ポケットモンスター トライメモリーズ 第17話 |
第17話 カイナリゾート観光
台風は一夜で過ぎ去り
ムロタウンの朝は快晴だった。
あのジム戦でクウヤと仲良くなったトウキが
彼に船を手配したおかげで昼にはカイナシティにつく
算段になっていた。
「またバトルしようぜ」
「もちろん!」
船に乗るクウヤは彼に向かって手を振る。
「じゃあなー、トウキー!」
「次のジムも頑張れよー!」
船はムロタウンを離れ、やがて島も見えなくなった。
クウヤはそれを確認して進む方向に向いた。
「次のジムはどんな奴なんだろう・・・」
「ジムはしらねぇが、この船が止まる町なら教えてやるよ」
「町?」
「カイナシティって言ってな、市場や浜辺がいつもにぎやかな
明るい町さ! 坊主みたいな元気な奴にお似合いなくらいにな」
「へぇ・・・楽しみだな!」
輝いている水面、済んだ空。
クウヤはそれだけでも期待が高まった。
一時間後、船は無事にカイナシティについた。
「じゃあな坊主!」
「ここまでありがとー!」
「本当に楽しそうな町だなー!」
カイナシティに到着したクウヤは今浜辺に来ていた。
その格好は海パンで、いつでも泳ぐ準備OKだという感じだ。
ホウエン一とまで言われるリゾート地には
人が沢山おり目の前に広がる海も美しい。
それに対しポケモン達もわくわくしていた。
「今日は思いっきり羽目はずして遊ぶぞ〜!」
「ぴっかぁ〜!」
「しゃーも」
「なくー」
いってらっしゃーいとでも言うように
借りてきたビーチパラソルの下でのんびり待っているのは
水が苦手なアーチとナークだ。
一方クウヤとピーカは海に体当たりし
おおはしゃぎであそびまくっていた。
それはもう、子どものように(実際まだ12の子どもだが)
「よーし、泳ぎの競争だー!!」
「ピッカチュー!」
段々とタダの遊びは競争にまで発展し物凄い勢いで2人(1人と一匹)は泳いで行った。
それをみアーチはあきれている。
「はぁ、ちょっと遊びすぎたぜ」
はしゃぎすぎたあまりクウヤは疲れてしまい
人込から一転して誰もいない岩場まで来ていた。
そこにはどこからか流れ着いたゴミがたまっている。
「すげぇひでぇな・・・あとでまた
アーチに全部焼いてもらうか・・・ん?」
「ひ・・・ひん・・・」
「!お、おい、大丈夫か!」
クウヤは岩を飛び移りそこで挟まって
弱ってるポケモンをなんとか引き抜いて助け出した。
「にしてもこのポケモン、なんだ?」
サカナを思わせるそのポケモンは酷く弱っており
急いでそのポケモンを抱え
仲間と荷物の元へ急いで泳いだ。
浜に上がりパラソルの下へ行くと
そのポケモンに絡まった釣り糸を必死になりほどく。
「大丈夫だからな、絶対助けてやるからじっとしてろ」
「・・・ン・・・」
「にしてもヒデェよな!
お前にこんなことするなんて許さないぜ!」
なんとか釣り糸をほどき傷薬をぬって
浅い海面にしばらく浮かべる。
少し不安だったがたちまちそのポケモンは
元気を取り戻しぱしゃぱしゃと浅瀬ではねた。
それに安心して笑うとクウヤは図鑑を開いて
そのポケモンを確認する。
「へぇ〜、お前ヒンバスっていうのか!」
「ヒンヒーン」
「みずほらしいけどしぶといって・・・この図鑑言いすぎ」
「?」
「ま、とりあえず!無事でよかったぜ」
クウヤはそっとヒンバスを撫でた。
ぬめりがなぜか気持ちよく感じる。
撫でられているヒンバスも、どこか気持ちよさそうだ。
クウヤは閃いたようにリュックを開けると
以前デボンの社員から貰ったポロックケースを取り出し
自分のポケモン含めみんなに食べさせた。
その中でも青いポロックを気に入りヒンバスは
無我夢中で食べる。
「うまいか?」
「ひぃん」
「そっか!よかったよかった!」
元気を取り戻したヒンバスに対し無邪気に笑う。
「おい、ぼーず」
「でさ、お前どこから」
「おい!」
「わっ!?」
突然突き飛ばされ地面に倒れるクウヤ。
素早く体を上げると、
ヤクザのような男がヒンバスを鷲掴みにしていた。
「なにすんだよ!」
「このヒンバスはぼーずのポケモンか?」
「ちげぇけど、そういう話はどうだっていいだろ!」
「俺達がこいつを貰っていくぜ」
「その持ち方やめろ、かわいそうだろーが!」
「あぁ?やんのかゴラ」
「おぅ、やってやるぜ!
