寂しがりやな覇王と御使いの兄 アフター 武道大会編 4話 |
一刀「お、雪蓮やっと立ち上がったか」
華琳「一刀、七乃と七海は何を言ったの?あの雪蓮が泣くって大事件よ」
一刀「あの2人が雪蓮に言いそうな事なら、だいたい察しがつくけど……知りたい?」
華琳「・・・辞めておくわ。雪蓮の名誉の為にも、私の精神的にも、聞かない方がよさそうだもの」
華琳同様に、七乃達が言った内容が気になっていた霞や真桜といった野次馬達が、こぞって聞く耳を立てていたが・・・下手に首を突っ込んで自分に被害が来るのを恐れ、すぐさま自分の席へと戻っていった
失礼ですね〜!人を悪魔みたいに言わないで下さいよ〜
一刀「七乃、七海お帰り。上手くやってくれたみたいだね」
七乃「只今戻りました、一刀さんの制止がなければ、もうちょっと早く雪蓮さんの”説得”が完了してましたよ?」
あの時、一刀からの制止が無ければ、もっと過激かつ精神的、肉体的に追い詰めていただろう。
号泣だけで済んでよかったと思うべきかもしれない・・・?
七海「お父様!七海も頑張りました、ご褒美を下さい!具体的に言うと、閨で一夜共にするのがいいです!むしろ、それ以外のご褒美なんていりません!」
七乃「七海〜?親子でそれはダメだって前に言ったでしょ?」
七海の爆弾発言に対し、華琳が凍りつく中、義母である七乃から突っ込みが入る。意外と母親らしい事をしてるのかな?と周りが思ったのも束の間
七乃「私がその場に居る時だけ許可します」
なんでそうなるんや!と、真桜特性のハリセンを持った真桜と霞が、七乃と七海の頭をパシーンとド突く
その光景を見た周囲からは、自然と笑いが広がっていく
一刀「ほらほら、ふざけるのはお終い。雪蓮が指定位置に着いたよ」
一刀の締めの言葉で笑いはピタリと止まり、視線は闘技場に向けられた。最終確認として、涙目で指定位置に着いた雪蓮に桃香が声をかけている場面だった
桃香「え〜〜と・・・雪蓮さん、仕合再開で大丈夫ですか?」
雪蓮「大丈夫・・・始めて頂戴」
桃香「本当に大丈夫ですか?なんだか泣いてるように見えるように見えるんですが」
雪蓮「本当に大丈夫だから!お願いだから、何も言わずに始めて!」
桃香「……解りました。それでは改めて、袁術選手対孫策選手の仕合を開始します!」
『普通人』に連れて行かれた地和の変わりに、司会を務める事となった桃香は、本当に大丈夫かな?と思いつつも、『美羽』VS『雪蓮』の仕合開始を告げる。
初手を繰り出したのは、雪蓮ではなく美羽からだ
美羽「っふ!」
剣での真っ向勝負は不利と悟った美羽は開始と同時に後方に下がり、弓に矢を番えて1射、2射、3射と雪蓮目掛けて連射を放つ。
1射目は雪蓮の持つ南海覇王に、2射目は右足に、3射目は右胸に向かう。圧倒的な武の才を持つ雪蓮といえど、どれも一寸の狂いも無く自分に向かってくる3本の矢を同時に払うことは不可能・・・なのだが
雪蓮「まだまだ狙いが甘いわね!」
1射目は南海覇王で叩き落とし、2射目は靴で蹴り落とし、3射目は手で掴み、3本共完璧に防いでみせた。
すべて完全に無効化されるとは流石に思っておらず、美羽は雪蓮の身体能力に唖然とする
神弓と称される紫苑から弓の基礎を習い、秋蘭・祭・桔梗といった弓の名手からの手解きを受けた美羽の腕前は、すでに達人の域に達している。
美羽も自分の弓には自信を持っている。それゆえに、完全に防がれてしまった事で、少なからず動揺が走るも、雪蓮相手に動揺を悟らせてはならないと、すぐに次の行動に移る
連射がダメなら今度は3本同時に放つ。
いくら素早く連射したとしても、ほんの少しのタイムラグが発生する。そのタイムラグを無くすために、3本の矢を番えて同時に放つ!
