英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク 改訂版 |
〜グランセル城・空中庭園〜
「アーシアさん、フレンさん。ご無沙汰しています。」
「あら、ヨシュアじゃない。」
「もしかして挨拶回りか?」
「ええ。……………」
フレンの言葉に頷いたヨシュアは二人をジッと見つめ、ヨシュアの視線を不思議に思ったアーシアはヨシュアに訊ねた。
「?そんなにジッと私達を見つめているけど、私達に何か聞きたい事でもあるのかしら?」
「いえ……こうして改めて見ると二人は本当に仲が好いなと思いまして。」
「まあ、俺達はペアで仕事をする事が多いからな。お前達の目からはそう写ってもおかしくねぇな。」
アーシアの疑問に答えたヨシュアの答えを聞いたフレンは苦笑しながら答えた。
「えっと……これを機会に聞いておきたいことがあるのですけど、いいでしょうか?」
「ん?何を聞きたいんだ?」
「もしかしてお二人は付き合われているのですか?」
「へ………付き合うって、俺とアーシアがか?」
「はい。」
「「……………」」
ヨシュアが自分達が恋人同士の関係である事を疑っている事を知った二人は少しの間黙り込んだが
「フウ……もしかしてシェラザードかエステルあたりが邪推していたのかしら?」
「アハハ……まさにその通りです。」
我に返ったアーシアは呆れた表情で溜息を吐き、アーシアの推測にヨシュアは苦笑しながら肯定した。
「ハハハハハッ!俺がアーシアと付き合っているって……それは絶対ありえねえって!と言うかこんなおっかない女、絶対嫁の貰い手がいねえと思うぞ。」
一方フレンは腹を抱えて笑った後口元に笑みを浮かべて答えたが
「へえ〜……まさか私の事をそんな風に思っていたなんてね………今度貴方の婚約者さんに会った時に、私が貴方の発言によって傷ついた事や色々なありえるかもしれない嘘を吹き込んであげましょうか?」
「ちょっ、それは卑怯だろ!?俺が悪かった事を認めるから、それだけは勘弁してくれ……!」
しかし膨大な威圧を纏って微笑むアーシアの答えを聞くと慌て始めた。
「え……フレンさんには婚約者がいらっしゃっているんですか?」
「ああ。美人で飯も美味い、性格は天然、止めはシェラザードですら霞む程のスタイル抜群の最高の女だぜ!」
驚いている様子のヨシュアにフレンは自慢げな様子で答えたが
「私は正直、貴方みたいな鈍感で失礼な男性には勿体なさすぎる女性だと常々思っているのだけどね。彼女と幼馴染で昔から親しい関係じゃなかったら、貴方、絶対振り向いてもらえなかったわよ。」
「そこ、余計な一言は止めるように。というか俺は幼い頃からヨシュアみたいにハーレムの片鱗を見せている上、女の気持ちにまるで気づかない弟みたいな鈍感野郎じゃねえぞ。」
静かな表情で指摘したアーシアに疲れた表情で反論し
「何でそこで僕が出てくるんですか……」
フレンの反論を聞いたヨシュアは疲れた表情で指摘した。その後二人から離れたヨシュアはカリンとレーヴェがいるテーブルに近づいた。
「……2人とも、久しぶり。」
「………ああ。”異変”終結以来だから、数週間ぶりだな。」
「フフ、元気そうで何よりだわ。」
ヨシュアに話しかけられたレーヴェは静かな表情で頷き、カリンは微笑みながらヨシュアを見つめた。
「……?えっと……何で姉さんはまだシスター服を着ているの?”異変”の件が落ち着いたら、イオンさん達とは別れてリベールに住むことを決めたって聞いているけど……」
未だシスター服を身に纏っているカリンを不思議に思ったヨシュアはカリンに訊ねた。
「だって、王族の人達が開いた豪華なパーティーに着ていけるような服、私は持っていないもの。シスター服だったら、正装にもなるから着てきたのよ。」
「ハハ……そんな事、別に気にしなくていいのに。招待状にも服装は普段着ているような服でいいって、書いてあっただろう?」
カリンがシスター服を身に纏う理由を知ったヨシュアは苦笑しながら指摘した。
「あら、”ステラ”として貴方達と一緒に行動していた普段の服装でもあるのだから、間違ってはいないでしょう?それにイオン様達に保護されてから結構な頻度で着ていたから、愛着があるのよ。」
