英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク 改訂版
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ヨシュアの先導によってエステル達はドルン達が囚われている監禁室に到着した。

 

〜グロリアス・監禁室〜

 

「みんな!」

監禁用の牢屋に到着し、エネルギー障壁の先にいるドルン達を見つけ、ドルン達の無事な様子にジョゼットは明るい表情で声をあげてドルン達の目の前まで駆け寄った。

「なっ……!?」

「ジョゼット……それに小僧じゃねえか!」

「お、お嬢!?」

「ど、どうしてここに!?」

ジョゼットやエステル達の登場にキールやドルンを始めとした空賊達は信じられない表情をしていた。

 

「よ、良かった……みんな無事だったんだね……。今、助けてあげるから待っててよ!」

「た、助けてあげるって……。……おい、ヨシュア!いったいどうなってるんだよ!と言うか、どうしてお前らまでこの浮遊都市に来てやがるんだ!?」

「うん、実は……」

訳がわからない様子のキールにヨシュアは今までの経緯を説明した。

「なるほど……そんな事があったのかよ。」

「あのなぁ、ジョゼット……。俺たちはお前を逃がすために身体を張って捕まったんだぞ?それなのにお前ときたら……」

話を聞いたドルンが納得している中、自分達が身体を張ってまで捕まった事を無駄にしたジョゼットに呆れたキールは溜息を吐いた後真剣な表情でジョゼットに説教をしようとしていた。

 

「か、勝手なこと言わないでよ!独りぼっちになってまでボクは助かりたくなんかない!兄貴たちと一緒に捕まった方がまだマシだったよ!」

「馬鹿、お前は女だろうが!少しは自分の身の安全を心配しろっての!」

「そ、そんな言い方はズルイよ!だいたいキール兄はいつも都合のいい時だけボクのことを女扱いしてさっ!」

(な、なんか……すっごく仲がいいわねぇ。)

(ふふ……ちょっと羨ましいですね。)

(うふふ、レン達ブライト家程ではないけどね。)

(そこで余計な一言を言うのはやめとけって……)

キールとジョゼットの兄妹喧嘩をエステルとクローゼは微笑ましく見守り、レンの小声を聞いたルークは呆れた表情で指摘した。

 

「おいおい、こんな所で兄妹ゲンカを始めるんじゃねえよ。ったく2人とも……いつまで経ってもガキのままだな。」

「ドルン兄……」

「で、でもよ……」

「来ちまったものは仕方ねぇ。一緒に脱出するしかねえだろう。それで小僧……どうやって俺たちをここから出す?」

「……そうだね。どうやら、このエネルギー障壁は完全にロックされているみたいだ。プロテクトを外すのは正直、難しいかもしれない。」

「……なるほどな。」

「そ、そんな……」

ドルンの疑問に答えたヨシュアの説明を聞いたキールは真剣な表情をし、目の前にいるドルン達をすぐに助けられない事にジョゼットは悲痛そうな表情をした。

「うーん、力づくでこじ開けられない?爆弾か何かを使っちゃうとか。」

「いや、このエネルギー障壁は普通の爆弾じゃ傷一つつかない。ここは、最新のセキュリティカードをどこかから調達するしかなさそうだ。」

「セキュリティカード?」

「そ、それを使えばこの障壁を消せるの!?」

ヨシュアの説明にエステルが首を傾げている中、ジョゼットは血相を変えて訊ねた。

 

「たしか、あの端末にカードを通せば障壁が解除されるはずだ。僕が潜入時に入手したものはもう使えなくなっているはずだから、最新のカードが必要だけどね。」

「な、なるほど……」

「それで、最新のカードってどこに置いてあるものなの?」

「前方区画の第二層―――前に君が監禁されていた部屋の周辺に保管されているはずだ。」

「そっか……」

「早速、調べに行った方が良さそうですね。」

ヨシュアの答えを聞いたエステルが頷き、クローゼが提案したその時

「もしくは途中で遭遇した結社の猟兵達を制圧した後猟兵達の持ち物を調べて、その時に運よくセキュリティーカードがあったら、それを奪い取れば手っ取り早くすむわね♪」

レンは小悪魔な笑みを浮かべてとんでもない提案をし、レンの提案を聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「この腹黒妹は……」

