Dear My Friends!ルカの受難 第17話 結集する力 |
<第15話途中より抜粋>
剣術指南の、学歩とレン
フィジカル&メンタルヒーリングのリン
偽物攻略のソニカ
魔弾銃のアペンド
統括のテル
そして戦うミク、相手のルカコピー
役者は揃った。もう、後戻りはできない。
<Dear My Friends! ルカの受難 第17話 結集する力>
(アフス城内・開発武器試験場・テル側待機スペース)
さて、時間は少し戻り、ミキが医師と対峙している頃、テル側全員参加の作戦会議が始まっていた。最後の最後、EX最終戦の“ミクvsルカコピー”で、ミクが負けない為に全員の知恵と能力を結集して行われている、まさに最後の会議だった。
テル「策を練る前に、まずミクの装備をどうにかしないと行けないな」
ミク「宜しくお願いします」
レン「相手が剣士ということもあるから、そこら辺を僕と学歩さんで、やってみるよ」
学歩「短い時間で、修行を要する“剣術技能”を身につけるのは無理故、自動発動するような“魔法装備”が必要でござるな。試合中の加勢は禁止されているが、最初から持っている装備に備わっている我々の力で手助けするのは問題ないだろう」
レン「そうですね、では、アペンドさんにも協力して貰いたいです」
アペンド「“魔弾銃”を改造するんだな。それについては段階を追って改造していくことにしよう」
そういうと、ミクは携帯していた魔弾銃を、アペンドに手渡した。そして、レンは持っていた自分の“ナイフ”を取り出した。
レン「まずは、攻撃にも防御にも使えるように、魔弾銃を“銃剣タイプ”にしましょう」
アペンド「心得た」
そういうと、アペンドはナイフと魔弾銃を並べておき、手を翳して(かざして)魔力を注入した。
アペンド「合体! 銃剣タイプ変化!」
すると魔弾銃は、ナイフが合体した“銃剣タイプ“に変形したのだった
アペンド「これでOK。マスケット銃にナイフを仕込んだ物“ベヨネッタ”より小型で刀身が短いが、こちらの方が使いやすいだろう」
そういうと、アペンドは銃剣に変わった魔弾銃を持ち、レンの方を向いた。
アペンド「では、“突撃と破砕攻撃”の力をレンから魔弾銃にそそぎ込むことにする」
レン「そうだね、僕の“ブロードソード”のタイプだと、その力になるね」
アペンド「ふんっ!」
アペンドはレンの方に手のひらを翳すと、レンから黄色いオーラの球体が頭上に浮かび上がり、そしてアペンドの手での誘導により、魔弾銃に“突撃攻撃”が備わった!
レン「はぁ・・・はぁ・・・結構・・・精神力を使う・・・ものですね」
アペンド「レンの力を抜き出したからな。少し休んだ方がいい」
レン「そうさせてもらうよ」
学歩「さて、次は拙者の“斬撃攻撃と防御”の力だな」
アペンド「うむ。刀身による斬撃と、刀による防御の力だな。おそらくこちらを多く使うことになるから、学歩、少々キツイ状態になるが、覚悟は良いか?」
学歩「問題ない。やってくれ」
アペンド「ではっ!」
アペンドは魔弾銃を地面に置き、両手の手のひらを学歩に向けると、レンの時よりも強く念を込めた。すると、“濃い紫色のオーラ球”が学歩の頭上に浮かび上がり、そして、アペンドの手の誘導により、球体は魔弾銃に吸い込まれていった。
ガクッ・・・
学歩は地面に跪き、両手をついて息を荒くして、必至に耐えていた。
ミク「だ、大丈夫ですか?」
学歩「だ、大丈夫でござる。これしきの事、修行の時に比べたら・・・」
しかし、言葉とは裏腹に、学歩はかなりきつそうだった。
アペンド「学歩、もう作業は終わった。壁にもたれかかって、安静にしていなさい。おそらく力の8割は抜き取られたはずだ」
学歩「そ、そうさせてもらう」
リン「あの、私の治癒魔法ではだめなんですか?」
アペンド「ダメージではなく、“基本的なスタミナ”、なので治癒魔法は効果がないんだよ。ゆっくり休むしかない」
