英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク 改訂版
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エステル達が王都に向かっていると、突如何かの駆動音が聞こえてきた。

 

〜キルシェ通り〜

 

「あれ……これって。」

「なんだ、飛行船のエンジン音じゃねえか……ん?」

エステルの疑問に答えたフレンだったがある事に気づくと不思議そうな表情で首を傾げ、エステル達も黙り込んだがすぐに現在王国全土は導力停止現象によって飛行船が飛べない状況である事に気づいた。

「おい、まさかとは思うが……!」

「この状況で飛べる飛行船と言えば……!」

「―――”結社”の飛行船ね。」

「―――あれだ……!」

アガットやバダックが血相を変えている中、アーシアは厳しい表情で呟き、何かに気づいたヨシュアはある方向の空を見つめた。結社が保有している紅い飛行船は次々と王都に向かっていた!

 

「”結社”の飛行艇……ど、どうしてこんなところに!?」

「まずい……あの方向は王都だ!」

「冗談じゃねえ!とっとと追いかけるぞ!」

そしてエステル達は急いで王都に向かい始めた。

 

エステル達が王都付近に到着する少し前、1隻の結社の飛空艇が王都前に降り立ち、そしてそこからブルブラン、ヴァルター、ルシオラ、ユウナ達”執行者”が飛空艇から次々と飛び降りた。

「さて……それでは始めるとしようか。」

「ったく、”剣聖”がいればちったぁ楽しめたものを……。銃が撃てない兵士なんざ肩慣らしにもならねえぜ?」

「うふふ、いいじゃない。デクノボーさんたちを倒しながら歩いていくのも楽しいと思うわ。」

「では、パテル=マテルは呼ばないようにしておきなさい。皆あっという間に逃げてしまうでしょうから。」

「あら、つまらないわね。せっかくあのキレイなお城を粉々にできると思ったのに♪」

「壊れゆく美か……それもまた悪くなさそうだ。」

ブルブラン達が談笑していると、王都から王国軍が次々と駆け付けた。

 

「貴様らは”身喰らう蛇”!おのれ……この状況で飛行艇を使うとは……」

「フフ、お初にお目にかかる。我が名は”怪盗紳士”ブルブラン。」

「クク……”痩せ狼”ヴァルターだ。せいぜい足掻いてもらうぜ。」

「”幻惑の鈴”ルシオラ。短い間ではあるけど、どうかお見知りおきを……」

「クスクス……”殲滅天使”ユウナよ。みんなどんな声で鳴いてくれるのかしら?」

王国軍に睨まれた”執行者”達は次々と不敵な笑みを浮かべて名乗り上げた。

「な、名乗りとは悠長なことを……!総員構え!突撃ィィィッ!」

すると王国軍は士官の号令によって勇敢に”執行者”達に挑んだ。しかし―――

「ふふ………ゆっくりお眠りなさい………花は散ってこそ花………旋風よ、砕き散らしなさい!奥義、華散風魔の舞!!」

「クカカ………ちったあ、耐えろよ?……はっ!ふんっ!おらおらおらぁ〜っ!アルティメットブローッ!!」

「うふふ、逃げられないんだから、はぁっ!ユ・ラナンデス!!」

「グワアアアアアッ!?」

「ギャアアアアアアッ!?」

ルシオラ達が放ったSクラフトによって吹っ飛ばされ、地面に叩き付けられて二度と立ち上がらなくなった!

 

「……え。」

「―――所詮この世は夢幻(ゆめまぼろし)。」

一瞬にしてやられた部下達の様子にただ一人残った士官が唖然としていると背後にブルブランが現れた!

「ひっ……」

ブルブランに気付いて、慌てて振り返った士官は武器を構えて迎撃しようとしたが

「せめて見せてあげよう………地獄のような甘美な悪夢を………さあ、美しく散るがいい!! フハハハハハ、さらばだ!!」

「ガハッ!?」

ブルブランのSクラフト――デスマジックを受けて地面に倒れて二度と立ち上がらなくなった!

 

「チッ、雑魚どもが……」

「んもう……ちょっと脆すぎるわ。」

「ふふ……贅沢は言わないの。まあ、女王陛下の親衛隊ならば少しは楽しめるのではないかしら?」

「ふむ、そう願いたいものだな。……さて。」

ルシオラの言葉に頷いたブルブランは後ろに控えていた猟兵達と人形兵器に振り返った。

「執行者(われら)はこれよりグランセル城に向かう!諸君は予定通りグランセル市街を制圧せよ!」

「了解(ヤー)!!」

そしてブルブラン達は王都に突撃した!

