突発!乱の書き逃げ劇場6「おしゃべり花なんかどわいっきらい・改」
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「うん、美味い。やっぱり牛丼が一番だな」

 

牛丼屋にてメガネ、パーマ、カクガリ、チビのラム親衛隊最高幹部会の四人は牛丼を食べていた。

其処にリュウゲンビリアの花の種が飛んで来てチビの靴でその花を咲かせた。

 

《寝小便したっちゃ〜》

 

「そう、寝小便。朝起きて見ると布団には見事なまでの宝の地図が……誰か何か言ったか?」

「「「うんにゃ」」」

 

《寝小便したっちゃ〜》

 

だが、確かに誰かの声が聞こえる。

メガネはその声の元に目をやるとチビの靴に咲いた花からその声が聞こえて来る。

 

《寝小便したっちゃ〜》

 

「い、い、いいいいい〜〜〜〜〜!?」

 

あまりの事にメガネはその手から箸を落とし、パーマとカクガリも驚愕の表情でチビを見つめる。

 

《寝小便したっちゃ〜》

 

「チ、チビ、お前……」

「まさかとは思っていたが……」

 

「「「寝小便たれだったのか」」」

「ち、違う!違うんだよ。メガネ、信じてくれよ〜〜!」

 

だが、三人は遠い目をし、そしてメガネは呟く。

 

「チビ、短い付き合いだったな」

「違う、違う、違う、違うよぉ〜〜〜〜〜」

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場面は唐突に切り替わって、チビは被告席に立ち、メガネ達三人は裁判席からチビを冷ややかに見下ろす。

 

「被告チビ。罪状・寝小便。チビ、俺達は何時如何なる時もラムさんを変わる事無く愛し、想い、見守り続けて来た。それは報われる事の無い辛く哀しき切ない日々の連続だった。だが、そんな俺達が唯一ラムさんと愛し愛される瞬間があった、それこそが夜、夢を見る時間だ」

 

パーマとカクガリは其々メガネの左右の席でうんうんと頷いている。

 

「だがチビよ!貴様はそんな崇高なる時間にあろう事か寝小便を垂れるという愚考を犯した、許されざる大罪である!」

「違うよ!俺、寝小便なんかしてないよ!」

「この後に及んでまだしらを切るとはな、見損なったぞ。当法廷は被告チビに対し今後我等とは一切無関係である事を宣告する、早々に我等の前から立ち去れい!」

「誤解だよ!俺、俺寝小便なんかしてないんだよ〜!何かの間違いだよ、助けてくれよ〜」

 

だが、そんな叫びも空しく裁判席に座っている三人は煙の様にチビの目の前から消えて行く。

 

「あ〜〜!ま、待ってくれ、違うんだ、違うんだぁ〜〜〜〜!」

 

一人残されたチビの叫びが暗闇の中に空しく響く。

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「まったく、通学用のヘリが故障したのは仕方ないとしてももう少しまともな乗り物は用意出来なかったのか?」

「こういうのも偶には風情があって宜しいかと」

 

突然の日曜日召集の為に学校へと急ぐ面堂だが、何時ものヘリでは無く今日は何故かタコが引くタコ車での登校であった。

そんな光景に目を引かれたのか一人の少女がタコ車に近づいて来る。

 

「わあ〜、タコさん、可愛い〜」

「ん?止まれ」

 

そんな少女に気が付いた面堂はタコ車を止めさせ、少女に優しく語り掛ける。

 

「タコに興味があるのかい?」

「うん!タコさん可愛い」

 

少女は一匹のタコを撫でながらそう答える。

 

「そうかい。その子は雪千代っていうんだよ」

「雪千代ちゃん、いい子、いい子」

 

其処に面堂と同様に日曜日召集によって学校に向かうあたるとしのぶが通り掛る。

 

「何じゃ、面堂ではないか」

「面堂さん、今日はヘリじゃないの?」

「しのぶさんではないですか。いやぁ、恥ずかしい。実は通学用のヘリが故障してしまいまして、偶には趣を変えようと思いまして」

 