学歩「リンさん、本当に大丈夫でござる、ただちょっと休ませてもらうでござる…」
そういうと、学歩はエリアの奥の壁にもたれかかって座り、安静にしていた。
変形、攻撃、防御、それぞれの力を注入して、一通り改造が済んだはずの“魔弾銃”だが、アペンドは今度はリンの方を向いた。
アペンド「次はリンさん、貴方の力です」
リン「わ、私? ミクさんに自動治癒のオーラでも付けますか?」
アペンド「いや、戦士本体に自動治癒を付けるのはさすがにまずい。ユキに指摘された時点で反則負けだ。貴方には“魔弾銃”の方に自動修復能力を付けて貰います。魔弾銃は外部からエネルギーを吸収して弾丸にする能力を持っている故、エネルギーはほぼ無限だが外部環境の変化で弾丸の威力は変化する。そういう欠点部分への無限エネルギー補給ではないから、問題ないだろう」
リン「わ、わかりました!」
そういうとリンは魔弾銃の方をじっと見て、両手を翳し、黄色いオーラの球体を作って、魔弾銃にそそぎ込んだ。
リン「はぁ・・・はぁ・・・じ・・・自動修復・・・完了したわ・・・」
アペンド「君はレンの事でずっと力を使っていた。レンと一緒にじっくり休んでいて下さい」
リン「そ、そうするわ」
残りはテルとソニカとアペンド自身…
アペンド「次はソニカだ」
ソニカ「えっと、私は偽物に変身する能力だけなんだけど、“魔弾銃“に力を込めるの? 偽物指南かと思ったんだけど」
アペンド「魔弾銃の能力として貰うよ。ミク、すまないけど、ちょっと後ろを向いていて欲しい」
ミク「? は、はい」
ミクはソニカやアペンド達とは逆方向を向いた。そこにはあのルカコピーがニコニコしている光景が映っていたので、目をつむっていることにした。アペンドはソニカの耳元まで来て、コソコソと“ある頼み”を話した。
アペンド「すまないけど、もう一度ルカに変身して欲しいんだ」
ソニカ「え!」
アペンド「し! 静かに!」
ソニカ「す、すみません。でも、何でルカさんに?」
アペンド「変身した後は私が貴方から能力を抽出するから、そのまま立っているだけで良い」
ソニカ「わ、わかりました」
そういうとソニカは、ルカを思い出しながら呼吸を整えて、集中しながら力を放出すると、ルカに変身したのだった。実にこの世界に、ルカの姿をした存在が、3人もいる異常事態になった。
アペンドはソニカの方に両手の平を翳し、魔力を集中させた。
アペンド「能力抽出、ホーミングアビリティ」
すると、ソニカから緑のオーラ球体が飛び出し、頭上に浮かび上がり、そしてアペンドの手招きによって、魔弾銃にオーラを吸収させたのだった。
相当量の力を吸い出されてしまったソニカは、ルカの変身がとけて、ソニカの状態に戻り、地面にへたり込んでしまった。
ソニカ「はぁ・・・はぁ・・・・な、なるほど。力にルカの姿を覚えさせて、魔弾銃の“弾”がルカコピーに当たるようにした・・・わけね・・・」
アペンド「完全にホーミングする力ではないけど、本体への命中精度とホーミング性能をかなり高めて置いた。明後日の方向に撃たない限り、まず命中するはずだ。さすがにこの力だけはミクにはナイショにして置いた方がいいと思ってね」
ソニカ「そ、そうだな、知ったら、それこそ一発も撃てなくなるからね」
アペンド「ミク、もういいよ」
ミクはゆっくりと目を開けて、アペンド達の方を振り向いた。ソニカがへたり込んでいたので、ちょっとびっくりしてしまった。
ミク「ソニカさん、大丈夫ですか!?」
ソニカ「ああ、大丈夫だ。私の力はちゃんと魔弾銃に入れて置いたよ」
ミク「な、なんの力なんですか?」
ソニカは困った顔をしていた。しかし、すぐにアペンドが助け船を渡したのだった。
アペンド「弾丸の力の増幅だ。安心してくれ」
ミク「はぁ、そうですか。わかりました」
ソニカ(ミクさん、ごめん!)
