〜少年が望んだ世界と力〜
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ARX−7 アーバレスト「お待たせしました!更新です!!」

 

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午後13時00分野田家 地下演習場

平日である今日、学校があるにも関わらずこの時間にここにいるのは一昨日のギムレット達との戦闘の影響が続いており、今週はお昼までの短縮授業になってしまったからだ。

俺はいつものトレーニングウェアを着て、柔軟体操をしながら待っている。

程なくして俺と同じようにトレーニングウェアを着たフェイトとなのは、ユーノ、アルフ、そしてクロノが演習場に入って来る。

フェイト達がここに来た理由、それは俺とトレーニングをするためだ。

昨日フェイトにここのトレーニングシステムを使わせてほしいと頼まれて正直少々困ったが、特にバレて困るようなこともないため了承した。

するとフェイトだけでなくなのはとアルフ、更にはユーノとクロノも参加したいと言い出した。

これにも多少なりと驚いたが全員纏めて訓練を受けさせることにした。

早速放課後である今、全員の訓練を開始しようとしている。

 

「じゃあこれより、訓練を開始する。疲れたり、怪我をした際は無理をせずに休憩するように」

 

「はい!」

 

「は、はい!」

 

「うん!」

 

「あいよ」

 

「ああ」

 

フェイト達が来たため訓練を開始すると声を掛けるとフェイト達はすぐに返事を返す。

やる気十分のようだ。

 

「まずは軽く身体を動かしてもらう」

 

『KAMEN RIDE!2!BLACK!KUUGA!AGITO!RYUKI!』

 

最初は武器を使わない素手での戦闘訓練を行うために仮面ライダー2号にブラックとクウガ、アギト、龍騎を召喚した。

 

「最初は約1時間、素手のみで戦ってもらう。ある程度の力加減はするだろうけど油断するなよ?・・・そんじゃ始め!」

 

訓練の制限時間と戦闘方法を教え、油断しないように言ってから訓練開始を告げると1号達が一斉に駆け出す。

ブラックはクロノ、2号はアルフ、龍騎はユーノ、クウガはなのは、そしてアギトはフェイトに向かって走り出す。

組み手が始まると最初に目にしたのはアルフだ。

格闘戦が主体であるアルフは2号といい組み手をしている。

次にクロノに視線を向けるが管理局員であの年齢で執務官になっただけいい動きで格闘戦もこなしている。

その次のフェイトだがフェイトも戦闘訓練を受けいたため悪くはない。

ユーノに関しては自分から攻めることはせず防御や攻撃を受け流した戦いをしている。

そしてもう1人は・・・。

 

「はっ!ふっ!やっ!」

 

「きゃっ!あわっ!」

 

普段格闘戦をしないなのははクウガの攻撃を戸惑いながらも躱しているが少々危なっかしい。

これはなのはのトレーニングメニューに格闘戦を多めに入れる必要があるな。

 

 

1時間後

 

「よし、そこまでにしよう。10分の休憩後、次の訓練を行うぞ」

 

格闘訓練開始から1時間が経過したため俺が終了を告げるとなのは達と2号達が戦うのを止め、俺の方を見る。

皆が止めたのを確認して次の訓練までの10分の休憩に入った。

 

 

10分後

 

「次は武器を使ってもらう。使用するのは剣だ」

 

10分の休憩を終えると次は剣を使った訓練を行うためになのは達の前に剣が置かれた台が床下から出現する。

剣は日本刀、長剣、短剣と他にも複数の種類を用意してある。

 

「好きなのを選んでくれ」

 

刀剣が並ぶ台に皆が近づき、なのはとアルフが長刀を選び、ユーノは短剣を2本、フェイトはバルディッシュに似た形状のアックス、そしてクロノは日本刀を手にした。

 

「次の相手を呼ぶぞ」

 

『KAMEN RIDE!BLADE!ORGA!SASWORD!DEN-O!WIZARD!』

 

剣を装備しているのを選んだためブレイド、オーガ、サソード、電王ソードフォーム、ウィザードを召喚する。

 

「俺、参上!」

 

「さぁ、ショータイムだ」

 

『コネクト!プリーズ!』

 

ウィザードがコネクトリングを使いウィザーソードガンを取り出すとブレイド、オーガ、サソード、電王はそれぞれブレイラウザー、オーガストランザー、サソードセイバー、デンガッシャーソードモードを取り、構える。

 

「これも制限時間は約一時間。始めてくれ」

 

「おい、いいかお前ら。俺は最初からクライマックスだぜぇ!いくぜ、いくぜ、いくぜぇぇ!」

 

俺が訓練開始の合図を出すと最初に電王が駆け出し、続いてオーガ達もフェイト達に向かって一斉に駆け出す。

電王はクロノ、ブレイドはなのは、オーガはフェイト、サソードはアルフ、ウィザードはユーノを相手する。

剣を使い慣れていないなのはとさっきの格闘戦と比べてアルフは戸惑いながら戦い、実戦での経験があるクロノと普段近接武器を使っているだけあってフェイトはいい動きをしている。

そして以外にもユーノもフェイトとクロノ程ではないが悪くない動きでウィザードと戦っている。

なのはと会うまでジュエルシードを集めようとしていたし、ヴィータと戦って耐えていたのは伊達じゃないようだ。

 

1時間後

 

「よぉし。10分休憩だ」

 

1時間が経過したため声を掛けると全員が訓練を止め、電王、ブレイド、オーガ、サソード、ウィザードが消える。

 

「休憩後、次も近接戦の訓練、今度は棒を使ってもらう」

 

俺が休憩後に何を訓練するか一言言って再び休憩に入る。

 

10分後

 

「いくぞ」

 

『KAMEN RIDE!X!』

 

『KAMEN FORM RIDE! KUUGA DRAGON FORM! DEN−O ROD FORM!DOUUBLE HEAT METAL FORM!』

 

『RANGER RIDE!BOUKENRED!』

 

「仮面ライダー、X!」

 

「お前、僕に釣られてみる?」

 

「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」

 

「熱き冒険者!ボウケンレッド!」

 

休憩時間は終了すると今度は棒を使っての近接戦の訓練を行う。

既になのは達には棒が渡っていて、棒を扱うライダーに当てはまった日本全滅しようとする大国の連合組織「GOD機関」に襲われ死亡するが父「神啓太郎」が瀕死の状態で改造手術を行い深海開発用改造人間「カイゾーグ」として復活し、GOD機関と戦った主人公「神 敬介」が変身した仮面ライダー、昭和仮面ライダー第三作目「仮面ライダーX」に登場した「仮面ライダーX」、クウガドラゴンフォーム 電王ロッドフォーム Wヒートメタルフォーム、そしてスーパー戦隊からボウケンレッドを召喚した。

 

「準備はいいな?・・・・・始め!」

 

俺の開始の合図でX、クウガ、電王、W、ボウケンレッドが一斉に走り出す。

それを見てなのは達も棒を構えた。

Xはクロノに、クウガはアルフ、ボウケンレッドはなのは、電王 ロッドフォームはフェイト、そしてWはユーノに向かって行き、相手をする。

この訓練ではクロノとフェイト、それに驚くことになのはもいい動きをし、ユーノは短剣の時程ではないが動きは悪くない。

が、やはり普段近接しかしてないアルフはほぼ戸惑い気味だな。

 

1時間後

 

「うっし!全体訓練はこれで終了!これから少し休憩した後、個別訓練に入る!ユーノは第4演習場で攻撃の訓練、フェイトは第2、高町は第7演習場で回避の訓練を、クロノはここでアルフは第5演習場で模擬戦を行ってもらう」

 

「僕とアルフだけか?」

 

「攻撃魔法が使えないユーノにはこれから別の攻撃方法の指導が必要だし、高町とフェイトはまだ完全に魔力が戻ってない上にレイジングハート、バルディッシュがないためバリアジャケットを展開出来ない。模擬戦は厳しいだろう。だからクロノとアルフのみだ。各自指定の演習場に行けば既に訓練の教官がいるからすぐに初めてくれていいがユーノ、お前には俺から少しレクチャーするから待っててくれ。クロノは演習の相手がくるからお前も少しだけ待っててくれ。じゃあ休憩!」