「フッ、これで”チャクラム”―――暗殺者が扱うような武装を得物としていなければ、まともなシスターになるだろうな。」
「失礼ね。チャクラムは星杯騎士団に伝わっている特殊な武装よ?」
「ハハ……そう言えば姉さんが扱っている”チャクラム”や”法術”はやっぱりイオンさん達から?」
頬を膨らませてレーヴェに指摘するカリンを苦笑しながら見つめていたヨシュアはある事を訊ねた。
「ええ、私が習得している”法術”はイオン様達から習って、”チャクラム”での戦い方を含めた戦いの基礎はイオン様達の”上司”の方から習ったのよ。」
「イオンさん達の……”上司”?確か”星杯騎士団”はイオンさんを含めた12人の”守護騎士(ドミニオン)”に率いられているという話だけど………」
「―――――”守護騎士(ドミニオン)”第一位にして”星杯騎士団”総長”紅耀石(カーネリア)”アイン・セルナート。その方がイオン様達の上司よ。」
「ええっ!?」
「ほう……まさかかの”紅耀石”に師事をしてもらっていたとはな。道理で、俺や他の”執行者”達相手にまともに戦えた訳だ。」
カリンに戦い方を教えた人物に驚いたヨシュアは声を上げ、レーヴェは興味ありげな表情をした。
「フフ、アイン様の鍛錬はスパルタで凄く厳しかったけど、今でも感謝しているわ。そのお陰で”結社”のような裏世界の人達が相手でも最低限の身の守りはできるようになったのだから。」
「ハハ……………そういえば、レーヴェを祝賀会に呼ぶなんて、アリシア女王陛下も思い切った事をしたね。」
「……ああ。本来なら牢屋に入っていてもおかしくないはずなのに、最後の戦いでは手を貸したという理由で俺まで参加するように言われた時は正直驚いた。……俺の罪状の事といい、アリシア女王の慈悲深さには恐れ入る。」
ヨシュアの言葉にレーヴェは静かな表情で頷いて別の場所で取材を受けているアリシア女王に視線を向けた。
「”王国軍で王国を傷つけたその力を振るい、リベールの守護者としてリベールを守り続ける事”……だったね。確か解散した”情報部”を改めて結成した部隊―――”特務部”の将校として、中尉待遇で王国軍に入隊したんだったよね?」
「ああ。俺の事を知った他の部隊に移籍した元”情報部”の者達も俺の指揮下に入る事を強く希望している事を理由に”特務部”への異動願いを出したと聞いている。俺は奴等を騙していたというのに、物好きな奴等だ……」
「レーヴェ………」
ヨシュアの話に頷いて静かな表情で語るレーヴェをカリンは静かに見守っていた。
「それだけレーヴェが慕われている証拠だよ。そう言えば姉さんはこれからどうするの?仕事は見つかったの?」
「実はアリシア女王陛下からクローディア王太女殿下の御付きのメイドをしないかってお誘いがあってね。やりたい仕事はまだ見つけていなかったし、それにアリシア女王陛下直々のご厚意だし、引き受ける事にしたの。」
「え……姉さんがクローゼの!?」
カリンがクローゼ御付きのメイドになる事を知ったヨシュアは驚いた。
「とは言ってもヒルダ女官長にメイドとして鍛えられて、女官長から王太女殿下御付きのメイドとしての合格を貰えるまでは見習いメイドとしてお城で働く事になるのだけどね。」
「そうなんだ………それにしてもどうして女王陛下は姉さんをクローゼ御付きのメイドに誘ったんろう?クローゼ御付きのメイドなら、既にシアさんがいるのに。」
「―――恐らくカリンがヨシュアの姉である事からカリンが信頼できる人物かつ戦闘能力がある事から、非常時にメイドでありながらクローディア王太女を守る事ができる人物だからだろうな。加えて俺にクローディア王太女殿下―――リベールに忠誠を誓わせ続ける為の楔にもなる。俺への罪状もそうだが、アリシア女王がカリンをクローディア王太女御付きのメイドに誘ったのは間違いなく”剣聖”カシウス・ブライトの入れ知恵だろうな。」
「それは………」
「もう、レーヴェったら。ボースでの”竜事件”や”異変”の罪を減刑してもらえた上、好待遇のお仕事まで用意して頂いたのだから、そんな言い方をしなくてもいいじゃない。」
レーヴェが推測したカリンがクローゼ御付きのメイドに誘われた真の理由を聞いたヨシュアが複雑そうな表情をしている中、カリンは呆れた表情で溜息を吐いた後真剣な表情で指摘した。
