ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜コラボ版・第二話 |
第二話「出会った友達と再会の幼馴染」
タダオがサンタローズへと続く街道を駆けていると、草むらの中から魔物が道を塞ぐかのように飛び出して来た。
『ピキーーーッ!!』
「わっ!な、何や、スライムやないか」
タダオの目の前には三匹のスライムが並んでいて、その内の一匹が睨みつけて来たかと思うと行き成り飛びかかって来る。
「何やこの位、負けへんで」
タダオは背中にしょっていたひのきの棒を掴むと一気にスライムに向けて振り下ろした。
『ピギャーーッ!!』
その一撃は"会心の一撃"と言うべき威力でスライムは地面に落ちると弾け飛び、その場所には赤い宝石が残されていた。
魔王の邪悪な波動を受けたモンスター達はその影響を受けて魔力を結晶化させた宝石をその身に宿している。
倒されて命が尽きても宝石は消える事無くその場に残り、その宝石の価値はモンスターの強さに比例してその純度を増し、強力なモンスターであればあるほどより高額で取引される。
「う〜〜ん、これなら2ゴールドって所やな」
宝石を日の光に翳しながら鑑定していると他のスライムを退治したパパスがやって来てタダオの頭を撫でる。
「中々見事な一撃だったぞタダオ、これは将来が楽しみだ」
「へへへ、照れるな。ほい父ちゃん、コレ」
少し照れながらもタダオは手に入れた宝石をパパスに渡そうとするが彼はそれに手をかざして止めた。
「それはお前がスライムを倒して手に入れた物だ。お前が持っていなさい」
「ええんか?」
「ああ、無駄遣いはするんじゃないぞ。それに……」
「それに、何や?」
パパスは厳しさと優しさの入り混じった目でタダオを見つめ、頭を撫でながら言葉を続ける。
「その宝石はお前が奪った命である事は忘れてはならん。たとえ魔物の命であろうともだ」
「……そうやな、魔物やっちゅーても生きとるんやもんな」
「分かっていればいいんだ」
宝石を袋にしまい込み、タダオとパパスは再び歩き出す。
それからも何度かモンスターの襲撃を受けるが左程大した相手でも無く、タダオも少し怪我をしたりしたがパパスのホイミによって瞬く間に治療される。
それから暫く歩いた所で遅めの昼食を取っているタダオの耳に何やらか細い声が聞こえて来た。
何処と無く、泣いている様な助けを求めている様なそんな声だ。
「どうしたタダオ?」
「何や誰かが助けを呼んどるみたいなんや」
「助けを?お、おいっ、タダオ!」
そう言うとタダオはパパスが止める間も無く走り出した。
「ピキィ〜〜、ピキィ〜〜」
『ピキャーーー!ピキャーーー!』
タダオが駆け付けた場所では一匹の小さなスライムが数匹のスライムに取り囲まれて攻撃を受けていた。
「なんちゅう奴らや、スライム同士仲間のはずやのに大勢で一匹だけを…。こらーー、やめんかいーーー!」
『ピキャアッ!?』
「ピ、ピキュゥ〜〜?」
突如、乱入して来たタダオ攻撃を受けたスライム達は一瞬たじろいだが、すぐに立ち直ると其々タダオに襲い掛かって行く。
傷付けられていた小さなスライムはそんなタダオを不思議そうに見ていた。
そんな中、攻撃を続けるタダオだが、スライムとはいえ多数が相手なので徐々に追い詰められていた。
「くそったれ、負けへんで!」
『ピキャアーーーーッ!』
「どわっ!」
背中に不意打ちの体当たりを受けたタダオは体勢を崩して倒れ、残ったスライム達が一斉に襲いかかろうとした。
(うむ、此処で限界だな)
タダオの資質を見極めようと、あえて木陰で見守っていたパパスが飛び出そうとすると"それ"は起こった。
「ピキイィィーーーーッ!」
何と、驚いた事に先程まで震えていた傷だらけのスライムがタダオを守ろうと飛び出して来たのだ。
「な、何だとっ!?」
その行動にパパスは驚き、他のスライム達も虚を衝かれたらしく、その隙にタダオも起き上がって体勢を立て直していた。
「サンキュー、助けてくれたんやな」
「ピイ、ピイ」
「よしっ、コイツらなんかワイらでやっつけたるで!」
「ピイーーーッ!」
そしてタダオとスライムは敵スライム達を迎え撃ち、パパスもその戦い振りを見て感心する。
スライムは先程までの怯えを微塵も見せずに素早い動きで敵スライム達を翻弄し、その隙にタダオが次々と倒して行くのは即席コンビとは思えない程見事なチームプレイである。
「とおりゃぁーーーっ!」
「ピキイーーーーッ!」
そして最後の一匹をひのきの棒の一撃と体当たりで倒すのであった。
「はあ、はあ。や、やったで〜〜」
「ピキュゥ〜〜」
敵スライム達を全滅させた二人は流石に疲れたらしく、そのまま地面にへたり込んだ。
「見事だったぞ、お前達」
「見とったんか、父ちゃん」
「どれ、傷を見せてみろ。《ホイミ》」
パパスの唱えた回復呪文《ホイミ》によってタダオの傷口は瞬く間に塞がっていく。
「父ちゃん、こいつも治してやってや」
「分かっている、タダオの相棒も治してやらねばな。《ホイミ》」
そう言うとパパスはタダオの傍らでへとへとになっていたスライムにもホイミをかけてやり、傷の癒えたスライムはタダオに縋り付いて甘えだした。
「もう大丈夫やで」
「ピイ、ピイ〜〜」
「わはは。無事でよかったな」
そんな光景を見つめているパパスの口元には自然に笑みが浮かんでいた。
