英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク 改訂版 |
〜アクシスピラー第二層・外〜
「……く……馬鹿な………。よもや私の仮面に…………ヒビを入れた所か、私の片目を奪うとは……」
戦闘不能になり、地面に跪いているブルブランは血を流している片目を抑えて自身の敗北が信じられないかのように呟いた。
「はあはあ……。どう……思い知った!?」
「……砕け散ったのは貴方の傲慢だったみたいだね。」
「君がその傲慢さを持つ限り……我々は決して負けない。」
「”奪う側”であったお前のその曇り切った眼が”奪われた”のも傲慢過ぎたお前の自業自得だ。」
エステルとヨシュア、レイスとフレンは油断なく武器を構えてブルブランを睨み
「絆が生み出す希望の強さ……分かっていただけましたか?」
「フッ……そして希望の灯火を燃やし続ける愛の偉大さ、思い知っただろう。」
クローゼは真剣な表情でブルブランに問いかけ、オリビエは口元に笑みを浮かべて自分達の勝利を宣言した。
「………………………………。よかろう……ここは大人しく退いておく。だが、教授のゲームはまだ始まったばかりでしかない。今回のような幸運は、これ以上続かぬものと覚悟した方がよかろう。」
エステル達の答えを聞いてブルブランは黙って考え込んだ後立ち上がって、ステッキを構えた。
「忘れるな……。諸君はこの私を退けたのだ……。立ちふさがる絶望の壁を乗り越えて必ずや美の高みへと至るがいい。……それでは、さらばだ。」
そしてブルブランはその場から消えた。
「あ……」
「……どうやら……完全に手を退いたみたいだ。誇り高い人だから約束は違えないと思うよ。」
「そっか……」
「ただの敵ではなかったようだな。」
「フッ……敵ながら天晴じゃないか。」
「……安心しました。」
「これに懲りてクローディアを狙う可能性も低くなっただろうから、私は二重の意味で安心したよ。」
ブルブランが撤退した事に安堵したエステル達はそれぞれ構えを解いた。
「それじゃあ奥の端末を停止させてしまおう。上層に行くためのゲートを開けることができるはずだよ。」
「うん……了解!」
その後奥の端末を操作してゲートを開けたエステル達は一端アルセイユに戻って体制を整えてメンバーを編成し直し、エステル、ヨシュア、ジン、リオン、ソフィ、ケビンのメンバーで先を進むと第二層のようにゲートが先をロックしていたため、端末を探して外に出る出入り口を見つけたエステル達はブルブランのように執行者が待ち構えていると思い、警戒しながら外に出た。
〜アクシスピラー第三層・外〜
「クク……待ちくたびれたぜ。」
エステル達が端末がある場所に到着すると”痩せ狼”ヴァルターが待ち構えていた。
「貴方は……」
「サングラス男!」
「”痩せ狼”か……」
「……ヴァルター。」
仲間達がヴァルターを警戒している中、ジンは一歩前に出てヴァルターを睨んだ。
「クク……よく来たじゃねえか。ここに来たってことは覚悟はできたみてぇだな?」
「ああ……師父(せんせい)から継いだ”活人”の拳。あんたの邪拳を打ち砕くために振るわせてもらうつもりだ。」
「……クク…………。どうやらジジイの目論見通りになったようだな。」
「師父の……目論見通り!?どういうことだ、ヴァルター!あんたと師父が仕合ったのは、やはり俺が関係しているのか!?」
ヴァルターの口から語られた驚愕の事実に驚いたジンはヴァルターを睨んで問いかけた。
「ハハ……だから言っただろう。もし、それが知りたかったら俺を打ち負かしてみせろッてな。」
ジンの問いかけに不敵な笑みを浮かべて誤魔化したヴァルターが指を鳴らすと柱の上に待機していた2体の装甲獣が地上に降りてエステル達と対峙した。
「腑抜けた拳を振るったら、その場で終わらせてやる……。さあ、死合うとしようぜ!」
そしてエステル達はヴァルター達との戦闘を開始した!
「クク……まずはコイツぐらいは耐えてくれよ?行くぜ!」
戦闘開始直後ヴァルターは全身に闘気を溜め込んだ後”気”の弾丸をエステル達に放った。
「させん!」
その時ジンが”気”の弾丸を放って襲い掛かるヴァルターの”気”の弾丸を相殺し
「おらおらおらぁ〜っ!うおりぁぁぁ〜っ!」
「コォォォォ……菩薩掌!!」
ヴァルターのSクラフトの”締め”である一撃をクラフトを放って相殺した!