今度こそ当ててみせる!そんな思いを込めた美羽渾身の一射は、雪蓮目掛けて飛んでいく
雪蓮「よっと、今のは危なかったわね。美羽の弓の腕がここまでとは思ってなかったわ」
そんな美羽の思いとは裏腹に、雪蓮は冷静に自分に向かってくる矢をすべて捌いてみせた。これには美羽だけじゃなく、弓に覚えがある将全員に衝撃を与えた。
もしかしたら・・・自分達の放つ矢も、雪蓮には通じないのではないだろうか・・・そんな考えが弓将達の脳裏に過ぎっていた
雪蓮「防がれたからって、戦いの最中にボーとしちゃダメよ!」
雪蓮の一言で、ハッと美羽は正気に戻るも、雪蓮は一瞬で距離を詰め、目前まで迫っていた。今から回避行動、もう一つの獲物である双剣を取り出している余裕は無い。弓兵が距離をつめられた時点で、どんな優秀な弓兵でも為す術がない。
それは美羽も例外ではなく、正史で小覇王と謳われた実力を遺憾なく発揮。美羽に距離を取る時間を与えないと言わんばかりに、連撃を繰り出す。
摸造刀とはいえ、雪蓮の腕力で扱えばかなりの衝撃を相手に与える。美羽は弓でなんとか防ぐも、剣同士の鍔迫り合いではない為に、美羽の手にかなりの負担を強いられる。
このまま防戦では自分の手が持たない・・・美羽は一か八かの行動に移る
桃香「おっと!袁術選手が、孫策選手の攻撃に合わせ、弓と同時に”矢”で防ぎました!」
美羽の採った行動は、防御する弓と一緒に矢で攻撃を防御する事だった。当然の如く、矢は半分に折られ、使い物にならない。この行動の意味は対戦者の雪蓮や、解説者の3人にも解らない不可解な行動だった。
雪蓮「何を狙ってるか解らないけど、こっちは攻撃あるのみ…よ!」
美羽が作戦を行う前に、それ事潰してしまえばいいと言わんばかりに、力を込められた一撃が振り下ろされる。力を込める為に、わずかだが、通常の攻撃より溜めた攻撃。美羽は雪蓮が作ったわずかな時間を見逃さなかった。
そのわずかな時間で防御の態勢を整え、雪蓮の攻撃を”受け止めるの”では無く、攻撃を上手く”往なし”、先ほど折られた矢の鏃部分を雪蓮目掛けて投擲する。
至近距離で飛んでくる鏃部分を剣で防ぐのは体勢が悪い。それに加え、まだ何か隠し持っているのではないか。そんな考えが頭を過ぎった為、大きく回避行動をとり、一度仕切りなおしを選択した
桃香「袁術選手が、先ほど折られた矢の鏃部分を孫策選手に投げつき、距離を稼ぐ事に成功しました!」
紫苑「なんの為に矢を出したのか不可解でしたが、美羽ちゃんの行動を見て腑に落ちましたわ」
冥琳「美羽の思惑通り、雪蓮と距離を取る事には成功したからな」
華陀「今まで学んできた技術、戦場で戦い抜いた経験、臨機応変に動ける柔軟さ・・・袁術の実力もかなりのものだ」
解説者全員が美羽の気転、実力を褒め称える中、華陀は険しい表情で美羽を見つめていた
美羽「はぁ…はぁ…どうじゃ雪蓮!」
雪蓮「美羽にはこの戦いで驚かされてばかりね。それじゃあ・・・次は剣と剣でやり合うわよ!」
美羽「望むところなのじゃ!」
美羽は弓から、自身のもう一つの獲物である双剣『雌雄一対の剣』の摸造刀を取り出し、南海覇王を持つ雪蓮と再び対峙する
双剣のメリットはなんと言っても手数の有利な面。1撃目で防がれても、次の1手を繰り出す速度に秀でている。もちろん、双剣を持つ者すべてが有利と言う訳ではない。どんな武器であろうと、それを使いこなさなければ宝の持ち腐れである。
美羽は一時期双剣を使っていなかったとはいえ、基礎を叩き込んだのは一刀である。天下泰平の世を迎えても、自己研鑽を積んでいた美羽は完全にブランクを無くし、更なる成長を遂げている
通常の状態ならば、充分雪蓮とも打ち合えるだけの技量を有している
”通常ならば”
美羽の異常に気がついたのは華琳だった
華琳「美羽どうしたのかしら、雌雄一対の剣に切り替えてから動きが良くなるどころか、動きが鈍くなってるわ」
なんとか打ち合えてはいるものの、打ち合うたびに顔をしかめ、物凄い汗をかいていた
華陀「……一刀、ここまでだ。医者として、これ以上は見逃せない」
一刀「あぁ。お前に任せる」
華琳が気がついたという事は、周りの人達が気がつくのも時間の問題。華陀が険しい顔をしていたのは、美羽の異常に気がついての事なのだ。
華陀は一刀の許可をとり、解説席から闘技場へと移り、仕合終了を大声で告げる
華陀「袁術!孫策そこまで!審判団の権限として、この仕合の勝者は孫策とし、終了させる!」
突然終了を告げられ、周りの観客からは何があったんだ?とザワザワし始める
華陀「袁術、お前の右腕は限界のはずだ。これ以上やれば武器を握れなくなる恐れもある。悔しいだろうが、ここは無理するな」
