ポケットモンスター トライメモリーズ 第26話 |
第26話:炎の抜け道を突破せよ!
「ここが炎の抜け道か」
洞窟の前に立つクウヤ。
ここに立ってるだけでも、洞窟の中に充満してる熱気がどれほどのものか、体に伝わってくる。
腰のモンスターボールに一瞬触れると深く深呼吸し突入した。
――ここ、炎の抜け道はマグマに最も近いといわれる洞窟。
ここを抜けるか上の岩山を登っていくかはたまた砂漠を越えていくか・・・。
そうでもしないとフエンタウンやハジツゲタウンへは行けない。
この抜け道の温度は日により異なるが平均は38,9度前後。
湿度も高く多くの炎ポケモンがここに生息している。
流石にクウヤもこの暑さに苦戦し髪の毛の一本一本から汗を流す。
ぴちゃり、と落ちた汗はすぐに蒸発した。
じりじりと来る熱に対し何も言葉も出ない。
「(っくそ、こんなに熱くてじめじめしてんのかよ・・・。
喋る気力もないし・・・はっきりいってぶったおれそうだぜ)」
しかしここで倒れたらもっとヤバイことになるしボールの中のポケモンも無事で済まされないだろう。
クウヤはひたすら無言で出口を必死に探した。
・・・・無論彼もちゃんと情報を集めていれば山を登ったり砂漠を超えるというルートもあったのだがこの道の情報しか手に入れてなかったのでここを通るしかなかった。
「(結構な距離進んだな・・・)」
また、本人は気付いていないであろうが、もう既に後戻りできないほど進んでいた。
「・・・?」
しばらく進んでいくと、上のほうに穴が開いているのが見えた。
彼が歩けば歩くほど段々とその穴は大きくなりやがて、外に出た。
「っぷは!!
涼しい〜〜〜〜やっと出られた〜〜!!!
・・・・ってえええええええええ!!!」
周りを見ると愕然とした様子で叫んだ。
彼がいるそこは、目の前に砂嵐がひどい砂漠。
そう、彼は間違った出口に出てしまったのだ。
ポケナビを起動させて本来のハジツゲの方向を知るとがっくりと項垂れる。もう体中汗だくだ。
クウヤはここで一度休憩を取るという選択をした。
砂嵐が当たらない岩陰へ行きリュックの中身を全て出して冷やす。
水筒が魔法瓶だったのが不幸中の幸いだ。
しっかり氷の入ってた水がとても冷たくて気持ち良い。
「っくは!生き返る!お前らも飲めよ!」
「シャ・・・」
「遠慮するなって!ほら」
水を入れてポケモン達に差し出す。
エーネは素直に呑んだが他の4匹はクウヤを気遣い飲むのを拒んでいた。
クウヤは無理矢理それぞれのポケモンの口に水入りのカップをつけて飲ませる。
残り2杯分となった水を不安そうに見るアーチたち。
クウヤはきにすんなといい水筒や荷物をリュックに戻すとポケモンを全員モンスターボールに戻しベルトにつける。
「今度こそ!」
そうして立ち上がると洞窟・・・炎の抜け道へ再び足を踏み入れる。
「このままじっとしてちゃラチがあかねぇ!
こうなったら・・・一気に走り抜けるぞ!」
クウヤはこの道を抜けるトコに全力を捧げた。
「うぉおぉぉお!!!!」
出口目指して走っていくクウヤ。
もはや地形も気温も野生ポケモンもお構いなしの状態だ。
今の彼の頭の中はここを抜けることで一杯だった。
「はぁ・・・はぁっ・・・!」
汗だくでこの気温と湿度・・・・。
クウヤの体力を徐々に奪っていくそれは走るたびにその効力を増していく。
しかし元々クウヤに限度や限界なんてものは関係なく、どうでもいいものだ。
そしてなによりも、自分だけでなくポケモン達のこともかかっている・・・。
とにかく、ここを抜けることだけ。
それ以外の思考はない。
「マグゥゥッ」
「あらよ!ごめんよぉ〜〜!」
「コォ〜〜〜!」
「おわっとぉ!」
野生のマグマッグやマグカルゴをよけコータスの煙をつっきりようやく目前に光が差してきた。
「今度こそぉぉっ!!!」
クウヤは目の前の光目掛けて、とびこんだ。
そこで彼の意識は飛んでいった。
――113番道路。
年中火山灰が降り注ぐ地。
ここらへんに住む人々はその火山灰を利用してのガラス細工や灰をあびても成長し安心して食べれる作物で生計を経てていた。
そんな道で火山灰を体に浴びつつもクウヤは目を覚ました。
どうやら正しい出口に出たはいいがそれと同時に疲労により気を失って倒れてしまったらしい。
ゆっくり顔をあげると上から水が降ってきた。
そこにいたのは、自分のポケモン達だった。
何度もクウヤは瞬きをする。
「みんな・・・」
「シャモ!」
「ピッカ!」
「ナクー!」
「ヒンバ!」
「ねぇえ!」
「・・・・ありがとな!
オレは、もう大丈夫!」
そう言いながら力いっぱい立ち上がる。
若干顔や髪の毛、服が火山灰によって汚れてしまっているがしかしその目はいつも通り光があってまっすぐだ。
「さぁハジツゲに行こう!
そしてそこからフエンタウンに行くぞ!」
軽く火山灰を払い、もう一度クウヤは歩き出す。
こんなとこで立ち止まってなんていられない、 冒険はまだおわっていないのだから。
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