「やっている事が完全に追い剥ぎじゃねぇか……」

「……まあ、レンの提案も一理あるからもし猟兵達と遭遇して制圧した後、彼らの持ち物を調べておくべきだね。」

「ヨ、ヨシュアさん……」

エステルはジト目でレンを見つめ、ルークは疲れた表情で指摘し、レンのとんでもない提案に同意したヨシュアをクローゼは苦笑しながら見つめた。

 

「キール兄!ドルン兄!それからみんな!そういう事だからもうちょっとだけ待っててね!すぐにカードを見つけて戻ってくるから!」

「はあ……仕方ねえな。」

「小僧……それに遊撃士の嬢ちゃんたち。その跳ねっ返りが無茶をしないように頼んだぜ。」

「ああ、任せて。」

「ま、ちゃんと手綱を握っとくから安心してて。」

そして自分達を救出する決意が鈍らない様子のジョゼットを見たキールは諦めて溜息を吐き、ドルンの頼みにヨシュアとエステルは頷いた。

「ふ、ふん……。ボクなんかよりも遥かに無鉄砲なクセに良く言うよね。」

「あ、あんですって〜?」

「はいはい、その位で。―――それじゃあ、いったん出口付近にまで戻ろう。前方区画の第2層に行くには反対側にあるエレベーターを使う必要があるからね。」

「わ、分かった。」

「では、行くとしますか!」

その後エステル達はセキュリティーカードを手に入れるために目的の場所に向かい、その途中でエステルにとって見覚えがあるエレベーターを見つけたエステルは立ち止まってエレベーターを見つめた。

 

「あれ、このエレベーターって……」

「”聖堂”と”機関部”に移動するためのエレベーターだ。声紋パターンの認証を行うから”執行者”以上の者しか使えない。ここは諦めるしかなさそうだね。」

「そっか……」

「……ところで声紋パターンってなに?」

グロリアスの重要な部分に行けない事にエステルが残念がっている中、初めて聞く言葉に首を傾げたジョゼットはヨシュアに訊ねた。

「人間の声の周波数は一人一人異なっているんだ。それを機械が認識して資格があるかどうかを判別する……そういった仕掛けらしい。」

「な、なるほど……」

「わかったような、わからないような…………」

(うふふ、試してみる価値はありそうね♪)

ヨシュアの説明にジョゼットが頷いている中、あまり理解できなかったエステルは苦笑し、ある事を思いついたレンは小悪魔な笑みを浮かべた。

 

「改めて思いましたが結社の技術は凄まじいですね……ヨシュアさん、この船や人形兵器は一体誰が造ったのですか?」

「そうだね……”蛇の使徒”の一人にノバルティス博士という人がいるのだけど……結社で使われている導力機械は、その博士が率いる”十三工房”によて開発されていると聞いた事がある。」

「”十三工房”……」

「うーん……どういう人から知らないけど……その人、ラッセル博士よりさらにマッドな感じがするわね。」

(つーか、ディストかジェイドに近いんじゃねぇのか?)