雪蓮の豪撃を剣ではなく、弓で防いで為に、美羽の右腕は青く貼れあがっていた。美羽は往なしていたつもりだったのだろうが、衝撃をすべて消す事が出来ず、その負担がすべて右手に集中してしまったのだ。
雪蓮は大好きの美羽との戦いに夢中で、それに全く気がつく事が出来なかった。
対戦者としてではなく、観戦者の立場なら気がつく事が出来た・・・と今言っても、何の意味もない。自分がもっと早く気がつく事が出来れば、美羽は軽症で済んだかもしれない……後悔の念が雪蓮を襲っていた
美羽「むぅ、やはり華陀には隠せないのじゃ」
華陀「気がついたのは俺だけじゃない。一刀と張勲もすぐに異変に気がついていた」
美羽「一刀にい様と七乃も・・・」
華陀より少し遅れてだが、一刀と七乃も異変に気がついていた。それでも仕合を止めなかったのは、美羽がずっと楽しみにしていた雪蓮との戦いを、少しでも長くやさせてあげたかったのだ。
そんな一刀達の心境を察し、華陀もギリギリまで黙認しいたのだ
美羽「やっぱり、一刀にい様と七乃を欺く事は出来無そうにないのじゃ。妾は華陀の審判に従うのじゃ!」
そういつつ、美羽じゃ嬉しそうな表情をしていた。美羽にとって、一刀と七乃は小さい時から育ててくれた優しい兄と姉。そんな兄姉に大切に思われる事が何より嬉しいのだ
華陀「改めて宣言する、袁術は続行不可能と判断し、勝者は孫伯符!」
観衆は実力差、怪我をしながらも、一歩も引かずに戦った美羽に、よく頑張った!と拍手が鳴り響く。
美羽は鳴り響く拍手を脊にしながら、いまだに動こうとしない雪蓮の下へと歩み寄った
雪蓮「美羽は私を責めないの?美羽の手を傷つけたのは私なのに・・・」
美羽「雪蓮を責める理由はがないしのお。怪我をしたのは、妾の実力不足。今度戦う時はもっともっと長く戦いたいのじゃ!」
美羽は怒るどころか、また自分と戦いたいと言ってくれた。それならば、いま自分が取るべき行動はただ一つ。勝者として、堂々とする事だ
雪蓮「私も、美羽と戦えて楽しかったわ。またやりましょう」
美羽と雪蓮は笑いながら、健闘を讃えて握手を交わす。
そんな両者に、今日一番の拍手が送られた
桃香「美羽ちゃんと雪蓮さんの絆が垣間見れた光景でしたね。なんかウルっときちゃいました。……さてさて、それでは、第四仕合の組み合わせを発表したいと思います!まずは東からの入場となるのは楽進選手!」
凪「先ほどの戦いを穢さないよう、精一杯頑張ります」
桃香「気になる対戦者は・・・いよいよ出番となる曹仁選手です!」
凪「え・・・・・・」
美羽と雪蓮の激闘がによる興奮さめやらぬ中告げられた組み合わせ
この戦いの孫策同様、固まる凪の姿が確認される。
北郷一刀(曹仁子孝)に絶対の忠誠を誓う凪と一刀の戦いが始まる
また10日程、投稿までに時間かかっちゃいました。
信長の野望、三國志で遊んでてサボっていただけですが(’
色々そんな展開あるか?と思うかもしれませんが、弓で雪蓮の攻撃受け続けてたら、きっと手傷めるよな〜と妄想しての展開でした。
一刀直伝の双剣使いという事で、武器名は史実劉備の雌雄一対の剣を使わせてもらいました。
桃香の武器は靖王伝家なので問題ないはず。
さて、次は飼い主と忠犬との戦いです。
もうちょっと伸ばそうかな?と思ったのですが、ここで登場します
展開はまだ考えていませんが、次回もよろしくお願いしまーす
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また投稿空いちゃいました。 美羽VS雪蓮決着です |
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コメント | ||
改訂前の44話に美羽の双剣の名前として『青紅の剣、倚天の剣』って書いてあったのですが……(黒鉄 刃) …………あかん、凪が悩んだ末に喀血して試合が終わるビジョンが観えた。(聖龍) 凪の攻撃で一刀の頬に傷をつけて「流石だ・・・凪」て言われるとともに、他のワンコ隊が全員集合〜〜〜www(あか) まぁ試合なら凪も戦えるんでない?強くなった自分を見てくださいって感じでw(nao) 忠犬・凪公、実力を出しきれるか?(アストラナガンXD) 聞く耳?聞き耳?後、雪蓮との戦いを少しでも長くやさせてあげたかったのだ?やらせてあげたかった?凪ワンコ頑張って欲しいね(marumo ) 次の試合・・・言葉だけで終わりそうな気がする!!一刀が耳元でささやくとか、いろいろと・・・ねぇ?(心は永遠の中学二年生) 凪、頑張れ超頑張れ(未奈兎) なんだこの対戦愛手が好きな人って…凪ちゃん頑張れ…御褒美あるかもよ(真っ黒な炒飯) |
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