(やはりマーサの子供だな。同じ力を受け継いでいたか)
「さあ、少しばかり遅れてしまった。先を急ぐぞ」
「父ちゃん、こいつも連れてってええやろ?」
「ああ、良いとも。タダオを守ろうと一緒に戦ってくれたのだからな、悪いモンスターでは無いだろう」
「わーーい、やったでーー!」
「ピイ、ピイーーー!」
タダオはスライムを抱き抱えて歩き出し、スライムはその腕から抜け出すと頭の上に攀じ登り、嬉しそうに声を上げる。
「じゃあ、名前を付けてやらんとアカンな。どんな名前がええやろな?」
「…トン」
「そうや!絵本で読んだ事のある剣士の名前でピエールがええな。今日からお前はピエールやで」
「ピイ、ピイ、ピイーーー♪」
「よろしくな、ピエール。ところで父ちゃん、何か言ったか?」
「い、いや。別に…何も」
「ん〜?」
「ピィ〜〜」
何故か残念そうに肩を落とすパパスにタダオは小首を傾げ、ピエールは不思議な安堵感を感じていた。
そして空が茜色に染まり始めた夕暮れ時、二人と一匹は懐かしのサンタローズへと帰って来た。
「やっと帰って来れたな、父ちゃん!」
「そうだな、タダオ」
村の入り口には見張りの村人が立っていて、二人を見つけると警戒するがそれがパパスだと気付くと満面の笑みで二人を迎える。
「パパスさん、パパスさんじゃないですか!帰って来たんですね!!」
「おお、エーじゃないか、長い間留守にしたな。これから暫くはこの村に腰を落ち着けるつもりだ」
「それは皆が喜びますよ。……それはそうと、その子の肩に乗ってるのは…スライム?」
門番のエーはタダオの肩の上のピエールを見るや否や、槍を向けようとするがパパスは笑みを浮かべながらそれを手で制す。
「心配は要らぬぞ。このスライムには邪気は無い」
「ピエールはワイの友達や。悪い事なんかせーへんから怖がらんでもええで」
「ピッピィーー」
「君は…タダオくんか、大きくなったな。パパスさんやタダオくんが大丈夫と言うのなら心配はいらないな。じゃあパパスさんが帰って来た事を皆に報告しなきゃ」
そう言うとエーは村へと駆け出し、喜び勇んで村中にパパスが帰って来た事を叫んで回った。
「おぉーーーいっ!パパスさん達が帰って来たぞぉーーーーっ!」
「お帰り、パパスさん」
「やあ、良く帰って来たな!今夜は一杯飲みながら旅の話を聞かせてくれ」
「わあーーいっ!パパスさんが帰って来たぁーーー♪」
村人達は皆笑顔で二人を迎え、パパスも笑いながらそれに応える。
そして家が見えて来ると玄関の前には執事服を身に纏った一人の男が出迎えていて、タダオの姿を見つけると両手を広げて駆けて来る。
「坊っちゃまーーーーーっ!坊っちゃん、坊っちゃんではないですか!」
「ただいまや、バーク」
バークはタダオに駆け寄ると抱きついてスリスリと頬擦りをしている。
「おお、懐かしき坊ちゃまの抱き心地。満たされます」
「うひゃあぁぁ!え、ええかげんにせんかーーーいっ!」
「そげぶっ!」
この二年間で既に枯渇していた"坊ちゃま成分"を補充していたバークは調子に乗り過ぎた為、タダオに蹴り飛ばされた。
それでも坊ちゃま成分の恩恵のおかげか直ぐに復活するのであった。
「ま、まあ留守の間ご苦労だったな、バーク」
「パパス様、このバーク、パパス様とタダオ様のお帰りを一日千秋の想いでお待ちしていました」
「うむ、心配をかけて悪かったな」
「さあ、家の中へ」
そしてパパスとタダオが懐かしの我が家へと入ると其処には真紅の髪を両側で纏めた一人の女の子が待っていた。
「お帰りなさい、おじ様」
「君は確か…」
「タダオ、私の事覚えてるでしょうね?」
「おう!もちろんやで」
タダオがそう応えると女の子は満足そうに微笑んだ。
「ただいまや、リアス!」
=冒険の書に記録します=
《次回予告》
幼馴染の女の子、リアス。
久しぶりの再会やのにやっぱり乱暴やった。
リアスの父ちゃんが病気でその薬を作ってくれる薬師のおっちゃんが行方不明やっちゅう事らしい。
よっしゃ!薬師のおっちゃんをさがして洞窟の中を探検や!
そしてワイがそこで出会ったのは……
第三話「洞窟の中の小さな冒険」
「大丈夫や、いじめたりしないで」
(`・ω・)書き換え版、二話目でした。
旧版とは違い、ピエールは倒されてから仲間になるのでは無く、最初から魔王の邪気に犯されていないと言う設定に変えました。
資質は在ったとしても今だ魔物使いの力に目覚めていない子供の頃だからこっちの方がしっくり来る感じがするのですよ。
そして、新しいビアンカ役、最初は恋姫の華淋様でしたが諸事情によりハイスクールD×Dのリアス=グレモリーに変更しました。
だって華琳様だとどうしても設定に同性愛を組み込まなけりゃ不自然になってしまうから……。
説明 | ||
スクエア・エニックスのRPGゲーム「ドラゴンクエストX〜天空の花嫁〜」を独自設定の上、キャラクターを他の作品のキャラをコラボさせた話です。 それが駄目だという方にはお勧めできません。 ※以前、同じタイトルで投稿していた作品のリメイクです。 この作品は作者のブログ「四人部屋」と二次小説サイト「Over The Rainbow 〜にじの彼方〜」にも投稿しています。 |
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