英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク 改訂版 |
〜空中庭園〜
「ひ、ひいい………来るな………来ないでくれ…………」
ケビン達が空中庭園に到着すると人の声が聞こえてきた。
「人の声………!?」
「無事だった者がおるんか!?」
「………急ぎましょう。」
”影の国”に来て初めて聞いた人の声に驚いたケビン達は声が聞こえた方向に向かった。そして声が聞こえた方向に向かうと、なんとギルバートが魔物達にジワジワと詰め寄られていた。
「ど、どうしてこんな事に………」
魔物達に詰め寄られているギルバートは信じれない表情で呟いた後
「く、来るな!頼むから来ないで下さい!」
なんと土下座をして命乞いを始め、その様子を見ていたケビン達は脱力した。
「………なんだあれは。」
「それよりも何故奴がこんな所にいる?」
「魔物を相手に命乞いをするとは、中々ユニークな方ですね。」
我に返ったユリア大尉は困惑し、ギルバートが空中庭園にいる事に疑問を持っていたバダックは眉を顰め、ジェイドは興味ありげな表情でギルバートを見つめ
「そっか………すっかり忘れとったわ。」
「………うん、私も。でも、巻き込まれていてもおかしくない状況だったかも。」
「そやな………まあいい、聞きたいこともあるし、とりあえず助けたるか!」
一方”影の国”に巻き込まれた際、ギルバートも近くにいた事を思い出したケビンとリースは納得した後新たな情報を手に入れる為にギルバートを救出する事を決め、仲間達と共に武器を構えてギルバートに詰め寄ろうとしている魔物達の背後へと詰め寄った。
「そこまでや………!」
「………未練があるなら、私達がお相手しましょう。」
「き、貴様らは――いや、あなた様がたは!?」
魔物達に注意を引き付けたケビン達に気付いたギルバートは驚いた。
「話は後や!まずはこいつらを追い払う!」
「………私達の足だけは引っ張らないで下さい。」
そしてケビン達は協力して魔物達を撃破した。
「た、助かった………ありがとう!君達は命の恩人だ―――」
一掃された魔物達を見たギルバートは安堵の溜息を吐いた後、ケビン達に感謝の言葉を述べようとしたが
「…………」
「ひえっ!?」
振り返ったリースに無言で法剣の刃を突き付けられると悲鳴を上げて思わず両手を挙げた。
「さて、質問の時間です。………ユリア大尉。聞きたいことがあればどうぞ。」
「おや、まさか先をこされるとは。中々わかっていますね、あのシスターは。」
「フッ、奴にとってお前より先にあのシスターに尋問された事の方が間違いなく幸運だろうな。」
ギルバートを脅迫している様子のリースにケビン達が冷や汗をかいている中、リースの行動にジェイドは感心し、バダックは静かな笑みを浮かべてギルバートに視線を向けていた。そして気を取り直したユリア大尉がギルバートに質問をした。
「あ、ああ………ギルバートと言ったか………どうして君がここにいる?王都の異変について何か知っていることはあるか?」
「な、な、何かって………き、気がついたら波止場で目を覚ましてて………ま、街に人はいないし、変な甲冑の化け物みたいなのが通りをうろついているし…………それで逃げ回ってたらこ、この城にたどり着いて………」
「なるほど、オレらと違って”拠点”の方には飛ばされなかったわけやな。しかし、目を覚ましたらすでに街がおかしくなってたか………せめて異界化する現場でも目撃して欲しかったんやけど。」
「クッ………勝手なことを。」
自分の命がけの行動に対して好き勝手な事を言うケビンをギルバートは唇を噛みしめて睨んだ。
「………ギルバート。あなたに一つ聞いておきたい。”身喰らう蛇”はこの件に関与しているのか?」
その時、黙って聞いていたヨシュアが真剣な表情でギルバートに尋ねた。
「ヨシュア・ブライト………お前もここにいたのか………フ、フン、”結社”が関係しているはずがないだろう。何と言っても、この僕が何も知らないというのが何よりの証拠さ!」
(何の証拠にもなっていないような………)
しかし自慢げに話すギルバートを見て呆れた後、ギルバートに尋ねても無駄と判断した。
「………ケビン。彼をどうします?武装解除して拘束しますか?」
