ポケットモンスター トライメモリーズ 第18話 |
第18話 捨てられ船の一件
クウヤがカイナにいるちょうどその頃、ラカイはムロジムに勝利しヌマクローに進化したラグジーに乗って次の町を目指し海を渡っていた。
その途中日が暮れてしまったためにあがれそうなところを発見しポケモンを出して休む事にしたのだった。
「ラグジーお疲れ!」
「まくろぅ」
傍にはキノガッサに進化したキッサのほかにも見慣れぬ新しい仲間もいた。
灰色の小柄なてんきポケモン、ポワルンだ。
「はいポワン、ウイの実!」
「ぽわっ」
このポワルンとの出会いは3日前に遡る・・・。
ラカイはカナズミジムに勝利し次のジムがあるムロタウンへいくために船に乗って海を渡っていた。
潮風は気持ちがよく、リラックスするのにもちょうどいい。
「気持ちいいわね」
「ごろろっ」
彼女に抱き上げられてご機嫌なラグジー。
どうやらラカイの事がすごく好きらしい。
「おい、あそこ!水ポケモンでもないのにあんなところに!」
「ねぇ、もしかしておぼれてるんじゃないの!?」
「え?」
人々の声を聞き海を探り溺れてるポケモンを発見した。
それを見つけた瞬間ラグジーは海に飛び込んでいってしまった。
「ラグジー!」
荒波に襲われながらもそのポケモンを背に乗せたがこのままではラグジーすら溺れてしまう。
「誰か!彼らを・・・・!」
船に乗ってる人に助けを求めるが誰も動こうとしない。
「あぁもう、なっさけないわね!」
それにいらついたラカイは自らそこに飛び込もうと足をかける。
しかし、それよりも早く誰かが2匹を海面から拾った。
「!?」
サーフボードに乗った男は私が主人だと気付いたのか、くい、と親指をムロ方面へ向けて男もそっちへ向かった。
「・・・」
その後ムロタウンでラグジーと溺れてたポワルンと再会し助け出したのがジムリーダーのトウキであることを知りジム戦の後でこのポワルンが仲間になった。
「でもなんであんなところにあなたがいたのかしら?」
「ぽわぁ」
「ま、かんがえてもしょうがないか!
今日は休んで明日一気に進むわよ」
寝袋を出したそのとき、ひそひそ話が聞こえた。
「うん?」
声が気になりそこへ向かう。
「・・・だれ?」
「・・・あなたこそ」
そこにいたのは茶髪と茶色の目のおとなしそうな男の子だった。
側にはおそらく彼のポケモンであろう、目玉ポケモンのアメモースがいた。
「ひょっとして、きみは旅のトレーナー?」
「うん、わたしの名前はラカイよ。
あなたの名前は?」
「・・・・時雨」
シグレは少々どもりながらも自分の名前を名乗る。
「シグレくん?
あなたはポケモントレーナーなの?」
「少し違う、かな。
ここにいるアメモースは、ぼくのポケモンだけど・・・」
「そうなんだ。」
少し人見知りなのかしら、と思いながらラカイはシグレと引き続き話をする。
「この船にわたしみたいなトレーナーがいることってそんなに珍しいことかしら」
「ここ・・・古いし臭いから、
きみみたいな女の子がここにいるのが少し意外だったんだ。」
「あ、そうなんだ。
でもわたしも元々ここが目的じゃなかったのよ。
今カイナシティを目指していてその途中の休憩ポイントにここを見つけたから野宿しようと思ってたの」
「・・・・そう、なんだ」
・・・会話があまり続かない。
少し気まずくなり、ラカイは自ら話題を持ち込む。
「ね、ねぇ。
シグレくんはどうしてここにいるの?
なにか調べているみたいだけど」
「・・・どうして、それを?」
「あなたの鞄からレポート用紙がはみでてるわよ。
暗くて内容は解らないけど、随分びっしりと書き込んでるわね」
「あっ・・・」
レポート用紙のことに今更気づいたのかシグレは慌てて紙をファイルに入れて鞄に押し込む。
「紙に書かれてる内容、読んでないよね」
「まさか、あれを読めるのは本当に奇跡よ」
内容が知られてないと知り、シグレは安堵の表情を浮かべその場にへたりこんでしまった。
主を心配しアメモースが彼の顔をのぞき込む。
「大丈夫」
シグレはそう言いアメモースに優しくほほえむ。
たき火をたいてると、シグレのポケナビに通信が入る。
手際よく通信にでると彼女と距離を置いて話をしていた。
「?」
彼が小声で話しているあたり、重要なことだろうから深く聞かないようにする。
しばらくして通信を終えたシグレはアメモースに呼びかけ鞄を背負って立ち上がる。
「もう行くの? 暗いわよ」
「アメモースが照らしてくれるから、大丈夫だよ。
それに、どうしても急がなきゃならない急用ができてしまってね・・・」
「そう・・・でも気をつけてね」
「あ、ありがとう」
シグレはボールからペリッパーをだしそこから飛び去っていってしまった。
「シグレくん、何者なのかしら」
「ヌマァー」
彼が飛んでいった方向を見つめ、ラカイはポケナビのタウンマップに視線を戻す。
「カイナシティ・・・か」
もしかしたら、また会えるかもしれないと思いラカイはそのまま野宿した。
夜空に染まった広く暗い海。
そこに浮かぶ岩に、不自然な機械的な扉の奥。
扉の大きさとは不釣り合いな広い空間がそこにあった。
全体は鉄で覆われてる内装の奥の部屋で一人の男と少年が机越しに話をしていた。
「今回の指揮はお前に任せた」
「はい」
「ふん、心配せずとも本来の目的を果たすなどお前にはたやすい事だ」
「そんな、ぼくにはまだまだです」
「自信を持ってもいいのだぞ・・・。
私の自慢の息子なのだからなお前は」
光の無い虚ろな目を男に向けて頷く。
「・・・それでは、失礼します。
とうさ・・・いや、リーダー。」
脳裏には昔と今で全然違う父親の姿。
自分達の間違いに気付きながらも父に怯えそれを言いだせず行動に移せないままだ。
男は部屋から去る少年の名を
『シグレ』とよんでいた。
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のろまペースの小説シリーズ。 これ64話あるんだけどね(!!! | ||
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