ポケットモンスター トライメモリーズ 第20話 |
第20話 自然の空気の町
カナシダトンネルを抜けたリクガはシダケタウンでしばしの休息にひたっていた。
「噂通り、本当に空気がおいしいね」
「ジュ」
草ポケモンのジュプトルには自然がわかるらしくこの町の空気にいやされているようだ。
空は雲一つない晴天であり、文句はない。
そんな中で一つの看板がリクガの目に留まった。
「コンテスト?」
この町にコンテストがあるのか、と感心するリクガ。
興味がないわけではないが、今はリーグ制覇が一番の目的なので、挑戦はしない。
その上既にエントリーが終了し今開催中のようだ。
「どうしようか?」
「ジュ」
「・・・うん、そうだね。 ちょっとみていこう」
一匹と一人はポケモンコンテスト会場の観客席の方へ向かった。
ワアアッ・・・
「お、始まるか?」
歓声とともにコンテストが始まり司会者の挨拶に入る。
簡単にルールや審査員の紹介を終え次々に「ポケモンコーディネーター」と呼ばれるコンテストを制しようとしてるトレーナーたちがそれぞれ自慢のポケモンで演技をしていた。
「うわぁ・・・テレビで見るのと全然違う!
本物は格別だな」
旅にでる前リクガはテレビを観たりラジオを聞くのが大好きだったのでこういうのを生で見るのは最高の出来事だ。
最後のコーディネーターがライボルトで見事な演技を披露し、一次審査は終わった。
「生はいいな・・・二次審査までには時間もあるから少し休んでこよう・・・」
そう言い席を立った、そのとき。
ドーン!!
謎の爆発音が響いた。
「なんだ!?」
一瞬体勢を崩しそうになりながらも持ちこたえた。
観客がざわめく中、リクガは音のした方へ走っていく。
爆発音がしたのは、ステージの奥のコーディネーター達の控え室だったらしい。
そこには傷ついた人たちもいた。
彼らを発見したリクガはすぐにリュックから救急箱を取り出し手当をする。
「なにがあったんですか!?」
「と・・・突然ロッカーが爆発して、煙がでて・・・煙がはれたら僕たちのポケモンが入ったボールが全部なくなっていたんだ・・・」
「まさか、盗られたんですか?」
「ほかの人たちの目撃例からするに、そうらしい・・・ごほっごほっ・・・!」
「しっかり!」
なんとか安全なところを発見し彼らをそこへ誘導するとリクガはコーディネーター達の目撃情報を整理する。
話を聞いていくとある人物が浮かんだ。
「まさか、巷で噂のマグマ団か?」
とにかくMマークのついた赤い服とフードの男を探そうと会場を飛び出す。
その矢先、彼にとって思いもよらない人物を発見する。
「あれ、ひょっとして・・・ダイゴさん!?」
「・・・!」
ダイゴはリクガの顔を見て驚いた。
「リクガくん、やっぱりキミだったのか!」
「ええ、お久しぶりです!」
「キミのお兄さんからキミが旅立ったことは聞いてるが、まさかここで会うなんて思ってなかったよ」
リクガはダイゴとは兄経由で何度も会っている。
今は両者忙しく、ダイゴとも数年会っていないが顔はハッキリと覚えていた。
「これから僕は奪われたコンテストポケモンを助けにいく。」
キミはどうするのか、と聞く前にリクガは自分の考えを直球に伝える。
「生憎ですが、ボクはひけといわれて簡単に帰る男じゃないですよ」
「・・・やっぱりそうかい」
彼と彼の兄の姿を重ね、ダイゴはボールを構え一方を見つめる。
「奴らはあそこへ逃げたらしい。」
「カナシダトンネルの横穴ですか・・・なるほど、あそこならば身を隠すには丁度良いですね」
「その通り」
二人はカナシダトンネルの横穴に向かった。
数分。
彼らが横穴に到着しマグマ団の下っ端を発見するのにかかった時間は僅かそれだけだった。
「・・・・」
「・・・・」
自分達に気づかず一人で盛り上がる下っ端を白い目で見るダイゴとリクガ。
「くっくっく・・・コンテストが開催されていることに目を付けて奴らの控え室に爆弾を仕掛け混乱してるスキにポケモンをみーんな奪ってやったぜ」
「ダイゴさん、こいつ・・・」
「ああ。 キミのいいたいことは十分にわかる。」
自分が考えた作戦の成功の余韻に浸っており彼らがいることに気づかず独り言を言っている。
しかも独り言という割には声がでかい。
「さーて、幹部の人に連絡を入れて迎えにきてもらうか」
「そうはいかないぞ!」
「・・・ってうわーーー!
