貴女が好きだから
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 貴女が好きだから

 

3月15日、今日は私の大切な恋人である高町なのはの誕生日。何とか皆で都合をつけ、翠屋で誕生パーティーを開く事が出来た。

「おめでとう、なのは」

「おめでとう、なのはちゃん」

「おめでと、なのはちゃん」

「まぁ、祝ってあげるわ。おめでと、なのは」

4人でちょっとずつ違う祝福し、

「ありがとう、みんな。私嬉しいよ」

なのはが極上の笑顔で返す。私達が贈ったプレゼントも非常に喜んでくれた。それに、いつもよりもお洒落をしているなのはは、キラキラと星のように輝いて綺麗だ。・・・見ているだけで幸せになれちゃうよ。

私が贈った白いレースのリボンも身に着けてくれていて、贈った者としては非常に嬉しい。ちょっと崩れやすいのが難点だけど、可愛らしいなのはには良く似合う。

お礼を言いながら抱きつかれた時に、ふわっと、なのはの香りがして頭がくらくらした。

うぅ、ダメダメしっかりしろフェイト・T・ハラオウン。なのははただお礼を言っているだけだ。けして、そういった意味がある訳じゃない。もう1つのプレゼントはまだ言ってもいないんだから、ばれないように気をつけなきゃ。

とっても恥ずかしいし、みんなの前だと渡せないよからね―――

 

 

      ◇

 

 

誕生パーティーが終わった後、士郎さんと桃子さんにお願いして宿泊の許可を貰った。母さん達には前もって話してあるので問題は無い

準備もバッチリ整えてきたし・・・心配は何も無いはずだ。

とても恥ずかしい事だけど、雛祭りの時はなのはが頑張ってくれたんだ。今度は私の番、勇気を振り絞って応えないとダメだ。

「どうぞ、フェイトちゃん」

「あ、ありがとう」

そんな感じで、決意を固めた私はなのはの部屋に居る。別に何かをしている訳でも無いのだけど、落ち着く場所。そして、これからの思い出も作っていく場所。

「で、でも急なお泊りだったね・・・」

「えっ?・・・もしかして迷惑だった?」

そういえば、自分の心を決めたり準備をしたりで、なのはの都合を全く聞いていなかった。

何か予定があったのかな・・・。

「ううん、全然。予定なんて無いし、フェイトちゃんが泊まりに来てくれるのはいつでも大歓迎なんだけど・・・その、ね」

チラチラと私の事を見ながら話すなのは。言いたい事があるのに言えない感じだ。

そのもじもじとした仕草さえ可愛いのはちょっと反則だと思う。私をどんどんと溺れさせていって、もう絶対に離れなくさせるんだ。・・・なのはにそんなつもりがなくても、私が絶対離れてあげないけどね。

「その・・・最近、私はフェイトちゃんの事避けてたから。時々寂しそうな顔させちゃってたし・・・嫌われちゃったかなぁって思ってたんだ」

その事ならはやてに相談して解決済みだ。むしろ原因が私にあると分かってからは、少し辛くなった。私が悪いのに、なのはに悲しい思いをさせてしまったんだから・・・。

「そんな事ないよ。なのははいつだって、私に優しいよ」

ごめんなさいと、謝るのも何だか変な気がする。だから、謝らずに応えるよ。この身をもって証明してみせるよ。

「そ、それに・・雛な祭りの時の事まだちゃんと説明出来て無いし」

何て言うか・・・素直に私がなのはに迫りました。なんて言われても困るんだけどね・・・。

でもこれ以上、なのはに気を使わせる訳には行かないな。だってそんな事の為に、時間は使いたくないから。

「なのは・・・あの時の事はもう良いの」

「え?ど、どうして?私まだフェイトちゃんに説明・・・してないよ?」

「後でね、良く考えたら・・・なのはは私に気をつかってくれたんだって気づいたんだ?」

伝えられない事実と、伝えたい気持ちを抱えたままでいるのは苦しい事だもんね。でも、もう苦しまなくて良いよ。

「甘酒で酔った私がなのはに迫って・・・でも、なのはは私の事を大切にしてくれて、その場の勢いに任せなかった」

「・・・知ってたんだ」

「気づいたのはさっきなんだけどね。でもやっぱりなのはは優しいね」

ちょっと嘘をついちゃったけど・・・コレぐらいなら良いよね?幸せになる為の嘘は優しいから。

「でもね、危ないところだったんだよ?ちょっとでも油断したら、フェイトちゃんの暖かさに溺れそうだったから・・・」

私が同じ状況だったら耐えられるかどうか分からない。・・・多分、無理だろう。愛しい人に迫られて我慢出来る程、私は強くない。

「うん。だからなんだ・・・」

「え?何か言った?」

「そんな状況を乗り切ってくれた素敵な恋人、高町なのはさんにプレゼントがあります」

ここからが勝負だ。

逃げたくなるぐらい恥ずかしいけど、2人の未来の為に必ずやり遂げてみせる。

「・・・フェイトちゃんからの誕生日プレゼントはもう貰ったよ?」

うん、リボンを贈ったよ。とっても喜んでくれたし、似合っていて、贈った私も嬉しかったよ。

でも、もう一つあるんだ。

「じ、実はもう1つあってね。わた・・・ごめん、準備するからちょっとだけ待っててね」

・・・舞台が整っていなかった。

あやうく滑りそうになった口を押さえ、私は廊下へと飛び出る。

はやての貸してくれた小説を元に、寝ないで考えた結果。私となのはが幸せになれて、なのはへのお礼も含めた最高のプレゼント。これに私の気持ちを託し、なのはに送る。

カバンの中からガサゴソと用意してきた衣装を取り出す。急いで着替えてしまわないと、誰に見つかってしまうか分からない・・・。この格好は恥ずかしいし、なのは以外には見せてあげない。