 

各々の訓練場所と簡単な内容を説明して休憩を告げて、他の演習場の準備のために第1演習場を後にする。

 

第4演習場

全演習場の準備を終えてユーノに戦闘の指導をするために第4演習場に来ると既にユーノがスタンバイしていた。

 

「よし、準備はいいかユーノ?」

 

「うん。いいけど・・・」

 

「どうした?」

 

訓練を始めようとしたがユーノに元気がなく、どうしたのか尋ねる。

 

「健悟、僕は本当に強くなれるかな?」

 

「そのために訓練するんだろ?」

 

「でも僕はなのは達のような攻撃魔法は使えない。それにアルフのようなパワーもない。強くなりたいとは思ってる。でも、防御系の魔法ぐらいしか使えない僕が本当に強くなれるかな?ごめん、僕の方から訓練に参加したのにこんなことを言って」

 

実際に始めるとなると不安になったのか。

まあ分からなくもないな。

 

「ユーノ、攻撃魔法を使うことだけが戦う手段なのか?」

 

「え?」

 

「攻撃魔法が使えないから戦う手段がない、戦えない、俺はそうは思わないね。それにユーノ、お前はフェイトや高町、クロノ、アルフ、そして俺にも勝る物を持ってるじゃないか」

 

「なのはにも、健悟にも勝ってるもの?」

 

「防御力だ」

 

不安がっている俺やクロノ達に勝っている物があると言う俺にユーノが訊き返すと俺はすぐに防御だと答える。

 

「ユーノ、お前の最大の武器はその防御力だ。それを利用すればいい」

 

「防御力って、でもそれと攻撃とは関係がないと思うけど。それに利用ってどういうこと?」

 

「それを俺が証明してやる」

 

『VALKYRIE RIDE! YF-19!』

 

ユーノの疑問を解決するために口で説明するよりも見せた方が早いため、予め選んでいたカードを取り、ドライバーの入れてトリガーを引くと以前の時の庭園時の防衛線に参加したYF-19を召喚する。

 

「この機体はYF-19 エクスカリバーっていう名前のバルキリーと呼ばれるロボットだ」

 

「エクスカリバー・・・。バルキリー・・・」

 

「そいつは本来はテスト機で、正式機と区別するためにYF-19って呼んでる。お前もそう呼んでやってくれ」

 

「う、うん。分かった」

 

「それで、俺はこの坊主に何をすればいいんだ?」

 

ユーノに紹介していると自身の役割についてYF-19が尋ねて来る。

 

「YF-19、彼にお前の近接戦闘を見せてやってくれ」

 

「いいぜ」

 

「トレーニングシステム、起動!」

 

『TARGET SET』

 

トレーニングシステムを起動させ、こっちも予めセットしておいたフランス陸軍の第3及び第3・5世代主力戦車「ルクレール」が2両出現する。

 

「いっくぜぇぇ!」

 

ルクレールが現れるとスラスターを噴射してYF-19は接近、YF-19が動いたことでルクレールも動くが1両はもう遅く、YF-19は右手にピンポイントバリアを展開し、右腕を引いてルクレールを殴る。

YF-19のピンポイントバリアを纏った拳「ピンポイントバリアパンチ」はルクレールの装甲を貫き、腕を引き抜いて離れるとルクレールは爆発、大破した。

 

「凄いパンチ力だ」

 

「本当に見てほしいのはここからだ」

 

YF-19のパンチにユーノが驚く中、ここからが本当に見てほしい所であることをユーノに言った直後、もう1両のルクレールが主砲である「52口径比長120o滑腔砲」から砲弾がYF-19に放たれる。

 

「おっと!」

 

ルクレールから放たれた砲弾をYF-19は今度は左手にピンポイントバリアを発生させて飛来する砲弾を殴るように左腕を突き出した。

飛来した砲弾がYF-19の左拳に命中し、爆発を起こし、煙が舞うが砲弾の直撃を受けたにも関わらず、YF-19自体はおろか、左腕にも砲弾による損傷が無い。

 

「拳で砲弾を防いだ?!」

 

「あれがYF-19に搭載されている防御兵装『ピンポイントバリア』。そしてそのピンポイントバリアを拳に覆った打撃攻撃があの『ピンポイントバリアパンチ』だ」

 

「ピンポイントバリア・・・。ピンポイントバリアパンチ・・・あっ!」

 

YF-19が砲弾を防いだのを見てユーノが驚く。

驚いているユーノにタネあかしをするとユーノが繰り返して何かに気づき声を出す。

 

「分かったようだな?ユーノ、お前にはあれと同じことをやってもらう」

 

「ピンポイントバリアパンチのことだね?」

 

「そうだ。お前の展開するシールドは以前、非殺傷設定とはいえ、G3-Xの最強武装であるGXランチャーとG4のギガントのミサイル8発を防いだ。それもデバイスによる補助も無しでだ。そんな高強度のシールドを拳に纏わせ打撃を繰り出すことが出来ればいい戦いが出来ると思うぞ?」

 

気づいたユーノに頷き、ユーノにYF-19のピンポイントバリアパンチと同じことをするように説明をする。

GXランチャーの威力はアギトのライダーキックと同等、G4のギガントのミサイルも4発だけでもかなりの威力であるにも関わらずそれを2倍の8発を同時に今言ったようにデバイスの補助なしで防いだユーノのシールド強度はまさに脅威だ。

その強度でYF-19のピンポイントバリアパンチのように拳に纏わせて殴れば、相手にかなりのダメージを与えられるはず。

殴るだけでなく、瞬時に防御も出来る、攻守ともに有効的だ。

 

「そしてもう1つ。チェーンバインドを使う」

 

「バインドを?」

 

「正確にはチェーンを使うんだ。古典的な使い方だが振り回したりするんだ。これも立派な攻撃手段だ」

 

「成程」

 

俺がチェーンバインドでの戦闘方法を軽く説明するとユーノはすぐに納得してくれたようだ。

チェーンバインド、チェーンを扱う戦い方は古典的ではあるがすぐにでも戦闘に使える手段でもあるしチェーンはMSで言うところのグフやトールギスVのヒートロッドのように鞭のように使うことで敵の捕縛、牽制と色々バリエーションが豊富な扱い方が出来る

 

「バリアを拳に纏った打撃戦闘、そしてバインドを使った戦闘、これらがお前がする戦闘訓練だ。どうだユーノ?お前がないと思っていた攻撃手段が2つも見つかった。ようは何事もやり方次第だ。自分に出来ることで自分に出来ることを模索すればいい。そうすれば見つけられるはずだ。今回のようにな」

 

「うん、ありがとう健悟」

 

現時点でユーノに可能な戦闘方法を教えるとユーノは俺にお礼を言ってくれた。

 

「今日は拳にバリアを纏わせ、そこから格闘戦の訓練をするぞ。ついでに高機動の相手との戦闘訓練もしよう。それはYF-19、頼むぞ?」

 

「了解了解」

 

「格闘戦のコーチは・・・これにするか」

 

YF-19にピンポイントバリアパンチと高機動戦闘の訓練相手を頼み、ピンポイントバリアパンチを有効的に使うために格闘能力を向上させる必要があると思い、格闘戦のコーチに選んだのは俺も格闘戦のコーチをしてもらっているガンダム、「機動武闘伝Gガンダム」に登場し、「東方不敗マスターアジア」が搭乗し第12回ガンダムファイトで優勝したネオホンコン代表のMF「クーロンガンダム」。

 

「健悟、このガンダムは?」

 

「この機体は『クーロンガンダム』。前に軽く教えたガンダムを使った大会、ガンダムファイトの第12回大会で優勝した機体でシャイニングガンダムやゴッドガンダムの乗り手だった人物の師匠だった人が使っていたんだ」

 

「じゃあ、凄い機体なんだね」

 

「そう。彼らの格闘流派、『流派東方不敗』は彼らの世界では最強クラスだ。クーロンガンダムからその流派を学ぶんだ」

 

「分かった。頑張るよ!」

 

「おう。クーロンガンダム、後は頼めますか?」

 

「うむ。任せておけ。だが、こやつを鍛えるにはこのような場所ではいかん」

 