「フッ、”剣聖”の思惑に利用されているのだから、このくらいの愚痴は許せ。」
「全くもう………あ。メイドで思い出したけど、ヨシュア。もう女装をしないのかしら?」
「え”!?も、もう女装はしないのかって……僕は女装をしたことは一度もないよ、姉さん。」
カリンの口から出た自分にとっての永遠に封印しておきたい忌まわしい過去の話を出されたヨシュアは表情を引き攣らせた後誤魔化そうとした。
「フフ、誤魔化しても無駄よ。”ステラ”としてエステルさん達と一緒に行動をしていた時、エステルさんからヨシュアが劇で姫役を務める為に女装をした事やレーヴェ達の目を盗んでアリシア女王陛下に面会する為にメイドになった話も聞いているわよ♪」
「………………(何でそんな余計な事を姉さん―――いや、家族でもない知り合いに話したんだよ、エステル……!)」
カリンの話を聞いて自分にとっての黒歴史をカリンに教えたエステルをヨシュアは心の中で恨んだ。
「ほう。まさかあの頃にそんな事をしてアリシア女王と密会をしていたとはな。フッ、劇の件を考えると、さぞ本物のメイドに見えただろうな。」
「レーヴェ!?まさか、見ていたの!?劇が始まる前、レーヴェの気配を一瞬感じたけど……」
そしてレーヴェが劇を見ていたような事を口にするとヨシュアは信じられない表情でレーヴェを見つめた。
「ああ。最も俺は気配を最大限に消していたから、劇の役に夢中であったお前では気付かなかったがな。」
「そ、そんな……、レーヴェにまで見られていたなんて……はあ………最悪だ………」
レーヴェの答えを聞いたヨシュアは肩を落として溜息を吐き
「それで今度はいつ女装をするのかしら♪」
「女装なんて、2度としないよ!」
からかいの表情で自分を見つめるカリンに疲れた表情で答えた。その後ケビンやジン、ドルン達とクルツ達に挨拶をしたヨシュアは言い争いをしているエステルとジョゼットに近づいた。
「へー、やっぱりその程度なんだ。やっぱりボクの方がパーティーに相応しいよね。何てったって、ドレスを着て社交界を渡り歩いていた事もあるんだからさ!」
「な、なによっ。あたしだってドレスくらい着たことあるんだからね。ネコ被りの生意気ボクっ娘に言われたくないわね。」
「な、なんだとおっ!?」
「……あ、あのさ、2人とも。一応公(おおやけ)の場なんだから、そういう喧嘩はどこか別の所で…………」
エステルとジョゼットの口喧嘩を見たヨシュアは呆れた表情で二人を諫めようとしたが
「「ヨシュアは黙ってて!!」」
「……ハイ…………」
エステルとジョゼット、二人の睨みによって黙り込まされた。
「……大体、挨拶は済んだかな。話し込んでいる人もいたから、後でもう一度回った方がいいだろうけど……」
挨拶回りを終えて、独り言をヨシュアが呟いたその時、ヨシュアの背後からナイアルが忙しそうに駆け回っていた。
「おっ、いたいた。ドロシー、次は軍関係者だ!……オラ、急げ!」
「せんぱ〜い……なんだか……おなかがタポタポしてきました〜………ううっ、気持ち悪いですぅ……」
「……ガブ飲みばっかしてるからだろ。オラ、もたもたするな!」
「は、はぁい……」
忙しそうに駆け回るナイアルとドロシーをヨシュアが見守っていると二人と入れ替わるようにある人物がヨシュアに近づいてきた。
今回の話でわかったと思いますがリベール、中の人が同じ人物達を二人揃って自国の戦力にできましたww二人とも恐ろしく強い上、顔もいいですからレイスと一緒にユリアのファンを少しでも減らせるかもしれませんねww後、原作や光と闇の軌跡と違い、情報部のようなところが復活してますから、リベール、地味にパワーアップしていますwそれと関係ない話ですがレーヴェはある意味羨ましいですね。何せシスタープレイだけじゃなく、メイドプレイまで………これ以上はやめておきます。テイルズ要素が加わっただけなのに18禁化しかねませんので(汗)
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外伝〜祝賀会の夜〜中篇(後半) | ||
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