から涙が零れ落ちる。
「ねぇ、一刀、貴方は約束したわよね。
どんなことがあっても私の傍らに居るって、
なのに、なのに、どうして・・・・・・」
そして、少女の瞳から止めどない涙が流れる。
「どうして!どうしてなのっ!一刀っ!
ずっと、ずっと傍にいるって言ったのに・・・・・!」
少女は嗚咽を吐きながら、ただひたすらに最愛の人の名前を叫んだ。
「一刀っ!一刀一刀一刀一刀一刀っ!かずとぉぉぉぉぉっ!」
少女の悲痛な叫びは暗い森の中に消えていった。
「ここはどこ?」
少女は気がつくと見知らぬ場所にいた。ただ、白いだけの何もない空間に・・・・・
「ここは夢の中だよ。」
少女の後ろからひどく懐かしく、愛おしい声が聞こえてきた。
「君は今、夢を見ているんだよ。華琳」
少女は恐る恐る後ろを振り返った。
「かず・・と・・・・?」
名前を呼ばれた青年は、微笑みながら頷いた。
「一刀ぉぉぉっ!」
少女は青年に抱きついた。
彼女たちはしばらく言葉を交わすことなく抱き合っていた。
「ねぇ、一刀。
貴方はここは夢の中だと言ったわね。」
「そうだよ。」
「じゃあ、貴方は私が目を覚ましたら消えてしまうただの幻影?」
「う〜ん、そうとも言えるし、そうとも言えない。」
青年は言葉を濁しながら答えた。
「曖昧ね。男ならはっきりしなさいよ。」
「俺は華琳に言いたいことがあるんだ。
もし華琳が俺の思ったとおりになっていたらね」
「それはなに?」
「華琳、今の君は覇王として振る舞えているかい?
もし振る舞えていないなら俺が消える直前に言ったことを思い出して欲しいんだ。」
「貴方が居ないことが悔しいぐらいの国を作る。というやつ?」
「そうだ。
君にはまだまだやるべき事があるはずだ。
悲しみに暮れている暇なんてないだろう?」
「そう。そうだったわね。
何をしていたのかしら。私は。
それにしても、まさか貴方にこんなことを言われるなんて、我ながら情けないわ。」
「ありがとう。一刀。」
「やっと笑顔になったね。華琳」
「ふふ、久しぶりに笑ったわ。」
「やっぱり、華琳には笑顔が似合うね。」
少女は顔を真っ赤にした。
「華琳。
俺は必ず戻るよ。
だから、待っていてくれ。」
「わかったわ。一刀。必ずよ。」
「ああっ!」
そこで、彼女は眼を覚ました。
「一刀。私の隣に見合う男は貴方しかいないんだからね!!」
・・・終・・・
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初投稿です。 感想など頂けると嬉しいです |
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コメント | ||
華琳を元気づける一刀、続くのか?(ブックマン) 次は一刀sideの話も見てみたいですね。続きお願いしますw(ディグ) さて、続きはどこかな?(伏宮真華) 続きを楽しみに待ってますぞ〜 (´・ω・`)ゞ(cheat) すがすがしい感じですね♪こーゆーの好きです(・∀・) 誤字報告「何おしていたのかしら。」→「何をしていたのかしら」ではないかな?(温泉まんじゅう) いいな〜w 再開するところが見たいです!(フィル) 夢幻なのか・・・・・それとも・・・・・・ 続編があれば良いなと思いました^^w(Poussiere) |
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真・恋姫†無双 一刀 華琳 | ||
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