「分かっていますよ。この演習場はあそこと同じ環境に設定しておきます」

 

「ならばいい」

 

「では・・・(パチン)」

 

『フィールドチェンジ』

 

ユーノに格闘戦の指導をするクーロンガンダムを紹介し、クーロンガンダムにユーノを任せるがクーロンガンダムに言われて俺が指を鳴らすと演習場の風景が変わる。

周辺には草木が生え、床も舗装もされていない土へと変わり、更に山や川もある。

ホログラムによって演習場が大自然へと変貌した。

 

「こ、ここは?」

 

「こここそ、わしがお主を鍛える地、ギアナ高地!」

 

周辺はGガンダムの世界でかつてマスターアジアとドモンが、そして新シャッフル同盟が修行を行った場所「ギアナ高地」に姿を変えた。

クーロンガンダムもとい、マスターアジアと修行するならここはお約束の場所だ。

 

「今から拳にバリアを纏わせる訓練をして出来次第、3時間程クーロンガンダムと訓練。その後2時間程YF-19と高機動戦の訓練だ。じゃあ、頑張れ」

 

演習場の準備が整い、訓練内容をユーノに教えて俺は演習場を後にする。

 

「さて、小僧。まずは互いに名乗ろうとするか。わしはネオホンコンのMF、クーロンガンダム!」

 

「えっと、僕はミッドチルダのスクライア族のユーノ・スクライアです!」

 

「うむ!ユーノよ。お主を鍛えろと言われたからにはわしは全身全霊を掛けてお主を鍛え上げる。だが、わしの修行は生半可な覚悟では出来んぞ!それでも受けるか?」

 

「はい!僕は強くなりたいんです!」

 

「ほぉ、何故お主は強くなろうとする?何がお主をそうさせる?」

 

「僕は、強くなって、大事な子を守りたい。今よりももっと。その子は本当は魔法とは無縁の生活をしていました。でも、僕と出会ったことでその子を巻き込んでしまった。その子は僕よりも才能があって、とても真っ直ぐで、一生懸命で、とても強い子なんです。その子が最近襲われて、怪我をして魔力を奪われました。健悟にその子を守るのを任されたのに僕の目の前で・・・。その時僕は思ったんです。何も出来ない自分が悔しいと。これから先にも同じことが起こるかもしれない、そんな時に後悔したくない。僕はその子を守れるように強くなりたいんです!」

 

「ふむ。女子おなごのため・・・か。それが理由であるのは真実のようだな。それはお主の言葉からしかと感じた。ならその思いでわしとの修行に耐えてみせい!」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

「うんじゃ、まずは拳にバリアを纏うとこからだな」

 

「はい!」

 

演習場を後にしようとした時に聞こえてきたクーロンガンダムの問いに対するユーノの答えが気になり、演習場の観測室に隠れながらクーロンガンダムとユーノの会話を聞いていた。

今回の訓練にユーノが自ら参加したいと言ってきた時は正直驚いた。

理由を尋ねると今クーロンガンダムに答えたのと全く同じ答えだった。

ユーノが守りたい子、それはもはやあいつしかいない。

本当に守れるように頑張れよユーノ。

クーロンガンダムとYF-19による訓練が開始されると俺は心の中で応援して今度こそ観測室を後にする。

 

3人称Side

第7演習場

市街地 広場

この第7演習場ではなのはが使用し、フィールド設定は以前なのはが襲われた場所と似た街の広場に設定され、訓練相手は「機動戦士ガンダム00」に登場し、2代目ロックオン・ストラトス「ライル・ディランディ」が搭乗したガンダムデュナメスの後継機、ソレスタルビーイングの第4世代(正確には3・5世代)型ガンダム「GN-006 ケルディムガンダム」。

 

「準備はいいかい、高町なのはちゃん?」

 

「はい、お願いします!」

 

「了解だ!頼むぜハロ!」

 

『シールドビット展開!シールドビット展開!』

 

ケルディムに準備が整っているかと尋ねられ、なのはが返事を返すとケルディムの左肩と両膝から2基、尻部に外付けされている太陽炉から5基のオールレンジ兵器「GNシールドビット」が計9基射出され、シールドビットはなのはの周囲に展開する。

 

「いくぜぇ!」

 

ケルディムの合図でシールドビットが動き出す。

1つのシールドビットはなのはに体当たりを仕掛け、別のシールドビットはGNビームを放つ。

シールドビットの体当たりを右に身体を捻って躱すと別のシールドビットから放たれたGNビームを右に跳んで躱す。

右に跳ぶと今度はまた別のシールドビットが右斜め上から体当たりを仕掛けて来る。

なのははすぐにしゃがんでシールドビットの躱すが次に後ろからシールドビットにGNビームを撃たれ、左斜め前に跳んで避けるが正面からシールドビットが接近してくる。

咄嗟に身体を左に捻り間一髪でシールドビットを避け、後ろを振り返ると正面斜め上からGNビームが放たれ、後ろに跳んで避けた。

 

だが、なのはが後ろに跳んで着地した直後、なのはの足元にGNビームが一発着弾した。

すぐに振り返えり、上を見上げる。

 

「あんまビットに集中してばっかだと狙い撃たれるぜ?」

 

なのはが見上げると空中でケルディムが狙撃銃「GNスナイパーライフルU」を構えている。

ケルディムはGNスナイパーライフルUの照準をし直し、トリガーを引いて再びGNビームを放つ。

なのはは慌ててケルディムからのGNビームを避け、更に右から向かってきたシールドビットも躱す。

次々と放たれるケルディムのGNスナイパーライフルUとシールドビットからのGNビーム、そしてシールドビットの体当たりをなのはは懸命に躱していく。

 

第2演習場

森林公園

木々が並ぶ森林公園の歩道でフェイトが木刀を構えて周囲を警戒している。

地下の演習場でありながら僅かな風が吹き、草木が揺れる。

 

ォォォォォォ

 

しかし草木が揺れる音、風が吹く音とは異なる音、風を切る音が聞こえ始める。

その音は段々と大きくなり、近づいてくる。

 

「っ!」

 

音が近づいてくるとフェイトは瞬時に背後を振り返り、木刀を上げるとフェイトに非殺傷設定のビームサーベルが振るわれ、木刀でビームサーベルを受け止めた。

フェイトにビームサーベルを振ったのは以前6つのジュエルシードが同時発動した際に竜巻及びその後現れたMDトーラス、MDエアリーズ迎撃に参加していた白と青のMS、トールギスV。

 

「よく防いだな。いい反射速度だ。・・・しかし!」

 

木刀を払い除け、フェイトを押し返したトールギスVはバーニアを噴射し後部上空に上がり、右に高速で移動する。

押し返されたフェイトはすぐにトールギスVを目で追うがそびえ立つ木々のせいでトールギスVの姿を見失う。

フェイトは木刀を握り直し、周囲を再度警戒する。

左の林の中からバーニアの音を聞き、左を向いて構えるが出てこず、それどころかさっきまで向いていた方向からトールギスVが林から飛び出してきた。

音で聞き取ったはずのトールギスVが別の方向から出てきたことに驚き目を見開きながらもすぐに表情を変え、向かって来るトールギスVに木刀を横に振るう。

だが、トールギスVは高い推力を活かし急減速、真上に急上昇して木刀を回避し、フェイトの後方上空に移動する。

後部上空に移動するとトールギスVは左腕に装備している「シールド」の先端部からシールドに内蔵されている鞭「ヒートロッド」を伸ばし、左腕と共にヒートロッドをフェイトに向かって横に振るう。

フェイトが振り返ると丁度振られたヒートロッドがフェイトの持っていた木刀に当たり、弾き飛ばされた。

 

「相手の動きの速さに惑わされるな。そして敵に隙を与えるな!」

 

「はい!」

 

フェイトは弾かれた木刀を取り、それを確認したトールギスVは再び接近し、ビームサーベルを振るう。

 

第5演習場

フィールド 倉庫群

 

バババババババ

 