 

「あ、あれは……!」

「……急ごう!」

王都前に到着したエステル達は倒れ伏した兵達に気付くと兵士達に駆け寄った。

「こ、こいつは……」

「ヒデェな……」

倒れ伏している兵達を見たアガットとフレンは厳しい表情をし

「不幸中の幸いか……全員酷い傷を負っているが生きてはいるな。」

「まずは手当てをするわよ!」

バダックは兵士達が全員生きている事に気づく、アーシアは真剣な表情で提案した。

 

「そ、その必要はない……」

するとその時倒れていた士官がよろよろと立ち上がった。

「おい、大丈夫か!?」

「あ、あんたたちは遊撃士だな……。今しがた……”結社”の執行者どもがここを通っていったばかりだ……。どうやら狙いは…………グランセル城にあるらしい……」

「やはり……」

「その他の敵部隊は市街を制圧しているらしい……。……頼む……街と城を……」

最後の力をふり絞ってエステル達に情報を伝えた士官は気絶して地面に倒れた。

「エステル……!」

「うん……!兵士さんたちには悪いけど先を急がせてもらいましょ!」

士官の想いを無駄にしない為にエステル達は急いで王都に入った。

 

〜王都グランセル〜

 

エステル達が王都に入った時には、すでにあちこちから火の手が上がり、戦場と化していた。

「ひ、ひどい……!」

「メチャクチャね……」

「クソが……!」

王都の様子を見たエステルは信じられない表情をし、アーシアは周囲を睨み、アガットは舌打ちをした。

「……来る!」

その時自分達に向かってきた人形兵器達に気づいたヨシュアは警告し、仲間達と共に戦闘を開始し、協力して人形兵器達を撃破した!

 

「はあはあ……ど、どうしよう……。こんな状況じゃいったい何をしたらいいのか……!」

「―――皆さん!?」

戦いを終えたエステルが声を上げたその時、戦闘の気配を感じ取ったエルナンがギルドから出て来て、エステル達の元に駆けつけてきた。

「エルナンさん!」

「いい所に来てくれました!女王陛下の用件で王都に来てくれたんですね!?」

「はい……状況は?」

「現在、軍の守備隊が東街区と西街区で交戦中です。かなり厳しい状況ですが今は任せるしかないでしょう。皆さんは、城に向かった執行者たちを追ってください。」

「で、でも!」

「市街の方はいいのか?」

エルナンの指示を聞いたエステルは周りを見回して反論し、フレンは訊ねた。

「この付近の街路にいた人々はギルドに避難してもらいました。他の街区でも、軍の部隊が避難誘導をしているはずです」

「そうなんだ……。……だったら申し訳ないけど城の方に急がせてもらうわね!」

「ええ、よろしくお願いします。武運を……くれぐれも気を付けてください。」

そしてエステル達はグランセル城に向かった!

 

〜グランセル城前〜

 

エステル達がグランセル城に向かったその頃、次々と兵達をなぎ倒し続けてきた執行者達が城門の目の前まで来た。

「あら……城門が閉じちゃっているわね。」

固く閉じられている城門を見て、ユウナが意外そうな表情をした。

「ふむ、旧い城のようだから人力でも開閉可能なのだろう。かなり大変ではあっただろうが。」

「ふふ……ご苦労様といったところかしら。」

「どうする?やっぱりパテル=マテルを呼ぶ?」

「おいおい。あんなデカブツ呼ばれたら俺たちが楽しめねえだろうが。ここは俺に任せとけや。」

城門の破壊方法をユウナが提案すると、ヴァルターが凶悪な笑みを浮かべて進み出た。

 

「あら………何をするつもりかしら?」

「クク……ま、見とけって。」

ルシオラに尋ねられたヴァルターは城門に手を当てると気を練り始めた。

「コオオオオオオオッ……フン!!」

気を練り終えたヴァルターが練り終えた気を解放すると城門の一枚が一瞬で瓦解した!

「わあ……!凄いわ、ヴァルター!」

「泰斗流の奥義……寸勁ね。」

「フフ……相変わらず見事な技だ。」

「ククク……大道芸みたいなもんさ。さて、もう一枚行くとするか。」

そしてヴァルターは残っている一枚の城門を破壊し、ブルブラン達と城に突入した。

 

〜グランセル城内・エントランス〜

 

一方城門が破壊される様子を親衛隊やリベール王家の者達が見ていた。

「まさか城門が……」

「くっ、もう保たんか……。クローディア!女官長!い、急いで陛下を女王宮にお連れするがいい!」

ヒルダが信じられない表情をしている中、デュナン公爵はクローゼ達に振り向いて指示をした。

「お、小父様……」

「デュナン……貴方。」

デュナン公爵が残る事を悟ったクローゼは信じられない表情をし、アリシア女王は真剣な表情でデュナン公爵を見つめた。

 