お、お前等いつからそこに!!」
「さっきからいるよ」
リクガはスバメ、ダイゴはボスゴドラを同時にだす。
マグマ団は舌打ちをしてハブネークを出した。
「ここで捕まってたまるかよ!
ハブネーク、かみつくだ!」
「でんこうせっかで迎えうて!」
スバメのでんこうせっかとかみつくがぶつかった。
「へん、そんな小さい奴で向かってくるとはてめぇも頭が足りてないな!」
「言葉間違えてるしそれはお前のことだよ。
それに・・・」
徐々にスバメの体が光りだし大きくなる。
「何の考えもなしにポケモンを出すのは愚考だよ」
「なるほど、キミはこうなることがわかっていたのかい」
「そういうことです」
スバメがオオスバメに進化した。
リクガはこうなることがわかっていたため自らこのポケモンを選出し戦わせたのだ。
「くそぉう!
ハブネーク、ポイズンテールで叩きのめしちまえ!」
「オオスバメ、つばめがえし!」
「ボスゴドラ、メタルクロー!」
「う、うわあああ!!!」
ハブネークごとマグマ団を吹き飛ばす。
「やったな、リクガくん」
「はい!」
ダイゴとリクガの共同戦線によりマグマ団は捕まり奴らが奪ったポケモンはみな、それぞれの主の元へ戻っていった。
「お疲れさま」
「あ、ありがとうございます」
ダイゴに缶コーヒーを渡され素直に受け取る。
「にしても、キミには驚いたよ」
「?」
「トレーナーだったら、ポケモンの進化する時期やタイミングがなんとなくわかるとはいうけど・・・まだその若さで、しかも2週間ほど前に旅にでたばかりの新米であるキミがこんなに早くそれを察するとはね」
「ダイゴさん、ボクはこれでも旅にでる前からポケモンとふれあい、その生態を知ってきました。」
10歳の頃父からキモリをもらい忙しい父を手伝い続けてきた。
その中でもちろん野生のポケモンに触れ進化の瞬間を何度も目撃した。
「それだけじゃありません。
ボクにとってはジュプトルもドクケイルも、そしてオオスバメも大事な仲間です。
彼らのことはトレーナーとして、なにより仲間としてボクが一番知っておきたいんです。
だから、彼らから目をそらしたくはない・・・それだけです」
リクガの言葉に感心したのか、ダイゴはふっと微笑む。
「もうそこまでわかっているなら、アドバイスもいらないようだね」
「といっても・・・ボクの言葉のほとんどは兄の受け売りなんですけどね」
照れてリクガは頬をポリポリかく。
彼の兄の友人であるダイゴは確かに中身も似てきていると笑う。
「彼と比べてしまえばキミの方が落ち着いてる感じもするな。
彼は一人で無茶してしまうから」
「あはは・・・・そうかもしれませんね」
ゆっくりくつろぐリクガの足下に鋼のポケモン、ココドラがすりよってきた。
「このココドラは?」
「途中で弱っているのを発見したから保護してたんだが、どうやらキミを気に入ってしまったようだね。」
「え?」
「キミの戦いぶりをこっそり見ていたようだ。
この子を見てたらわかるよ」
ココドラはリクガから離れようとしない。
ごつごつしたかたい体だが、サイズは小さく顔はどこか愛嬌がある。
「はははっ」
「リクガくん、キミさえよければの話だがその子を連れていってくれないかい?」
「はい?」
突然言われて戸惑うリクガに、ダイゴは話を続ける。
「見たところその子、親がいないみたいなんだ。
それにキミにとても懐いているようだし・・・どうだい?」
「・・・」
「僕は、キミにだったらその子を託せるし、立派なポケモンに育てられると思ってるけどね」
リクガはココドラを抱き上げ視線を合わせ問いかける。
「ココドラ、キミはボクときたいかい?」
「コッコ」
「・・・そっか」
一回おろし、ボールを差し出す。
ココドラはそのボールに自ら入った。
「今日からよろしくな、ココドラ」
ココドラが彼の仲間にはいるところを見送ったダイゴは安心したように笑うと立ち上がりポケモンセンターの出入り口に向かう。
「じゃ、ここでお別れだ。
リクガくん、次また会えるのを楽しみにしているよ」
「はい!」
ダイゴと別れ、リクガはポケモン達と向き合う。
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すみません、TINAMIの存在を忘れていました…(馬鹿) 今月で失態を取り戻していきます! 努力の限り! | ||
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