残りはテルとアペンド自身。
テル「すまんが、私の力はアペンドの力が終わってから、最後に私自身で付与することにしたい。構わないか?」
アペンド「魔弾銃の構造はわかるのか?」
テル「これまでの事で、魔弾銃の組成の構成は理解した。大丈夫だ」
アペンド「わかった。では、次は私の力だ」
ミク「え、でも、アペンドさんの力は、4属の弾が出ることでしょ?」
アペンド「それ以外に、もう1種類、別の属性の弾が出るようにしておく」
そういうと、アペンドは地面に置いた魔弾銃に両手の平を翳し、目をつむって魔法を詠唱し始めた。
アペンド「エクステンドマジカルバレット・・・・・・システム・・・・・ブレイヴ!」
ギューーーーーーーーーン!!!!
魔弾銃は輝きながら宙に浮き、グルグル回転して、光を放ち、そしてゆっくり回転を止めながら、地面に戻ってきた。
アペンド「・・・・・・ふぅ・・・・・ミク?」
ミク「は、はい!」
アペンド「前に言ったとおり、この魔弾銃は、命を奪えない程度の火力で“火炎弾、氷結弾、電撃弾、疾風弾”の4属の弾を撃てるようになっている。火力を高めた今でも同じ」
ミク「はい、わかってます」
アペンド「それに加えて、“ブレイヴバレット”を撃てるようにしておきました」
ミク「ブ、ブレイヴバレット・・・・勇気の弾?」
アペンド「精神力とリンクさせて、あなたの“勇気”の力に比例して強くなる弾です。最初から致命傷を撃てる弾を用意したら、今の貴方では一発も撃てずに使わないで終わるでしょう。だから、あなたの“覚悟”を感じ取って、強力になる弾を用意したんです」
ミク「・・・・・・つまり、ためらわず、覚悟を決めて、勇気を振り絞って撃てば、強力な弾が撃てるようにしたんですね?」
アペンド「そう。この弾は“無属性”で、ある程度の勇気を感じ取ったら、4属をキャンセルして、この弾が出ます。ある程度の覚悟が出来た状態なら、4属で牽制をかける事は無いと判断して、そうしました」
ミク「・・・・弾の効果は?」
アペンド「爆裂弾です。相手にダメージを与える効果に特化した弾だから、相当量の勇気がいるの。だから気を付けてね」
ミク「わかりました」
そして最後、自分で力を与えると言ったテルがミクの前にやってきた。
テル「さて、最後は私の力なんだが、これは一応、君の是非を問いたい。効果を聞いた後、拒否したいなら、力を与えるのをやめておく。いいかい?」
ミク「はい、解りました」
テル「うむ、では言うぞ。私が与える力の効果は、『自分が死ななければ、相手を倒すまで戦い続ける』だ」
ミク「え!?」
テル「その銃と君の手に“魔法の鎖”を付けておき、相手に武器をはじき飛ばされても、自分が戦いを放棄して投げ捨てても、君が死なない限り、自動で手に戻ってくる効果だ。相手の剣術による“武器飛ばし”を封じる魔法だ」
アペンド「テ・・・テル! お前!」
学歩「それはいくらなんでも度が過ぎるモノでござる!」
テル「だが、ミクが窮地に立たされる事を大幅に封じる事が出来る。ルカコピーだって、相手の武器を封じる事を、まず先に考えると思う。それを封じておけば、ミクさんの武器は常に発射可能状態にあるわけだから、かなりの効果が期待できるぞ?」
レン「でも、その効果は、ミクさんへの“精神負担”が大きすぎる!」
ミクとテル以外、全員反対意見だった。確かに、この魔法はこの戦いでは酷すぎるものだった。だがマイナス要素が大きい分、利点も多い魔法である事も否めない。だから・・・
ミク「・・・・・・テルさん、お願いします、その魔法、かけてください」
アペンド「!? ミク、本当にそれでいいのか!?」
ミク「この戦いは“絶対勝たなければいけない”モノ。武器が常に手元にあるのは、大きなアドバンテージです」