「わ、私とてリベール王家の一員だ!その権威を侵そうとする者を黙って見過ごすことなどできぬ!ユリアとレイシスがおらぬ今、ここの指揮は任せてもらおう!」

「で、ですが……」

「ええい、グズグズするな!きゃつらは、陛下とそなたの身柄を奪おうとしておるのだ!女王と王太女の身柄をな!」

「!!」

デュナン公爵の言葉によって自分が為すべき事を指摘されたクローゼは真剣な表情になった。

「今、そなたが優先すべきは陛下とそなた自身を守ること!己の使命を全うするがいい、小娘!」

「小父様……分かりました。お祖母様、ヒルダさん!急いで女王宮に向かいましょう!」

「ええ……分かりました。デュナン……くれぐれも無事で。」

「ハハ、神をも恐れぬ狼藉者、返り討ちにしてご覧に入れよう。」

「……どうかご武運を。フィリップもどうか気を付けてください。」

「お気遣い、痛み入れます。」

そしてアリシア女王達は女王宮に急いで向かった。

 

「……閣下、お見事でした。このフィリップ、今この時ほど閣下にお仕えして良かったと思ったことはありませなんだぞ。」

「ふ、ふん、大げさなヤツめ。」

アリシア女王達が去った後、自分を感心している様子のフィリップの言葉を聞いたデュナン公爵は鼻を鳴らした。するとその時、最後の城門が破壊され、ブルブラン達が城内に入って来た!

「き、来おったか……!」

「ふむ、何という鬼気……。どうやら魔人の類いのようですな。閣下……わたくしが倒されたらどうか構わずにお逃げください」

「なに……!?」

フィリップの警告にデュナンが驚いたその時、フィリップはレイピアが収められている鞘を取り出すと助走をして2階から飛び降り、執行者たちの前に立ちふさがった。

 

「フィ、フィリップ殿!?」

「あら、細目のオジサン?」

「なんだァ、てめえは?」

「デュナン公爵閣下の執事にして元・王室親衛隊大隊長、フィリップ・ルナールと申します。」

フィリップの行動に親衛隊員とユウナが驚いている中ヴァルターに睨まれたフィリップは腰に刺しているレイピアを抜いた!

「昔取った杵柄……どこまで通用するかは分かりませぬがせめて一太刀は浴びて頂きますぞ。」

「ほう……」

「はは……これは面白い!」

「フフ……少しは楽しませてくれそうね。」

フィリップの言葉を面白がった執行者達はフィリップと親衛隊との戦闘を開始した!

 

〜グランセル城前〜

 

「こ、これって……」

グランセル城に到着したエステルは破壊された城門を信じられない表情で見つめた。

「これは……多分素手で壊した跡だ。恐らく”痩せ狼”の絶招技……」

「マジかよ……」

「シャレにならないねぇな……」

ヨシュアの推測を聞いたアガットとフレンは信じられない表情をした。

 

「なんていうか……。強さの次元が違うんですけど……。……って感心している場合じゃないわ!何とか連中に追いつかないと―――」

「エステル!」

ヨシュアが警告したその時エステルたちに向かって銃弾が撃たれた。すると先を阻むかのようにグロリアスで戦った機械兵器――ペイルアバッシュが3体現れた!

「この忙しい時に限って……!」

「時間稼ぎが狙いね……」

機械兵器の登場にバダックとアーシアは厳しい表情をした。

「ブチ壊すぞ!」

そしてエステル達は機械兵器達との戦闘を開始した!

 

〜空中庭園〜

 

エステル達が機械兵器達との戦闘を開始していたその頃、執行者達は空中庭園に到着した。

「ふむ……あれが女王宮のようだ。」

「つまり終点というわけね。」

「他愛もねえ。歯ごたえがあったのはあのジジイくらいじゃねえか。」

「ふふ、確かに……中々の達人だったわね。」

「でも、ユウナたち4人相手に勝ち目があるわけないじゃない。おバカさんもいい所だわ。」

「フフ、そう言うものではない。誇り高き忠義とは彼のような者を言うのだろう。それにデュナン公爵とやらも少々噂とは違っていたようだ。」

フィリップの強さをルシオラとヴァルターが感心していた中、単独で挑んだフィリップの無謀さに呆れていたユウナに指摘したブルブランはデュナン公爵の事を想い出した。

「そうね、少なくとも放蕩者には見えなかったわ。すぐに気絶してしまったのはご愛敬だったけれど……」

ブルブランの意見にルシオラが頷いたその時

「うふふ、それでも以前と比べると見違えるように成長しているわよ?今のあのオジサンなら王族の一員として及第点をあげてもいいと思うわよ。」

何とレンの声が聞こえてきた!

「え………」

レンの声を聞いたユウナが呆けると女王宮からルーク、レン、リオン、ソフィが姿を現した!

 

 

説明
第81話
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コメント
d-sword 様 いや、あの……確かに生物兵器で気が遠くなるほど生きているソフィやテイルズシリーズに二作登場して、デスティニー2ではラスボスも撃破しているリオンと比べたらルークは弱いですけど、あの面子の中で最弱なのはレンですよ?……まあ、最弱と言ってもレンですから、既にテイルズ終盤の強さになっていてもおかしくないですが(汗)(sorano)
執行者「よし、最弱のルークから潰そう」(d-sword)
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