「いや………それには及ばんやろ。何も知らへんみたいやし足手まといになるだけや。」
「………了解。こちらの用は以上です。何処へなりと消えるといいでしょう。」
そしてケビンの判断に同意したリースは法剣を収めて淡々とギルバートに指示をした。
「こ、この………どこまで僕をバカに………お、覚えてろよ!この異常な場所から抜け出す方法を見つけてもお前達には教えてやるもんか!未来永劫、さ迷うがいいさっ!」
指示をされたギルバートはケビン達を睨んだ後捨て台詞を吐いてどこかへと走り去った。
「まさに三下のお手本と言ってもおかしくない方でしたねぇ。」
「………微妙に心配だな。一人にして、何か問題を起こさなければいいのだが。」
ギルバートが去るとジェイドは呆れ半分の様子で口元に笑みを浮かべて答え、ユリア大尉はギルバートが何か仕出かさないか気になり、考え込んでいた。
「ま、大丈夫ですやろ。あの兄さんにそこまで大それたことが起こせるとも思えへんですし。」
「………余計な手間を取られてしまいました。城の探索を続けましょう。」
その後ケビン達は探索を再開し、女王宮に入り、女王の私室にあるテラスに出た。
〜女王宮〜
「………あ………」
「な、なんや………!?」
テラスに出て、目の前にうっすらと浮かび上がっている人らしきものを見つけたリースとケビンは戸惑った。
「よく………ここまで………来てくれました………あなた方に………これを託します………どうか………私の………を………」
うっすらと浮かび上がっている人らしきものは何かを残して消滅した。
「………今のは…………」
「……………………」
「ぼ、亡霊………?い、いや………あの雰囲気はどこかで………」
一瞬の出来事にケビンとリースが考え込んでいる中、人らしきものがさらけ出していた雰囲気に覚えがあるユリア大尉は戸惑いの表情をしていた。
「………どうやらただの霊ではなさそうですね。」
「あの言い方だと俺達を待っていたように聞こえたが……」
「とにかく、何かを残して消えたようですし、まずそれがなんなのかを確かめましょう。」
ヨシュアとバダックが考え込んでいる中、人らしきものが残した物に気づいたジェイドはケビン達を促した。
その後ケビン達は亡霊らしき人物が残した物――宝物庫の鍵を手に入れたので、宝物庫に向かい、そして封印区画に降りるエレベーターもあったので、エレベーターに乗り、封印区画に降りた。
〜封印区画 第1層〜
「これは………」
「フム……見た所、地下に眠っていた古代の遺跡、と言った所ですね。」
封印区画に到着し、周囲の様子にリースは呆け、ジェイドは冷静に分析していた。
「ここを探索するとなるとそれなりの準備が必要になりそうですね。」
「ふむ………このまま進んでいいものか。」
封印区画の広さを知っているヨシュアとユリア大尉はそれぞれ考え込んだ。
「まずは遺跡の様子だけでも確かめといた方がいいでしょう。どんな魔物が徘徊しとるか知れたもんやないですし。」
「………確かに。もう少し先まで行ってみるとしよう。」
その後探索を再開したケビン達が最初の部屋に入ると、驚くべき光景が目の前にあった。
「へ………」
「な………!?」
「!」
「これは……」
部屋に入り、周囲を見回したケビンとユリア、ヨシュアとバダックは驚いた。
「………何か問題でも?」
「……どうやらその様子ではこの遺跡にイレギュラーな事態が発生しているようですね?」
ケビン達の様子が気になったリースは不思議そうな表情でケビン達に訊ね、ジェイドは真剣な表情でケビン達に問いかけた。
「も、問題もなにも………」
「これは………遺跡の構造が変わっている?」
「ああ………間違いない。この場所には最初の三又路に通じる通路があったはずだ………なのにどうして………」
二人の疑問にケビン達は以前来た時は最初の部屋に下の階層に行くエレベーターは無い事―――構造が違う事を説明した。
「勘違い………ではなさそうですね。」
ケビン達の話を聞いたリースは呆けた表情で呟いた。
「……………なるほど。そういうことか。」
「ええ………その可能性は高いでしょう。」
「おっと………ヨシュア君も気付いたか。なら、確実かもしれへんな。」
「2人とも………なにか気付いたのか?」