アーチ、にどげり!」
アーチの足がヤクザに当たると相手は吹っ飛ぶ。
その手から離れたヒンバスをクウヤはしっかり
抱きとめると浜辺の周辺を逃げ回り、
ヤクザもクウヤを追いかける。
「っやめろよてめぇ!
なんでこいつを・・・ヒンバスを狙ってるんだ!」
「あぁ?決まってんだろ?
ヒンバスは滅多に見られないから
金持ちに高く売り飛ばすのだ」
「そんな、馬鹿なことのために・・・」
「そいつには、それしか存在価値はねぇんだよ!
だっせぇツラしてても少ないから大事にされてるだけ、
たくさんいりゃあそいつなんかいてもいなくても
同じなんだ、みずほらしく醜い、そいつなんかなぁ!」
「ひ・・・」
「黙れぇぇえぇっ!!!!!!!」
「!?」
クウヤはその海岸にいた人全員が驚くくらい
大きい声で怒鳴った。
その顔は真剣に怒っていた。
「そんなことなんてねぇよ!
こいつにだってまだ可能性はあるしもっともっと
いいところも沢山ある!絶対!」
「ひ・・・ん・・・」
「いいとこがないって言ってる奴はなぁ!
テメェみたいな骨なし人間が言う事なんだよ!」
「なにぃ!?」
クウヤはヒンバスの目を見てとっさに
思いついたことをそのまま口にする。
「ヒンバス、オレと一緒に行こう!」
「ヒンっ!?」
ヒンバスの方もこの展開を予想していなかったため
目を大きく見開いた。
「オレが絶対にお前を強くしてやる!
お前を馬鹿にする奴を見返してやる!
だから一緒に来てくれ!」
「ひん・・・」
迷いを見せるヒンバス。
我慢の限界か、ヤクザはぶちぎれる。
「ごちゃごちゃうるせぇぞこのクソガキー!!」
殴りかかってきたヤクザに対し
ヒンバスは決意の表情を浮かべると
冷凍ビームを放ちそのヤクザを氷付けにした。
クウヤは一瞬ぽかんとしたが
すぐにアーチに指示を出しその氷の塊を海に沈めた。
「これが『簀巻きにして海に沈める』っていう
ヤクザのおきまりの技だな!」
「シャーモ」
それは違う、とツッコミを入れるアーチ。
クウヤもアーチのそんな反応に苦笑いすると
ヒンバスを見つめ直す。
「・・・さっきはありがとな、ヒンバス」
「ヒンヒン」
「もう一度聞くけど・・・お前オレ達についてきてくれるか?」
「ヒンバス!」
「・・・・必ず強くする。
何があってもお前を見捨てないし手放さないと約束するよ」
そういいクウヤはヒンバスに向けて
空っぽのモンスターボールを開く。
ボールは彼の手の中で数回揺れ止まった時、
仲間たちと笑い合う。
「今日からこいつも立派なオレ達の仲間だ、
よろしくな、ヒーン」
新しい仲間を加え今後の旅に向けて気合を入れた。
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しばらく作者の一身上の都合により更新がありませんでした、今日から更新復活させていきます | ||
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