そんな彼の背後に花の種が音も無く忍び寄って来る。

それに気付く筈も無くしのぶはタコを撫で続けている少女に目をやる。

 

「それと、この子は?」

「ああ、この子は……」

 

そして面堂の背中に辿り着いた種は遂にその花を咲かせてしまった。

 

《大切な小学生だっちゃ》

 

「えええーーーーーー!!」

 

あまりにも、あまりにも衝撃的な告白にしのぶは固まり、視界の中の面堂の顔は次々にひび割れ、そして崩れ去っていく。

 

「ゑ?」

「め、面堂。もう一度言って見ろ。その子が…何だって?」

「い、いや、だからこの子は《大切な小学生だっちゃ》」

 

声を頼りに振り向いていると背中に咲いた花から声が聞こえて来る。

 

「な、何だ?《大切な小学生だっちゃ》」

「嫌、嫌ぁ〜〜!」

「しのぶさん、落ち着いて下さい!この花が勝手に言ってるんです」

「止めて、言い訳は止めて!」

 

泣きながらしのぶは指を指し、その先を見ると先程の少女が顔を赤らめながら面堂の制服を掴んでいた。

 

「し、しのぶさん…。諸星、お前は《大切な小学生だっちゃ》」

「気色悪い事を言うな!俺はお前にとって大切な存在でも無いし小学生でも無い!」

「違う、お前なら理解出来る筈だ。この花が勝手に喋っているんだ。な、解るだろ!?」

 

だが、あたるは溜息を吐きながらゆっくりと首を振る。

 

「話を誤魔化すな面堂。今重要なのは花では無く、貴様がロリコンだと言う事」

「僕はロリコンじゃ無い!」

「だがお前は確かにこの子の事を大切だと」

「だからこの子とはさっき会ったばかりで《大切な小学生だっちゃ》」

「違うんだぁ〜〜〜!」

「酷い、酷いわ。面堂さんがロリコンだなんて、ずっと私達を騙してたのね」

「可哀想に。面堂は自分の性癖をごまかす為にお前達を隠れ蓑にしていたんだな。だが大丈夫だ、お前には俺が居るじゃないか」

「あ、あたるく〜ん」

「も、諸星、貴様何を人聞きの悪い事を!」

 

其処まで言った面堂は制服の裾をクイクイと引かれているのに気付き、目線を下してみると…

 

「ねえ、アナタ。結婚式は何時にする?」

 

と、顔を赤く染めた少女がいた。

 

「面堂さん、幸せにね」

「違うんですしのぶさん、誤解なんで《大切な小学生だっちゃ》うがぁ〜〜!」

「いいの面堂さん。もう言い訳しなくても私、あなたの幸せを祈っているわ」

「し、しのぶさ《大切な小学生だっちゃ》違〜〜う《大切な小学生だっちゃ》違う《大切な小学生だっちゃ》違うんだあーーーーーーーっ!」

 

シャキィーーーーーンッ!

 

叫びながら日本刀を一閃、背中に張り付いていた花を切り裂く面堂。

しかし、切り裂かれた花びらには其々に種が付いており、地面に大量に増殖してしまった。

 

《《《《《大切な小学生だっちゃ》》》》》

 

「だあぁぁぁぁ〜〜〜〜〜!」

 

崩れ落ちる面堂であった。

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「おい、まだ付いて来るぞ」

「ほっとけ」

「でもよ、少し可哀想な気もするな」

 

場所は変わり、取りあえずと学校に向かうメガネ達三人。

その後をチビは隠れながらも付いて行く。

 

《寝小便したっちゃ〜》

 

「ちっ、しつこいな。まだ言ってやがる」

 

《寝小便したっちゃ〜》

 

「何時まで付いて来るつもりだ!貴様とは無関係だと言った筈だぞ!」

「お、俺、何も悪い事してないじゃないかぁ」

「見苦しい奴だ」

 

そう言い放ち、去っていくメガネ達。

その姿を見たチビの瞳から涙が零れる。

 

「酷いよ、あんまりじゃないか〜〜」

 

泣きながら地面に座り込んだチビは地面に転がっていた石を投げ出す。

 