ケビンとヨシュアが何か気づいている様子が気になったユリア大尉は二人に訊ねた。
「いや………とりあえずこいつで下に降りましょう。その先に答えが待っているはずですわ。」
「そうか………わかった。」
「いや〜、皆さんが優秀なお陰で私は頭を使わずに済みますから、普段はパーティーの頭脳担当の私も楽をさせてもらえますよ。」
「フッ、よく言う。大方お前の事だから、今回の事態に関して奴等より把握しているのではないか?」
ケビンの答えにユリア大尉が納得している中ケビン達に感心している様子のジェイドにバダックは静かな笑みを浮かべて指摘し
「いえいえ、正直私が把握している事は皆さんと大差ありませんよ。」
「ハハ、その答えで中将もわかっている証拠やないですか。」
わざとらしい態度で答えたジェイドをケビンは苦笑しながら見つめた。そしてケビン達がエレベーターに乗り、降りるとありえない場所に到着した。
〜封印区画・最下層〜
「………馬鹿な………こんなに早く最下層に到着できるなんて………」
「空間がねじ曲がっている………?」
1層から乗ったはずのエレベーターがいきなり最下層に到着した事に信じられない思いでいるユリア大尉の話を聞いたリースは推測した。
「いや、それだけやと遺跡の構造そのものが変わった理由にはならへん。とにかく………一番奥まで進んでみよう。何かが待っているはずや。」
「………わかった。」
「万全の態勢を整えた方がよさそうですね。」
その後どのような事態になってもいいように、準備を整えたケビン達は奥の大部屋に入った。
〜封印区画・最奥〜
「………ケビン………」
「ああ………またあの匂いやな………」
「柩のような悪魔が出現した時の匂いか………」
部屋に入り、周囲を見回して何かに気付いたリースの言葉にケビンは真剣な表情で頷き、二人の会話を聞いたユリア大尉は察しがついた。
(………どこだ………?)
「フフ………この匂いに気付くか。さすがは教会の狗(いぬ)………ずいぶんと鼻が利くことだ。」
ヨシュアが周囲を警戒していると突如不気味な声が部屋中に響き渡った!
「………誰や!?」
声に気付いたケビンが叫ぶとかつてゴスペルを装着する装置があった場所が空間になっており、そこから不気味な仮面をかぶったローブ姿の謎の人物が現れた!
「!!!」
仮面の人物の登場に驚いたケビンは仲間達と共に武器を構えて警戒した様子で一定の距離をとって仮面の人物に近づいた。
「何者………!?」
「………ようやくのお出ましか。あんたが黒騎士の言ってた”王”ってヤツやな?」
「フフ、そうだな。この”影の国”を統べているという意味ではまさにその通りであろうな。私のことは”影の王”とでも呼ぶがいい。」
「影の………王。」
「なるほど。と言う事は貴方が今回の事態を引き起こした”元凶”ですか。」
仮面の人物―――影の王が名乗り出るとリースは考え込み、ジェイドは真剣な表情で影の王を見つめていた。
「はは、その名の由来は聖典には存在していない筈。そうであろう?リース・アルジェント。」
「!………私のことまで………」
「フフ、それにしても予想より早く到着したが、やはり”ネクロマンサー”と”黒獅子”の助けのお陰と言った所だろうな。」
「!オールドラントにいた頃の俺の事まで知っているとはな………」
「フン、よっぽど念入りに探りを入れてたみたいやな。」
自分達の事を知っている事に驚いた後それぞれ睨むリースとバダックの様子を見たケビンは武器を構えて影の王を睨んだ。
「………挨拶はそのくらいにしてもらおう。”影の王”と言ったな…………もし貴様が、この状況を引き起こした黒幕ならば………即刻、王都を元に戻してもらおう!さもなくばこの場で斬る!」
「フフ、そなたの要求はあまりに空しく意味がない。敬愛の心も度を過ぎれば真実を捉える妨げとなろう。解るかな?ユリア・シュバルツ。」
「な、なに………!?」
「やはり……そういう事でしたか。僕達が先ほどまでいたグランセルは全て偽物……いや、”影の国”の中に再現された模造物(フェイク)ですね?」
影の王の言葉にユリア大尉が戸惑っている中、ヨシュアは納得した様子で説明をして尋ねた。
「な………!」
「そんなことって………」
「馬鹿な……”フォミクリー”も使わずに、あそこまで忠実に再現したというのか……?」