倉庫が並び立つフィールドに銃声が鳴り響く。

アルフは走って自身に放たれる銃弾を躱していく。

アルフに銃を放っている相手は、以前アルフとの戦闘経験があるAS、ファルケ。

ファルケは40oライフルを撃つのを止めるとその場でしゃがみ込み、勢いよく跳躍しアルフに向かって落下する。

落下しながら右足を高く上げ、そのままアルフの頭部を狙って踵落しを繰り出す。

 

「ちっ!」

 

対してアルフはバックステップで後ろに下がりファルケの踵落しを躱す。

 

「てやぁぁぁああっ!」

 

後ろに下がったアルフは今度は床を蹴って前に跳び、右腕を引き、ファルケに殴りかかる。

それを見たファルケはアルフと同じようにバックステップで後ろに下がってアルフの拳を躱した。

 

「このぉ!」

 

「ふっ!」

 

右腕を躱されるとアルフはすかさず左腕で殴り掛かったが避けられ、ファルケの頭部を狙って右足からのハイキックを繰り出すがそれに反応したファルケは左腕を上げてガードする。

ガードした左腕でアルフの足を押し除けてしゃがみ、右足を軸にし左足でアルフの足を狙って回し蹴りを繰り出し、アルフの足を払う。

 

「うわっ!ぐっ!」

 

足を払われてバランスを崩し背中から床に倒れるとファルケは右腕を振り下ろし、右掌をアルフの腹に強く押し当てた。

 

「がはっ!」

 

ビィィィ!

 

腹に打撃を受け、空気が押し出されて無力化判定をされ演習場内にブザーが鳴り響く。

 

「まだ動きに無駄があるぞアルフ。それで強くなれると思っているのか?」

 

「ごほっ!ごほっ!すぅぅぅはぁぁぁ。相変わらず容赦ないねぇ」

 

無力化したアルフにファルケは手を差し伸べ、咽と呼吸を整えるとアルフはファルケの手を取り、引っ張り起こされる。

 

「例え模擬戦であっても手は抜かん。模擬戦だと言って手を抜いては部下を実戦で死なせてしまうことだってあるからな。さぁ構えろアルフ。まだまだ終われると思うな」

 

「流石に兵士であるあんたの言葉には重みをあるね。そんじゃあ、頑張ろうかね」

 

「来い!」

 

アルフを引っ張り起こすとファルケは再び身構える。

それを見たアルフも構えを取り、すぐさま模擬戦を再開する。

 

第1演習場

健悟Side

ユーノと別れて第1演習場に戻って来るとクロノが待っていた。

 

「まさか、僕の相手が君とはね」

 

「そうだが、役不足か?」

 

「いいや。望むところだよ。・・・それに」

 

ここに来たことで俺が練習の相手と把握したクロノに俺では不満かと尋ねるがクロノは否定し、S2Uを起動させる。

 

「アースラでの借りを返さないとね」

 

「ふっ」

 

『KAMEN RIDE!』

 

「変身!」

 

『PHOENIX!』

 

クロノがS2Uを俺に向けると俺もフェニックスドライバーを取り、カードをドライバーに入れ、フェニックスに変身する。

 

『BATTLE STRAT』

 

「ふっ!」

 

演習場に訓練開始の音声が発せられると俺はクロノに向かって駆けだし、それを見たクロノは身構える。

 

「はっ!はっ!てやぁっ!」

 

「くっ!ふっ!つあっ!」

 

「このっ!」

 

右、左、再び右からパンチを繰り出すが最初に右と左のパンチは躱され、3発目のパンチを左腕に払われて防がれるとクロノはS2Uを振るう。

振るわれたS2Uを左腕でガードし、振り払って右足から蹴りを繰り出すがクロノは後ろに跳んで躱した。

 

『ATTACK RIDE! BLAST!』

 

クロノが離れたためカードを取り、フェニックスブラストを発動させ、クロノにエネルギー弾を放つ。

 

「ふっ!はっ!スティンガーレイ!」

 

迫りくるフェニックスブラストにクロノは右に走り、フェニックスブラストを躱していくが3発程がクロノに命中しそうになったがラウンドシールドで防がれた。

フェニックスブラストを防いだクロノは俺にスティンガーレイを放つとすぐに左にローリングして回避する。

 

「こいつを試してみようか。魔法には魔法だ」

 

『KAMEN RIDE!』

 

「変身!」

 

『WIZARD!』

 

『フレイム、プリーズ!ヒー!ヒー!ヒー!ヒー!ヒー!』

 

「さぁ、ショータイムだ!」

 

クロノのスティンガーレイを躱してライダーカードを取り出してドライバーに装填しウィザードにKRするとすぐにARのカードを取り出す。

 

『ATTACK RIDE! WIZARSWORDGUN!』

 

ARでウィザーソードガンを装備すると再度クロノに向かって駆けだし、ウィザーソードガンを振るう。

俺のウィザーソードガンをクロノはS2Uで受け止めた。

S2Uを振り払い、連続で斬りかかるとその全てをクロノはS2Uで弾き、身体を捻って躱し、再びS2Uで受け止め鍔迫り合う。

 

「中々やるなクロノ。普段ミドルやロングレンジの攻撃ばかりだからクロスレンジは苦手かと思ってたぞ」

 

「君の前で見せる機会がなかっただけさ」

 

「そうだな!」

 

S2Uを押し返し、左足で蹴りを繰り出すがバックステップで躱されてしまう。

クロノが離れるとカードケースに手を伸ばし、カードを引き抜く。

 

『FROM RIDE!WIZARD! HURRICANE STYLE!』

 

『ハリケーン!プリーズ!フーフー!フーフーフーフー!』

 

カードをドライバーに装填し発動させると頭上に緑色の魔法陣が展開され、「仮面ライダーウィザード ハリケーンスタイル」にフォームチェンジする。

ハリケーンスタイルにフォームチェンジすると俺の身体が宙に浮く。

 

「浮いた!?飛行魔法もあるのか!」

 

「風を操ってるんだよ」

 

ハリケーンスタイルになることで風を操ることが出来、それで宙に浮くとクロノは飛行魔法だと思ったようで驚いていたがすぐに風を操っているだけだと答えてクロノに接近し、ウィザーソードガンを振るう。

 

「はっ!やっ!」

 

「つっ!このっ!」

 

「ぐっ!」

 

振るった俺のウィザーソードガンをクロノは後ろに跳んで躱し、そのまま飛行魔法で空中に退避する。

俺もクロノを追いかけ、再びウィザーソードガンを振るうがS2Uで受け止められるとそのまま弾かれ、無防備になった俺の腹部にクロノはS2Uで突きを繰り出す。

S2Uの突きを腹に受けて床に落下、床を3回程転がる。

 

「いつつ。やるな。だが!」

 

『ATTACK RIDE! BIND!』

 

『バインド!プリーズ!』

 

体を起こしARを取り出してドライバーに装填してバインドを発動させると風が鎖となり、クロノの両腕、両足を大の字に捕らえた。

 

「バインド!?」

 

「フィナーレだ!」

 

俺、というよりもウィザードがバインドを使えたことに驚くクロノに勝敗をつけるためにウィザーソードガンを逆手持ちにして構え、接近する。

 

「スティンガースナイプ!」

 

バインドで拘束されながらもS2Uからスティンガースナイプを放ってきた。

 

「ちっ!」

 

スティンガースナイプを放たれると俺一度クロノに向かって行くのを止め、左に跳んで躱そうとした。

 

「スナイプショット!」

 

「ぐっ!」

 

だが、それよりも早くクロノが加速ワードを発し、スティンガースナイプが加速、直撃ではないが俺の左肩に当たる。

 

「ブレイズカノン!」

 

「うああああっ!」

 

スティンガースナイプに気を取られていると更に続いて正面からクロノのブレイズカノンが放たれ、今度は胸に直撃し吹っ飛ばされた。

直撃した痛みを堪えながら体を起こしクロノを見るといつの間にか風の鎖を解き、バリアジャケットを着ていないクロノがS2Uを俺に向けていた。

バインドを外すためにバリアジャケットをパージしたのか。

 

「流石だクロノ。なら・・・」

 

クロノの強さを新ためて実感し、心が少々踊りながらカードを引き抜く。

 

「ちょっと強め、いくぜ?」

 

『FORM RIDE!WIZARD HURRICANE DRAGON!』

 

『ハリケーン!』

 

ギャオオオオン!