ヨシュアの口から出た新たなる”蛇の使徒”の人物像を思い浮かべたエステルはジト目になり、ルークは疲れた表情で自分が知る人物達と重ね合わせていた。

「マッドというか……正直、得体の知れない人だよ。……教授を含めて”蛇の使徒”は全員そうだけどね。―――そろそろ行こう。」

「ちょっと待って。試してみたいことがあるわ。」

「へ……試すって何をする気よ。」

先に進もうとする自分達を呼び止めたレンの行動に首を傾げたエステルは不思議そうな表情でレンを見つめた。

 

「うふふ、すぐにわかるわ♪」

小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンはエレベーターに入って行き

「ちょ、ちょっと……!?」

レンの行動に驚いたエステルは仲間達と共にレンを追って行った。

「”聖堂”及び”機関部”への移動は制限されています。認証チェックを受けてください。」

レンがエレベーターを操作する装置に近づくと装置から機械的な声が聞こえてきた。

 

「No.]V―――”殲滅天使”ユウナよ。”機関部”に向かうわ。」

「――――認証しました。」

「へ……」

レンの声を聞いて反応した機械的な声を聞いたエステルが呆けたその時エレベーターは起動して下に降りた。

「うふふ、上手くいって何よりね♪」

「ど、どうなっているの!?このエレベーターは”執行者”って連中の声にしか反応しないそうなのに、どうしてその娘の声に反応して動いたの……!?」

仲間達と共にエレベーターから出たジョゼットは信じられない表情でレンを見つめた。

「……恐らくだけど”執行者”であるユウナの声紋パターンとレンの声紋パターンが一致したから起動したんだと思う。」

「え……でも先程のヨシュアさんの話では人間の声の周波数は一人一人違うとの事ですが……」

ヨシュアの推測を聞いたクローゼは戸惑いの表情でレンを見つめた。

 

「あら、忘れたの?レンとユウナは髪の色を除けば全部瓜二つよ。―――勿論声もね。」

「あ………」

「そう言えば二人は双子だったな……だからこそ動いたのか。」

自分の喉元を指さしたレンの指摘にクローゼが呆けている中、ルークは複雑そうな表情でエレベーターを見つめた。

「うふふ、それでどうする?せっかく機関部まで侵入できたんだし、置き土産にエンジンに細工をしてこの船を落とす”仕込み”をすれば、結社全体にダメージを与えられるわよ♪」

そして小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンのとんでもない提案にエステル達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「何でお前はそんな物騒な考えがすぐに思いつけるんだよ……」

「というかゼノさん達や銀さんをあたし達に隠れて合法的に雇った事といい、やっぱりあんた、あのユウナの双子の姉だけあって、手回しの良さや腹黒い事を考えたりする事も似ているわよ。」

「ハハ……今はドルンさん達の救出が先決だし、それにもしこの船を落とせば外に出払っている教授や”執行者”達がアルセイユを占領する為にアルセイユを襲撃する可能性も考えられるからそれはしない方がいいよ。」

ルークは疲れた表情で呟き、エステルはジト目でレンを見つめ、ヨシュアは苦笑しながら指摘し

「それもそうね。じゃあ、さっきの階層に戻りましょう。」

ヨシュアの指摘に納得したレンは再びエステル達と共にエレベーターに入り、装置を起動させて元の場所に戻った後エステル達に気づかれないようにさり気なく小型の機械をエレベーターの出入り口の傍に置いて探索を再開し、エステル達がそのフロアからいなくなると何と”銀(イン)”が空間から現れ、レンが置いた機械を拾って機械を起動させた。

「No.]V―――”殲滅天使”ユウナよ。”機関部”に向かうわ。No.]V―――”殲滅天使”ユウナよ。第二層に向かうわ。」

小型の機械を起動させると、レンの声が機械から聞こえてきた。

「クク、こんな物まで所持していたとはな……”天使”ではなく、”堕天使”と呼ぶべき狡猾さだな。」

レンが置いた機械が携帯の録音機であり、録音機に”蛇の使徒”や”執行者”しか起動できないエレベーターを起動させる為に”執行者”であるユウナと同じ声を持つレンがエレベーターを起動させる言葉を録音して自分への依頼の成功率を高める為に録音機を置いて行った事を悟った銀は口元に笑みを浮かべて呟いた後、エレベーターに入り、録音機を使って機関部に向かい始めた。

 

 

説明
第92話
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