「これでよし・・・」

あちこちがすーすーして寒いけど、これも自分の気持ちを届ける為だ。

さぁ、明るく広がる世界へと運命の扉を開こう。

「お、お待たせなのは―――」

 

 

      ◇

 

 

「はふぅ・・」

思わずため息がこぼれてしまった。私、何やってるんだろう。

折角、フェイトちゃんがお泊りをしてくれるのに・・・。とっても嬉しいのけど・・・この前の事もあるし、私が理性を保てるかどうか自身が無いよ。

あれ以来フェイトちゃんの裸を、はっきりと意識するようになってしまい、中々目を合わせる事すら出来なくなちゃった。

歩み寄ろうと努力してくれているフェイトちゃんには悪いけど、今の私がフェイトちゃんと一緒にいるのは駄目な気がする。

「でも、どうすればいいんだろうね・・・」

フェイトちゃんの『もう1つのプレゼント』に期待を膨らませながらも、私はちょっと憂鬱になっていた。

傍に居ちゃダメな気はするんだけど・・・離れる事が怖い。でも、離れないといつ襲っちゃうか分からない。―――とんでもないジレンマだよ。

せめて床で寝ようかなと思っていたところ、フェイトちゃんが帰ってきた。

「お、お待たせなのは。着替えるのちょっと時間かかっちゃった」

「ううん、気にしないでって、何その格好っ・・・むぐっ」

危ない!今、滅茶苦茶危なかった!

フェイトちゃんのあられもない姿に、思わず全力全開で叫びそうになった。

「フェ、フェイトちゃん、その格好どうしたのかな・・・?」

裸身の上にリボンを巻きつけただけというその格好はとても綺麗で、神秘的なんだけど・・・正直まずい。瞬間的に血が上り鼻血が出てきそう・・・。

何とか冷静になろうと深呼吸を繰り返しても、部屋の中にフェイトちゃんの甘いにおいが充満していて逆効果だった。

「え・・・っと、その、似合わないかな?」

そんな事はありません!そんな事は無いから困ってるの!

その格好で首をかしげるなんて・・・いつ私の理性が焼ききれるかわからない。危険過ぎるよ。

「だ、大丈夫だよっ!もう今にも襲っちゃいそうなぐらいに可愛いよっ!」

滑らかな肌の上に、そっと巻いただけのリボン。胸の先端と、大事な場所しか隠していないその姿・・・必死に押し倒そうとする自分を宥めながら返事をする。

「そう、良かった」

そう言って微笑んでくれるのは物凄くうれしいけどリボンがうっすらと透けていて・・・って、あぁ、もう!フェイトちゃんが可愛過ぎるのが悪いんだからね。

それに・・・昨日私が妄想していた通りの姿をしてくれるなんて、反則だよ。反則過ぎるよ。

「なのはへの誕生日プレゼントはさっきのリボンと、その・・・」

真っ赤になって視線をあっちこっちに彷徨わせているフェイトちゃん。

もう、だめ・・・その表情はだめだってば・・・。

「わっ、私なんだけど・・・貰ってくれますか?」

この姿を可愛くないっていう人がいるなら、全力全開のスターライトブレーカーでぶっ飛ばしてあげる。

「私の初めてを・・・なのはが貰ってくれますか?」

その時、私の中で何か切れるような音がした。

ごめんなさいリンディさん、クロノ君。貴方達の大事な家族をたべちゃいます。今度、挨拶に行くので許して下さい。

「ほ、本当に良いんだね?」

暴れまわる欲望と、既に切れてしまっている理性。それでも何とか確認の言葉をかける。

「う、うん」

返事は幾分か硬いものだったけど、きっと緊張の為だろう。

「途中で絶対に止まれないよ?」

「なのはになら何をされてもいいよ」

そう言ってニッコリ笑うフェイトちゃんは天使みたいで、あどけなくて暫く見つめてしまった。・・・せめて精一杯優しくしよう。それだけを心に決め、フェイトちゃんの唇を奪う。

本人の同意を得た事もあり、これで私は最高のプレゼントを貰う事が出来る。

フェイトちゃんの唇も、フェイトちゃんの胸も、フェイトちゃんの心だって・・・全部私のものなんだ。夢じゃない、幻じゃない。そんな暖かさが私を包んでくれるんだ・・・。

「な、なのは、どうぞ。召し上がれ」

唯でさえ理性なんて飛んでいる所に、上目遣いにそんな事を言うから、一気に押し倒してしまった。

「んっ・・・」

ゆっくりと、だがしっかりと抱きしめながら・・・。

 

熱い吐息と軋むベッドの音。

恋人達の夜は更けていく―――

 

説明
魔法少女リリカルなのはシリーズより、なのフェイ 百合CPです。

「恋せよ乙女」の続編となります。
なのはの誕生日での出来事です。


また、これ以前の作品は全て続き物となっており、このSSにて完結となります。
お時間がありましたら、
【優しき閃光】〜【貴女が好きだから】の全12話をお読み下さい。
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