 

『ドラゴン!ビュー!ビュー!ビュービュービュビュー!』

 

引き抜いたカードをドライバーに入れてトリガーを引くと音声とドラゴンの雄叫びの後、再び俺の頭上に緑色の魔方陣が展開されると緑色の風が竜巻のように吹き荒れ、俺の身体が宙に浮く。

一瞬、風のドラゴンの翼が羽ばたかせて風を払うとハリケーンスタイルの強化形態「仮面ライダーウィザード ハリケーンドラゴンスタイル」にフォームチェンジにする。

 

「さぁ、第二幕目のショータイムだ!」

 

『ATTACK RIDE! SPECIAL!』

 

『チョーイイネ!スペシャル!サイコー!』

 

風で浮き上がり、真後ろに魔方陣が展開され、風が吹き荒れ、風がドラゴンの形になり翼で包まれると背中にドラゴンの翼が生える。

 

「いくぞ!」

 

ドラゴンの翼を羽ばたかせクロノに向かって行き、体当たりを仕掛ける。

 

「ぐっ!」

 

素早い判断でクロノが左に跳んで躱したため直撃ではないが掠めた。

体当たりを躱したクロノは俺にS2Uを向けてきたため撃たれないように速度を上げ、右旋回、左旋回、急上昇、急降下、バレルロールと演習場内を飛び回る。

 

「速い!」

 

「どうだクロノ、降参するか?」

 

「その気はないよ。甘く見るな」

 

「そう言うと思った!」

 

俺の動きの速さに驚くクロノに降参するかと尋ねるが断るクロノにほんの少しだけ喜びながらスピードを上げてクロノに向かって行く。

 

訓練2日目

なのは

野田家 地下射撃場

 

「いいか、なのは。動きながら敵に射撃を当てるコツはしっかり狙いつつ、相手がどういう動きをするのか相手の動き方を見て予測するんだ。まずは停まった状態で動く的の動きを予測して狙撃する訓練だ」

 

「はい、頑張ります!」

 

「じゃあこれを使いな」

 

デュナメスが予め用意されていたケースをなのはに差し出し、なのはは受け取りケースを開けて中身を確認する。

ケースの中にはアメリカ海軍、海兵隊、陸軍等で使用されているセミオートマチックスナイパーライフル「SR-25」が入っている。

なお、このライフルは本物であり、独自に反動等を可能な限り抑えてあるカスタマイズ仕様だ。

 

「うわぁ。これ本物なんですよね?」

 

「ああ。健悟から聞いてるんだろ?」

 

「は、はい・・・。本物の鉄砲を見るのも触るのも、使うのも初めてですから緊張します」

 

「安心しな。別に人間を撃つんじゃないんだ。日本じゃ滅多にないだろうけど海外じゃスポーツとして射撃をしてる奴だっているぜ?でもな、なのは。こいつは使い方を間違えれば凶器に変わっちまう。そうなった場合、お前が引く引き金で放たれる銃弾は人の命を簡単に奪うもんなんだ。それだけは忘れるな」

 

「はい!」

 

「よし。じゃあそろそろ始める。こいつも忘れるなよ?」

 

実物の銃を見て緊張しているなのはに最初は軽く言うが途中からは真剣な声で話すとデュナメスの言葉になのはも重みを感じた様子で返事を返す。

なのはが返事を返すと射撃訓練を始めるためにデュナメスはイヤープロテクターをなのはに渡す。

 

「まずは遅めに動かすが的を1つ撃ち抜くたびに速度が上がっていくぜ」

 

「分かりました」

 

「まず手本を見せる。俺と同じ姿勢を取るんだ」

 

射撃訓練の簡単な説明を受け、射撃体勢の見本としてデュナメスがうつ伏せになり、GNスナイパーライフルのバイポッドを立てて構え、普段は額のガンカメラを降ろすが今回は降ろさずに右目でスコープを覗きトリガーに指を掛ける。

 

「やってみな」

 

「はい!」

 

デュナメスに言われるとなのはもデュナメスと同じくうつ伏せになってSR-25を構え、右目でスコープを覗き、トリガーに指を掛けた。

 

「いいぜ。じゃあここにトリガーの安全装置がある。これを動かせばトリガーが引けるようになって弾が撃てる。スコープで狙いを定めて自分の好きなタイミングで撃ってみな」

 

「はい!」

 

うつ伏せになってSR-25を構え、右目でスコープを覗き、トリガーに指を掛け、力を入れてトリガーを引く。

 

「きゃっ!」

 

SR-25から銃弾が放たれ、弾は的の真ん中からやや左に逸れて命中する。

だが、銃弾が放たれた際の音に驚いてなのはは僅かに悲鳴を出す。

 

「大丈夫かい?」

 

「は、はい。ちょっとびっくりしただけです。思ったよりも音がするんですね」

 

「まあな。でも驚いてちゃ訓練にならないぜ?」

 

「は、はい!」

 

デュナメスが声を掛けると銃を使ったことと実際に聞く銃声と予想外のことを体験した正直な感想を述べるなのはにデュナメスは驚いていては訓練にならないと言い、なのははすぐに射撃体勢に戻す。

的に命中させたことで1射目よりも動きが少し早くなっている的に再びスコープを覗き込んで狙いを定め、トリガーに指を掛けて第2射目を放つ。

 

フェイト

第1演習場

フィールド設定なし

 

「はぁぁああああっ!」

 

第1演習場にてフェイトはW ヒートメタルフォームを相手に棒を使った訓練を行っている。

フェイトが繰り出す振りと突きの連続攻撃をWはメタルシャフトで防御、または体を捻って躱す。

右から大振りで振るうフェイトの棒をWメタルシャフトで受け止めた。

 

「せや!」

 

「くっ!」

 

受け止めたメタルシャフトを力一杯振るって払い除け、フェイトを退けると一度バックルを閉じ、右スロットのヒートメモリを引き抜く。

 

『CYCLONE!』

 

サイクロンメモリを取り出し、スイッチを押してガイアウィスパーが発せられる。

 

『CYCLONE!METAL!』

 

サイクロンメモリを右スロットに入れバックルを展開し、W サイクロンメタルフォームにフォームチェンジする。

さっきまでの力のある攻撃とは異なり、サイクロンメモリの力で先程よりも素早くメタルシャフトを振るって攻撃してくる。

メタルシャフトの連続攻撃から体勢を立て直そうとメタルシャフトを弾き、バックステップで後ろに跳び、一度距離を取る。

 

『LUNA!』

 

だがフェイトが離れると再びバックルを閉じ、右スロットのサイクロンメモリを引き抜くと今度はルナメモリを取り出してスイッチを押し、ガイアウィスパーが響く。

 

『LUNA!METAL!』

 

「おりゃっ!」

 

「棒が伸びた!」

 

ルナメモリを右スロットに入れバックルを展開し、ルナメタルフォームにフォームチェンジするとメタルシャフトを振るう。

するとルナメモリの力でメタルシャフトが縮尺し、まるで鞭のように離れたフェイトに迫る。

力のあるヒートメタル、素早い動きでの連続攻撃のサイクロンメタルと違う、ほぼ全方位から伸縮するメタルシャフトが振るわれる。

状況的に不利だと思い、フェイトは距離を詰めようとするがメタルシャフトで牽制され、Wに近づけない。

 

『HEAT!』

 

Wはルナメモリをバックルから抜き、ヒートメモリのスイッチを入れ、バックルに装填する。

 

『HEAT!METAL!』

 

バックルを展開して再びヒートメタルに戻り、Wが自ら走りフェイトに接近しメタルシャフトが振るう。

 

(このWの戦い方、あのシグナムって人と似ている)

 

縮尺し、素早く、そして力強い、これらの攻撃にシグナムと共通しているとフェイトは考えていると振るわれるメタルシャフトをフェイトは棒で受け止めるが再び力の入ったメタルシャフトを受け、危うく棒を弾き飛ばされそうになるがなんとか持ち堪える。