ヨシュアの推測にユリア大尉とリースが驚いている中、バダックは信じられない表情をしていた。
「………しかし、それで一通りのことが説明できる。漆黒の大門に無人の街角………昔に巻き戻った部屋に構造すら変化している遺跡………そうやな、ヨシュア君?」
「ええ、その通りです。」
「クク………やれやれ、そなたは優等生すぎる。もう少し可愛気があった方が私としては楽しめるのだがな。」
「あなたの娯楽に興味はない。………興味があるのはエステルの安否だけだ。」
不気味に笑っている影の王にヨシュアは静かに答えた後影の王を睨んだ。
「フフ、解っているさ。だが、愛する心もまた強すぎれば真実を遠ざける。違うかな?ヨシュア・ブライト。」
「………っ………」
しかし影の王の次の言葉を聞いたヨシュアはかつてエステルと決別した事を指摘され、唇を噛みしめて黙った。
「そうか………陛下と殿下達は今も無事で………女神よ………あなたの慈悲に感謝します。」
一方説明を聞いていたユリア大尉は安堵の表情で祈りを捧げたが
「おやおや………何を安心している?そなたの案ずる者達が無事だと誰が言ったのかな?」
「え………」
影の王の口から出た不穏な言葉を聞くと呆けた。そして影の王は自分の片手に封印石を現した!
「なっ………!ま、まさかその石の中には………!?」
封印石の中にいる人物に察しがついたユリア大尉は影の王を睨んだ。
「フフ………お前達にとっても他人事ではないぞ、ヨシュア・ブライト、そして”黒獅子”ラルゴ。」
「え………」
「何……!?」
さらに名指しをされたヨシュアが呆け、バダックが驚いたその時、影の王はもう片方の手にも二つの封印石を現した!
「この二つの封印石の内の片方に入っているのはヨシュア・ブライト。そなたにとってエステル・ブライトと並ぶ大切な姫君と言えば誰なのかわかるだろう?」
「ヨシュア君がエステルちゃんと同じくらい大切にしている姫君って……―――まさか………!」
「姉さんの封印石…………!………っ…………!!」
影の王の意味ありげな言葉を聞いて封印石の中に入っている人物に察しがついたケビンは驚き、ヨシュアは凄まじい殺気を影の王に向け
「そして残りのこの封印石には偽りの姫君―――いや、偽りの女王が入っているといえばわかるだろう、”黒獅子”ラルゴ?」
「!!貴様……っ!その言葉を取り消せ!メリルは自らの意志と行動によって民達に……国に認められた”本物の王”だ……!」
「なるほど……やはり”彼女”も巻き込まれていましたか。となると残りの二人も確実に巻き込まれているでしょうね。」
更なる影の王の意味ありげな言葉を聞いたバダックは凄まじい怒気や殺気を纏って影の王を睨んで反論し、ジェイドは真剣な表情で影の王を見つめて推測していた。
「フフ………この”第二星層”における最後の宝物(ほうもつ)といったところか。そして無論………宝物には試練が付き物だ。」
一方影の王はヨシュアとバダックの殺気を気にせず、ケビン達の傍に巨大な悪魔を召喚した!
「!!!」
「これが………聖典にある悪魔!」
「聖典に記された七十七の悪魔の一匹………煉獄を守る門番の一柱にして数多の魔を従える軍団長………”暴虐”のロストフルム………!」
「クッ………何考えてんねん!こんなモン実体化させたら貴様もタダではすまへんぞ!?」
予想外の強敵の登場に驚いたケビンは影の王を睨んで指摘した。
「フフ、それを何とかするのがそなたらに与えられた役回りだ。さあ、せいぜい楽しむがいい!」
しかし影の王はケビンの警告を流して、不気味に笑っていた。そしてケビン達は”暴虐”のロストフルムとの戦闘を開始した!
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第125話 | ||
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d-sword様 魔装備シリーズはチートですからねぇ……(sorano) 魔槍ブラッドペイン装備で攻撃力カンスト。(d-sword) |
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