「おっと、危ねえ」

「貴様ーー、寝小便たれの分際で!」

「た、たとえ寝小便をしたって人間じゃないか。寝小便たれにだって人権はあるんだーーー。《寝小便したっちゃ〜》くそぅ、こんな物、こんな物」

 

手にした小石で靴に咲いた花を殴るチビ。

その姿を見たメガネ達は呆れ顔だが、殴られた花は花びらを撒き散らし、そして三人の背中で再び花を咲かせる。

 

《《《寝小便したっちゃ〜》》》

 

「ん?」

 

背後から聞こえるその声に三人は悟る。

そう自分達は……

 

「そうか、そうだったのか。俺達は、俺達は」

「「「仲間だったんだぁ〜〜〜〜〜っ!」」」

 

駆け寄ってくるメガネ達にチビは笑顔を取り戻し、駆け寄って行く。

 

「メガネェ〜〜〜〜」

「「「チビィ〜〜〜〜」」」

 

そして彼等の絆は再び紡がれ、祝福するかの様に柔らかな日差しが包み込む。

((美しい|見苦しい))友情である。

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その頃、ラムとランは飛び散ったリュウゲンビリアを回収すべく町中を駆け回っていた。

早く全ての花を回収しないと自分達の悪い噂が町中に広まってしまうのだから。

そして人ごみを見つけたラムは何事かと顔を覗かせる。

 

《大切な小学生だっちゃ》

 

「ぎくぅっ!」

「違うんだぁーーー、僕は無実だぁーー!」

「やっぱりショックだわ、今まで騙されていたなんて」

「もういいじゃないか。あんな金持ちのボンボンの事なんて早く忘れてしまうんだ」

「誰がボンボンだ!」

「ええい、近寄るなロリペド野朗!」

「僕はノーマr《大切な小学生だっちゃ》違うーーー、ラムさん」

 

叫ぶ面堂は仰け反った拍子に背後の人ごみから覗き込むラムの姿を見つける。

 

「あはは、こんにちわだっちゃ」

「ラムじゃないか。何しとるんじゃ?」

「ラムさん、こうなったら貴女だけが頼りです。貴女には分かってる筈だ、僕はこの子とは《大切な小学生だっちゃ》違ぁ〜〜う!僕は無実だ、この花が勝手に言ってるんだぁ〜〜〜!そうですよね、ラムさん」

 

そう言うと人々の目線はラムに集中する。

困り果てたラムが面堂を見るとその傍らには頬を染めた少女が今だに制服の裾を握ったままだった。

リュウゲンベリアの《大切な小学生だっちゃ》というセリフから面堂がロリコン疑惑を受けていると言う事は理解したが、それを説明すると自分達が困るのだ。

 

「さあ、早く説明して下さい」

「ウ、ウチ…」

「うん」

「ウチは…」

「うんうんうん」

 

希望に胸膨らませる面堂だが、ラムはその希望を絶望へと塗り替えた。

 

「終太郎、責任は取らなくちゃいけないっちゃよ〜〜〜」

 

「あああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」

 

奈落の底へと続く穴の淵で辛うじて踏みとどまっていた面堂だが、その努力も空しく彼はその穴へと突き落とされてしまった。

こうして面堂は名実と共にロリータコンプレックスの称号を手に入れてしまったのである。

 

 

後に、リュウゲンビリアは日暮れと共に枯れると知ったラムとランは安心して眠りに付くのであった。

 

日の出と共に復活する事を知らないまま。

 

 

追記・例の少女は面堂家の体面を保つ為に終太郎の許婚になったらしい。

 

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(`・ω・)ちゃんちゃん

知りきれトンボな感じですが、そこは書き逃げと言う事で勘弁して下さい。

説明
(`・ω・)TVアニメ「うる星やつら第135話・おしゃべり花なんかどわいっきらい」でもしもチビと面堂の花の種が入れ替わっていたら?
そう言うコンセプトなのでリュウゲンビリアの犠牲者はチビと面堂のみになります。
話の内容も大幅にカットして牛丼屋のシーンからスタートでしゅ。
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うる星やつら リュウゲンビリア 面堂 チビ TVアニメ版 

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