フェイトの棒を押し返し、メタルシャフトを振るい、時に突きを繰り出すW。

動きはサイクロンメタルの時よりは遅いものの力に差があるせいか中々反撃出来ず、後ろに下がりながらメタルシャフトを棒で防ぎ、躱していく。

押されていたフェイトだったがメタルシャフトを受け止め、押し返してフェイトもWに反撃を行う。

 

ユーノ

第4演習場

フィールド設定なし

 

「いいか少年。ムチには様々な使い方がある。相手に絡ませ動きを止めるのは勿論、振るうことで距離を取った攻撃、相手の武器を弾き落とすことも出来、または牽制にもなる」

 

「はい!」

 

「まずは手本を見せよう。離れていろ。コズン、準備はいいか?」

 

「はい、大尉!」

 

「遠慮はいらん。実戦だと思ってかかってこい!」

 

「了解!」

 

第4演習場ではユーノがグフからムチの使用についての講義を受けており、戦闘での使い方を見せるためグフはランバ・ラルの部下であったジオンのMSパイロット「コズン・グラハム少尉」が搭乗したザクUと模擬戦を行う。

ユーノが離れるとグフに模擬戦開始を告げられたコズンのザクUはザクマシンガンを連射する。

ザクマシンガンが放たれるとグフはスラスターを使い、右に素早く避ける。

コズン機はグフにザクマシンガンを撃ち続けながら右脚部の3連装ミサイルポッドから3発のミサイルを発射した。

 

「いいぞコズン。しかし!」

 

グフは迫りくるミサイルにヒートロッドを振るい先頭のミサイルを叩き落とす。

叩き落とされたミサイルは爆発を起こし、その爆発に巻き込まれ残り2発のミサイルが誘爆を起こす。

ミサイルの爆発で起こった煙を使い、グフはスラスターを全開にしてコズン機に向かっていく。

 

「っ!?くっ!」

 

煙の中から現れたグフに動揺しながらもコズン機はグフにザクマシンガンを放つ。

ザクマシンガンを放たれるとグフはすぐに反応し、スラスターを切り、床に着地すると勢いよく床を蹴って跳び、スラスターを噴射してザクマシンガンを躱しコズン機の頭上を跳び越える。

 

「とあっ!」

 

「ぐあっ!しまった!」

 

跳び越えたグフは着地すると振り返ると同時にヒートロッドを横に振るう。

コズン機も振り返り、ザクマシンガンを構えるがグフのヒートロッドが当たり、弾き飛ばされる。

 

「くっ!なら・・・ぐおっ!」

 

弾き飛ばされたザクマシンガンを見て直ぐに取りに行ける距離ではないと思ったコズン機は右腕をサイドスカートにマウントしているヒートホークに伸ばそうとした時、首にヒートロッドが巻き付いた。

 

「さぁどうするコズン。まだ続けるか?」

 

「ま、参りました、大尉」

 

コズン機の首にヒートロッドを巻き付けたグフはまだ戦うか尋ねる。

対してコズン機は両手を上げて降参し、2体による模擬戦が終了した。

 

「どうかね少年。これがムチを使った戦いというものだ」

 

「す、凄いです。あんな戦い方があるなんて」

 

模擬戦を終え、グフはユーノに感想を尋ねると予想以上の戦い方にユーノは素直に関心している。

 

「うむ。では早速チェーンバインドとやらを出すんだ少年。訓練時間は限られている。早くせねばクーロンガンダムとの訓練時間に間に合わなくなるぞ」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

関心しているユーノに訓練時間が少ないためすぐに始めるようグフが促すとユーノは気合のある返事を返し、チェーンバインドを短めに出し、グフからの指導を受ける。

 

クロノ

第6演習場

フィールド設定 熱帯ジャングル

今日のクロノの訓練は小隊を率いたチーム戦。

演習場のフィールドを東南アジアの熱帯のジャングルに設定され、小隊隊員である3機のジムを連れてジャングルの中を進軍していく。

 

「各員、状況を報告」

 

『こちら・・・2番機、ザザ・・・周囲に敵・・・影なし』

 

『こ・・・ちら・・・3番機、こち・・・ザ・・・らも確認・・・出来ません』

 

『4・・・番・・・ザザ・・・機、異常な・・・ザ・・・しです』

 

「レーダーはまだ使えないのか?」

 

『駄目で・・・す。やはりミ・・・ノフスキー粒子の・・・影響でレー・・・ダーによる探知は出来ません』

 

「そうか。・・・健悟から事前に説明は受けていたが、ミノフスキー粒子、なんて厄介なんだ。それに近い距離でも通信にノイズが混ざってる」

 

『どうしま・・・すか、隊長?』

 

「このままゆっくり前進。各員、周囲の警戒を怠るな」

 

『了解!』

 

クロノは右耳に付けている通信機で3機のジムに状況を尋ねる。

3機のジムからは通信にノイズが混ざり多少聞きづらいが返事が返って来る。

ジムに搭載されいるレーダーがまだ使えないかと尋ねるがこの演習場に散布されているミノフスキー粒子の影響でレーダーが使えなくなっている。

尚、近距離での通信にノイズが入っているのにもミノフスキー粒子が関係している。

本来は宇宙世紀の世界の物でこれまで体験したことがないミノフスキー粒子下でレーダーと通信に制限が掛かっているため、事前に説明されていても実際にその厄介に愚痴を零す。

 

『隊長。敵部・・・隊を発見しました』

 

「何処だ?」

 

『10・・・時の方向、距・・・離約1000。周辺を・・・見渡しています』

 

3番機から敵小隊を見つけたと報告を受けたクロノはすぐに居場所を訊く。

場所を訊くと姿勢を低くして敵小隊が見える位置まで移動し、木に身を隠しながら双眼鏡を取り出し、1キロ先にいる敵小隊を見る。

双眼鏡で見ると3機のジムタイプのMSがある程度離れて周囲を警戒しているのが確認出来た。

3機のジムタイプの内、2機は同型だがもう1機は全身が蒼色に塗装されている。

 

『どうやら・・・我々を探し・・・ているようで・・・す』

 

「よし。なら気づかれる前に奇襲を仕掛ける。誰か、敵の機種と他に敵はいないか分かるか?」

 

『こちら4番機。敵の数は今・・・のところ3機確認。機種は2機はジムコマ・・・ンドと呼ばれる・・・機体の地上機ですが・・・い・・・ろは・・・宇宙用です。もう一機は・・・蒼い陸戦型ジム。いや、ボディは陸戦・・・型ガンダムか?もう一機は・・・陸戦型ジムの頭部・・・をした陸戦型ガ・・・ンダムです』

 

「2番機、3番機。他に敵らしき機影は見えるか?」

 

『こちら3番機、今のと・・・ころ確認出来ません』

 

『自・・・分の方も他に敵・・・機は見えていません』

 

「了解。有効射程距離まで近づこう」

 

『了解』

 

敵小隊の数と機種を尋ねると4番機が敵が「機動戦士ガンダム0080ポケットの中の戦争」等に登場した地球連邦軍の量産型MS、宇宙用機のカラーリングにされている後期生産型ジム「RGM-79G ジム・コマンド 地上用(もしくはコロニー仕様)」2機と蒼色に塗装されている陸戦型ジムの頭部の陸戦型ガンダムであることを報告する。

他に敵がいないかクロノが2番機と3番機に尋ね、2番機と3番機は敵は確認出来ないと報告する。

2機の報告を聞いたクロノは小隊全機に有効射程距離まで近づくよう指示を出し、身を隠しながら音を立てないように近づいていく。

相手との距離が800mにまでなった時、蒼い機体の頭部がクロノの方を向いて右手に持っている「100oマシンガン」を構えた。

 

「!!気づかれた!?」

 

クロノが声を上げた直後、蒼い陸戦型ジムとジムコマンドが100mmマシンガンと「90oプルパップマシンガン」を一斉に放つ。

 

『うわあああ!』

 

『こっち・・・の位・・・置が把握・・・されてる!?』

 

『そん・・・な!ミノ・・・フスキー粒・・・子・・・はまだ・・・濃いまんま・・・だぞ!』

 

「各機、応戦するんだ!」

 