「あんたの相手は俺だ……!」
「クカカ、やるじゃねぇか……!」
そしてジンがヴァルターとの一騎打ちを始めると装甲獣達がエステル達に襲い掛かり、エステル達はそれぞれ二手に分かれて装甲獣達との戦いを開始した。
「「グルルルッ!!」」
装甲獣達はそれぞれクラフト――風刃でエステル達に襲い掛かったが
「やっ!」
「見切った!」
エステルは棒で受け流し、ソフィはギリギリまで引き付けて攻撃が来る瞬間一瞬で敵の側面に回って拳による反撃を叩き込み
「絶影!!」
「空襲剣!!」
「そらっ!!」
ヨシュアとリオンはそれぞれ凄まじい速さで攻撃するクラフトでダメージを与え、ケビンはボウガンから矢を放って2体にそれぞれ追撃した。
「「グルッ!!」」
攻撃を受けた装甲獣達はヨシュアとリオンに標的を変えて二人に突撃して口に咥えている刃を振るったが
「朧!!」
「臥竜閃!そこかっ!!」
ヨシュアは一瞬で回避すると共に敵の背後に回って斬撃を叩き込み、リオンは空中に退避した後シャルティエと短剣を振るって真空の刃を敵に叩き込んだ。
「翔舞煌爆破!!」
「獅子戦吼!!」
「「ギャンッ!?」」
そこにエステルとソフィがそれぞれクラフトを放って敵達をふっ飛ばし
「おぉぉぉぉぉ……っ!!」
ふっ飛ばされた敵達はヨシュアの魔眼によって動きを封じ込められた。
「黙っていろ!ピコピコハンマー!!」
「「ガッ!?」」
その時昌術の準備を終えたリオンが昌術を発動すると敵達の上空に現れた巨大なハンマーが敵達叩いて怯ませた。
「ほれっ!アビスフォール!!」
「一撃入魂!魔王地顎陣!!」
「カタストロフィ!!」
そして怯んだ装甲獣達に仲間達が戦っている間にオーブメントの駆動を終えたケビンが高火力のアーツで、エステルとソフィがそれぞれ自身のクラフトの中でも強力な威力を秘めるクラフトを放って止めを刺した!
「ぬあぁぁぁぁぁぁ、てやぁ!!」
「はっ、ついてこいよ?」
エステル達が装甲獣達と戦っている一方ジンとヴァルターはそれぞれのクラフトで自分自身の身体能力を上げた。
「せいっ!!」
「オラッ!!」
ジンの先制攻撃を回避したヴァルターは反撃に拳を振るったが
「ふっ!」
「オラオラァッ!」
ジンははもう片方の手でヴァルターの攻撃を防御し、反撃を防御されたヴァルターは続けてクラフト――ソニックシュートを放った!
「ぬおぉぉぉぉぉぉ!千手悔拳!!」
ヴァルターが繰り出した無数の拳に対してジンも無数の拳を繰り出して相殺し、クラフトを放ち終えた二人は同時に距離を一旦取った後ヴァルターがクラフト―――レイザーバレットを放った。
「せいやぁーっ!」
「とりゃっ!雷神脚!!」
「ちっ!?」
襲い掛かる足技による衝撃波を跳躍して回避したジンはそのまま上空からヴァルターに強襲してダメージを与えた。
「そら、そらぁ!」
「ぐぉっ!?おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………はっ!」
しかし反撃にヴァルターが放ったクラフト―――インフィニティコンボを受けてしまったジンはヴァルターから一旦距離を取った後気功で傷を回復するクラフト―――養命功で自身の傷を回復した。
「せいっ!!」
「たあっ!!」
二人は再び同時に攻撃を仕掛けて互いの攻撃を相殺し
「こおぉぉぉぉっ………!」
「おぉぉぉぉぉっ……!」
それぞれの攻撃を相殺された二人は同時に気を練り、クラフトを放った。
「ふん!!」
「せぇぇぇい!!」
ヴァルターが放った零距離で寸勁を放つクラフト―――ゼロ・インパクトに対し、ジンはクラフト――月華掌を放って相殺した!
「クク………予想以上にやるな。だが、こいつで終わりだっ!はっ!ふんっ!」
次々と自身の攻撃を防ぐジンに不敵な笑みを浮かべたヴァルターは凄まじい威力が込められた気の弾丸をジンに放ち
「ぬおぉぉぉぉぉぉ!はぁっ!!」
対するジンは全身に凄まじい闘気の鎧を纏う事によって自身に放たれた気の弾丸によるダメージを無効化した。
「おらおらおらぁ〜っ!」
そしてヴァルターはSクラフトの最後の一撃を放とうとしたその時
「泰山玄武靠!!でやぁぁ!!」
「ガハッ!?」
ジンのSクラフト―――泰山玄武靠が命中し、大ダメージを受けた!
「こおぉぉぉぉ…………」
一方Sクラフトを放ち終えたジンは自分を落ち着かせて、油断なく拳を構えてヴァルターを睨んだ!
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第96話 | ||
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