アペンド「精神面、きつくないか?」
ミク「確かに私、震えてます。こんなに恐ろしいと思った事、ないですから」
学歩「それはそうでござろう」
ミク「でも、それを少しずつでも克服しなければ、目標に手をかける事すらできないんです。本物のルカだって、多分ソレを望んでいると思うんです」
アペンド「・・・・・・わかった。それだけの覚悟が芽生え始めているのなら、この魔法は効果があるな。テル、ミクさんはOKだそうだ。宜しく頼む」
テル「わかった。本当に、いいんだな?」
ミク「はい」
テル「では、魔法をかける事にする。アペンドは魔弾銃を、ミクは・・・利き手は?」
ミク「右手に持ちます」
テル「では、右手をこちらに」
サッ
アペンドは魔弾銃を右手に持って、ミクは右手をテルに向けた。
テル「では・・・・・・・・ユナイテッド!」
ギューーーーーーーン!
その魔法の詠唱が終わると、赤い光る糸が魔弾銃とミクの右手をつなぎ止め、そして糸は消えていった。
テル「終わりだ。これで君は“倒す事から逃げられなくなった”わけだ。アペンドのブレイヴバレット、私のユナイテッド、どちらも精神負担が大きい効果だ。“勝つスタンス”を常に念頭に置いて戦ってくれ」
ミク「私の心構えはわかりました。でもルカコピーとの駆け引き、つまり“戦略”はどうするんですか?」
テル「これまでの“力の付与”がされた後、つまりこれからソレをふまえて、ミク、君にアドバイスしていこうと思う。いいね?」
ミク「はい!」
こうして、武器への力の付与は終わった。そして、これから“戦略”を考える事になるのだった。
(続く)
CAST
ルカ姫、巡音ルカ(ルカ):巡音ルカ
初音ミク(ミク):初音ミク
<クリプトン(Cripton)王国サイド>
魔導師アペンド:初音ミクAppend
僧侶リン(リン):鏡音リン
勇者レン(レン):鏡音レン
<インタネ(Interne)共和国サイド>
異国の剣士 神威学歩:神威がくぽ
<アフス(A-Hu-Su)帝国サイド>
魔導師テル:氷山キヨテル
皇帝イロハ:猫村いろは
神官ユキ:歌愛ユキ
クグツロボット(コードネーム)“ミキ”の外観:miki
(ミキの中身=ミリアム:Miliam)
ルカコピー:巡音ルカ
<フォーリナー(Foriner)軍政国家サイド>
変身兵士 ソニカ:SONiKA
皇帝アル:Big-AL
重機動兵器アン:Sweet Ann
剣士レオン:Leon
圧殺兵士ローラ:Lola
導士オリバー:Oliver
拳闘士シユ:SeeU
その他:エキストラの皆さん
***
<残りのバトルアリーナの対戦カード>
EX最終戦: ミク vs ルカコピー
説明 | ||
※ごめんなさい! こちらでは、まだ2期最新話に到達してませんでした! こちらの進行度での最新話を投稿します! ☆当方のピアプロユーザーネーム“enarin”名義で書いていました、ボーカロイド小説シリーズです。第15作目の第17話です。 ☆今回は1話分を短めにした、ファンタジーRPG風味の長編です。 ☆当時は2期を意識してなかったのですが、本作は最新シリーズ“Dear My Friends!第2期”の第1期という作品になり、第2期のシナリオやカラクリに、第1期となる“本作”の話も出てきますので、これから長い長いお話になりますが、長編“Dear My Friends!”として、お楽しみくださいませ。 ☆今回はミク達の続きです。主に“武器の強化”です。 ☆かなり“覚悟のいる”力の付与ですが、ミクさんは少しずつ、その力に慣れていかなければ行けません。 |
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