敵小隊からの攻撃にクロノ達が撃ち返す。

銃弾とロケット弾、ビーム、魔力弾が飛び交う中、相手側の蒼い機体が飛び出し、単機でクロノ達に向かって行く。

クロノ達は蒼い機体に攻撃を集中させるが放たれるビーム、100o弾、魔力弾、ロケット弾を躱しながら接近してくる。

 

「速い!」

 

「あの機体、蒼い死神!」

 

「蒼い死神?」

 

「我々の世界で起きた一年戦争の時に多くのジオンのMSを倒した機体ですよ!噂では単機で敵MS中隊を壊滅させたともいわれています。4番機!なんで直接確認しといて何故あれが蒼い死神だと分からないんだ!」

 

『す、すみません!』

 

蒼い機体の動きに2番機を驚いていると蒼い機体を見て3番機が驚きと僅かな怯えた声を出すとそれを聞いたクロノが繰り返す。

蒼い死神の異名を持つ相手のMSはガンダムの外伝作品「機動戦士ガンダム外伝THE BLUE DESTINY」に登場した地球連邦軍のとある特殊OSを搭載し、その作品の主人公「ユウ・カジマ」が搭乗した陸戦型ジムの頭部に陸戦型ガンダムを改修した身体のMS「RX-79BD-1 ブルーディスティニー1号機」(以降 BD1)。

3番機はクロノにBD1について軽く説明をし、BD1だと分かっていなかった4番機に叱咤し、4番機は慌てて謝る。

 

『くそ!こいつ当たらないぞ!うぐあっ!』

 

『左からジムコマンドが来ています!』

 

「蒼い死神に2機のジムコマンド!こいつらモルモット隊か!気をつけて下さい隊長!敵の小隊は実戦経験豊富な部隊です!」

 

クロノの小隊から攻撃を避けつつ攻撃してくるBD1に攻撃が当たらず苛立ち始めつつある2番機から苦痛の声が聞こえてくる。

全員が単機で近づき、一定の距離を取りながら戦っているBD1に気を取られている隙に残っていた2機のジムコマンドが回り込み、4番機がビームスプレーガンで応戦する。

BD1に2機のジムコマンド、この3機の編成で3番機がこの小隊が一年戦争からグリプス戦役まで地球連邦軍の総司令部があった南米「ジャブロー」直属の独立部隊で作戦ごとに様々な戦場を渡り歩き、MSの運用データ収集を行ってた一年戦争時の地球連邦軍のMS部隊、正式名称「第11独立機械化混成部隊」、その部隊目的から通称「モルモット隊」と呼ばれていた部隊であることに気づきクロノに注意を呼びかける。

彼らが経験豊富である理由はMSのデータを取るために転戦させられたのが激戦区ばかりだったためだ。

 

「僕は蒼い機体の相手をする!2番機、僚機の相手を!4番機は2番機のバックアップに回れ!3番機は僕の方を頼む!」

 

『了か・・・うわああああっ!』

 

『隊長!4番機がやられました!』

 

「・・・・・各機、一旦下がるんだ!」

 

『了解!』

 

クロノが各機に指示を出し、4番機が返事を返そうとしたが通信から悲鳴が聞こえ、2番機から4番機が倒されたと報告を受け、クロノは小さく何かを呟くと残っている2、3番機に一時後退指示を出し、後退を開始する。

 

「敵が後退します」

 

「どうするよユウ?」

 

「フィリップ、サマナ。追撃する」

 

「了解です!」

 

「おっしゃあ!いくとしますか!」

 

クロノ達が後退するとモルモット隊の最古メンバーの地球連邦軍MSパイロット「サマナ・フュリス」のジムコマンドと同じくモルモット隊メンバーの地球連邦軍MSパイロット「フィリップ・ヒューズ」のジムコマンドが小隊長であるBD1にどうするか尋ね、クロノ達を追撃すると判断するとすぐに返事を返し、3機はクロノ達を追う。

追撃するBD1が先程までクロノがいた場所を通過したその時、後方から何かに絡みつかれ両腕を封じられた。

 

「何!?ぐっ!」

 

「どうしたユウ!?」

 

「敵が仕掛けたトラップに引っかかった!身動きが取れない!」

 

突然のことにBD1が困惑すると絡みつかれたことでバランスを崩し転倒する。

このことに僚機のジムコマンド達が足を止めてBD1に向き、フィリップ機が状況の確認をとる。

BD1がクロノが撤退する際に小声で詠昌を唱えて設置した設置型バインド「ディレイドバインド」で動きを封じられた。

全身に力を込め、バインドを壊そうとするが簡単には千切れない。

 

「待ってろユウ!今外してやる!」

 

「少尉!」

 

「ああん?ぬお!」

 

フィリップ機がBD1のバインドを外すため近づこうとした時、サマナ機に叫ばれ振り向くと右肩にロケット弾が命中し吹き飛ばされた。

BD1がバインドに掛かったことで撤退を止めたクロノは反撃に移りジム2番機と3番機が先程のフィリップ機、サマナ機のように2機を襲撃、ハイパーバズーカと100oマシンガンで2機の動きを封じる。

 

「大丈夫ですか少尉!?」

 

「くそう!やってくれるじゃねぇか。少しばかり効いたぜ」

 

「もらった!」

 

『ブレイズカノン』

 

サマナ機はシールドでジム2機の攻撃を防ぎながら応戦し、フィリップ機に状態の確認するとフィリップ機は命中はしたがまだ戦えるようで身体を起こし立ち上がろうとしているとバインドに拘束されているBD1にクロノはS2Uを向け、ブレイズカノンを放った。

 

「隊長!」

 

「ユウ!」

 

クロノからブレイズカノンが放たれ、どちらも動くことが出来ずBD1に叫ぶフィリップ機とサマナ機。

放たれたブレイズカノンはようやく右足で片足立ちしたBD1の正面で直撃コース、クロノは勝利を確信していた。

しかし・・・。

 

「これは使わないようにしていたが仕方ない。力を貸してくれ、マリオン!」

 

『EXAMシステム、スタンバイ』

 

ブレイズカノンが迫る中、まだ諦めていなかったBD1が叫び、それに答えるかのように無機質な機械音声が発せられた後、異変が起こる。

BD1の頭部カメラが緑から赤へと変化すると再び全身に力を込め、バインドを力ずくで千切ろうとする。

その力は先程よりも強くなっている。

 

「ぬおおおおおおっ!はああっ!」

 

向上したパワーでバインドを引き千切り、ギリギリのところでブレイズカノンを回避した。

 

「躱した!?」

 

命中すると思っていたブレイズカノンを躱され、クロノは驚きの声を出しながらBD1を見る。

 

「さっきよりもパワーが上がっている。それになんだ、あの機体から何かを感じる」

 

「隊長!」

 

突然のパワーの向上、そしてBD1から感じる何かに疑問を持っているとクロノを援護しようと2番機が100oマシンガンをBD1に連射する。

2番機の放つ100oマシンガンの弾をBD1は木々を滑るように移動して回避、2番機も100oマシンガンを撃ち続けるがBD1に当たらない。

 

「機動性も違うのか!!」

 

パワーだけでなく機動性も先程よりも向上していることに気づきクロノは驚く。

だが一番驚いているのはいくらホバー走行が可能であっても足場が悪く、こんな木等の障害物が多い場所であるにの関わらず速度を落とすことなく回避運動していることだった。

 

「くそ!当たれよぉ!」

 

向上した機動力で全弾を躱されていることに苛立ちながら2番機は100oマシンガンを撃ち続けた。

 

ダダダダダ・・・カチカチカチ

 

「た、弾が!!」

 

撃ち続けていると100oマシンガンの残弾が0になり、銃口からは弾が出ず空撃ちしている。

2番機は慌ててマガジンを交換しようとするがBD1はこの好機を逃さなかった。

BD1はスラスターを全開にして2番機に接近していく。

 

「あ、ああああああっ!」

 

接近してくるBD1に恐怖のあまりに叫びながら頭部の「60oバルカン砲」を連射するがBD1は命中しても構うことなく接近し、右手の100oマシンガンを左手に瞬時に持ち替えると右手で2番機の頭部を鷲掴み、片腕で2番機を持ち上げる。

 

「2番機!!」

 

「くそっ!」

 

持ち上げられている2番機を見てクロノは叫び、3番機は装備しているハイパーバズーカの砲口をBD1に向け照準を合わせる。

ハイパーバズーカを向けられたことに直ぐに気付いたBD1は2番機を3番機に向かって投げつけた。

 

「うわあああっ!」

 

「何!?だああっ!」

 

MSを投げるという常識外れのBD1の行動とハイパーバズーカの射線上に2番機が入ったため3番機は対応が遅れ、投げ飛ばされた2番機と激突し、2体とも地面に倒れた。

 

「何してる!早くどけ!」

 

「す、すまん!」

 

2体のジムが慌てて起き上がろうとする中、BD1は姿勢を低くし、右手で陸戦型ガンダムと同じ左脚の脹脛部分にある内蔵型サーベルラックから「X.B.Sa-G-03 ビームサーベル」を取り、ビーム刃を展開、スラスターを噴射してジムに急速接近する。

接近したBD1は右腕を振り上げ、2、3番機の胸部、コックピット部にビームサーベルを突き出す。

 

「「うああああああっ!!」」

 

2機が悲鳴を上げるが突き刺さる直前にビームサーベルのビーム刃が消え、サーベルラックが2番機のコックピットハッチに当たる。

BD1が跳躍して離れると撃墜判定とされたジム2機は動かなくなった。

 

「どうなってるんだ。頭のカメラの色が変わったと思ったら機動性とパワーが格段に上がっている。さっきの機械音声、エグザムというのが関係しているのか?」

 

急激に向上した機動性と機体出力、それの原因こそがBD1に搭載されているOS、地球連邦軍の敵であるジオン公国の「フラナガン機関」から亡命してきた人物「クルスト・モーゼス博士」がジオンのニュータイプの少女「マリオン・ウェルチ」の精神波を偶発的に発生した事故でコピーし、完成させた旧人類「オールドタイプ」でもニュータイプに対抗出来き、ニュータイプを殲滅、裁くために開発したOS「EXAMシステム」によるものだ。

ジム2機を倒したBD1は最後に残ったクロノに視線を向けるとスラスターを噴射し接近する。

 

「くっ!スティンガースナイプ!」

 

接近してくるBD1にクロノはスティンガースナイプを放つ。

対してBD1はスティンガースナイプをシールドで防ごうと左腕を動かした。

 

「スナイプショット!」

 

左腕を動かした直後、クロノはスティンガースナイプを加速させた。

スティンガースナイプが加速したことで防御のタイミングがズレ、BD1の胸部に命中しバランスを崩して着地して左膝を着いた。

膝を着いたBD1にクロノは接近し、ブレイクインパルスを喰らわせようとS2Uを構えた。

クロノに対しBD1は「胸部バルカン砲」2門を掃射する。

 

「何っ!?」

 

バルカンによる攻撃でクロノが怯み動きを止めるとBD1はクロノに「胸部有線式ミサイル」を2発放った。

 

「ミサイル!あんなところに!」

 

胸部にミサイルが搭載されていることに驚きながらもクロノは右手を前に出しラウンドシールドを前面に展開、有線式ミサイルを防ぐが爆煙と土煙で視界が遮断される。

 

「またこのパターンか!」

 

クロノが以前にも同じように視界を遮られたことを思い出しながら周囲を警戒していると煙から何かが飛び出し、頭上を跳び越えていく。

 

「なっ!ぐっ!」

 

飛び出したのはBD1で、頭上を通り過ぎる際に「頭部バルカン砲」と胸部バルカン砲をクロノの頭上から同時掃射、バルカンの弾が降り注ぎ、クロノの肩や腕、足に命中し、軽く麻痺させる。

軽く麻痺するのは非殺傷モードの弾であるためだ。

クロノの背後に着地したBD1はクロノに振り向き、クロノもなんとか体を動かし振り返るが額に100oマシンガンの銃口を突きつけられた。

 

「勝負あり。だな?」

 

「そのようですね」

 

ビィーーーー

 

決着がついたことをカメラの色が緑に戻っているBD1に尋ねられるとクロノが頷いた直後、演習場内にブザーが鳴り響き、演習が終了した。

ちなみにモルモット隊がミノフスキー粒子下でクロノ達をいち早く探知出来たのは彼らの後方にはブラッドハウンドがアンダーグラウンドソナーを使い、索敵を行っていたからだ。

 

市街地

 

「えーっと、買うもんはこれで全部か?あ、トイレットペーパーまだ買ってないな」

 

『♪〜〜〜♪』

 

皆の戦闘訓練開始から今日で5日目、この短い期間で皆は着々と力をつけてきている。

特にユーノはグフやYF-19、クーロンガンダムのお蔭で大分力をつけている。

しかし、なのはとフェイトはまだ基本的な訓練しかしていない。

これがバリアジャケットを纏っての本格的な訓練をすればあの2人は更に力をつけることになる。

伸びしろが中々に見えない、まさに脅威だな。

今日はなのはとフェイトがミッドチルダにレイジングハートとバルディッシュを受け取りに行っているため訓練を休みにして俺は食材や日用品の買い出しをしているとズボンの右尻ポケットに入れていたファイズフォンから着信音が鳴る。

着信音が仮面ライダーキバのOP「Break the Chain」が流れたってことは、アルフからだな。

 

「ん?アルフから?もしもし?」

 

『もしもし健悟?あのさぁ、今リンディ提督と一緒にいないかい?』

 

「いや、いないけど。どうしたんだ?というか今日リンディ提督と一緒にいるのはお前じゃなかったか?確かミッドの方で用事があったんだろう?」

 

『それがさあ、時間になっても来ないんだよ』

 

「分かった。取り敢えず俺からも連絡を入れて---!?」

 

電話に出るとアルフにリンディ提督と一緒にいないかと尋ねられて俺はすぐにいないと返す。

今日の予定を思い出し、逆にアルフがリンディ提督と一緒にいるはずだと聞き返すがどうやら約束の時間になっても現れていないようだ。

あのリンディ提督が連絡もなしというのが気になり俺もリンディ提督に連絡を入れてみるとアルフに伝えようとした時、最中に周辺の色が変わり、周囲から人が消えていく。

 

「結界!?」

 

街から人々が消えた原因、結果が張られたことに俺は驚きの声を出した。

 

-3ページ-

 

後書き

 

ARXー7アーバレスト「えー、読者の皆様、大変お久しぶりです。4ヶ月遅れで今更ながら明けましておめでとうございます」

 

健悟「ほんとに久々だよな」

 

ARXー7アーバレスト「正直ここまで時間かかると思わなかった。中々内容を纏めることが出来ず時間を掛け過ぎたけど、正直上手くかけたか内容が不安」

 

アポロン「内容が不安なのはいつものことでしょ?」

 

ARXー7アーバレスト「まあそうなんだけどね。兎に角、約5ヶ月の間、お待たせいたしました」

 

健悟「待っててくれてた読者の皆さんが少しでも喜んでくれるといいな」

 

ARXー7アーバレスト「ほんとにね。またこの度熊本地震で多くの方が被災されたようで1日でも早く安全な生活を過ごせるようにと願っています。・・・ではそろそろお時間となりました。次回予告よろしく!」

 

健悟「あいよ。んで、今回は何風?」

 

ARXー7アーバレスト「今回は『GEAT 自衛隊 彼の地にて斯く戦えり』風で!」

 

健悟「相変わらず予告手抜きが酷いな。えーっと・・・次回、〜少年が望んだ世界と力〜『カートリッジシステム』」

 

ARXー7アーバレスト「はいOK!」

 

健悟「予告が簡単すぎる」

 

ARXー7アーバレスト「まあ本来こんな感じでいいんだけどね」

 

健悟「そうだけど」

 

ARXー7アーバレスト「さて皆さま、今回も読んで頂きありがとうございました。次の更新はいつになるかは不明ですがまたお待ち頂けることをお願いいたします。次はもう少し早く書けるように自分も頑張ります!では、次回もお楽しみに!!」

説明
第五十七話 みんなを鍛えます!
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待っていましたよ 次の最新を楽しみに待ってます(秀介)
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